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ブラックジャック徹底解説

概要: ゲームの進行と大原則

 ブラックジャックというゲームは、手持ちのカードの数字の合計が [21] を超えない範囲で [21] に近い方が勝ちという単純明快なカードゲームだ。

 そしてその勝負は、個々のプレーヤー(自分を含めた他の一般の客)とディーラー(カジノ側のスタッフでトランプを配る人)との 1対1 の対戦形式で勝敗が決められる。つまりプレーヤー同士(客同士)は互いにまったく関係ない。

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 超初心者読者のために、もっと具体的にわかりやすく説明するならば、Aさん、Bさん、Cさんが着席しているブラックジャックテーブルにおいて、あなたも参加して合計4人でプレーすることとなった場合(ディーラーも含めると5人)、対戦は、Aさんとディーラー、Bさんとディーラー、Cさんとディーラー、そしてあなたとディーラーがそれぞれの手で勝負することになり、参加者同士は対戦相手ではないので、互いの手はまったく関係ない。
 とにかくわかりやすい単純なゲームなので、まずは恐れずに参加してみるとよいだろう。以下は参加の手順だ。

 カジノ内でブラックジャックテーブルを見つけ、空席があったら勝手にすわってかまわない(特に何もしゃべる必要はないし、許可を得る必要などもまったくない)。

 次に、軍資金の現金(ドル紙幣)をディーラーに差し出す。(以下の写真のように、テーブルにドル紙幣を置くだけでわかってもらえる)

 差し出したドル紙幣と同じ金額のカジノチップを、ディーラーがくれるので、その手持ちの予算の範囲内で賭け金を決める。

 この「賭け金を決める」という動作は、自分の目の前のテーブル上の指定された位置(多くの場合、丸や四角、もしくはそのカジノのロゴなどが描かれている場所)に賭け金を置くという行為で、それがゲームへの参加の意思表示となる。

 なお、最低賭け金を意味する「ミニマムベット」(Minimum Bet)以上の金額を賭ける必要があるので、念のためその金額を確認するようにしたい。

 ちなみにミニマムベットとは、「最低でもこの金額を賭けてくださいね」という金額のことで、以下の写真のような電光パネルなど(ハガキ程度の大きさのパネル)によって、各ブラックジャックテーブルの脇に掲示されている。(この写真の例では、最低でも $10 は賭けなければならないことになる)

 プレーヤー全員が賭け金を置き終えると、ディーラーは各プレーヤーおよび自分(ディーラー自身)にカードを2枚ずつ配る。

 ディーラーに配られた 2枚のカードのうちの1枚は全員に数字が見えるように表向きに配られる。この見えているほうのカードのことを「アップカード」というが、実戦でこの言葉が使われることはないので、この言葉をあえて覚える必要はまったくない。

 以下の写真で言えば、手前がディーラー側で、指が見えているほうがプレーヤー(客側)、赤く見えるものがプレーヤーが置いた賭け金、そして「ハートのQ」がディーラーのアップカードということになる。

 各プレーヤーはディーラーのアップカードからディーラーの最終的な手(最終的な数字の合計)を推測しながら、自分がさらにカードをもらうかもらわないかの判断をする。
 [21] を超えるまでは何枚でもカードを引くことができるので、もらいたければディーラーにその意思を伝える。

 この「もらうかもらわないかの意思表示」は指などの動作で行うので英語に自信がない者でもまったく心配する必要はない。
 もし、もう1枚カードが欲しければ、指を自分のほうにかき込むような動作をすればいいし(上の写真)、欲しくなければ指を左右にふるとか、もしくは手のひらをディーラーのほうに向けて横に振るなどすればよい(写真下)。

 参加しているプレーヤー全員がカードをもらい終えた段階で(もちろんもらわない者もいるだろう)、ディーラーは自分の伏せてあるほうのカードも表に向け、全員の前で自分の手を披露する。

 この段階でディーラーは、後述するルールにより、自分の手の合計が [16] 以下であった場合は [17] 以上になるまでカードを引き続けなければならないし、[17] 以上になった段階でディーラーはそれ以上カードを引くことはできないのでゲームをストップして、あとは各プレーヤーの手とディーラー自身の手を照合しながら勝ち負けの確認作業と精算をおこなう。

 ディーラーが勝っていた場合は、ゲーム開始時にプレーヤーがテーブルに置いていた賭け金は取られてしまい、プレーヤーが勝った場合は、その賭け金と同じ金額を払い戻してもらえる。[18][18] など同点の場合は引き分けなので賭け金は動かない。
(ちなみに「同点で引き分け」のことを、「プッシュ」と呼ぶが、現場でその言葉を使うことはほとんどないのであえて覚える必要はない)

 ゲームをやめるタイミングはプレーヤーの自由なので、極端な話、1回のプレーだけで勝ち逃げしてもかまわない。

 いま述べたばかりのルール、つまり「ディーラーは、自身の手が [16] 以下であればカードを引かなければならないし、[17] を超えたら引いてはならない」は、ブラックジャックというゲームの原則中の原則ともいえる大原則なので、絶対に覚えておく必要があり、これを知らずして、自分がカードを引くべきかどうかの戦略など立てられるわけもなく、勝てることなどありえない。
(もちろん 30分程度の短時間のゲームであれば、たまたま運良く勝てることもあるかもしれないが、長期では勝てない)

 ちなみに以下の写真はマンダレイベイホテルのブラックジャックテーブル。黄色い文字の部分にこの大原則が書かれていることが読み取れる。

 くどいようだが、超初心者読者のために、この大原則を、実戦でよくある状況を例に取りながらわかりやすく説明してみたい。

 たとえば、プレーヤーAさんが [18] 、Bさんが [19] 、Cさんが [20] 、そしてあなたも [20] でストップしている状況で、ディーラーの手が [17] だった場合、そのままだとディーラーは全員に対して負けが確定し、カジノ側は損をしてしまうので、ディーラーとしてはもう1枚引きたいところではあるが、この大原則ルールにより、カードを引くことはできず、そのままディーラー(カジノ側)の負けが確定する。

 つまりディーラーには自分の自由な意思で決めるような「プレーの選択権」は何もないということになり、この大原則を知っていれば、強いディーラーとか弱いディーラーは存在しないことがわかる。

 言い換えれば、入社したての新人ディーラーも、ベテランディーラーも実力はまったく同じというか、「実力」という言葉すら不適当で、ディーラーはロボットのように決められたルールに従って働いているだけ、ということになる。
(もちろん「カードさばきが美しい」とか「接客態度がきちんとしている」とか「計算が速い」といった意味での実力の差はあるだろうが、プレーヤーに対する勝ち負けという意味での実力差は存在し得ない)

 このことからわかる重要な現実として、絶対に再認識しておきたいことは、ディーラーの最終的な手には [16] 以下はありえず、[17]、[18]、[19]、[20]、[21]、それと [22 以上のバースト]6通りしかないということ。

 このことを知っておけば、いろいろな現実が見えてくる。たとえばあなたに最初に配られた2枚のカードが 84[12] という状況で、次のカードを引くか引かないか悩んだ末に、引いてみたところ 3 のカードが来て [15] になった場合、「やったぁー! 12 から 15 に、少し強い手になったぁー!」と喜んでいたらあなたはブラックジャックというゲームをまったく理解していないことになる。

 なぜなら、ディーラーの最終的な手に [13] [14] は存在しないため、あなたの手が「12 でストップしていらた負けていたけど、15 になったので勝てた」といったことはあり得ず、むしろ [15] のほうが [12] よりも、さらにカードを引く場合のことを考えるとバースト([21] を超えて負けが決定)しやすくなっているぶんだけ「弱い手になった」と考えるべきなのである。

 ここまで読んだ段階で、初心者にとっては「何やらむずかしいゲームだなぁ」と感じるかもしれないが、実際は簡単なゲームなので、とにかく恥ずかしがったり、ためらったりせずに、まずは着席してプレーを始めてしまうことが熟練への近道だ。
 わからないことがあっても、ディーラーはそのつど優しく教えてくれるので特に困ることはない。まずは始めてしまおう!

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概要: カードの数え方

 10、J、Q、K はすべて [10] として数え、その他のカードはその数字の通りに数える。
 したがって [10] と数えるカードは 13種類中 4種類あることになり、[10] の出現率だけが飛び抜けて高いことがわかる。(下の写真内のカードはすべて [10]

 なお、Ace [1] または [11] と数えることができ、状況に応じて自分の都合のよいほうに解釈してかまわない。
 したがって Ace は戦略上、非常に強力な武器になることが多く、大変貴重なカードということになる。

【NOTE】
 このあとの一連の説明文において、[ ] で囲まれた数字はその手の合計の数値を示し、[ ] で囲まれていない数字は個々の1枚のトランプの数字を意味するものとする。

 例: Ace を持っていた場合の合計は [9] または [19] である。

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概要: 基本用語

HIT(ヒット):
 カードを引くこと(カードをディーラーからもらうこと)。

STAND(スタンド):
 HIT の反対の言葉で、カードをもらうことをやめ、現状の手で勝負をすること。
 日本人の間では STAY という言葉が使われることが多いようだが、ラスベガスの現場では STAND のほうが一般的。

BUSTED(バースト):
 合計の数字が [21] を超えてしまうこと(下の写真内の真ん中の手)。無条件で負けることになる。
(日本人の発音に合わせ「バースト」と表記したが、実際は「バー」と伸ばさずに「バスト」もしくは「バステッド」と発音するのが普通)

 いま「無条件」という言葉を使った理由は、自分(プレーヤー)だけではなく、ディーラーもバーストした場合でも、引き分けではなくプレーヤーの負けとなるからだ。

 その理由はゲームの流れの順番としてもなんとなくわかるのではないか。というのも、ヒットするかスタンドするかの行為は、まずプレーヤー側が先に行い、つまりプレーヤー側の最終的な手が先に確定し、そのあとからディーラーが自分の伏せられたカードを開いて、ディーラーの手が決定することになるため、プレーヤーがバーストした段階で、賭け金が没収されてしまうことになっているからだ。

 プレーヤー側の気持ちとしては、「オレがバーストしたからといってすぐに没収せずに、オマエの手が決まるまで待ってろよ」と言いたいところではあるが、ブラックジャックというゲームの基本手順として「プレーヤーのバーストはその場で負けが確定し、賭け金もその場で没収」ということになっているので、とにかく、「プレーヤーもディーラーもバーストした場合はプレーヤーの負け」ということを覚えておこう。

BLACKJACK(ブラックジャック)
 ゲームそのものの名前にもなっているが、ここでの「ブラックジャック」は手の名前。
 最初に配られた2枚のカードが 10、J、Q、K のうちのどれか1枚と Ace の場合、すでに [21] が完成していることになり(下の写真)、このような場合の [21] を、その他の [21](3枚以上のカードの合計で構成された [21])と区別して「ブラックジャック」と呼んでいる。大変めでたい手であることは言うまでもない。

 プレーヤーにこのブラックジャックができた場合、ディーラーはプレーヤーに対して賭け金の5割増し、つまり 1.5倍を払い戻してくれる。「ご祝儀」とでも考えておけばよいだろう。
 なお最初の2枚ではなく、何枚か引いたのちの合計が [21] になった場合(たとえば下の写真)は「ブラックジャック」とは呼ばないのでご祝儀はない。

 ご祝儀と言えば、残念なことに、近年この「ご祝儀として5割増し」という長年続いてきた習慣が崩れつつあり、多くのカジノが 1.2倍、つまり「2割増し」というケチくさいルールを採用し始めている。
 これは明らかに客側(プレーヤー側)にとって期待値が下がる不利なルール変更であることは言うまでもなく、この種のテーブルには近寄らないことに限る。

 自分がこれからプレーしようとしているテーブルが「5割増し」なのか「2割増し」なのかは、そのテーブルのどこかに書かれているので簡単に見分けがつくが、その表記は「1.5」とか「1.2」ではなく、「3 to 2」(下の写真)もしくは「6 to 5」といった表記になっているので覚えておきたい。

 この「3 to 2」という表記の意味は「2ドルの賭け金に対して 3ドル払いますよ」(つまり 1.5倍)、「6 to 5」であれば「5ドルの賭け金に対して 6ドル払いますよ」(つまり 1.2倍)ということである。

UP CARD(アップカード)
 ディーラーに配られた2枚のカードのうち、オモテ向きのカード、つまり数字が見えているほうのカードのことをアップカードという。
 ちなみに見えていない伏せられているほうのカードは「HOLE CARD」(ホウルカード)。
 この名称を知らなくても特にプレーに困ることはないし、そもそも実戦でこの言葉が出てくることはないので、わざわざ覚える必要はない。
(ただ、実戦では出てこないが、このページの解説では出てくるので、とりあえずは覚えておいてほしい)

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戦術オプション: ダブルダウン

 この「ダブルダウン」という戦術オプションは、プレーヤーにだけ与えられた特権なので(つまりディーラーはこの戦法を使うことができない)、必ず覚えるようにしたい。

 ダブルダウンとは、自分に最初に配られた2枚のカードの合計の数値を確認した段階において(もちろんディーラーのアップカードが何であるかを確認したあとで)、プレーヤー(自分)が、「次の1枚(3枚目)に、どんな数字のカードが来ようが、あと1枚しか引かないので、今この段階で、すでに置いてある賭け金を倍にさせてほしい」と宣言する権利のこと。

 したがって、これを宣言したあとは、必ず1枚引かなければならないし、なおかつその1枚がどんなに悪いカードであろうとも、それ以上を追加して引くことはできない。
(下の写真は、ディーラーのアップカード 6 に対して、[11] からダブルダウンをし、必ず1枚だけ引かなければならない次のカードが Q だったという場面。なお、この写真のように、ダブルダウンの際のヒットの1枚は、横向きに配ってくれるのが慣例)

 このダブルダウンという戦術は、勝てば受け取り額が当初の予定の倍になるが、負けると当初の予定の倍の額を失うことになるので、絶好のチャンスであると同時に危険も伴なう。したがって、この権利を行使する際にはある一定の常識を知っておく必要がある。

 その常識とは、自分の最初の2枚の合計が非常に有利な状態、つまり [11] とか [10] あるいは [9] など、つまり、次に 10 が来ると仮定すると(10 が来る確率が一番高いため。もちろんここでいう 10 とは J、Q、K も含む)かなり強い手になるような状況で、なおかつディーラーのアップカードがあまり強い手ではない状況のときに実行するということ。
(自分の手が [11] の場合、たとえディーラーのアップカードが強い 10 であった場合でもダブルダウンしたほうが有利など、個々の手に対するダブルダウン戦略に関しては、後述する Basic Strategy の基本戦略チャートを参照されたし)

 なお、自分の2枚の合計が [11][10] [9] ではなくても、例外的に自分の手に Ace が含まれているような場合は(たとえば Ace5 とか)、次にどんな数字が来ても自分は絶対にバーストしないばかりか、小さな数字が来ればかなり強い手になるので、このダブルダウンで勝負に出るのもひとつの戦略である。
Ace[11] と数えることができるので、たとえば Ace5 を持っている状況で、次に 5 とか とか 3 が来ると強い手が完成することになる)

 ただし、その場合においてもディーラーの手が強くない(アップカードが 7、8、9、10、J、Q、K、A などではない)ことが条件であることは言うまでもない。

 ちなみにこのダブルダウンの権利を行使する際は、言葉でそれを宣言するのではなく、ただ黙って追加の賭け金を、元の賭け金の横に置くだけでよい(上の写真)。
 その動作だけで自動的にダブルダウンの意思表示となり、ディーラーもわかってくれる。

 追加の賭け金を横に置き(元の賭け金の上に重ねて置くのではなく、横に置く)、ダブルダウンの意思表示をしたあとは、通常の指で行うヒットやスタンドの意思表示をする必要はなくなる。なぜならダブルダウンは「1枚だけヒットに決まっている」からである。

(追加の賭け金を十分に持っていない状況での Double for Less という方法もあるが、これは特に覚える必要はない。たとえば最初に 50ドルを賭けていて、2枚の合計が [11] で、ディーラーのアップカードが 6 だった場合、だれもがダブルダウンをしたくなる状況ではあるが、そのときの手持ちの所持金が 30ドルしかないような場合、30ドルだけでも Double for Less として追加で賭けることができる。ただ、手持ちに資金がある限り、満額のダブルダウンにするほうが確率論的に得策なので、この Double for Lessは、所持金がたりないという特殊な状況にしか考える必要がない話であり、あえて覚える必要はない)

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戦術オプション: スプリット

 これもダブルダウンと同様、プレーヤーにだけ与えられた特権なので、ぜひ知っておいたほうがよい。

 スプリットとは、最初に配られた2枚のカードを分割し、それぞれの1枚のカードに対して、新たに1枚ずつカードをもらい、独立した2つの手としてプレーを続行する権利である。

 ダブルダウンと大きくちがうところは、このスプリットは初めに配られた2枚のカードが同じ数字のカード(つまり「ペア」。ハートとかスペードとかは関係ない)の時のみ権利を行使できるということ。

 さらにスプリットはダブルダウンとちがいヒットの回数に制限がないため、スプリットしたあと何枚でも好きなだけカードを引くことができる。
(例外的に Ace のペアのスプリットだけは、1枚ずつしかカードをもらえないルールになっているカジノがほとんど)

 このスプリットに関してもう少しくわしく説明すると、たとえば写真のように、最初に配られた2枚が 88 のペアだった場合、この手を [16] の手として普通にプレーする代わりに、2枚を分割して2つの独立した 8 の手として、それぞれの 8 に対して新たにカードをもらいプレーを再開するのがこのスプリットである。
(下の写真は、上の写真の手の状況で、新たに賭け金を出してスプリットした場面)

 このようにスプリットの権利を行使した場合、元の賭け金と同じ額の賭け金を分割した手にも追加で賭けることになるため、このスプリットも結果的にはダブルダウンと同様、当初の金額の倍の額をテーブルに置いてプレーすることになる。

 それでもダブルダウンと違うところは、必ずしも倍の賭け金を失うとは限らないため(分割した2つの手のうちのどちらか一方の手が勝って、どちらか一方が負けるということもよくあるので)、厳密に言うならば、賭け金を2倍にするのではなく 2回分のゲームを同時に並行して行うと考えるべきだろう。

 では戦術的にはどのような場合にスプリットをするべきなのか。
 基本的には、最初に配られた2枚(ペア)のままでは勝てそうもない場合、もしくはディーラーの見えているカードが弱い場合(ディーラーがバーストしそうな場合)である。

 つまり 1010 をスプリットするようなことはしないし(なぜならすでに [20] が完成しているので、そのままでも十分に勝ち目がある)、ディーラーのアップカードが 109 の時に、66 などをスプリットすることはしない。( という弱いカードではどっちにしろ勝てそうもないので、わざわざスプリットして失う金額が倍になるリスクを取る必要はなく、普通に [12] の手からプレーを続行すべき)

 ちなみにこのスプリットの意思表示も言葉で表現する必要はなく、新たな賭け金をテーブル上に黙って差し出すだけでわかってもらえる。

 ただし最初に配られた2枚のカードが 55、あるいは 44 の場合は、「ダブルダウンにしたいのか? スプリットにしたいのか?」と、ディーラーから口頭で意思の確認を求められることがある。
55、もしくは 44 以外のペアの場合は暗黙のうちにスプリットだとわかってもらえる。なぜなら、自分が先にバーストしてしまう可能性がある 6 6 以上のペアからダブルダウンする者はいないし、また逆に、たとえ次に 10 が来ても [16] 以下にしかならないような 3322 のペアからダブルダウンする者もいないからだ)

 なお、もし 55、あるいは 44 のような状況で、ディーラーから「ダブルダウンなのかスプリットなのか?」と意思表示を求められた場合、口頭で返事をしてもよいが、英語が苦手な者は、指で意思表示することも可能だ。
 その際、スプリットにしたい場合は、2枚出ているカードに向かってジャンケンのチョキのように人差し指と中指を大きく広げて指し示せば、2枚のカードを左右に分割しろという意思表示になり、すぐにわかってもらえる。
 ダブルダウンにしたい場合は、ディーラーに向かって人差し指だけを立てて「数字の1」を示せば、「ワン・カード」(あと1枚だけ引く)の意思表示としてわかってもらえる。
(なお、これは余談だが、確率論的な話として、44 のペアの場合、スプリットすることはあってもダブルダウンはしないのが常識)

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戦術オプション: サレンダー

 これもダブルダウンやスプリットと同様、プレーヤーにだけ与えられた特権だが、この「サレンダー」を知っている者は意外と少ないし、実戦でこの権利を行使している者はもっと少ない。

 その理由は、このオプションルールを採用しているカジノが少ないということもあるが(高級ホテルのカジノにおける「最低賭金が高いテーブル」では採用されていることが多いが、平均的なレベルのカジノではあまり見かけない)、この戦術は一般的なアメリカ人の気質に合わないからのようだ。

 ちなみに「SURRENDER」とは、直訳すれば「降参、降伏」のこと。ブラックジャックにおけるサレンダーもまさに文字通り「ゲームの降参」と理解すればよい。

 実戦における戦術としては、最初に配られた2枚のカードを見て、「この手ではとても勝てそうもない」と判断した場合、このサレンダーを宣言する。
 ヒットやスタンドをする前に、ディーラーに向かって「サレンダー」と告げるだけでよい。
(下の写真は、サレンダーすべき典型的な局面)

 このサレンダーの意味は、「無条件で賭け金の半分を差し上げますので、この時点で降参させてください。だから賭け金の半分は返してください」というオプションである。
(こういった弱気の行動がアメリカ人の気質に合わないらしい)

 つまりサレンダーを宣言した場合は、ヒットもスタンドもする必要がなく、宣言をした時点でその回のゲームから退くことになり、ディーラーはその場で賭け金の半額を回収し、残りの半額を返してくれる。他のプレーヤーはもちろん通常通りゲームを続行する。

 このオプションを実戦で使う場合の目安としては、自分の手が非常に弱い状況で、なおかつディーラーのアップカードが非常に強い場合だ

 具体的には、たとえば自分の手が [16] で、ディーラーのアップカードが 10(もちろん J、Q、K も含む)や Ace のような場合ということになる。

 ちなみに自分の手が [12][13] の場合、次にヒットしてもバーストする可能性が [15][16] の場合と比べてかなり低いので、そのような局面において、無条件で半額を捨てるようなサレンダー行為は確率論的に選択するべきではない。

 いずれにせよ、初心者が行くような庶民的なカジノでは、これのサレンダーというオプションがないことがほとんどなので、あまり覚える必要もないが、とりあえず知識として知っておいて損はないだろう。

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戦術オプション: インシュランス

 インシュランスとは、単語の意味そのままで、「保険」と解釈すればよい。
 何に対する保険かというと、ディーラーにブラックジャックが出来てしまった場合の、自分の賭け金を保護するための保険である。
 つまりディーラーのアップカードが Ace の場合に、この保険を掛けるかどうかの判断を迫れるということになる。

 この保険は、自分がすでにそのゲームに対して賭けている賭け金の半額を保険料として場に出して掛ける。
(下の写真は、チップ4枚のもともとの賭け金に対して チップ2枚を保険料として差し出した局面)

 もしディーラーにブラックジャックが完成していた場合(つまり見えていないほうのカードが 10、J、Q、K の場合)、この保険料(もともとの賭け金の半額)の倍、つまりゲームに賭けている賭け金と同じ額が保険金として支払われる(保険料そのものも戻ってくる)。
 もちろんゲームそのものの勝負は負けとなるので、ゲームに賭けていたもともとの賭け金は取られ、結果的に差し引きゼロ、つまりおカネは何も動かないことになり、もともとの賭け金は保護されたことになる。

 これをもっと具体的な数字で説明するならば、たとえば、もともとのゲームへの賭け金が 40ドルで、ディーラーのアップカードの Ace を見てブラックジャックが完成していそうだと予測した場合、賭け金の半額の 20ドルを保険料としてテーブルに差し出す。
 そこでもしブラックジャックが完成していた場合は、保険料の 20ドルの倍、つまり 40ドルが保険金として支払われるので(保険料の 20ドルも戻ってくる)、この段階では 40ドルのプラスとなり、その一方で、もともとのゲームへの賭け金 40ドルはゲームに負けることになるので没収される。
 結局、差し引きゼロで、おカネは動かなかったことになり、もともとのゲームへの賭け金は守られたというわけだ。

 もしディーラーにブラックジャックが完成していなかった場合は、その保険料20ドルだけが取られて(つまり「掛け捨て」)ゲーム続行となる。

 さて戦略としてだが、ディーラーのアップカードが Ace だった場合、ディーラーにブラックジャックが完成してしまっている可能性は十分にあるので(もう1枚のカードが 10、J、Q、K ならブラックジャック完成。つまり 13枚中4枚の確率で完成)、この保険を掛けることもひとつの作戦のように感じることだろう。
 しかし確率論的なことを言うならば、この保険は掛けないほうがトクということになる。

 なぜならこのインシュランスの「賭け金の2倍保障」という配当条件は「12枚中の4枚の出来事」に対する保険としては妥当だが、実際は「13枚中の4枚の出来事」に対する保険であるわけで、確率論的にはプレーヤー側にとって不利な条件だからだ。

 もちろんそれはあくまでも長い目で見た場合の理論であって、短期的には「保険を掛けておけばよかった!」などということはしばしばある。
 したがって、あまり確率論的なことばかり言っていてもゲームが楽しくないので、その時の気分や予感で判断するのもよいかもしれない。

 それでも「インシュランスは確率論的には絶対に損である」ということだけは常に頭に入れておきたい。
(後述するカードカウンティングを行っているときの特殊な状況下では、インシュランスを掛けたほうが確率論的にトクな場合もまれにある)

 なお実際の現場における手順についてだが、ディーラーのアップカードが Ace の場合、ディーラーはしばらく(といっても数秒間)、手を休めて各プレーヤーに保険金を掛けるかどうかの「検討時間」を与えてくれる。
 プレーヤーはその間に判断し保険を掛けたければ保険料(一般的には元の賭金の半額)を差し出せばよいし、掛けたくなければ黙ってそのまま何もせずにゲームの再開を待てばよい。

 ディーラーは全員の意思表示を待ってから、自分のもう1枚の見えていないほうのカードが 10、J、Q、K でないかをのぞき込むように(プレーヤーたちには見えないように)確認する。

 もしそれが 10、J、Q、K でブラックジャックが完成していた場合、その2枚ともを全員の前に披露し自分の勝ちを宣言し、インシュランスを掛けていなかったプレーヤーの賭け金を回収してゲーム終了となる。
 もし 10、J、Q、K でなかった場合はそのカードは伏せた状態のままにして、保険の掛金だけを回収し、通常通りの手順でゲームを再開する。

 なおここでの「見えていないほうのカードをのぞき込むように確認する」という動作は昔の話で、今はそんなことはやっていない。
 今は伏せられたままのカードでも、電磁的に「10、J、Q、Kのいずれかのカードか否か」の判定が下せる装置がブラックジャックテーブルに装備されているので、ディーラーがカードをのぞき込むような動作は不要となっている。

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戦術オプション: イーブンマネー

 これは理論上、前述のインシュランスとなんら違いはない戦術ということになる。
 あえてもっと正確な表現をするならば、「自分にブラックジャックが完成している場合で、なおかつディーラーのアップカードが Ace の場合に掛けるインシュランス」ということになる。

 結果として、必ず元の賭け金と同じ額だけの勝ちとなることから「イーブンマネー」と呼んでいるだけであって(下の写真のような局面で宣言する)、やっていることはインシュランスと何ら違いはない。

 このイーブンマネーの場合は元の賭け金の半額を、保険の掛け金としてわざわざテーブルに出す必要はなく、ただ単に「イーブンマネー」と声を出して宣言するだけでよい。

 宣言すると、すぐにその場でディーラーは元の賭け金と同じ額だけ支払ってくれる。なぜならディーラーにブラックジャックが完成していようがいまいが結果は必ず同じになるからだ。
 なぜ必ず同じ結果になるのか。もともとのゲームへの賭け金が 40ドルだった場合で説明してみよう。

 もしディーラーにブラックジャックが完成していた場合、インシュランスとして掛けた保険料(ゲームへの賭け金の半額なので 20ドル)の倍の金額、つまり 40ドルが支払われ、もともとの勝負のほうはお互いブラックジャックなので引き分け。結果として保険金の 40ドルだけを受け取ることになる。

 もし逆にディーラーにブラックジャックができていなかった場合、当然保険料(ゲームへの賭け金の半額なので 20ドル)は没収されるが、一方、ゲームそのものの勝負はプレーヤーの勝ちとなり(すでに自分にブラックジャックが完成しているため)賭け金の 1.5倍、つまり 60ドルを受けることになる。つまり結果として差し引き 40ドルを受け取ることになる。

 以上のようにイーブンマネーを宣言した場合、ディーラーの見えていないほうのカードに関係なく自動的に「賭金と同額の勝ち」が確定することになる。

 ではこのイーブンマネーはプレーヤーにとって損か得かということになるが、これは前述のインシュランスとまったく同じことなので確率論的には損である。
 しかし、「あまり確率論的なカタイことばかり言っていてもゲームが楽しくない」という人は、このイーブンマネーに関してもその時の気分で決めればよいのではないか。

 たとえば、「せっかく自分にブラックジャックが完成しているのに引き分けで何ももらえないというのはイヤだ」と思えばイーブンマネーを宣言して「1倍の勝ち」を確定させるのもよいし、また逆に「せっかく自分にブラックジャックが出来ているのだから 1.5倍もらわないと気がすまない。もしディーラーにもブラックジャックが出来ていて引き分けになってしまっても、それはそれで仕方がない」と考えるのであればイーブンマネーをしなければよい。

 それでもくどいようだが、通常のインシュランスと同様、確率論的にはイーブンマネーの選択は損であるということだけは頭に入れておいてもらいたい。

 さて、ここまで読んでこのイーブンマネーに関して疑問を持っている人もいるのではないか。そう、「プレーヤー側のブラックジャックの際の払い戻しが 1.5倍ではなく 1.2倍のテーブルではこの理論は成り立たないではないか」と。

 まさにそのとおりで、このイーブンマネーは、プレーヤー側のブラックジャックの際の払い戻しが 1.2倍のテーブルでは、オプションとして存在しないのである。理由は簡単。カジノ側が損をするからだ。

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大原則: 両者バーストはプレーヤーの負け

 「プレーヤーもディーラーもバーストした場合はプレーヤーの負け」に関しては、すでに別の項目で触れてきたが、もう一度このことに関して考察してみたい。

 ブラックジャックというゲームにおいては、プレーヤー側にのみさまざまな特権が与えられている。その特権を列挙すると、

1) 引く、引かないの選択は自分で決められる
2) Blackjack に対する勝ち金は5割増し(or 2割増し)
3) ダブルダウンの権利
4) スプリットの権利
5) サレンダーの権利

 などである。さらに厳密にいうならば、6)として「賭け金の額を自分で決められる」というのもプレーヤー側にだけ与えられた重要な特権と言えよう。
 なぜならカジノ側はどんな賭け金でも受けて立たなければならないからだ。(もちろん「最低賭金」と「最高賭金」という形で下限・上限は設定されているが)

  また 7)として「ゲームをやめるタイミングの自由」もプレーヤーにだけ与えられた立派な特権だ 。
 なぜならカジノ側は、プレーヤーがゲームを続行したいという限り、店を閉めてしまうわけにはいかない 。

 このようにブラックジャックのルールというものは何から何までプレーヤー側にとっていいことずくめにできている。
 しかしたったひとつだけプレーヤー側に不利なルールが存在している。
 それは「プレーヤーもディーラーもバーストした場合は引き分けではなくプレーヤーの負け」ということである(下の写真のようなケース)。

 これはあまりにも意味が大きく、このルールの存在を意識しながらプレーしないことにはブラックジャックというゲームに勝つことはできない。

 このルールを意識していれば、おのずと戦略は見えてくる。
 たとえば、ディーラーのバーストが予想される局面で(たとえばアップカードが の場合)、プレーヤーはわざわざ自分からバーストの危険を冒してまで強い手をねらうよりは、スタンドしてディーラーのバーストを待つほうが得策ということになる。
 なぜなら、もし自分が先にバーストしたら、ディーラーの手の結果を待たずして、その場で賭け金は没収されてしまうからだ。

 つまりディーラーのアップカードが弱いような場合、プレーヤーは [12] 以上からヒットすべきではない。
 苦労して[19] や [20] や [21] などの強い手を完成させて勝とうが、[12] でスタンドしてディーラーのバーストを期待して勝とうが、勝ちは勝ちで利益は同じ。だったら、自分が先にバーストしてしまう危険を冒すだけ損ということになる。

 もちろん逆に、ディーラーがほとんどバーストしてくれそうもないような局面では(アップカードが 7、8、9、10、J、Q、K、Ace などの場合)、ある程度、自分が先にバーストしてしまう危険を冒してでも [17] 以上の手をめざすしかないことは言うまでもない。

 このようにブラックジャックというゲームにおけるヒットするかしないかの戦略上のすべての基本は、「ディーラーがバーストしてくれる可能性と、自分が先にバーストしてしまう可能性のバランス感覚」とも言える。

 それは踏まえながらプレーすると、「自分もバースト、ディーラーもバースト」というパターンで負けることだけは何としてでも避けたい、ということになるわけだが、それでもディーラーのアップカードが強い場合、[12] 以上からでもヒットするしかないところが、ブラックジャックというゲームのむずかしいところであると同時に面白いところでもある。

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大原則: ディーラーには強いも弱いもない

 この「ディーラーには強いも弱いもない」に関しても、すでに別の項目で触れてきたが、もう一度これをおさらいしてみたい。

 何度も書いてきた通り、ディーラーは [16] 以下の状態では必ずヒットしなければならないし、[17] 以上になったらそれ以上はヒットできない。これはブラックジャックというゲームの大原則だ。
(下の写真内の黄色い文字で書かれている部分がまさにそれ)

 したがって、ディーラーはこの大原則に従いただ単に機械的にプレーしているだけなので、ディーラーには強いも弱いもウマイもヘタもまったく存在しないことはすでに書いてきたが、残念ながら、いまだに多くの人が「強いディーラー」などの存在を信じているようだ。

 また日本人観光客などから、「ディーラーにツキがなくなって、こっちが勝ってくると、カジノ側は必ず調子の良い強いディーラーを送り込んでくるので、結果的にはなかなか勝たせてもらえない」といった話もよく聞かされるが、それもこのルールに対する無知ぶりを露呈しているだけだ。

 カジノ側がディーラーを頻繁に交代させている主たる理由は、知っている客(家族や友人などに)に、多めに払い戻したりする不正行為を未然に防ぐためである。

 そう説明しても「経験的に強いディーラーは絶対にいる」と主張する者があとを絶たないのもまた事実。たしかに急に勝ちだしたり急に負けだしたりすることはよくあることなので、気持ちとしてはわからないでもない。
 しかしそれはディーラーの強い弱いに起因するものではなく、単なる「ツキのムラ」によるものだ。コインを投げても表と裏が交互に出ず、4回や5回連続して表や裏が出るのとまったく同じと考えればよいだろう。

 それでも多くの者が、「ブラックジャックのスランプは単なるツキのムラにしてはしょっちゅうありすぎる。とても偶然とは思えない」などと言う。
 経験上たしかにそのようなことはよくあるが、それでもその考えは明らかに誤りだ。

 そのようなことを言っている者は、統計学をまったく理解していないばかりか、実際に起こっている現実の事象を客観的なおかつ冷静に分析しようとしていない。
 また彼らは、「ムラが実際に発生する実際の確率」と「自分が勝手に想像しているムラの発生確率」がどれほど大きく乖離しているかに気付いていない。

 統計学などでよく取りあげられる良い実例として、52枚のトランプをよくシャッフルしてからそれらがどの程度「よく混ざっているか」をテストしてみるという実験がある。これは非常に意義深い実験であると同時に、今すぐにでも簡単にできるので、試してみるとよい。
 シャッフルしたのち、ただ単にそれを手の中で広げて赤い札(ハートとダイヤ)と黒い札(スペードとクラブ)がどの程度バラバラに並んでいるかをチェックするだけの実験なので、トランプさえ手元にあれば誰でも簡単にできるはずだ。

 やってみての結果はどうだろう。赤札黒札の出現確率はそれぞれ 50%ずつだが、その理論通りに赤札と黒札がほぼ1枚ずつ交互に並んでシャッフルされているだろうか。
 実際には何度やってみても 52枚のうち必ず 4~5枚は赤や黒が連続して並んでいるはずである。
 数回試してみれば「赤の6連続」、「黒の7連続」など全然珍しいことではないこともわかってくるはずだ。
 この「連続」こそがムラであり、赤札を「ブラックジャックの勝負における勝ち」 、そして黒札を「負け」と仮定すれば、「6連勝」や「7連敗」がまったく珍しいことではないことに気づくのではないか。

 今の実験において、もし赤札や黒札の最高の連続枚数が「3枚」であったとしたならばそれは大変珍しい「珍事」であり、また最高の連続が「2枚」ならそれはもう「超奇跡」に近い出来事である。
 ましてや 52枚すべて赤と黒が交互に並んでいるなどということは、この地球上のすべての人間が同時に朝から晩まで飲まず食わずでトランプを握りしめ挑戦し続けたところで絶対に起こり得ない出来事といっても過言ではない。
 つまり、統計学的にはムラがまったく発生しないということのほうが不自然なのである。

 また凡人はよく自分の「8連敗」などを取り上げて、「256分の1の確率の珍事が起こった! とても偶然とは思えない。絶対になにかがある!」(個々のプレーの勝ち負けの確率が半々だと仮定して、2の8乗という意味で)などとよく騒いだりしているが、それは著しく数学的センスに欠けた発想だ。

 その「256分の1」という確率は、「ある任意の瞬間をあらかじめ指定し、そこから連続8回負ける確率」であって、「ゲームを楽しんでいる間のどこかで8連敗する確率」ではない。
 そのように騒いでいる者はどの時点から8連敗しようが同様に騒ぐわけで、そういう意味においては、一晩のプレーで8連敗に遭遇する確率などはその何十倍も高いことになる。

 またそのような者は、自分と一緒にプレーしている友人が8連敗しようが、自分がしようが同様に騒ぐだろうし、8連敗ではなく8連勝しても「256分の1の珍事が起こった!」と騒ぐわけで、そのように考えると一晩プレーしていれば、その者が言うところの「256分の1の珍事」など起こらないことのほうが確率的には珍事なのである。

 話は少々横道にそれてしまったが、「あのディーラーは強い」と思いたくなるような場面に直面したら、それは「ツキのムラ」と悟るべし。
 そのことは「ディーラーには戦略上の選択の余地が与えられていない」というブラックジャックの大原則からもハッキリ言えることであると同時に、数学的にもなんら不思議なことではないのである。

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大原則: 16 は 12 よりも弱い!?

 これまたくどいようだが、すでに述べてきた通り、ただ単に機械的にプレーしているディーラーの手には、[17]、[18]、[19]、[20]、[21] そして [22 以上のバースト] のいずれかしかあり得ないことになる。つまりたった6種類だけだ。

 このことから、プレーヤーにとっては [12][16] も同じ強さの手であるということに気付かなければならない。
 なぜならディーラーの最終的な手に [14] とか [15] といった手が存在しない限り、プレーヤーは [12] にしろ [16] にしろ、ディーラーがバーストしてくれない限り絶対に勝てないからである。

 この現実を言い換えれば、プレーヤーにとって、[12] なら負けていたが [16] なら勝っていた、 などといったことは絶対にあり得ないことになり、[12] からヒットして が来て [16] になった際に、「少しは手が強くなった!」などと喜んでいるようでは絶対にブラックジャックというゲームに勝てない。
 むしろその場合は「手は悪くなった」と考えるのが妥当だろう。なぜなら、[12][16] もどっちにしろディーラーがバーストしてくれない限り勝てないという意味においては同じ強さの手だが、さらにヒットして [17] 以上の手に持っていく場合のことを考えると、[16] のほうがバーストしやすくなった分だけ [12] よりもはるかに条件が悪くなっているからだ。

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大原則: 見えていないカードは 10 と思え

 ディーラーの見えていないほうのカードにしろ、自分が次に引くカードにしろ、見えていないカードを予測する際はそのカードを 10 と考えるべきだろう。
(もちろんこの 10 には J、Q、K も含まれていることは言うまでもない)

 理由はもちろん 10 である確率が一番高いからだ。当たり前のことではあるが、10 と予測しても結果は 10 ではないこともあり得るというか、10 ではないことのほうが多い。
 それでも予測しないことには戦略を立てようがないわけで、10 である確率が一番高い限りはそのように推理するしかない。
 またそのように推理しながらプレーすることが結果としては最大の利益(勝率)を生むことになる。
 なぜなら次のカードを とか など、10 以外の数字を予測しても、もっと的中しないからだ。

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大原則: 11 以下は絶対にヒット

 これは超初心者向けのアドバイスであり、一般の人にとっては当たり前のことばかりだが、念のため補足しておきたい。

 絵札(J、Q、K)はすべて [10] としてカウントするので 10 よりも大きい数字のカードは存在しない。
 つまり [11] 以下の状態(写真)からヒットしてバーストすることは絶対にあり得ないことになる。

 また、[11] 以下の状態からヒットして、その状態よりも手が悪化するということもあり得ない。
 たとえば [11] とか [9] からヒットして、[13] や [14] にしかならなくても、どっちにしろディーラーがバーストしない限り勝てない手なので、「119 でストップしておけばよかった」、といったこともあり得ない。

 したがって、[11] 以下の状態ではヒットしてバーストすることはなく、またヒットして手が悪化することもないので、いかなる場合においても絶対にヒットである。
 ここでいう「ヒット」とは、ダブルダウンやスプリットも含んでの話なので、正確にはスタンドはありえないと覚えるようにしたい。

 わざわざこんな当たり前のことを書くのには理由がある。[11] 以下でスタンドしている超初心者プレーヤーをしばしば見かけるからだ。
 それでも最近はカジノ側も親切になってきたのか、[11] 以下でスタンドしようとすると、ディーラーが「それはあり得ないよ。ヒットしてもバーストしないんだからヒットしなさい」とアドバイスしてくれる。ありがたいことである。

大原則: ソフト16 以下は絶対にヒット

 [ソフト16] とは、Ace[11] と数えた場合の [16] のこと。つまり Ace を持っている状態のことで、[16] にも [6] にも解釈できる手のことをいう。
 同様に [ソフト14] と言えば、Ace を持っている手ということになる。

 ようするに用語の使い方としては、Ace を含んだ手において、その Ace[11] と解釈しても [21] を超えていないような手を「ソフトハンド」(ソフトの手)と呼び、逆に普通の手のことを「ハードハンド」と呼ぶ。
 つまりたとえば Ace7 を持っている場合の [18] は [ソフト18]963[18] は [ハード18] と表現することになるわけだが、[ハード XX] という表現は実戦でほとんど使うことがないので(なぜならハードが当たり前なので)特に意識することはなく、[ソフトXX] という表現だけを覚えておけば十分だ。

 さて、ここからが本題。Ace を含んだ [16] 以下の手の場合は、次にどんな数字が来てもバーストすることはないので絶対にヒットである。
(もちろんここでいう「ヒット」とは、ダブルダウンも含む)

 ヒットして小さい数字(たとえば 2、3、4 など)が来れば強い手になる。
 また仮に大きな数字が来てしまい [ソフト16][ハード15] とか [ハード14] になってしまったところで、どっちにしろディーラーがバーストしない限りは勝てない手だったわけで、ヒットして上位の手をねらった分だけトクしたことになる。なので [ソフト16] 以下は絶対にヒットと覚えておきたい。

 じつは計算上、一つ上の手である [ソフト17] の場合も、絶対にヒット(あるいはダブルダウン)したほうがトクという計算結果が出ている。
 [ソフト17] からヒットして 9 などが来た場合、せっかく完成していた [ソフト17] という手が [ハード16] になってしまうので少々ためらう部分もあるが、トータル的な確率論としては明らかにヒットしたほうが有利なので、この際ソフトハンドの場合、「ソフト 17 以下でのスタンドはあり得ない」と覚えておくとよいだろう。

 なお [ソフト19] [ソフト20] も次に何が来てもバーストしない手ではあるが、そのままの状態で十分に強い手なのであえてヒットして手を落とすようなことはせずに、そのままの [19][20] でディーラーと勝負すべき。

 さて、悩んでしまうのが [ソフト18]。この状況では、ディーラーの手の強弱などを考えながらヒット、スタンド、ダブルダウンなどの戦法を選択することになるわけだが、それらの戦法は覚える必要はなく、後述する Basic Strategy(基本戦略チャート)を持参してそれを見ながらプレーすればよい。

 ちなみにチャートを見ながらのプレーは禁止されているわけではなく、多くの人がやっていること。
 その基本戦略チャートはラスベガス市内のギフトショップなどで買い求めることができるし、このサイトのそのページをプリントアウトして持参してもよい。ただ、スマートフォン(ガラケーも含む)の画面を見ながらのプレーは禁止されている。

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ルールのちがい: ソフト17 に関して

 ここまでに述べてきたことになんら変更はないが、細かい点でのルールに関しては、ハウスルール(カジノのごとに、あるいはテーブルごとに微妙に異なるルール)というものがいくつか存在しているのでそれについて説明しておきたい。
 なお、これらハウスルールは知っておかなくても特にプレーに支障はないが、念のため知っておいて損はないし、0.1% の期待値の差までも気にするような高いレベルを目指しているプレーヤーは絶対に知っておくべきだ。

 すでに何度も「ディーラーは 17 以上になったらヒットすることができない」と述べてきたが、カジノによっては(あるいはテーブルによっては) [ソフト17]Ace11 と見なしたしたときの [17] の手)に限り [17] でもヒットする、というルールが採用されている。
 つまりこのルールのテーブルでは、たとえばディーラーの手が 953 による [ハード17] ではスタンドするが、24Ace のような [ソフト17] ではスタンドしない(ヒットする)ことになる。(以下の写真のテーブルがまさにそれ)

 つまりこの部分に関して言えば、「ソフト17 も含めたすべての 17 以上の手においてディーラーはスタンドする」というテーブルと「17 以上はスタンドだが、ソフト17 の場合に限り例外的にヒットする」という2つのルールが存在することになる。

 自分がプレーしようとしているテーブルがどちらのルールを採用しているかは、テーブル上にハッキリと示されているので簡単にわかる。
  「Dealer must stand on all 17’s」と書かれていれば、[ハード17] のみならず [ソフト17] でもディーラーはスタンドするルールで、「Dealer must hit on soft 17」となっていれば(上の写真)、[ソフト17] の時だけは例外的に [17] でもヒットするという意味だ。
(「Hit」という言葉の代わりに「Draw」という言葉が使われている場合もある)

 ちなみにラスベガスの場合、かつてはストリップ地区のカジノでは「ソフト17 でもスタンド」が主流で、「ソフト17 ヒット」はダウンタウン地区のカジノなどで多く見られたが、2002年ごろを境にストリップ地区のカジノでも「ソフト17 ヒット」が勢力を増してきており、今ではミニマムベットが低めに設定されているテーブルの多くが「ソフト17 ヒット」になりつつある。

 一番気になる「どちらのルールのほうがプレーヤーにとって有利なのか」という疑問についてだが、厳密に計算すると「ソフト17 でもスタンド」のほうがプレーヤー側にとっては有利ということがわかっている。

 一見「ソフト17 ヒット」のルールのほうが、ディーラーのバーストの可能性が出てくる分だけプレーヤー側に有利なようにも思えるが、実際は逆で、ソフト17 からは、なかなかバーストしてくれないばかりか、しばしばさらに良い手([18]~[21] の手)になったりするので、「ソフト17 ヒット」のテーブルは要注意だ。
 できることなら「ソフト17 ヒット」のテーブルは避けたいところではあるが、「ソフト17 でもスタンド」のテーブルが見つからなければ仕方がない。

 そもそも、このページを読んでくれている読者の環境、つまりラスベガス旅行の期間中にだけ数時間程度プレーするといった一般的なプレーヤーにおいては、その差をあまり気にする必要はないだろう。
 もちろん長期間、あるいは長時間、それも高額でプレーするという場合は、徹底的に「ソフト17 でもスタンド」のテーブルにこだわるべきであることは言うまでもない。

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ルールのちがい: DECK 数

 「DECK」とは「トランプ1組」のこと。つまり「1-DECK」はトランプ 52枚ということになる。
 したがって、「現在このブラックジャックテーブルでは 2-DECK で行われている」といえば、104枚のカードが使用されているという意味になり、同様に「6-DECK」であれば 312枚のカードが使われていることになる。
(写真内の左側が 1-DECK、右側が 2-DECK)

 ブラックジャックにおけるこの DECK数は各テーブルによってまちまちで、1-DECK もあれば 8-DECKもある。
 もちろんこの DECK数のちがいによってこれまでに述べてきたようなルールが根本的に変わってきてしまうようなことはないが、カードの出現率などにおいて微妙な違いが生じてくる。

 たとえば、1-DECK や 2-DECK の場合は「何のカードが山の中にあと何枚ぐらい残っているか」といったことが読みやすくなるため、記憶力のよい者は 6-DECK や 8-DECK のテーブルよりも、多少勝てる可能性が高くなったりする。

 それでも 1-DECK といえども最後の最後の1枚がなくなるまでゲームが続けられるわけではなく、公平さを保つために、通常残りの枚数が 3分の1 ぐらいになった時点で(つまり 1-DECKの場合であれば、残りが 15~20枚になった時点で)シャッフルになるので、1-DECK のテーブルでやったからといってすべてのカードのゆくえを把握できるわけではない。

 むしろ 1-DECKや 2-DECK のテーブルでは頻繁にシャッフルが行われるため、「ゲームの中断が多くて好きじゃない」という者も少なからずいる。
(最近はシャッフルマシンの導入が目立ってきており、そのようなテーブルでは、ゲームの中断時間はほとんど無い)

 また 1-DECKや 2-DECK の場合は、「ダブルダウンは [11] または [10] の場合にしか認めない」など、多DECK のテーブルの場合と比べるとルールが多少きびしくなっていたりすることもあり、必ずしも少ないDECK のほうが期待値が高いとは限らない。
 特に最近は 1-DECKや 2-DECK の場合、「ブラックジャックが完成しても払戻倍率は 1.5倍ではなくて 1.2倍」というルールになっていることが多いので注意が必要だ。

 その他のちがいとしては、1-DECK や 2-DECKの場合はディーラーがすべてのカードを手に持つことができるが、それ以上の DECKの場合は物理的に持ちきれないのでシュー(SHOE)と呼ばれるケースを使う。(写真は、カードがシューから配られる場面)

 また、少ない DECK の場合は「すでに Ace が3枚出てしまったので残りは1枚しかない」といったことが推理しやすくなるため、あとの順番のプレーヤー(ディーラーに向かって左側の座席のプレーヤー)のほうが、他のプレーヤーのカードを見ることができるので、多少有利になってしまいがち。
 そのような不公平を少しでも減らすために、DECK数が少ないテーブルでは、プレーヤーに配られる 2枚のカードは伏せられた状態のままで配られるのが普通だ。(それでも各プレーヤーがヒットしたときのカードは表向きに配られるため、やはり記憶力の良い者にとってはあとの順番のほうが有利ということが言える)

 一方、6-DECK や 8-DECK などの場合はそのような心配はほとんどないので(312枚 や 416枚のうちの一部のカードのゆくえがわかったところであまり有利にならないので)、プレーヤーに配られるカードは始めからすべてオープンの状態で配られる。
(オープンで配られると、自分の手が他のプレーヤーに丸見えになってしまうわけだが、プレーヤー同士が対戦しているわけではないので、見られても関係ない)

 このように DECK数が異なるといくつか微妙なちがいが生じてくるが、カードカウンター(何のカードが何枚出てしまったかなどを記憶しながらプレーする人)など、よほどの熟練者でない限り、つまり、ベガス旅行中に数時間だけプレーする一般の観光客は、どの DECK数 でプレーしても大きな違いはない考えてよいだろう。

 各カジノでは、1-DECK から 8-DECK まで、さまざまな DECK数のテーブルがオープンしているので自分に最も合ったテーブルでプレーすればよい。
(といっても、一般のプレーヤーにとっては DECK数の違いよりも、ミニマムベットの違いによってテーブルを決めざるをえない場合がほとんどかもしれないが)

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ルールのちがい: ダブルダウン条件

 すでに説明した通りプレーヤーに与えられている「ダブルダウン」の権利は、初めに配られた 2枚のカードがいかなる数字の場合においても行使できた。
 しかしそれはあくまでも原則論であって、テーブルによっては [11] または [10] の場合に限る、といった制限を加えている場合もある。

 [7][8] でダブルダウンする者はまずいないので、この制限がプレーヤーにとって特に不利になるようなことはないようにも思われるが、ディーラーの手が弱い状況での [ソフト15](写真)や [ソフト16] などからのダブルダウンができないことになるため、このような「制限付きダブルダウンルール」は明らかにプレーヤー側にとって不利だ。

 ちなみにこのようなルールを採用しているテーブルは、最低賭け金が低めのテーブル、DECK数が少ないテーブル、マイナーなカジノ、パーティーピット などに多いように見受けられる。
(パーティーピットとは、ブラックジャックテーブルが数台集まっているいわゆる「島」の中に、ダンサーが踊れるお立ち台があったり、ディーラー自体がセクシーな衣装をまとった女性であったりするセクションのこと。このパーティーピットには、勝利を真剣に目指している本格的なギャンブラーよりも、仲間とワイワイ酒を飲みながらプレーしたい人たちが集まる傾向にある)

 その他の条件の違いとしては、スプリット後のダブルダウンを認めていないテーブルもあったりする。
 たとえばこの写真、 のペアをスプリットした後、右側の に対して配られたカードが の場合は [11] となり、ディーラーの手が弱い場合はダブルダウンの絶好のチャンスということになるが、このようなケースでのダブルダウンを認めていないテーブルも少なくない。(下の写真は、あるカジノのブラックジャックテーブルの脇に掲示されていたルール説明。NO DOUBLE AFTER SPLIT となっていることがわかる)

 この写真のように、各テーブルにおけるダブルダウンやスプリットの条件などは、そのテーブルの脇にある小さなプレート内に示されている場合もあれば、されていない場合もあるが、されていない場合はディーラーに尋ねれば教えてもらえるので、遠慮なく聞けばよい。
 どのような条件のテーブルがプレーヤー側に有利かに関しては、「何の制限もなく、いつでもダブルダウン可能、何回でもスプリット可能」が有利であることはいうまでもない。

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ルールのちがい: BJ確認のタイミング

 これはあまり役に立たないばかりか、知らなくてもよい情報なので、興味が無い場合はスキップしていただいてかまわない。

 ディーラーのアップカードが Ace の場合、伏せられているもう一方のカードが 10、J、Q、K であれば、ディーラーにブラックジャックが完成していることになる。そして、そうやって完成したブラックジャックは、何枚か引いたあとの [21] よりも強い。(ここまでは超初心者でも理解しているはず)

 したがって、もしディーラーにブラックジャックが完成していた場合、プレーヤーにヒットやスタンドの意思表示を確認したり実際にヒットさせたりすること自体が時間の無駄になる。なぜなら、プレーヤーが頑張ってカードを引いて [21] を完成させたところで、どっちにしろディーラーの勝ちだからだ。

 そのような時間の無駄を省くために、ディーラーはアップカードが Ace の場合、プレーを続行する前に、もう 1枚の伏せられたカードが  10、J、Q、K であるかどうかを、プレーヤーには見えないように確認する。(その確認の方法に関しては後述)

 同じ理由で、アップカードが 10、J、Q、K の場合も、伏せられたカードが Ace だったらブラックジャックが完成していることになるので、伏せられたカードを確認する。

 確認した結果、ブラックジャックが完成していることがわかった場合、すぐに伏せられたカードも開いて披露し、そこでディーラーの勝ちが確定、プレーヤーの賭け金を回収してゲーム終了となる。
(もちろんその時点でプレーヤー側のだれかにもブラックジャックが完成していれば、その者だけは引き分けとなる)
 逆の結果、つまりブラックジャックが完成していないことが確認できた場合は、通常通りの手順に従ってゲームは続行される。

 ここまでは「超初心者」以外の「普通の初心者」でも理解していることだろう。

 ところがカジノによっては(テーブルによっては)ごくまれに、この「ブラックジャックができているかどうかの確認作業」を事前には行わないこともある。
 つまりそのようなテーブルにおいては、各プレーヤーが一生懸命にヒットやスタンドをしたあとになってから、ディーラーが伏せられているカードを確認するので、その段階になって初めて「ディーラーには始めからブラックジャックが出来ていた」ということが判明することになる。

 これはただ単に時間の無駄というだけで、通常のルールとの間に大差はないようにも思われるが(たしかに大差はない)、本格派のプレーヤーにとっては戦略上微妙なちがいが生じてきたりもする。
 なぜなら通常の「事前に確認する」タイプの場合、プレーが続行されたということは、「ディーラーにはブラック・ジャックが完成してない」ということになり、プレーヤーはその前提で(ディーラーのもう1枚のカードは [10] ではないという前提で)ディーラーの手を推理しながら戦略を立てることができるが、「事前には確認しない」タイプのテーブルの場合、「ひょっとしたらすでにブラックジャックが出来ているかもしれない」という前提でプレーしなければならないからだ。

 ただ、これは一般の大多数のプレーヤーにとってはなんら関係のないレベルのちがいであり、よほどの本格派ギャンブラー以外はまったく気にする必要はないので、ここでは「伏せられているカードの確認作業のタイミングは、テーブルによって異なることがある」とだけ知っておけば十分だろう。

 さてここからは余談になるが、ディーラーの手にブラックジャックが完成しているかどうかを確認するための「伏せられたカードのチェック作業」、つまりアップカードが 10、J、Q、K の際に、伏せられているカードが Ace かどうかの確認、およびアップカードが Ace の際に伏せられたカードが 10、J、Q、K かどうかの確認は、かつては(20年以上前は)、伏せられているカードの端を少しだけめくって(プレーヤーには見えないように手でカード全体を隠しながら)腰や首を曲げながらこっそりのぞき込むという原始的な方法が取られていたが、この方法は、ディーラーにとっては腰や首を曲げながらの作業になるため、けっこう肉体的な負担となっていた。

 そこで 90年代末期ごろから、テーブルの内のディーラー寄りの位置に埋め込まれた小さなミラーなどにカードの一部をあてがって、ミラーに反射させることにより伏せられたカードの数字を確認するような方法が採られるようになった。
 そして近年は、ミラーの代わりに磁気やハイテクセンサーで読みとることができるようにしたテーブルの導入で、ミラー方式は消滅しつつある。
 このような改善や進化は我々プレーヤーにとってはどうでもよいことではあるが、とりあえずディーラーたちには歓迎されているようである。

 しかし、カジノ側がこのシステムを導入し始めた本当の理由は、ディーラーの労働条件の改善のためではない。ディーラーの不正防止にある。
 なぜなら、のぞき込んで確認したカードが Ace10、J、Q、K でなかった場合はそのままゲーム続行ということになるわけだが、その伏せてあるカードが何であったかをディーラーは知ってしまうことになり、ゲーム続行後、ディーラーはプレーヤーに身振り手振りなどで教えてあげることもできてしまい(たとえば、まばたきをしたら 9、首をすこし傾けたら 8、セキ払いをしたら 7 といった具合に)、家族や友人が客としてプレーしに来ている場合、そのような不正行為が起こらないとは限らないからだ。

 カジノ側の意図が本当にその点にあるという証拠はちゃんとある。カジノ側はこのミラーシステムの導入により、この「伏せてあるカードを確認する」という作業の内容を、従来からの「そのカードの数字が何であるかを確認する作業」から「Ace および 10、J、Q、K のカードであるかないかだけを確認する作業」に替えたのである。
 つまり、ディーラーがミラーで反射させて確認しているのは「カードの数字」ではなく、Ace および 10、J、Q、K のカードにのみ印刷されている「小さなマークの有無」というわけだ。

 この写真を見ればわかる通り、10、J、Q、K のカードの端にはごく小さなマークが印刷されている。 Ace の場合は、カードの反対側のカドの余白部に の文字が出っ張るように印刷されている(Ace かどうかを確認する場合は、10、J、Q、K とは異なる部分のカドをミラーにあてがうことになる)。

 ミラーと言っても大きさは指のツメほどしかなく、カードのコーナー部分をほんの少しだけそのミラーにあてがって、そのマークの有無だけを確認する。
 つまりカード全体が見えるわけではなく、結果として「絵札かどうか」または「Ace かどうか」は確認できても、そのカードの数字、つまり かなどは確認できない。
 これによってカジノ側が心配するディーラーの不正行為(家族や友だちに勝たせる不正行為)を防いでいるというわけだ。
 なお、前述の通り、近年はこのミラー方式から磁気などで確認する方式に変わってきているので、上の写真のようなマーク付きカードは見かけなくなりつつある。

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その他: カードカウンティング

 この「カードカウンティング」は熟練者でない限り覚える必要はなく、また初心者が実行することはむずかしいので、一般のプレーヤーはこの項を無視してかまわない。

 この「カードカウンティング」とは、本格派の熟練プレーヤーがよくやる戦術で、すでに出現したカード(すでに見えてしまったカード)を記憶し、残されているカードの山の中に、どのようなカードがどれほど残されているかを読む高等戦術である。

 この戦術でプレーヤーが具体的に知りたいことは、カードの山の中に 絵札Ace などの強いカードがどの程度残されているか、ということ。

 カードカウンティングには多種多様な考え方や流派のようなものがいろいろ存在しているので、特定の理論だけを取り上げるのも不十分かもしれないが、とりあえず最も一般的な理論を以下に紹介しておきたい。

 出てしまったカードが Ace および 10 絵札ならば、1枚につき -1点7、8、9 ならばゼロ点2、3、4、5、6+1点とし、それらをプレーの最中に刻々と合計していくという手法だ。
 そしてその合計の数値がプラスの値ならばプレーヤー側に有利な「好機」と解釈し、次のプレーでの賭け金を大幅に増やし、逆にマイナスならば不利な状況と判断し賭け金を減らす。ではなぜそのように考えることができるのか。

 Ace が山の中に多い状況は明らかにプレーヤー側に有利に働く。なぜならブラックジャックが完成する確率はプレーヤー側もディーラー側も同じだが、プレーヤー側が完成させた場合にのみ 1.5倍もらえるからだ。
(最近は 1.2倍のテーブルも増えつつあるが、それでもディーラー側のブラックジャック完成時に、賭け金の 1.2倍を取られるわけではないので、ブラックジャックの完成に関してはプレーヤー側が明らかに有利)

 また絵札など大きい数字のカードが山に多く残されている状況では、やはりプレーヤー側が有利になる。なぜならディーラーは [16] 以下では必ずヒットしなければならないためバーストの確率が高くなるばかりか、絵札が多いということは双方にブラックジャックもできやすくなり(その場合、前述の通り 1.5倍もしくは 1.2倍もらえるプレーヤーが有利)、さらにプレーヤー側にだけ認められているダブルダウンが効果的に決まりやすくなるからだ。

 逆に小さいカードが山に多く残っている状況ではディーラー側が有利になる。なぜなら、[16] でもヒットしなければならないディーラーにとって、小さいカードはバーストしにくいからだ。またプレーヤー側にとって、小さいカードが多いとダブルダウンが成功しにくい。

 以上がカードカウンティング戦術の基本的な理論だが、この戦術は当然のことながらデック数が少ないテーブルで実行したほうが良い結果を出しやすい
 それは当然のことで、たとえば 1デックで Ace がすでに4枚出てしまったことがわかれば、残された山の中に Ace は存在しないことがわかるが、6デックの場合、そうはいかない。
 また、上記のプラス、マイナスのポイントの変動に対する残されたカードへの影響は、デック数が少ないほど大きい。
 したがってカードカウンティングは少ないデック数のテーブルで行われることが多い。

 さて、カードカウンティングをやっていることは、カジノ側にバレることなのか。また、バレた場合どうなるのか。
 じつは、本格的に実行し続けていると意外と簡単にバレる。バレた場合、カジノ側はそれに対抗してシャッフルを早めに入れるようピットボス(「島」の中にいる責任者)などがディーラーに指示したりする。
 もちろんディーラー自身が先にそれに気づき、シャッフルを早めることもある。たとえば、2デックでも 1プレイごとにシャッフルされてしまうことは珍しいことではない。

 ではなぜバレてしまうのか。それは実に単純なことで、賭け金の額が不自然に大きく変化したり、プレーヤーの視線があわただしく動いたり、他人がヒットしたカードや流されていくカードにまで視線が向けられるようになるからだ。
 いつも 10ドル賭けていた者が、突然 100ドル賭けたりすることは、たまにあるかもしれない。また、「最後の大一番!」といった感じで、いきなり全額を賭けてしまう者も少なからずいるだろう。
 でも 10ドルの賭け金が、突然 100ドルに急増したり、その直後にまた10ドルに戻ったり、そのようなことが何度も繰り返されていたら、それは不自然ということで、ディーラーやピットボスから目をつけられる。

 ちなみにカードカウンティングを行なっている者に対して、カジノ側にはプレーを拒否する権利があり、実際にプレーの続行を断られることは少なくない。
 そのへんの様子は、2008年に公開されたロバート・ルケティック監督の映画「ラスベガスをぶっつぶせ」(英語版の題名「21」)を見るとよくわかるはずだ。

 いずれにせよ、山に残されているカードの傾向によって有利不利のバラツキが存在してくるということだけは知っておいて損はない。
 とは言っても、一般のプレーヤーがこれを実行し、効果的に賭け金を上下されることは、頭脳的にも動体視力的にも体力的にも簡単なことではなく、得られる利益の大きさのわりに苦労のほうが多かったりするのも事実。
 カードを追いかけることに夢中になるあまり、プレー自体を楽しめなくなってしまうようであれば本末転倒なので、本格的なプレーヤー以外は、挑戦するにしてもほどほどにしておいたほうがよいだろう。

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その他: Mid Entry の禁止

 カードカウンター(カードカウンティングを実行しているプレーヤー)の活動を防ぐ目的から、多くのカジノでは、1デックや 2デックのテーブルにおいて、この 「Mid Entry 禁止」のルールを適用している。(写真は、実際のブラックジャックテーブルの脇に置いてあったプレート)

 Mid Entry(Mid Deck Entry、Mid Shoe Entry などと呼ばれることもある)とは、シャッフルとシャッフルの間、つまり前回のシャッフルにおけるゲームが継続中の場面でプレーに参加すること。
 実際の行動として、もう少しわかりやすく説明すると、シャッフルが完了したときの最初のプレーから参加せずに、しばらく見学だけして待機し、数回プレーが進行した段階で、カードの山の中に Ace絵札が多く残っていると推測できる状態になったときに参加すること。

 このような行為はカードカウンティングが疑われるので、たとえカウンティングをしていなくても、シャッフルとシャッフルの間の途中参加は禁止されていることが多い。
 つまり偶然に通りかかったタイミングでそのテーブルに空席を見つけ、そこに着席してプレーに参加しようとしても、着席自体は問題なくできるものの、ディーラーから「次のシャッフルになるまで少々お待ちください」と言われてしまう。(1デックや 2デックのテーブルでは、5分も待っていれば次のシャッフルになるので、長時間待たされるわけではない)

 1デックや 2デックなど、使用カードが少ないテーブルで、この Mid Entry を認めてしまうと、Ace がたくさん残っている状態になったりした際、突然多くのプレーヤーが殺到し、逆に、残されているカードの状況が悪くなると、みんながプレーをやめてしまう、といった混乱がおきかねない。(実際にそんな場面を見たわけではないが、理論上そういうことが起こる可能性はある)
 そのような理由から Mid Entry を禁止しているテーブルが少なくないわけだが、6デックのテーブルではそのようなことが起こりにくいので、途中からの参加も可能だ。

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その他: Penetration

 この Penetration は、一般のプレーヤーが意識する必要はまったくないので覚える必要はないが、言葉の存在と意味だけ紹介しておきたい。

 どこのカジノもカードカウンターの存在には神経をとがらせている。多くの場合その対抗策は「早めのシャッフル」、つまり「浅めの Penetration」だ。
 この Penetration とは、動詞 Penetrate の名詞形で、一般の単語としては、浸透する、しみ込む、貫通する、突き進む、といったことを意味するが、カジノ用語としては、ブラックジャックなどのカードゲームにおけるカードの使用量の深さを意味する。

 ようするに、全体のカードの枚数に対して、次のシャッフルまでに何枚程度までプレーに使用するかということ。たとえば 6デック(52枚 X 6)でのプレーにおいて、「Penetration 80%」といえば、約250枚ほど使用した段階で次のシャッフルを行なうことになる。

 当然のことながらこの Penetration は、カードカウンターにとって重要な意味を持つ。
 極端なたとえになるが、たとえば1デックで「Penetration 100%」の場合(そんなことはあり得ないが)、最後の1枚までプレーに使用することになり、その最後の1枚は、それまでに出現した 51枚のカードをすべて記憶しておけば確実に予測することができてしまう。
 また、たとえば 48枚程度までプレーした段階で、絵札(10 も含めて)がすべて出尽くしていたことが確認できれば、残りのカードに絵札は存在しないことになり、ディーラーのアップカードが Ace でも絶対にインシュランスを掛ける必要がないことがわかる。

 したがって、この Penetration が深くなればなるほど、カードカウンターにとっては、次のカードを予測しやすくなり有利になるわけだが、実際にはカジノ側はそれを防ぐためにこの量をあまり深く設定していない。つまり浅めの位置にカットを入れて早めのシャッフルを心がけている。
(ここでいうカットとは、「ここまでカードを使用し段階で、次のシャッフルにしますよ」といった意味で、シャッフルを終えたばかりの新しいデックの中に、プラスティックの薄い板のようなカードをディーラーが差し込んでその位置を決める)

 ただ、あまり浅くしてしまうと、シャッフルをひんぱんに行なうことになり、そのシャッフルに時間が取られる分だけ 1時間当たりのプレーの進行が遅くなり、収益に悪影響を及ぼしかねない。
 したがって一般的には 6デックの場合、70~80% が普通といわれているが、カードカウンターがプレーしていると思われる場合などは、これが 50% ぐらいになったりもする。

 1デックや2デックの場合は、プレーヤーの数によって現場のディーラーが臨機応変に対応することになるが(プレーヤーの数が多い場合、1回のプレーで必要なカードの枚数が多くなるため、早めにシャッフルをしないとカードがたりなくなってしまうことになりかねない。結果的にプレーヤーの数が多い場合ほど Penetration は浅くなるのが普通)、やはり 80% を超えることは少ない。

 とにかくカジノ側は Penetration の深さに細心の注意を払っているわけだが、最近はさらにその上を行く対策が施され始めている。エンドレス・シャッフルマシンの導入だ。
 ディーラーがシャッフルする代わりに、マシンにシャッフルさせるこの方法は、ただ単にディーラーに代わってマシンがシャッフルするというだけのものではない。もっと深い意味がある。
 エンドレス・シャッフルマシンを導入しているテーブルにおいては、1ゲームごとに使い終わったカードをそのマシンに入れ、そのマシンがカードを常時シャッフルしながら、次のゲームで使うカードを選び出すので、「終わり」というか「区切り」がなく、カードカウンティングの戦略が意味を成さなくなるというわけだ。

 これは、カードカウンター対策になるというだけでなく、シャッフルのためにゲームが中断することがなくなるため、結果として単位時間当たりのプレーの回数も増え、カジノにとっては一石二鳥の効果が期待できる。
 このエンドレス・シャッフルマシンの導入は、カードカウンターのみならず、ディーラーの華麗なる手さばきによるシャッフルを楽しみにしている一般プレーヤーにとっても、なんとも寂しい傾向といってよいだろう。

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その他: Basic Strategy

 ブラックジャックというゲームは、プレーヤー(自分)に 2枚のカードが配られ、なおかつディーラーのカードが 1枚見えている状態で、ヒットすべきかスタンドすべきか、あるいはダブルダウンすべきかスプリットすべきか判断するゲーム。もちろんヒットしたカードの結果によってはさらに引き続き同じような決断を迫られる。
 それぞれの決断場面において、数学的に最も有利な選択を一覧表にまとめたものが、このいわゆる Basic Strategy(基本戦略)のチャートだ。

 Basic Strategy(ベイシックストラテジー)は、デック数の違い、ディーラー側における Soft-17 の際のルールの違い、サレンダールールの有無、スプリット後のダブルダウンが許されているかどうかなど、条件の違いによって微妙に異なってくるわけだが、その微妙に違っている条件のすべてを考慮に入れて、それぞれのルールに厳密に対応した複数のチャートを覚えたり持ち歩いたりするのも、一般のプレーヤーにとっては現実的ではないと思われるので、最大公約数的なルールを想定したチャートを覚えれば十分だろう。

 上に示したチャートは、かつて「ストリップ地区標準」と呼ばれていた最大公約数的なルール、つまり、6デック、Soft-17 スタンド、サレンダーあり、ダブルダウンはいつでもOK、という条件でのチャートだ。
 近年はストリップ地区でも Soft-17 ヒット、サレンダーなし、というテーブルが増えてきているが、チャートの内容にそれほど大きな違いはないので、とりあえずこのチャートを覚えて実践で試していただきたい。

 ちなみにこのチャートに従ってきちんとプレーした場合の数学的な勝率はディーラー側もプレーヤー側もほぼ互角、つまりカジノ側の有利性はほぼゼロに近い。
 もう少し数字を使って具体的に表現するならば、カジノ側の有利性(ハウスアドバンテージ)は 1% 程度しかないということ。これは、たとえばプレーヤーが毎回 $10 賭けて 100 回プレーしたとしても(つまり合計 $1000 賭けることになる)、カジノ側は $10 程度しか勝てないことを意味する。

 したがって、プレーヤー側から見た言い方をすれば、チャート通りにプレーしていれば、$10 を 100 回賭けても最終的な収支は $10 程度の負けにしかならない可能性がある、ということになる。
 もちろんこれは平均的な数字であって、その時の運によって大きく勝ったり大きく負けたりすることは言うまでもないが、ルーレットなどに比べると、この数字はかなり条件がよいと覚えておいて損はない。

 ちなみに、赤か黒か、あるいは偶数か奇数か、に賭けていればほぼ半々の確率で勝てるような気がしてしまうルーレットだが、実際には「カジノ側の総取り」である 緑の “0”“00” が 38回に2回は出てしまい、カジノ側の有利性は 5.26% もある。(プレーヤーが $10 を 10回、合計 $100 賭けると、カジノ側は平均で $5.25 儲かる計算)
 この 5.26% というルーレットのハウスアドバンテージはプレーヤー側にとって致命的な数字だ。(最近は “0” や “00” に加え “000” もある劣悪な条件のルーレットテーブルも出現してきている)
 したがってゲームの好き嫌いは無視して、本当に勝つことだけを考えた場合(あるいは負けを最小限にすることを考えた場合)、ルーレットをやるよりはこのチャートに従ってブラックジャックをやったほうがよいということになる。

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その他: チップ(TIP)

 ここでいうチップとは、カジノ CHIP ではなく、ディーラーに渡す謝礼の TIP のこと。
 勝たせてもらって席を離れる際は、適当な額を TIP として渡たすようにしたい。これは気持ちの問題なので金額に相場などはなく、自分の財力や勝敗結果に応じて身分相応に渡せばよいだろう。

 ところで「ディーラーにチップを渡したほうが勝たせてもらえる」というようなことを言う人がいる。
 しかしそれはまったく根拠のない都市伝説のようなものだ。
 ルール上そんなことはあり得ないことは、ここまでの説明を読んでおわかりいただいているはずだが(ディーラーはルールに従ってロボットのように行動しているだけなので、仮に客を勝たせたいと思ったとしても、そのような行動は許されていない)、それでもそのような効果を期待してチップを渡したいという者はそれはそれでよいだろう。

 さてそのチップの渡し方だが、大きく分けて2つある。ひとつはごく普通に「渡したい金額を直接渡す」という方法、そしてもうひとつは「渡すべきチップを、次のゲームにおいて、通常の自分の賭け金とは別に、チップ用としても賭け、そのゲームに自分が勝ったら、そのチップ用の賭け金にも払い戻しがあるので、その払戻金も含めてディーラーに渡す」という方法だ。

 たとえば $10 をチップとして渡したい場合、前者の方法ではただ単に $10 を渡すだけだが、後者の方法の場合 $10 を次のゲームに賭け、そのゲームに勝ったら払戻金も含めて全額(つまり $20)をディーラーに渡す。
 もし負けたらただ単にその賭け金は消えていってしまい(もちろんカジノ側の収益にはなるが)、ディーラーには何も入らない。
 つまり、「どうか勝たせてください。勝たせてくれればあなたにもチップが入りますよ」というような願いを込めてのチップということになり、したがって、この方法でそのチップを賭け金としてテーブルに置く際は、通常の自分のプレーのための賭け金とは区別するために、そのチップの賭け金は、ディーラー側に少しずらした位置に置くようにする。

 なお余談になるが、せっかくお世話になったディーラーにチップを渡しても、それがそのディーラー個人の懐に直接入るわけではない。すべてのディーラーが受け取ったチップをあとでみんなで山分けにするのである。
 理由は極めて単純で、もしディーラー個人の懐に入れてもよいということになってしまうと、ある特定の客(チップを多くくれる客)だけに特別多く払い戻すなどの不正行為の温床にもなりかねず、また、チップをはずんでくれる客ばかりにディーラーが笑顔をふりまくようになっても困るからだ。ケチな客ばかりがいるテーブルでの勤労意欲が低下してしまうのも問題だろう。さらに、どのディーラーも金持ちの客で混雑している時間帯に仕事をしたいと思うようになり、公平な労働時間のシフトの管理が困難になってしまう。

 ところでこの「山分け方法」にもいろいろ細かい規定があるようだ。たとえば、曜日によって客の混雑具合などが異なるため、出勤日の違いによる不公平が生じないよう1週間分のチップをプールしてから山分けするなどいろいろそれなりの工夫がなされている。(このケースでは、その1週間における各自の実労時間に応じて比例配分されることになる)
 とにかく自分が渡したチップの全額がそのディーラー個人の懐に直接入るわけではないということだけは頭に入れておこう。

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その他: 注意事項

 ここまでに書けなかった注意事項やマナーなどを以下に列挙してみた。

【 カードにさわるな! 】
 4デックや6デックのブラックジャックテーブルにおいては、プレーヤーに配られるカードは2枚ともオモテを向けて(数字が見える面を上にして)配られる。そのあとのカード、つまりヒットして追加で受け取るカードもオモテ向きだ。
 したがって、始めからカードの数字が見える状態になっているので、自分でカードを手に持ったり、めくったりする必要がない。
 そのためプレーヤーはカードにふれる必要がまったくないことから、カードにさわること自体が禁止されている。
(カードにキズをつけたり曲げたり、わずかなマークを付けたりする不正行為を防ぐため)

【 両手は禁止、常に片手で 】
 1デックや2デックのテーブルにおいては、原則として、プレーヤーに配られるカードは2枚とも伏せられたままで配られる。
(使用カードの枚数が少ないため、オモテを向けて配ると、記憶力の良い人には、どのカードが何枚出てしまったかといったことがわかってしまうので、極力カードは見えないようにして配られる)
 結果として各プレーヤーは、その伏せられた2枚のカードを、自分の手で取り上げて数字を確認する必要があるわけだが、その際、両手を使うことは禁止されている。つまり 必ず片手だけでカードを取り上げなければならない。
 両手を使うと、もしマジシャンのようなテクニックのある者が存在していた場合、不正行為ができてしまう可能性があるからだ。

【 あいまいな動きはダメ 】
 ヒット・スタンドの意思表示はハッキリ堂々とするようにしたい。日本人、特に初心者は、引くべきか引かないべきか悩んでいて決心がつかないのか、この手の動きがあいまいで(動きが小さいことが多い)、ディーラーに意思が伝わらないことがあるので要注意。
 何度もあいまいな動作をしていると、ディーラーから「その手の動き、どっちなのよ?」と言われかねない。

【 手による意思表示はテーブル内で 】
 同じくヒット・スタンドの意思表示の際の手の動きに関してだが、手の位置(厳密にいえば、手首よりも先の指などの位置)がブラックジャックテーブルの外、つまり手前すぎると(自分のカラダに近すぎると)、ディーラーから注意される。
 自分が決めた判断に自信がないのか、それとも性格が引っ込み思案なのか、テーブルよりも手前の位置で(自分の胸付近で)指を小さく遠慮気味に振ったりしている日本人の初心者プレーヤーをしばしば見かけるが、そのような位置、つまりテーブルの外での意思表示は認められない
 理由は、テーブルの上の天井などに設置されている監視カメラに、その動作が写らないからだ。どこのカジノにおいても、プレーのあとになってから「もう1枚欲しかったのにくれなかった!」といった、ヒット・スタンドに関する言い争いや、「今のカードの合計は 19 だったのでオレは負けていない。引き分けのはずだ!」といった合計数字に関する言い争いなどに備えて、証拠映像として監視カメラに収めているのである。
 その監視カメラが写している範囲はおおむね「テーブル内」なので、ヒット・スタンドの意思表示は必ずテーブル内でするようにしたい。

【 高額チップは下、低額チップは上 】
 ブラックジャックというゲームは、各プレーヤーが、賭け金を所定の位置に置いてスタートするわけだが、その賭け金を置く際、異なる額面の複数のチップを重ねて置くような場合は、高額のカジノチップを下にして置かなければならない。
 たとえば 5ドルチップと 25ドルチップを1枚ずつ、合計30ドル賭ける場合、25ドルチップを下にして、その上に 5ドルチップを重ねて置く必要がある。さかさまに置くとディーラーから注意されるか、ディーラーが置き換えることになる。これにはいろいろな理由があるが、究極的には不正行為に対する対策ということになる。
 たとえば極端な例だが、100ドルチップ1枚と、5ドルチップ9枚の合計 10枚を賭ける際、9枚の5ドルチップの上に 100ドルチップを置くと、実際の金額は 145ドルであるにもかかわらず、真上の監視カメラからは 100ドルチップ 10枚と区別がつきにくく、客がカジノ側に「オレが勝ったのに 145ドルしかもらっていない。さっき賭けていたのは 100ドルチップ10枚だったはず」と言ってきたりした場合、カメラでの判定がむずかしくなってしまう。
 また、まったく同じ置き方の状況で、ディーラーの友だちや家族がそのテーブルにやって来てプレーしていた場合、実際の賭け金は 145ドルであるにもかかわらず、プレーヤー(ディーラーの友だちや家族)が勝ったら、1000ドルを払い戻してしまうような不正行為も可能になってしまう。なぜなら監視カメラの映像では、不正行為を判別しにくいからである。
 とにかく真上の監視カメラは、垂直方向の不正の監視には弱いため、高額なチップほど下に置かなければならないというルールがあることを覚えておきたい。

【 スマホは一歩下がって 】
 ブラックジャックテーブルに着席した状態でのスマートフォンや携帯電話の使用は禁止なので注意したい。もしプレー中に電話がかかってきた場合、イスから降りて、一歩下がった位置で電話に出る必要がある。着信メールなどを読むときも同様だ。
 なお最近は、USBケーブルなどをつなげて充電できるような装備を持ったブラックジャックテーブルが出回り始めていることもあり、スマートフォンや携帯電話の充電自体は何ら問題ない。

【 サイドベットには手を出すな 】
 最近のブラックジャックテーブルには、サイドベット(side bet)と呼ばれる賭けが用意されていることが多い。
 サイドベットとは、通常のブラックジャックゲームと並行して楽しめる、追加オプション的な賭けのことだ(通常の賭け金とは別に、1ドル程度の小額を賭ける)。
 たとえば、最初に配られた2枚のカードの数字が同じなら XX倍、ヒットしたカードも含めた3枚のカードがすべて同じ数字のカードだったら XX倍、6枚ヒットしてもバーストしなければ XXX倍、といった感じの、偶然にたよった遊び感覚の高配当の賭けだ。

 下の写真を例に説明するならば、丸いマークが通常の賭け金を置く場所で、その左上の緑色の四角い場所と、右上黄色い花のマークの場所が、サイドベットとして賭け金を置く位置。緑色のサイドベットの配当金は、最初に配られる2枚のカードが同じ数字なら 10倍、ハートとかスペードとかのマークまでもそろったペアなら 15倍、花のマークのサイドベットの配当金は、1回ヒットしたあとの3枚のカードが同じマークの 777 なら 200倍、同じマークの 678 なら 100倍、などと記載されていることが見て取れる。

 今あげたのはほんの一例で、このサイドベットにはさまざまな種類があるわけだが、どのサイドベットも総じて期待値が非常に悪い。
 したがって、たまたま運よく大当たりに的中することはあっても、長期的には損をする賭けなので、手を出さないほうがよい。

 なぜこのようなサイドベットが用意されているかというと、ブラックジャック自体は、ルーレットなどと比べると、カジノ側にとって収益率が悪いため、少しでも収益を上げたいというカジノ側の思惑があるのと、それと同時に、ブラックジャックというゲームはプレーヤー側にとって、勝っても配当は1倍のため、大きく勝ちたい場合は大きな金額を賭ける必要があり、「小額の賭け金が大金になるような夢がない」というプレーヤー側の不満がある。
 つまり、もっと利益を上げたいカジノ側と、小額の賭け金で夢を追いたいプレーヤー側の思いが一致して誕生したのがサイドベットということになる。
 実際にサイドベットは1ドルから賭けられるのが普通で、数十倍、あるいは数百倍の配当倍率の賭けもあったりするので、たしかに夢はある。
 しかし、くどいうようだが、期待値的にはかなり悪い賭けであることを覚えておきたい。

<お疲れ様でした。以上で ブラックジャック徹底解説 は終わりです>

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コメント(3件)

  1. ラスベガス大全 より:

    荒牧 様
    ラスベガス大全をご利用いただき誠にありがとうございます。
    ホントですね。ご指摘の通り、イーブンマネーが「必要のとき」も
    「必要でないとき」も、同じ「宣言しろ」になっちゃっていましたね。
    寝ぼけていたのか、こんな書き間違いに気づかず、お恥ずかしい限りです。
    さっそく訂正させていただきました。
    ご指摘ありがとうございました。

    • 荒牧隆弘 より:

      ご確認ありがとうございました。とてもわかりやすい解説で、これを読んだ人は的確な勝負を実践できているのと思います。私もWynnに、このベーシックストラテジーを握りしめて行ったのを思い出します(最後負けましたが、おかげで終始いい勝負ができました)。では失礼します。

  2. 荒牧隆弘 より:

    いつも楽しく読ませていただいています。
    イーブンマネーのところで誤記と思われます。
    『…それはそれで仕方がない」と考えるのであればイーブンマネーを宣言すればよい。』は、
    『…宣言する必要はない。』ではないでしょうか。

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