クラップス徹底解説

概要: まえがき

 クラップスはラスベガスのみならず世界中のカジノにおいて、ブラックジャック、ルーレット、バカラと並び広く行われているゲームのひとつである。
 特にここラスベガスでは、クラップスのワイワイ騒ぎながらやる独特な雰囲気がアメリカ人気質に合っているのか、少なくともルーレットよりも盛り上がっているように見受けられる。

 一方、これだけ多くの日本人がラスベガスを訪れるようになった今日においても、このクラップスを本格的に楽しんでいる日本人観光客は極めて少ない。
 単独で黙々と遊ぶルーレットやブラックジャックとは異なり、客同士がハイタッチしたりしながら楽しむこのクラップスこそ、最もラスベガスらしい華やかなカジノ体験として良き思い出となるはずなので、もっと日本人にも参加してほしいゲームのひとつである。

 それと同時に、このクラップスがカジノゲームの中で最も勝率の高い(期待値が高い)ゲームである(特殊な条件下でのビデオポーカーなどを除いて)ということも覚えておいていただきたい。特に後述する「オッズ賭け」は、カジノ側の控除率がゼロなので、勝てる可能性が十分にある。

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概要: ゲームの基本的な流れ

 クラップスというゲームは、基本的にはサイコロの出る目を当てるだけの極めて単純なゲームだ。
 つまり、ブラックジャックのような「ディーラーの手に対して各プレーヤーが個別に勝負する」という「対戦型」ではなく(したがってクラップスには「自分の手」というものは存在しない)、勝負はただ単にサイコロの目を当てたプレーヤーに対してカジノ側が払戻金を支払うというだけの単純な勝負形式となっている。

 そういう意味においてはルーレットとまったく同じスタイルということもできるが、その一方で、戦略性についてはブラックジャックとルーレットの中間に位置していると言ってよいかもしれない。

 ブラックジャックにおいては、基本ルールや戦略を知っているのとそうでない場合とでは明らかに勝敗の結果に差が生じてくるが、ルーレットの場合はだれがどのような賭け方で勝負しようがすべて同じ期待値になるように配当倍率が設定されているので(例外的な賭けも、ごくわずかに存在しているが)、知識の差や熟練度の差によって勝率に差は生じない。
 ようするにルーレットでは確率論的な戦略や必勝法などはまったく存在せず、勝敗結果はすべてそのときの運だけで決まってしまう。

 クラップスは、そのようなブラックジャックとルーレットのちょうど中間的な存在、つまり運さえよければ戦略をほとんど知らなくても勝てる可能性は十分にあり、またルーレットほどすべての賭け方が同じ期待値に設定されているわけではないので、実情を知らずに賭けると損をしてしまう悪い賭け方や、逆に使わないと損をする戦法があったりする。
 ただ、その知識の差による結果の差はブラックジャックほどではない。

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概要: 基本ルール

 基本的にはただ単に次に振られるサイコロの目の合計などを当てるという単純なゲームだが(クラップスにおいては常に2個のサイコロが使われる)、その賭け方のバリエーションはかなり豊富で、またそれぞれの賭け方に対する払戻倍率もバラエティーに富んでいる。

 そのため初心者などからは、かなり取っつきにくいゲームのようにも見られがちだが、実際は非常に単純で、一度慣れてしまえば、これほどにぎやかで楽しいゲームはない。

 ゲームの手順を簡単に説明すると、まずはカジノ内でクラップスのテーブルを見つけ、見つけたらそのテーブル内に入る。ブラックジャックやルーレットと違い、クラップスにはイスがないので「着席する」という表現ができず「入る」と表現したが、とにかくワイワイと騒ぎながらプレーしている人たちの間に勝手に入り込んでしまってかまわない。
 現場でプレーしているだれもが、一人でも多くの人が参加して盛り上がっているほうが楽しいと考えているので、きっとあなたの参加は大歓迎されるはずだ。

 次に現金(ドル紙幣)を現場スタッフに渡してカジノチップに交換してもらう。(クラップステーブルにおけるスタッフは、BOXMAN とか STICKMAN などと呼ばれているが、そんな名称を覚える必要はないので、あえてスタッフと表記)

 まず最初に各プレーヤーがやるべきことは、それぞれ好きな場所に賭け金を置くこと。(「それぞれ好きな場所」といっても、実際には後述する「パスライン」という場所以外に賭け金を置く人はほとんどいないのでむずかしく考える必要はない)
 全員が賭け金を置いたら、まもなくゲーム開始となり、いよいよサイコロ2個が投げ込まれる。
(投げ込むのはディーラーではなく、参加しているプレーヤー、つまり一般の客。投げる人をどうやって決めるかは後述)

 この最初の第1投目のことを「カムアウトロール」と呼び、そのカムアウトロール以降、第2投、第3投、第4投と、次に「7」の目が出るまでゲームは続けられる。もちろん第2投目で7が出てしまえば、その時点でそのゲーム(正確にはシリーズという)は終了となる。
(第1投目で「7」が出た場合ももちろん終了ではあるが、その場合は「終了」というよりも、むしろ「本戦に突入しなかった」と考えたほうが、このゲームの本質をイメージしやすいかもしれない。なんのことだかわかりにくいだろうが、このあとを読み進んで頂ければわかるようになっている)

 その「7の目が出てゲーム終了」となるまでに、各自あれこれと好きな目に賭けるのがクラップスというゲームの基本である。
(「7の目が出てゲーム終了」のことを Seven Out と呼んでいるが、そんな名称を覚える必要はない)

 この画像を見れば想像がつく通り、賭け方にはいろいろなバリエーションが存在しているが、実戦において実際に賭けるべきスポット(確率論的に有利なスポット)の種類はごく限られており(後述するが、たったの3通り覚えれば十分)、このゲームは見た目よりはるかに簡単だ。
(その3通り以外の賭け方は、カジノ側がすごく有利になっているので、「覚えないでいい」というよりも、むしろ覚えないほうがよい)

 にもかかわらず、これまで多くの日本人旅行者に敬遠されてきた最大の理由は、一にも二にも良き解説書がなかったからではないだろうか。
 これまで世に存在してきたほとんどすべての解説書は、英語版であろうが日本語版であろうが、覚える必要がない難解な専門用語を書き並べる一方で、「基本的な一般論」や「個々の賭け方の本質的な意味」などを何一つ説明することなく、いきなり冒頭から、特殊な例外的な賭け方なども含め、すべての賭け方を単純に羅列する形で説明してきた。

 具体的に言うならば、実戦ではほとんど使うことのない「ドントパス」などを、最も大切な「パスライン」などと並行していきなり冒頭で説明したりしている。
 ドントパスとパスラインでは性格がまったく異なるため(逆の結果を期待する賭けのため)、初心者は「えっ、なんで逆に賭けることがあるの? 理由も意味もわからない?」といった感じで、クラップスというゲーム全体の流れや目標が何であるかを見失ってしまいがち。
 これでは初心者はただただ混乱するだけで、彼らにとってクラップスが難解なゲームと映ってしまうのも無理はない。

 このラスベガス大全ではそのような多くの悪しき例の問題点を十分にふまえ、ゲームの一般論を先に紹介したのち、実戦で必要な賭け方を覚えやすい順序でわかりやすく紹介することとした。

 さて、さっそくそのクラップスのルールの一般論だが、初心者のためにあえて短くわかりやすく表現するならば以下のようになる。

 「場の目や、自分がねらった目が、7よりも先に出れば勝ち。7が先に出てしまったらその時点でゲーム終了となり負け。ただし第1投目で7が出てしまった場合は、まだ本戦が始まる前なので負けにはならず(勝ちになる)、ゲームのやり直しとなる」
「場の目」に関しては後述)

 これがクラップス全般に言える大まかな一般論だ。もちろん例外的な賭け方もいくつかあるのでこの一般論だけですべてを説明できるわけではないが、とりあえずこのように覚えておいて実質的になんら問題はないし、この一般論を先に知った上でこのあとの解説を読んだほうが、はるかに早く全体像を理解できるはずである。

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概要: 出目の原則

 クラップスというゲームをやる上で戦略上絶対に知っておかなければならない「極めて重要な原則」がある。
 「原則」よりも「現実」というべきかもしれないその重要事項は、 「どの目も同じ確率で出るわけではない」ということ。
 ひとつのサイコロを振る場合は、1も2も3も6も同じ確率で出現するが、2つのサイコロを振るとなると話が違ってくる。ちょっと考えればすぐにわかることではあるが、意外とこの現実に気づいていない初心者プレーヤーが多い。

【ここでちょっとお知らせ】
 数字の表記方法について補足しておきたい。この「クラップス徹底解説」内の以降のページにおいて、2つのサイコロの目の合計は、その合計の数字を「」で囲んで表記し、2個のサイコロの個々の目の組み合わせは [X, X] のような形で表記するものとする。

 話を本題に戻すと、クラップスでは常に2つのサイコロが投げられるため、出る目の種類は「2」から「12」まで存在することになるわけだが、それぞれの目の出る確率(以下「出現率」と呼ぶ)は大きく異なる。
 たとえば「12」はそれぞれのサイコロが [6,6] の場合以外にはあり得えないが、「7」[1,6][2,5][3,4] でもよい。
 さらに数学的に厳密に言うならば、その [1,6] はその逆の [6,1] とは別の事象であり、その結果、「7」の出現率は「2」「12」の出現率の6倍も高いことになる。

 このような出現率の差の存在を理解せずにプレーすることは、トランプのカードの種類を知らないままブラックジャックをプレーするようなもので、あまりにも無謀だ。
 以下が各出目の出現率チャートで、全部で 36通りの出目のパターンがあることがわかる。つまり「2」「12」の出現率は 36分の1、「3」は 36分の2、「7」は 36分の6、ということがわかる。

概要: シューターの2つの禁止行為

 サイコロを投げる人のことを「シューター」と呼ぶ。このシューター役はゲームに参加しているプレーヤーが順番で引き受ける。
 したがって、しばらくプレーしていると必ずこのシューター役の番が自分にも回ってくることになるが(カジノ側のスタッフが、テーブルを囲っている各プレーヤーに対して、時計回りの順番で指名してくる)、もしやりたくなければパスして隣のプレーヤーにこの役を譲ってもかまわないので、うまく投げる自信がないとか緊張してしまうという場合は無理に引き受ける必要はまったくない。

 引き受けをパスしたい場合は、カジノ側スタッフがサイコロを自分の前に差し出してきた際に、「ノー」という仕草として手を振るとか、となりの人に向かって「どうぞ」と手を仕向ければわかってもらえる。

 よくこのシューター役を「親」的な立場の者と勘違いしている人もいるが、そんな意味合いはまったくない。クラップスというゲームには親も子も存在しない(ルーレットやブラックジャックにも存在しないが)。
 シューターはただ単にサイコロを投げ込む役をたまたまやらされているだけのことであって、ルール上なんら特権があるわけではなく、他のプレーヤーとまったく同じ立場でゲームに参加していることになる。
(当たり前のことではあるが、ゲームに参加していない者、つまり何も賭けていない見学者はシューター役をやらせてもらえない)

 何の特権もないのであれば、カジノ側がこのシューター役をやってもよいわけだが、それでは客側もスッキリしないだろうということで(「カジノ側はイカサマをやっているんじゃないか?」と疑う客もいることだろう)、カジノ側の好意で客の代表者が投げさせてもらっていると考えればよい。
 このシューター役は、第2投目以降で「7」を出してゲーム終了(正式には「シリーズの終了」という)となるまで同じ者が担当することになっている。

 なお、シューター役を引き受けた者がサイコロを投げ込む際に、やってはならない基本マナーが2つある。マナーというかルールと考えるべきほど厳格に守られているので、「禁止行為」と覚えておいていただきたい。

 ひとつは、両手を使ってはならないということ(この写真はダメな例)。つまり必ず片手でサイコロを拾い上げ、そして片手で投げ込む。
 もうひとつは、一度サイコロを握った手はクラップス台の外や、他の者の視界の外に出してはならないということ。

 これら2つの禁止行為の意味は、ニセ物のサイコロとのすり替えなどの不正行為を防ぐためであることは言うまでもない。
 もし両手でサイコロを握ったり、視界の外に出してしまったりしたら、その場で現場スタッフから注意されたり、場合によっては、そのサイコロを一度スタッフ側に戻すように言われ、すり替えられたりしていないかチェックを受けたのちに再び渡され投げることになる。

 この「片手」(この写真は良い例)と「視界の中」は、参加者全員が気持ちよくプレーするために守らなければならない最低限のマナーなので絶対に覚えておくようにしたい。

 なお、投げ方に関する注意として、反対側の壁にぶつけるように(壁まで届くように)投げる必要がある。
 どういうことかというと、クラップステーブルは細長い形状になっているので(中央を挟んで左右対称に盤面がデザインされている)、自分がいる場所がその中央よりも左半分のエリア内だったら、右側の奥の壁にぶつけるように投げるということ。もちろん右半分にいたら左側の壁だ。
 もし投げたサイコロの飛距離がたりなくて壁まで届かず、その飛距離があまりにも短いと、「もう一度投げ直してください」と言われてしまうことがあるが、その場合は投げ直すだけなので特に何も気にする必要はない。
 力強く投げすぎてサイコロがテーブルの外に出てしまった場合も(初心者シューターにはよくあること)、やり直しであることは言うまでもない。

 さて、使用するサイコロの選択、つまりどのサイコロを使うかに関してだが、これはシューターが自由に選び出すことになっている。
 つまり、カムアウトロールの際、写真のように、カジノ側が 5~6個のサイコロをシューターの前に差し出してくるので、シューターはその中から好きな2個を選んで投げることになる。

 「自由に選べる」と言っても、色もカタチも大きさもまったく同じサイコロの中から選び出すわけで、なんら楽しい作業ではないし、選ぶこと自体になんら戦術的な意味はないが、これはあくまでも「カジノ側が勝手にあなたに押しつけたサイコロではありませんよ」というフェアプレー精神を示すための単なる儀式と思って、めんどくさがらずに 2つのサイコロを選び出そう。

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賭け方: 3つ覚えれば十分

 次の章以降に示したのが賭け方のバリエーションだが、それらすべてを覚える必要はまったくない。
 なぜなら大部分は「実戦で実行すべきではない賭け方」(確率論的に不利な賭け方)だからである。

  ズバリ、覚えるべき賭け方はパスラインカム、そしてオッズ賭け、以上の3つだけだ。
 これら以外は、覚える必要はないというよりもむしろ覚えない方がよい。覚えると、不利とわかっていても賭けたくなってしまうからだ。

 なお、ドントパス(またはドントカム)だけは、たとえ実戦で使わないにしろ、いろいろな意味で勉強になるのでその存在と内容だけは理解しておいたほうがよい。

 ちなみにこのドントパスとドントカムは勝率的には非常に良い賭けではあるが、多くの場合、周囲の人のだれも賭けていない、つまり自分以外の大多数の人が期待するサイコロの目とは逆の結果に期待する賭け方なので、まわりの人たちと一緒に喜んだりハイタッチしたりできないばかりか、「変なヤツ」、「空気が読めないヤツ」といった感じに見られがちなので、周囲にそんたくし、賭けないほうがよいだろう。
 もちろん勝敗だけにこだわり、周囲の視線などを完全に無視して賭けるのも自由だが、楽しい雰囲気を味わうのもラスベガス旅行における貴重な体験と考えると、ドントパスやドントカムに賭けることはあまりおすすめできない。

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賭け方: 絶対に覚える必要があるパスライン

 さてさっそく、最も重要な賭け方の一つである「パスライン」について説明したい。

 このパスラインに賭けたい場合は、第1投であるカムアウトロールの前に、この PASS LINE と表示されている場所に賭け金を置く。
 この賭けでは、カムアウトロールで「7」「11」が出ればその場で勝ちとなり、賭け金と同額の払戻金(10ドルの賭け金に対して10ドルの払戻金)を受ける。
 逆に「2」「3」「12」が出ればその場で負けとなり賭け金を失う。

 それ以外の数字の場合は、その目が「場の目」となり、第2投目以降で「7」が出る前にその「場の目」が出れば勝ちとなり(10ドルの賭け金に対して10ドルの払戻金)、「7」が先に出ると負けで(賭け金は没収)ゲームは終了する。
 もちろん第2投目以降で「2」「3」「11」「12」が出ても勝ちにも負けにもならない(ゲーム続行)。

 とにかく第2投目以降は、ひたすら「場の目」が先に出るか「7」が先に出るかだけの勝負である。
 このパスラインはクラップスというゲームにおける最も基本的な賭け方なので、絶対に理解しておかなければならない。
(このパスラインのページを、10回読んででも覚える必要があると同時に、このパスラインを理解してしまえば、クラップスというゲームの本質を理解したも同然である)

【ここでちょっとお知らせ】
 「場の目」のことを多くの解説書では、英語の原語通りに「ポイント」という言葉を使って説明しているが、当ラスベガス大全ではあえて感覚的にわかりやすくするために「場の目」という言葉を使用する。
 この「ポイント」という言葉を使うことが、どれほど初心者プレーヤーを混乱させてきたことか。とにかく「ポイント」という言葉には、日本人にとっては「獲得点数」のようなニュアンスがあったりするので(クラップスというゲームにおいて、そんな意味はまったく無いので)一切使わないこととする。
 なお実際のプレーにおいて、「場の目」が決定すると、その番号の上にドラ焼き程度の大きさのディスクが置かれるので、「場の目」が何番だったかわからなくなってしまうような心配はない。

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賭け方: カム

 これはパスラインと基本的にはまったく同じで、唯一の違いはパスラインは最初の第1投目、つまりカムアウトロールの時点でゲームに参加するのに対して、このカムは第2投目以降の好きな時にゲームに参加するというだけの違いである。

 具体的に例をあげて説明するならば、たとえばカムアウトロールで「9」が出たとする。「場の目」は当然 「9」だ。
 第2投で「8」、第3投で「10」(この段階ではまだ「7」が出ていないし、カムアウトロール以降、「場の目」の「9」も出ていないので、普通にゲーム続行中)、その段階で Aさんは第4投目からゲームに参加したくなってこのカムに賭けたとする。
 この場合、Aさんは第4投目で「7」「11」が出れば勝ちで、「2」「3」「12」ならば負け、そしてそれ以外の数字の場合は、その第4投目の数字が「あとから参加した Aさんだけの場の目」となり、第5投目以降で「7」が出る前にその目が出れば Aさんの勝ちで賭け金と同額が支払われ、「7」が先に出るとゲーム終了で負けとなる。
 このカムもパスラインと並んで最も重要な賭け方なので、よく理解しておくようにしたい。

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賭け方: プレースベット

 プレースベットとは、テーブルの中央部に大きく書かれている「4」から「10」までの各個別の出目に対する賭けのこと。
 これはカムアウトロール以降であれば、いつからでも参加できるわかりやすい単純な賭けだ。

 たとえばこの写真のように「8」に賭けた場合、「7」が出る前に「8」が出れば勝ち、「7」が先に出てしまえばゲーム終了なのでその時点で負けとなる。

 このプレースベットは 「場の目」などに関係なく、ただ単にその数字に賭けるだけなので、賭けそのものは非常に単純明快ではあるが、払戻金の倍率が少々複雑だ。
 それは各出目の出現率が微妙に異なっていることに起因している。つまり「8」よりも「4」のほうが出にくいので、当然そのぶん的中したときの払戻倍率は大きくなる。

 なお、計算が複雑と言ってもカジノ側がちゃんと計算してくれるので特にプレーヤー自身がそれを覚える必要はない。
 ちなみにその配当倍率は、「4」「10」に賭けて的中した場合が5ドルの賭け金に対して9ドルの払い戻し(つまり 1.8倍)、「5」「9」に賭けた場合は5ドルに対して7ドル(1.4倍)、「6」「8」に賭けた場合は6ドルに対して7ドル(1.16倍)が払い戻される。
(これらの配当倍率は「何倍」というカタチで覚えるのではなく、「いくらの賭け金に対していくら」というように覚えたほうが半端な数が出ないので覚えやすい)

 したがって勝った場合の払戻金に複雑な端数が出ないように、これらプレースベットに賭ける際は、5の倍数の金額「4」,「5」,「9」,「10」に賭ける場合)、もしくは6の倍数の金額「6」,「8」に賭ける場合)を置くのが常識である。
 つまりプレースベットの「8」に賭ける場合であれば、6ドルとか 18ドルを賭けるようにするということ。
 もちろん中途半端な金額を賭けてもかまわないが、1ドル以下の端数の払戻金は切り捨てられてしまうルールになっていることが多いため自分が損をすることになる。

 なおこのプレースベットはその出現率と払戻倍率の関係上、「6」または「8」以外には賭けないほうがよい。
 理由は、「4」、「5」、「9」、「10」は、その出現率の割に払戻倍率が少ないからだ。

 もっとうるさいことを言うならば、「6」「8」もなるべく賭けないほうがよい。
 なぜならプレースベットには、後述する「オッズ賭け」という非常に有利な賭けを実行する権利が付いていないからだ。
(「オッズ賭け」は、パスラインやカムに賭けた者しか実行できない。くわしくは後述)

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賭け方: ビッグシックス

 このビッグシックスも単純な賭けで、ただ単に「6」に賭けるだけの賭け方だ。
 絶対に賭けないほうがよいので覚える必要はまったくないが、こういったバカバカしい賭けも存在しているということを知っておいたほうがよいので、とりあえず説明しておく。

 この賭けはいつからでも参加でき、賭けた以降のロール(サイコロが投げ込まれることをロールという)で「7」よりも先に「6」が出れば勝ち、「6」が出る前に「7」が先に出てしまうとその時点でゲームは終了となり負けとなる。

 なお、このビッグシックスは、「7」が出る前であればゲームの途中でいつでも賭けの継続を中止にして賭け金を引きあげることが許されている。
 が、そんなことをするぐらいなら最初から賭けないほうがよい。もしうっかり賭けてしまった場合は、すぐにでも引き上げるべきだ。

 なぜこの賭けが悪い賭けなのか。それは非常に簡単な話で、このビッグシックスに賭けることは、前述のプレースベットの「6」に賭けることとまったく同じ賭けだからだ。
 同じ賭けであるにもかかわらず、払戻金の倍率が1倍、つまり6ドルの賭金に対して6ドルしか支払われない。一方、プレースベットの「6」に賭けて勝った場合の配当倍率は、すでに述べた通り6ドルの賭け金に対して7ドルが支払われる。
 したがってこのビッグシックスに賭けるぐらいなら無条件でプレースベットの「6」に賭けるべきで、このビッグシックスに賭けるという行動は「私は何も知らない超初心者です」と公言しているようなものだ。

 ではなぜこんなバカバカしい賭け方が存在しているのか?
 それは実に単純な理由で、何も知らない初心者プレーヤーからカジノが収益を上げるため だ。
 クラップスにはこういったワナがあるので、勝つためにはルーレットと違い、ある程度の知識が必要ということになる。

 なお最近ではこのビッグシックスとプレースベットの配当倍率の差の不条理を解消するために、ビッグシックスの配当倍率もプレースベットの「6」と同じように 6対7 にしようという動きもあるが、もしそうなった場合、このビッグシックスの存在意義がなくなってしまう。
 いずれにせよ、このビッグシックスはもはや盤面上のデザイン的な意味合いしかないと考えておいたほうがよさそうだ。

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賭け方: ビッグエイト

 このビッグエイトも前項のビッグシックスとまったく同じで、 違いは「6」に賭けるか「8」に賭けるかの違いだけだ。つまりこれも 絶対に避けたほうがよいバカバカしい賭けと認識しておいていただきたい。

賭け方: ハードウェー

 これまでの賭けはすべてサイコロの「目の合計」だけを当てる賭けだったが、このハードウエーは [3,3]、[4,4] といったように 2つのサイコロの「目の組み合わせ」までも当てなければならない賭け方である。

 当然のことながら当たる確率も少なくなるため、当たった際の払戻倍率が高くなることは言うまでもない。(各組合わせに対する払戻倍率はテーブル上に描かれている。下の写真内の黄色い数字がそれだ)

 賭けの対象となっているのは [2,2]、[3,3]、[4,4]、[5,5] の4種類のゾロ目だ。

 このハードウエーもいつからでも参加でき、賭けた以降のロールで「7」もしくはゾロ目ではないその数字 (たとえば [3,3]「6」に賭けていた場合は、ゾロ目ではない [1,5] もしくは [2,4]「6」)が出てしまうと負けとなり、それらの目よりも先にその目標のゾロ目が出れば勝ちとなる。

 なお、賭けの対象となっているどの4種類のゾロ目も出現率は同じであるにもかかわらず、[3,3] および [4,4] に賭けた場合のほうが [2,2] 、[5,5] に賭けた場合よりも払戻倍率が高い理由は(上の写真参照)、「負けになってしまうゾロ目以外のその数字」の出現率が異なるためである。

 払戻倍率の表記における「10 FOR 1」とは、元の賭け金を含めて10倍という意味なので実質的な利益は賭け金の9倍にしかならない。つまり 1ドルの賭金に対して9ドルが支払われるという意味。
(参考までに、「10 to 1」と書かれていれば、元の賭け金とは別に10倍という意味)

 ちなみにこのハードウエーの賭けも、プレーヤーにとって非常に不利な賭けのため避けたほうがよい。
 払戻倍率が高いので一見おトクのようにも見えてしまうが、実際の各目の出現率と比較すると、その払戻倍率は低すぎる。

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賭け方: フィールドベット

 これは単純な一発勝負(1回のロールに対してだけ有効な賭け)のため、どんな目が出ようが賭けた直後のたった1回のロールで勝負は決まる。
 つまり勝っても負けてもそのロールだけで終わりなので、それ以降のロールはまったく関係ない。
 またこのフィールドベットへの賭けは、カムアウトロールも含めてどのロールからでも参加できる。

 ルールは極めて簡単で、このフィールドベットに賭けた直後に振られるロールで、「2」、「3」、「4」、「9」、「10」、「11」、「12」のいずれかが出れば勝ち、「5」、「6」、「7」、「8」 が出れば負けとなる。あまりにも単純明快だからか、初心者が賭けたがる傾向にあるが、熟練プレーヤーがここに賭けることはほとんど無い。

 勝った際の払戻倍率は1倍(つまり1ドルの賭金に対して1ドルの払戻金)だが、めったに出ない「2」「12」が出た場合に限りボーナスとして賭け金の2倍が支払われる(上の写真の黄色い丸にそのことが見て取れる)。
 また最近の良心的な高級カジノホテルにおいては、さらに「12だけは3倍払い」というところも少なくない。(「12」の代わりに「2」を3倍にしているカジノもある)

 この賭けは、自分が勝てる目の種類が7種類もあるのに対して負けとなる目が4種類しかないため、一見かなり勝てそうにも見えるが、実はこれもプレーヤーにとってかなり不利な賭け方なので避けたほうがよい。そのことは各出目の出現率チャートをよく見れば一目瞭然のはずだ。

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賭け方: エニークラップス

 これもいつからでも参加できる一発勝負の賭け。賭けた直後のロールで「2」「3」「12」のいずれかが出れば勝ちで、賭け金の7倍(元金も含めれば8倍)が払い戻される。それ以外の数字はすべて負けとなる。

 出現率チャートをよく見れば簡単にわかることだが、勝てるチャンスは 36分の4、つまり9分の1だ。でも実際の払戻倍率はそうなっていない。
 したがってこの賭けも 出現率の割に配当倍率が低い賭け ということになる。無視すべき賭けであることは言うまでもない。

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賭け方: クラップス(2, 3, 12)

 まずは名称に関して。このゲーム自体の名前が「クラックス」となっているが、もともとのクラップスという言葉には、最初のカムアウトロールで「2」「3」「12」が出て負けることも意味していることから、この賭けにおいては「クラップス = 2 か 3 か 12 が出ること」と理解しておけばよいだろう。 

 この賭けはハードウェーと非常によく似た賭けで、唯一のちがいはハードウェーが「7」が出るまで有効だったのに対し、この賭けは1回限りのロールだけが勝負の対象となるという点である。つまり一発勝負。

 「2」「3」「12」のうちのいずれかの目に賭け、賭けた直後のロールでその目が出れば勝ち。出なければ負けとなる。

 これらの目は出現率が非常に低い上(たとえば「2」[1,1] しかあり得ないし、「3」[1,2][2,1] しかない)、賭けた直後の1回限りのロールだけが対象となっているため当てるのはかなり難しい。

 その代わり当たった際の払戻倍率も高く設定されており、「2」「12」に対しては 30倍(元の賭け金も含めた倍率が表示されているので実質の利益は 29倍)、「3」の場合でも 15倍(同 14倍)となっている。
 それでも実際の出現率に比べるとその払戻倍率は極端に低く、この賭けも 無視すべき賭け であることは言うまでもない。

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賭け方: イレブン

 「11」という数字はなぜか「クラップス」と呼ばれる数字ではないので、前述の「クラップス」とは別扱いになっているが、この賭けそのものはクラップスの「3」に賭けることと内容的にも出現率的にも配当倍率的にもまったく同じ賭けである。

 したがって、このイレブンもいつからでも参加できる一発勝負の賭けで、賭けた直後のロールで「11」が出れば勝ち、出なければ負け、払戻倍率は 15倍(元金も含めた倍率なので実質の利益は14倍)となっている。もちろんこれも避けたほうがよい賭けであることは言うまでもない。

賭け方: ドントパス

 これはここまでに説明してきた賭け方とは根本的に逆、つまりカムアウトロール以降で「7」が出てゲームが終了になると勝ち(他の大多数のプレーヤーは負け)、という “あまのじゃく的な賭け方” である。

 賭けの内容としては パスラインのまったく逆 と考えればよい。つまり第1投目であるカムアウトロールの前にこのドントパスに賭け、カムアウトロールで「7」「11」が出れば負けで、「2」「3」ならば勝ちとなる。なお「12」だけは勝ちにも負けにもならず引き分けで、何もなかったこととなる。

 それ以外の数字の場合はその目が「場の目」となるわけで、第2投目以降で「7」が出る前にその目が出れば負けで、「7」が先に出ればゲーム終了で勝ちとなる。つまりパスラインとはまったく逆だ。
 もちろん勝った場合の配当倍率はパスラインの場合と同様 1対1。(1ドルの賭け金に対して1ドルが支払われる)

 なおこの賭けは確率論的な期待値は非常によく、勝ち負けのことだけを考えたら「パスライン」と並び最も有利な賭け方である。
 しかしまわりの多くの参加者たちはパスラインに賭けるため、彼らの望み(カムアウトロール以降は「7」が出ないことを望んでいる)とはまったく逆の賭け方であるため、雰囲気が盛り上がっているときにここに賭けると場がシラけてしまう可能性がないわけではない。
 勝ち負けだけではなく雰囲気もエンジョイしたいと考えるのであれば、よほどのあまのじゃく以外はここに賭けないのが普通だ。

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賭け方: ドントカム

 これもあまのじゃく的な賭け方で、内容としては カムのまったく逆 と考えればよい。言い換えれば、ドントパスとほぼ同じで、ドントパスとのちがいは、カムアウトロールの段階で参加するかそれ以降に参加するかの違いだけだ。  

 カムアウトロール以降であればいつでもこのドントカムに賭けることができる。そしてこれに賭けた直後の最初のロールで「7」「11」が出れば負けで、「2」「3」ならば勝ち、「12」は引き分けで何も動かない。

 それ以外の数字の場合はその目が「あとから参加したそのプレーヤーだけの場の目」となり、それ以降のロールで「7」よりも先にその目が出ると負け、その目が出る前に「7」が先に出れば勝ちとなる。
 勝った場合の払戻金はもちろん 1対1。このドントカムもドントパスと同様、勝ち負けのことだけを考えたら悪くない賭け方ではあるが、場がシラける可能性があるので、周囲の情況によっては賭けないほうがよいだろう。

賭け方: エニーセブン

 これはとにかく「7」が出ることだけを祈る最もあまのじゃく的な賭け方だ。
 いつからでも参加できるが、賭けた直後のロールだけが勝負の対象となる。つまりこのエニーセブンは賭けた直後のロールで「7」が出れば勝ち、出なければ負けという単純明快な一発勝負の賭けで、払戻倍率は写真の通り 5 for 1、つまり5倍。(ただし賭け金も含めた倍率なので実質的な利益は4倍)

 このエニーセブンもドントパスやドントカムと同様、よほどのあまのじゃく以外はこれに賭けないのが普通だが、ドントパスに大金を賭けた際のカムアウトロールに対するリスクヘッジとして戦略的に利用されることはたまにある(たとえばドントパスに $1000 賭けた際、このエニーセブンに $200 賭ける)。
 もっとも、ドントパスに賭けること自体があまのじゃくと言えるわけで、やはり常識人はこれに賭けるべきではない。また出現率に対する配当倍率も非常に悪い。

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賭け方: その他の賭け方

 クラップスにはここまでに説明してきた伝統的な賭け方以外にも、「HOP BET」、「HORN BET」、さらには超高配当(たとえば 1000倍とか)も期待できる「FIRE BET」のようなサイドベット(オマケ的な賭け)が用意されているテーブルも少なくない。
 しかしそれらの賭け方はあまり一般的ではないということに加え、確率論的に非常にプレーヤー側にとって不利な賭け方であることが多いため(ようするに、カジノ側にとってのドル箱的な賭け方がほとんど)、あえてここでは紹介しないこととする。

 もちろんここで紹介した伝統的な賭け方でも不利な賭け方は覚える必要はない。むしろ、覚えると実行してみたくなったりもするので、覚えないほうがよいだろう。

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戦術: 知っておきたいパスラインの本質

 以上のようにさまざまな賭け方が存在するわけだが、クラップスというゲームにおいて最も基本となる賭け方はパスラインである(もちろんカムも同じこと)。

 このパスラインの本質を完全に理解できないことには本当の意味でのクラップスを楽しむことはできない。
 そしてこのパスラインを徹底的に理解する際に必要不可欠となるのがドントパスとの対比論だ。
 つまりドントパスとのちがいをよく理解できてこそ、パスラインの利点や欠点および目指すべき目標が見えてくる。以下がその対比論に基づくパスラインとドントパスの考察だ。

 パスラインもドントパスもカムアウトロールで勝負がつかなかった場合はその後のロールに勝負が持ち越されるわけだが、その状況における(つまり第2投目以降における)パスラインとドントパスの目標のちがいは、ただ単に「場の目」が先に出るか「7」が先に出るかの違いだけである。

 そう考えるとカムアウトロールで勝負がつかなかった場合は、断然ドントパスに賭けたプレーヤーのほうが有利であることに気づかなければならない。なぜなら、いかなる目よりも「7」の出現率が一番高いからである。

 ではパスラインよりもドントパスに賭けた方が圧倒的に有利なのか。答は「ノー」だ。
 なぜなら、ドントパスへの賭けはカムアウトロール時に負けてしまう危険性が高いからである。
 理由はもちろんカムアウトロール時に負けとなってしまう「7」の出現率が高いからだ。

 このように考えると、ドントパスへ賭けた者の戦略目標は、「とにかくカムアウトロールを負けずに無事に通過すること」であり(もちろんカムアウトロールで勝てればそれにこしたことはないが、そこで勝てる可能性は低い)、逆にパスラインに賭けた者は、「とにかくカムアウトロールで勝負を決めてしまうこと」が理想ということになる。

 さらに知っておきたいことは、もしカムアウトロールで勝負がつかなかった場合、そこで決まる「場の目」が何になるかが、その後の両陣営の勝敗に大きく影響してくるということ。
 つまりパスライン陣営にとっては、「場の目」が第2投目以降に比較的出やすい「6」「8」になることが望ましく、「7」に比べて圧倒的に出にくい「4」「10」「場の目」になってしまった場合は極めて不利な状況に追い込まれることになる。
 また逆にドントパス陣営にとっては、「7」よりも圧倒的に出にくい「4」「10」「場の目」になってくれれば、「7」が先に出てくれる可能性が極めて高くなるので、勝利に大きく近づくことになる。

 各出目の出現パターンを示したこの表を見れば、いろいろなことが読み取れる。
 たとえばカムアウトロールを通過してしまったあとの各「場の目」によるパスライン陣営の不利の度合いがよくわかる(どんな目よりも「7」が先に出てしまいやすい)。
 またドントパス陣営のカムアウトロール時のリスクがいかに大きいか(「7」が出やすい)も読み取ることができる。
 そういったことを理解しながらプレーできれば、クラップスというゲームを、より一層ハラハラ・ドキドキしながら楽しめるようになること請け合いだ。

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戦術: 有利な賭け方

 冒頭でも述べたようにクラップスではルーレットと違い、数学的な「期待値」がまったく異なる賭け方がいくつもある。
 これを他の言葉で置き換えるならば、「損をする賭け方」「比較的有利な賭け方」が混在しているということになる。

 ズバリ結論から先に言ってしまえば、パスライン、カム、ドントパス、ドントカム、それにプレースベットの「6」か「8」、以外は絶対にやるべきではない。

 ビギナーは、とかく単純でわかりやすいハードウェーフィールドなどに賭けたがる傾向にあるが、それらはたまにラッキーで勝てることはあっても長い目で見れば必ず負ける賭け方だ。
 なぜなら、それらの賭け方はその目の出現率に比べ、払戻倍率が著しく不当に低く抑えられているからである。

 一方、そのような「損をする賭け方」がたくさん存在している分だけ(それらの賭けでカジノ側は利益を得られるので)、パスラインやドントパスなどの期待値は高く設定されている。
 事実これらパスライン、カム、ドントパス、ドントカム、それにプレースベットの「6」「8」の期待値は、限りなく客とカジノ側の勝率が「 50:50 」に近い状態になっており、これらに賭けている限りクラップスはルーレットなどと比べて、はるかに客側にも勝算があるゲームということができる。

 ちなみに各賭け方に対する控除率ハウスアドバンテージ)、つまりカジノ側が有利な度合いは、以下の通りだ。
 これらの数字の見方は、その賭けに $100 が投じられた場合のカジノ側の平均収益と考えればよい。
 つまり、たとえばパスラインに $100 が投じられるとカジノ側は平均 $1.41儲かることになる。
 もちろん一人ひとりの個々の賭けの結果は勝ちか負けしかない、つまり客がパスラインに $100 賭けた場合のカジノ側の損得は $100 勝つか $100 負けるかのどちらかだが、何千何万回と $100 が賭けられた場合、カジノ側の平均的な収益は、$100 につき $1.41 に収束するという意味である。

 ちなみにルーレットの場合のこの控除率が一律 5.26% であることを考えると(ルーレットの場合はどの賭けパターンもすべて同じ 5.26% になっている。ちなみに最近流行のトリプルゼロ方式のルーレットの場合は 7.69%)、クラップスというゲームの特異性(ルーレットよりも遥かに良い賭けと遥かに悪い賭けの混在)がよく見えてくることだろう。

 つまりこのゲームにはパスラインやカムそれにオッズ賭けのような「出血大サービス」的な賭け方が存在していると同時に、もはや「ワナ」とも言える法外な高控除率の賭け方も多数存在しているということ。
 この「出血大サービスとワナの共存」が意味しているものは何か? それはまさしく「この実態を知らない者から資金を吸い上げ、そのぶん知っている者にサービスしている」ということに他ならない。

 もっと具体的な賭けのポジションでいうならば、「ハードウエーやプレースベットの 4 や 10 に賭けている愚か者からおカネを集め、パスラインやカムおよびそのオッズ賭けに賭けている者にサービスしている」ということである。
(控除率的にはイレブンやエニーセブンのほうが大きなワナではあるが、実際にそれらに賭けている者はそう多くはいないので、現実としてのカジノ側における最大のドル箱は、やはりハードウェーやプレースベットの 10 ということになる。特にハードウェーは払戻倍率が大きいため夢があるのか、控除率的には非常に悪い賭けであるにもかかわらず、多くの愚かなプレーヤーが賭けているのが現実)

 以上をまとめると、「クラップスというゲームは、結果そのものは人知の及ばないサイコロが決定しているため、個人の判断で結果が変わってしまうブラックジャックのような知識を必要とするわけではないが、ワナにハマらないための知識だけは絶対に必要で、そういう意味においてはワナがまったく存在しないルーレットとはかなり趣を異にしている。そしてワナさえ避けて通ればクラップスは最大の勝率が期待できるカジノゲームである」ということができる。

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戦術: 断然有利なオッズ賭け

 こんな大切なことは冒頭で説明すべきだったかもしれないが、ルールを理解していく上での順序もあるので、やむを得ずこんな場所で紹介することとした。

 じつはこの「オッズ賭け」(ODDS)こそがクラップスというゲームの最大の醍醐味であり、また最も有利な賭け方でもある。
 世界中にいろいろなギャンブルが存在しているが、競馬、競輪、宝くじなども含めたすべての賭けごとの中で、唯一このクラップスの「オッズ賭け」だけが胴元側(カジノ側)の取り分がゼロの賭けとなっている。
(設定条件が特殊な状態のビデオポーカーや、カードカウンティングをやった場合のブラックジャックなどを除く)

 言い換えれば、世界で唯一「胴元側と客側の勝率が完全に 50:50 になっているゲーム」ということが言えなくもない。
 したがって、このオッズ賭けにはカジノ側にとっての数学的アドバンテージがまったく存在しないため、各カジノではその賭け金の上限を決めている。
(ここでいう上限とは通常の「MAXIMUM BET」の意味とは少々異なる。説明はこのあとに)

戦術: オッズ賭け具体例

 「オッズ」という言葉には、たとえば競馬や競輪などにおけるオッズみたいに、配当倍率のような響きがあるが、ここでの「オッズ賭け」のオッズは、そのような意味とはまったく関係ない。
 オッズ賭けとは、パスラインに賭けてカムアウトロールが振られたあとに(もしくはカムに賭けた場合、カムに賭けた直後のロールが振られたあとに)、その賭け金の額を増やすこと。つまり 賭け金の増額 もしくは 追加賭金 とでも理解すればよいだろう。

 たとえばゲームスタート時にパスラインに $5 賭けたとする。そしてカムアウトロールで「場の目」「4」と決まったとする。
 通常このままにしておけば、第2投目以降で「4」が先に出れば勝ち、「7」が先に出れば負けで、その勝った際の払戻倍率は 1対1、つまり今の例では勝ち金として $5 を受け取ることになる。

 ところがカムアウトロール後に「オッズ賭け」の権利を行使し(上の写真)、最初の賭け金 $5 以外に $25 を追加して賭けると(その $25 が「オッズ賭け」)、追加して賭けた分の $25 に対しては 1対1 の払戻倍率ではなく、その「場の目」「7の目」の出現比率に正確に応じた払戻倍率で払い戻してもらえる。

 たとえば「4」の出現率は「7」の出現率の正確に半分のため、「場の目」「4」の状態で、上の写真のように追加して賭けられたオッズ賭けに対する払戻倍率は 2倍 ということになる。
 したがって、今の例でいうならば、もし「7」よりも先に「4」が出て勝った場合、最初の賭け金である $5 に対しては通常倍率の 1倍の $5 が払い戻され、オッズ賭けの追加分の $25 に対しては 2倍の $50 が支払われるということになる。

 参考までに「場の目」「5」「9」のときのオッズ賭けに対する配当倍率は 1.5倍「6」「8」のときのそれは 1.2倍となっている。(くどいようだが以下に出目表を掲載しておいた)
 もちろんこれらの払戻倍率は「7」の目とそれぞれの「場の目」の出現率の差にきれいに比例していることは言うまでもない。

 ちなみにこれらオッズ賭けの払戻倍率とそれぞれの目の「プレースベット」の払戻倍率とを比較してみると、いかにオッズ賭けが有利になっているかがよくわかるはずである。つまりプレースベットをするぐらいであれば、オッズ賭けしたほうがトクということになる。

 なお、前述の通り、オッズ賭の分に関しては、数学的なカジノ側にとっての有利性はなにもないため、各カジノではその上限を決めている。
 その上限の表示方法は「もともとの賭け金の何倍まで」という形で表現され、現場に「DOUBLE ODDS」と表示されていれば元の賭け金の2倍まで、「TRIPLE ODDS 」となっていれば 3倍まで賭け増しができるということであるが(10倍以上に設定しているカジノも存在)、近年は多くのカジノが「3-4-5 倍オッズ」を採用している(下の写真)。

 これが意味するところは、「場の目が 4 または 10 のときは 3倍まで、場の目が 5 または 9 の時は 4倍まで、場の目が 6 または 8 の時は 5倍まで」 という上限の決め方だ。
 これは客にとってもカジノ側にとっても特に数学的な有利性などはまったく関係ないが、「場の目」がなんであろうとカジノ側が失う最大の金額を一定に保てるという効果がある。

 繰り返しになるが、この「オッズ賭け」と呼ばれる追加分の賭け金に対しては、確率論的にカジノ側にとっての有利性はまったくないわけで、逆に解釈すれば客にとって最も有利な賭けということができる。
 したがって、クラップスというゲームをやるからにはこのオッズ賭けの権利をフルに利用しない手はない。
 もちろん客にとって「有利」といってもその勝率が正確に「50対50」になったというだけのことであって、客側が圧倒的に有利になったというわけではない。

 しかし、他の賭け方で勝負をするよりは(他の賭け方は、たとえば「45 対 55」など客側に不利な勝負が少なくない)圧倒的に有利であることに変わりはなく、クラップスをやるからにはこのオッズ賭けを利用しないことは愚かな選択といえる。

 さて、このオッズ賭の具体的な「参加方法」だが、オッズ賭けとして追加する賭け金は、もともとの賭け金とは区別されなければならないため(勝ち負けの結果は同じになるが、払戻倍率が違うので)、チップをもともとの賭け金の上にそのまま重ねて置いてはいけない。

 この写真のように、パスラインの賭け金に対してオッズ賭けする場合、追加分を元の賭け金のすぐ手前(自分に近い位置)に置く。
 そしてカムに対してオッズ賭をする場合は、スペース的に外側に置くことができないため、元の賭金の上に追加分をずらして重ねるようにして置く。

 つまり、この写真のように重ねて置くわけだが、プレーヤーが自分で置くわけではない。というのも、カムの場合は最初に賭けたカジノチップは、次に振られるロールによって決定する「その人の場の目」の位置に移動されるので(この移動は現場スタッフがやってくれる)、その移動されたカジノチップを指さしながら、追加で賭けたいオッズ賭けの分のカジノチップを軽く投げるだけでよい。
 オッズ賭けは「するのが当たり前」という雰囲気なので、現場スタッフたちも、投げられたチップの意味をわかっており、その投げられたチップを拾ってすぐに元の賭け金の上にずらして置いてくれる。
 むしろカムにオッズ賭けしないと、現場スタッフが、元の賭け金(「その人の場の目」の位置に移動済み)を指さしながら、「オッズ賭けしないの?」とアドバイスしてくれたりすることが多い。

 なお、パスラインの場合の賭け金へのオッズ賭けの作業は、自分のすぐ目の前、つまり手の届くとろろに元の賭け金があるので、各自が自分で行うことになる。

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マナー: 知っておきたいマナー

 第1投目であるカムアウトロール以降のロールにおいて、つまり「場の目」が決定している状況において「7」の目が出てしまうことを「SEVEN OUT」という。(第1投目で「7」が出ても「SEVEN OUT」とはいわない)
 もちろん「SEVEN OUT」になれば、その回(この「回」のことを「シリーズ」というが、そんな言葉を覚える必要はない)は終了となる。

 この「シリーズの終了」が必ずしもすべての賭け方に対して「望まれない結果」とは限らないが、これまでに述べてきた賭け方のバリエーションをひと通り復習してもらえればわかる通り、ほとんど大多数の賭け方において「7」という目は期待されない悪夢のような目となっている。例外はドントパス、ドントカム、それにエニーセブンだけだ。

 以上のことを簡単にまとめて言うならば、クラップスというゲームにおいては、そこに参加している大多数のプレーヤーはカムアウトロール以降において「7」が出ることを期待していない、ということになる。
 事実、実際のカジノにおいてドントパス、ドントカム、エニーセブンなどに賭けている者はあまり見かけない。
 したがって、もしその場にそのような「逆の賭け方」(ドントパス、ドントカム、エニーセブンに賭けること)をする者がいた場合、せっかく盛り上がっている雰囲気が一気にシラけてしまうようなことになりかねない。
 特にシューターになった者(サイコロを投げる役に選ばれたプレーヤー)がドントパスなどに賭けていた場合、縁起をかつぐ一部のプレーヤーは賭けることを一時中断してしまうか、あるいはそのテーブルを去って隣のテーブルに移ってしまったりする。
 とにかくマナーとしてドントパス、ドントカム、エニーセブンには賭けないほうがよいだろう。もちろんエニーセブンはマナー以前の問題として賭けたら損であることは言うまでもない。

 クラップスをあまり知らない者や、あまのじゃくは、「どこに賭けようが自分の勝手ではないか」と考えがちだ。たしかにそれは正論かもしれない。
 しかしそれはルーレットには言えてもクラップスにおいては必ずしもそうとは言えない。
 なぜなら、ルーレットやブラックジャックにおいては玉を投げ込む者もトランプを配る者も、それらはすべてカジノ側のディーラーであって客ではない。つまり客同士は互いになんら利害関係はない。

 一方、クラップスにおけるシューターはディーラーではなく客の代表である。つまり、その客が投げるサイコロの目に自分の運命も託されている。
 第2投目以降で「7」を出そうと念じながら投げているシューターのシリーズにわざわざ参加しようと思う者がいるだろうか。
 仮にそのようなあまのじゃくがシューター役ではなかったとしても、みんなが一丸となって SEVEN OUT にならないことを念じている場所に、ひとりでもそれを念じているようなプレーヤーがいたらやはり気分はよくない。
 「そこにいる仲間全員でカジノ側と戦い、勝ちも負けもみんなで分かち合う」、それこそがクラップスの楽しみというもの。
 とにかく「逆の賭け方」をしないことはマナーと考えておいたほうがよいかもしれない。

 もしどうしてもドントパスやドントカムに賭けたいということであれば、だれもやっていないテーブルに行くとよい。
 つまり自分ひとりだけでプレーすることになるが(もちろんシューター役も自分でやるしかない)、それはそれでまったく問題はないし、決して珍しいことでもない。
 事実、ひとりでやっているテーブルを覗いてみるとドントパスに賭けていたりする。たしかにドントパスはパスラインよりもほんのわずかな差ではあるが、期待値が高いのも事実。
 しかしその差は 10000分の5、つまり $100 賭けてたったの 5セントの期待値差だ。どうせならこの際きっぱりとドントパスやドントカムの存在を忘れてしまってもよいのではないか。

<お疲れ様でした。以上で クラップス徹底解説 はこれで終わりです>

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コメント(2件)

  1. タカハシ より:

    読ませて、頂きました。私は、クラップスがやりたくて、ここ15年位年1回
    ラスベガスに通ってます。最初の人にもとても分かりやすいと思いました。
    ブラックジャックも好きですが、クラップスは本当にワイワイみんなでやる感じが堪りません。
    私がシューターになって、7以外の数字を出しまくって、そして場の目が来る。
    次のシリーズもたま・・・そんな事になると大騒ぎになって、対面から手は届かないまでも
    グータッチのアクションをされたり、隣同士はハイタッチは勿論でした。
    ある時は、チップも頂きました。(笑)
    連日、同じ時間ような時間に行くと客同士も顔なじみになったりして、街ですれ違っても「Hi!」
    なんてのも・・・
    フィールドベットで、$100賭けて6-6 12が来た時には、大興奮でした(^_-
    本当に日本人のプレイヤーが少なく。。見ていて日本人かな?って思ったら「やりませんか?」
    って声は掛けてるんですけどね・・・なかなか・・・
    顔なじみのディーラーも数人いて、毎年訪れるのが楽しみです。

  2. クラップス より:

    面白く読ませていただきました。ひとつだけコメントいたします。
    「シリーズの終了」=SEVEN OUTとの記述ですが、ここが大事なので、私はクラップスは ”質流れ=7流れ”のゲームであると説明してます。最近、質屋さんはあまり見かけなくなりましたが、日本人には
    質流れ(ONの数字が出る前に7が出れば。7流れになり、置いた金は全部持っていかれる)と説明するとすぐに理解してくれるものと思います(もちろん、ドンパスの事は考えないで)。

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