SLS、フーターズ、ハードロックの各ホテルが相次いで名称変更

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 ストリップ地区の北端に位置するカジノホテル「SLS Las Vegas」が、8月29日からその名称を「Sahara Las Vegas」に変更する。(上の写真は 2007年当時のサハラ)
 ただそれだけの話ではあるが、この名称変更、実にバカバカしいというか、経費の無駄というか、結果的には前回の名称変更が意味のないものになってしまった感がある。

 というのも、このホテル、もともとは 1952年開業の伝統ある「サハラ」で、あのビートルズもラスベガス公演(1964年8月)の際に宿泊したほどの名門ホテルだったが、その後、経営難による一時閉鎖を経て、2014年の再オープンの際、その時の若き新オーナー Sam Nazarian 氏(当時39歳)が SLS に名称変更しているからだ。
 つまり、このたびの名称変更は、サハラから SLS、そして再び元の名前のサハラに戻すことになったというわけだ。(下の写真は 8月27日に撮影。名称変更まであと2日。看板などはまだ SLS のままであることがわかる)

 今回の変更に対しては、地元メディアの間でもあまり異論が出ていないようだが、前回のサハラから SLS への変更の際は疑問視する声が多かった。
 なぜならサハラは歴史が長いだけに知名度が高く、その名称は広く定着していたからだ。その価値ある名前を Nazarian 氏が、意味不明とも受け取れる SLS に変えてしまった。

 ちなみに、その風変わりな名称 SLS の意味は、Nazarian 氏によると、Style、Luxury、Service の頭文字とのこと。
 彼はすでにその時点で SLS の名称を使いフロリダやロサンゼルスなどでも事業展開し始めていたので、ラスベガスでもその名称を使いたかったことは理解できるが、せっかく広く定着していたサハラという名称を捨ててしまったことは、結果的には賢い判断ではなかったのかもしれない。
 案の定、その SLS は利益を出すことができず再び経営難に陥り、このたび新たなオーナーとなった Alex Meruelo 氏が元の名称サハラに戻すことになった。

 サハラという単語には、中東やイスラムのイメージがあるため、2001年の同時多発テロの直後などは必ずしも良い名前とはいえなかったが、今ではそういった印象も薄れてきているためか、今回の名称変更を否定的に捉える業界関係者は少ない。
 ちなみにこのホテルの北側に面している幹線道路の名前は今も昔も「サハラ・アベニュー」で、道路名としてもこのサハラは当地に広く定着している。

 したがって今回の変更は総じて歓迎されているようだが、名称変更に伴う無駄な出費は計り知れない。
 「名称変更に伴い、館内も1億ドル以上をかけて改装する」としている自社内での出費は仕方がないとしても、社外にも多大なる迷惑をかけている。たとえば同ホテルの脇に駅を持つモノレールの運行会社は、駅名変更に伴う費用がどれほどのものになるのか現時点ではわからないとしている。(上の写真はそのモノレール会社の広告)
 その他にも街中に存在するさまざまな看板や標識や印刷物、さらには細かい話ではあるが、世界中で売られているラスベガス関連の観光ガイドブックなども書き換えられることになり、名称変更に伴う無駄な出費は自社内やラスベガス内だけで済むものではない。

 というわけで、できることなら名称変更は避けてもらいたいところだが、なんと先週、「フーターズホテル」(写真)が年内にも「OYOホテル」に名称変更するとのニュースが飛び込んできた。インドの Oyo Hotels & Homes 社がフーターズを買い取ったからだ。
 ついでに言うならば、「ハードロックホテル」(下の写真)もバージン社に買い取られたことから、来年「バージンホテル」に変わることが決まっている。

 ちなみに今年はすでに「ストラトスフィア」が「ストラット」に名称変更しており、また昨年「モンテカルロ」が「パークMGM」に、「Hotel-32」が「ノマド」に、そして「マンダリンオリエンタル」が「ウォルドルフ-アストリア」になったことも記憶に新しい。
 数年さかのぼれば、「インペリアルパレス」が「クアド」、そしてその後「リンク」に、また「バーバリーコースト」も「クロムウェル」に変わっている。

 もっとさかのぼれば、ラスベガスヒルトンがウェストゲート、アラジンがプラネットハリウッドなど、まだまだいくらでもあるが、とにかく多すぎる感のある名称変更。
 看板や印刷物などの無駄な経費のみならず、利用者も混乱する可能性があるので、もうこれ以上は無いことを祈るばかりだが、企業買収などが続く限り、今後も避けて通れないのかもしれない。
 それでも新たなオーナーが、従来の名称を引き継ぐような努力をすれば、周囲に迷惑をかけることも無駄な経費も発生しないはずだ。
 名称を変えれば、ネオンサインからルーレットテーブル、さらにはスタッフのユニフォームからカジノチップまで、廃棄するものも膨大な量になる。エコロジーという意味でも、新オーナーたちの冷静な判断に期待したい。

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コメント(3件)

  1. ステーキマン より:

    Barbary Coast→Bill’s Gamblin’ Hall and Saloon→The Cromwell Las Vegasだったと思います。

    • ラスベガス大全 より:

      ステーキマンさん:
      ラスベガス大全をご利用いただき誠にありがとうございます。
      ご指摘の件、おっしゃるとおりなんですが、Bill’s Gamblin’ Hall and Saloon の存続期間が短かったのと、長ったらしい名称でめんどくさかったので、すっ飛ばしました。(笑)
      どうかご容赦を。

  2. Naoko Takayama より:

    ハードロックはバージンがまたどこかに売った様な気がするのですが、、、、ビニオンズ約10年ぶりぐらいにホテル新装オープンしました。ホテル アパッチ。創業当時の青写真通りに再現された昔のラスベガスの雰囲気の部屋になっています。ビニオンズはビニオンズホーシューと呼ばれていた時代に色々な話題を提供してきましたが、その一つがホーンテッドです。ホテル宿泊のお客様にはゴーストサーチのキット(宿泊の期間中25ドル)を希望するお客様に貸し出すサービスもあります。古き良き時代の雰囲気、ゴーストハンターに興味のある方は是非お泊まりください。

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