宇宙人を見つけ出す「エリア51 大集会」、行く場合の覚悟と注意

※このイベントは無事に終了しました

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 今週は、全米の、いや全世界のマニアの間で話題となっている「Storm Area 51」に関して、複数の読者から問い合わせが寄せられているので、それについて書いてみたい。
 といっても、わからないことだらけで、これといった有益な情報を提供できないことを、あらかじめ了承いただきたい。

 今「マニア」と書いたが、何のマニアか。それはずばり「宇宙人マニア」「UFOマニア」が中心ということになるが、それに「軍事マニア」、さらには「ゲームマニア」も興味を示しているというから、一般の人にとっては何がなんだかさっぱりわからないのではないか。
 そして「Storm Area 51」という言葉自体もわかりにくい。実態をイメージしやすくする意味で、とりあえずここでは「エリア51 大集会」と表現することとする。

 ではこの「エリア51 大集会」とは何か。それはマニアが、宇宙人の死体が保管されているとされるアメリカ空軍の秘密基地、通称「エリア51」に押し寄せる、あるいはその基地の近くを走る「ETハイウェー」沿いにある小さな村「レイチェル」に大集合するという計画で、現時点における日時は 2019年9月20日の午前中が予定されている。
 くしくも日本では敬老の日と秋分の日に挟まれた秋の連休の期間で、日本人観光客がラスベガスに一番多くやってくる時期だ。(夏期のラスベガスは猛暑のためか、旅費が高いためか、夏休みよりも9月の連休のほうが日本人観光客が多い)

 この計画の話の発端は2ヶ月ほど前に、カリフォルニア州に住む20歳の大学生 Matty Roberts さんが、フェイスブックに冗談で書いたことがきっかけで、すでに数百万人の閲覧者がこの計画に賛同しているばかりか、実際に参加を表明している者も万単位の数になっているというから、冗談といえどもネットの影響はあなどれない。
 今でも当の本人はあくまでも冗談であると主張しているものの、それなりの規模の集会が開かれてしまうだろうというのが、空軍基地やレイチェルなど現場側での認識だ。
 ちなみにこの Matty Roberts 氏、日本の漫画やゲームで知られる NARUTO のファンとのことで、ゲームマニアも彼のフェイスブックで賛同しているらしい。

 さて多くの一般読者にとって、今ここで登場した用語、「エリア51」、「レイチェル」、「ETハイウェー」、などは聞き慣れない言葉と思われるので、補足説明をしておきたい。
 まず エリア51 とは、ラスベガスの北西約 200km 付近に存在する知る人ぞ知る極秘の空軍基地 Groom Lake Air Force Base のこと。この区域一帯は世界最高レベルの軍事機密管理下に置かれており、一般の地図を見ても Area-51 や Groom Lake Airforce Base の名称はほとんど出てこない。
(上の写真は、エリア51 の進入限界境界線で記念撮影をするUFOマニア。赤い警告板のところに「これより先に進入すると罰金最高1000ドル、懲役6ヶ月」と書かれていることが読み取れる)

 エリア51 の地図上における正確な位置を知りたい場合は、グーグルマップなどで、緯度と経度の座標「37.271318, -115.800753」を入力して検索すれば、干上がった塩湖 Groom Lake の位置を確認することができ、また地図の画面を航空写真画像に切り替えれば Groom Lake の中にとてつもなく長い滑走路を見ることができるはずだ。
 このエリア51、前述の通り「墜落したUFOから捕獲した宇宙人の死体を米軍が保管している」といった噂が絶えないことから、宇宙人マニア、UFOマニア、軍事マニアらにとって、この基地の探求は永遠のテーマとなっている。

 レイチェル(Rachel)は、ラスベガスから北北西の方向に車で2時間半ほど走った荒野の中にある村の名前。前述の進入限界境界線のすぐ北側に位置しており、住民の数は毎年変動しているものの、おおむね 50~80人とされている。
(この写真の左奥にパラパラと点在するように見える建物などがこの村の集落。道路は ETハイウェー)

 あまりにも目立たない小さな村ではあるが、エリア51 に近いだけでなく、未確認飛行物体に遭遇できる可能性が高いとの噂が定着しており、さらに周辺区域のボートル・スケール(夜空の暗さを示す尺度。この評価値が高いほど星がきれいに見えるとされる)が非常に高いレベルにあることなどから、UFOマニアのみならず、天文マニアなどにとっても知る人ぞ知る絶好の観測スポットとして名高い。

 最後に ETハイウェーについてだが、これはネバダ州の中南部を東西に横切る高速道路375号線のこと。UFOマニアの聖地レイチェルに通じる道ということで、1996年、ネバダ州当局がこの高速道路を正式に Extraterrestrial Highway と命名。(Extraterrestrial の意味は「地球外の」)
 したがって単なる俗称ではなく公認の道路名として、現場には写真のような標識が実際に設置されている。(上の写真の標識内に点々と見える黒い部分は、いたずらによって貼られたシール)

 なお、高速道路といっても、管理上の区分がそのようになっているだけで、構造としては平地を走る片側一車線の道なので、日本の高速道路のような高架道をイメージしてはいけない。それでも「全米一のさびしい高速道路」といわれるほど交通量が少ないため、片側一車線といえども必要十分な規模が保たれており、快適な高速走行が楽しめるようになっている。もちろん有料道路ではない。(写真はETハイウェー上で記念撮影をする UFOマニア)

 さて用語の説明が終わったところで、「エリア51 大集会」に話を戻すと、参加人数も集会の内容もまったく予測ができないというのが現状だ。そもそも言い出した本人が冗談ということなので、何ごともなかったかのように、だれも現場に姿を現さない可能性も否定できないわけだが、1万人ぐらいは集まってしまうのではないかというのが地元メディアなどのもっぱらの予測だ。
 気になる集会の内容も、宇宙人の死体を求めてエリア51 内に強行突入してしまうような過激な行動になるのではないかといった予想から、ミュージック・フェスティバルのような集い、さらにはレイチェルに集まるだけで自然解散になるのでは、といった予測までさまざまだ。
 ちなみに強行突入は、進入限界境界線の脇にある小高い丘の上から常に監視されているので(下の写真の赤い矢印の部分に見える車両)、現実的にはむずかしいと思われるが、数千人単位で突入するのであれば、どうなるかわからない。

 そうこうしているうちにこの Storm Area 51 に便乗する形で、「Alien Stock Festival」と称するイベントを同じ日にレイチェルで開催するという話が出てきたり、前々から計画されていた「Peacestock 51」が同じ日にエリア51の南側に位置する Amargosa Valley という人口約1500人の村で開催されることになっているなど(レイチェルはエリア51の北側)、9月20日のエリア51周辺はかなり騒々しいことになりそうだ。

 どのようなイベントになるのかはだれにも予測がつかない状況ではあるが、確実に言えることは、レイチェル村にはギフトショップやレストランをかねた小さな宿泊施設 Little A’Le’Inn(写真)が一軒あるだけで、他にはなにもないということ。ガソリンスタンドもなければコンビニなどの商店もない。Little A’Le’Inn 以外にはトイレもない。

 したがって、もし行ってみたいということであれば(公共の交通機関がないのでレンタカー利用ということになる)、ガソリン、食料、トイレなどをどのようにするか、そして日帰りではない場合、どのような形で車中泊や野宿をするのか(テントを張るような行為が許されている場所があるのかどうかは未確認だが、周囲は乾燥した広大な荒野)、各自ネットなどで情報を収集し、事前によく検討しておく必要がある。ちなみに客室数わずか10部屋程度の Little A’Le’Inn はすでに満室。
(下の写真内の白く見える建物などがレイチェルのすべてで、Little A’Le’Inn は道路に一番近い部分にある)

 またレイチェルの標高は 1475メートルとかなり高いので、夜の冷え込みが予想され、それなりの寒さ対策も必要だ。ETハイウェーでは携帯電話の電波が入らない可能性もある。
 さらに余計な心配かもしれないが、ケガや急病などの場合の医療施設はまったくないと考えておいたほうがよいので(イベント主催者が簡易の救急施設みたいなものを用意するかどうかは不明)、健康状態に不安がある者は行かないほうがよいだろう。
 以上のことを注意事項としてまとめて書き出すと以下のようになる。もし参加する場合はトラブルに遭遇しないよう、十分に気をつけて行っていただければ幸いだ。

イベント自体が確定的なものではないので、直前までネットなどで確認を怠らないこと。

ラスベガスからレイチェルまでは片道約2時間半。

食料や飲料は十分な量を持っていくこと。

ガソリンは満タンにして出発し、さらに ETハイウェー(375号線)に入る直前の Amamo や Ash Springs で給油をすること。

携帯電話が使えないことも想定しておくべき。

夜間の寒さ対策。

大混雑、大渋滞も想定しておくべき。

車内で使えるような簡易トイレなどの用意。

 最後に余談。当社の計算に間違いがなければ、当日のレイチェルにおける日の入り時刻は 18:43、月の出は 22:43 で、その瞬間の月齢は 21.78日
 したがって天気さえ悪くなければ、20時ごろから月の出まで、月明かりに邪魔されること無く真っ暗な夜空が期待でき、天の川までくっきり見えるほどの満天の星空を観賞できるはずだ。
(ただしヘッドライトなどを付けっぱなしにしている車両が1台でもあったら一気に条件は悪くなってしまう可能性あり)

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コメント(2件)

  1. ひろ より:

    超文明の進んだエイリアンがどうして事故で死ぬような乗り物に乗って地球まで来るのか?普通に考えて乗り物って?あり得ないと思うが?騒がれてるUFOとかはマスコミの金儲けに踊らされてる、幼稚な人達では?

  2. 絵入り庵 より:

    宗教が絡んで他人に迷惑をかけたりするならともかく「他の星にも知的生命体がいるかもしれない」と思うとワクワクしませんか?

    節度を守って楽しむUFOマニアも少なくないと思いますし、そういう人たちまで十把一絡げに「幼稚」と切り捨ててしまう人は「ロマンがないなあ」と思ってしまいます。

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