チャールストン山に革新的なビジターセンターがオープン

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 5月30日、Mount Charleston(チャールストン山)のふもとに、革新的なビジターセンター “Spring Mountains Visitor Gateway” がオープンした。(写真下)

Mount Charleston 初めてラスベガスを訪問する者にとってはどうでもよい場所ではあるが、グランドキャニオン、モニュメントバレー、ザイオン、デスバレーなど著名な大自然観光スポットのすべてを見尽くしたというリピーターにとっては知っておいて損はない場所なのでレポートしてみたい。
(悪天候できれいな写真が撮れなかったため、ビジターセンターの写真以外は、過去のアーカイブ写真を使用)

Mount Charleston  まずはチャールストン山(写真) について。この山は富士山(3776m)とほぼ同じ高さ 3632m を誇る高峰で、周辺地域は冬はスキーリゾート、夏は避暑地として知られる。
 車でアクセス可能な最高地点(157号線の終点)までラスベガスのホテル街から車でわずか 45分ほどの場所にあるため、ラスベガス市民にとっては近郊の憩いの場であることはもちろんのこと、リピーターにとってもカジノ街の喧騒から逃れ一息つきたくなった際の手軽な逃避地になり得るはずだ。

Mount Charleston  ちなみにロッジとレストランがあり、さまざまな登山トレイルの出発点にもなっているその 157号線の終点の標高は 7650フィート(写真)、約2331m。そして 157号線と平行に走りスキーリゾートの駐車場につながる 156号線の終点はさらに高い 2648m。どちらも有料道路ではない。
 富士山の五合目まで行ける有料の富士スバルラインの終点が 2305m であることを考えると、その高度と利便性は注目に値するのではないか。摂氏40度を超える猛暑となるこれからの季節、レンタカー族は避暑地としてぜひ覚えておいて損はないだろう。

Mount Charleston  参考までにラスベガスのホテル街の標高はベラージオ・ホテルがある付近で約640m。
 一般的に気温は 100m 上昇するごとに 0.6 度下がるとされているので、157号線の終点付近(写真上)はホテル街より約10度低い計算になる。ラスベガスの猛暑を体験したことがある者なら、この10度の差のありがたさはよくわかるはずだ。

Mount Charleston  そんなチャールストン山のふもと、正確には 157号線の終点の手前約5マイル(約8km)の標高 2020m の地点にスプリングマウンテンズ・ビジター・ゲートウェーはオープンした。
 名称にチャールストンが含まれていないのは、この山がある一帯の山脈の名称が Spring Mountains だからだ。

Mount Charleston  では通常のビジターセンターとどこがどのようにちがうのか。
 きつい批評になってしまうが、実は「革新的」というのは、利用者から見た印象や感想ではなく、運営側もしくはデザインや設計をした側の理論で、つまり利用者から見た感じでは、実質的な部分において他の大自然観光スポットのビジターセンターと特に大きなちがいは見受けられない。
 ちなみにその運営側とは、ラスベガス市やネバダ州ではなく US Forest Service という自然環境を管理する国の機関で、建設費は当初の予算では 1000万ドル(約12億5000万円)程度だったものが、実際にはその倍前後の金額がつぎ込まれたといわれており、その建設費のおもな財源は、同じく国の機関 Bureau of Land Management が管理するラスベガス周辺の国有地の売却益とされる。

Mount Charleston  それだけの予算を注ぎ込んだだけあって、たしかに他とはちがう部分は多々あるわけだが、それは太陽光利用や窓の開閉がコンピューター制御など、さまざまな部分で採用されている高度なエコ設備や(上の写真は床下に設置されている装置)、斬新かつ奇抜なデザインといった部分で、利用者としては特にありがたいことでもなければ便利でもない。
 建設会社やデザイナーの名前は公表されているが、実際にいくら払われたのか、そしてその金額が妥当だったのかどうか、ラスベガス市民が払った税金ではないとはいえ、なんともお役所仕事的な無駄づかいの感は否めずスッキリしない。

Mount Charleston  酷評ばかりでは読者も足を運ぶ気にならないだろうが、エコ設計やデザインといった部分以外のビジターセンターとしての基本的な要素、つまり展示や資料などはそれなりにきちんとしているので、この施設のすべてを否定的に考える必要はない。
 動物、植物、昆虫から微生物、さらには地質、気候、そして原住民族の文化まで、この地に関わる広範な分野を網羅する形で各種資料がわかりやすく展示されており、そういった部分は評価してよいのではないか。

Mount Charleston  せっかくなので見どころをあえてひとつ紹介しておくと、それはメインの施設の窓。(写真)
 展示スペースから受付カウンターに沿ったスペースの天井付近にあるその窓ガラスには、動物や植物などの絵が描かれているが、普通に見ると透明なガラスの表面が曇りガラス状になっているだけで色はまったく無い。
 ところがフロアに用意されている背丈ほどの高さの偏光グラスを通してみると、なんと鮮やかなカラーの絵になって見えるからおもしろい。(上の写真内のカラフルに見える部分が裸眼だと無色)

Mount Charleston  あまり行く気にならない紹介になってしまったかもしれないが、この地域に行くこと自体、これからの季節は下界に比べてすがすがしく気持ちが良いので、この施設の内容にかかわらず、ぜひ 157号線の終点までドライブがてら行っていただきたい。
ログハウス風のロッジとレストランがあるだけだが、景色を見ながら食事をする(写真上)だけでも十分楽しめるはずだ。
 下界のラスベガスは砂漠地帯で植物などはほとんど存在しないが、ここは針葉樹林帯なので、ネバダ州としては珍しく緑を楽しめる場所となっている。
 なお、もし時間と脚力があったら、片道1時間、標高差約300m のトレイルを歩いて Cathedral Rock という巨岩(写真下)の頂上まで登ってみるとよいだろう。約2625mから眺める景色は絶景だ。

Mount Charleston  ホテル街からレンタカーでの行き方は、高速15号線の北行きに乗ってダウンタウンのジャンクションから 95号線の北行きに入り、あとはひたすらその道を進んで、住宅街が終わって荒野になった付近で現れる 157号線に左折する形で入る。(ここまでホテル街から約30分)
 あとはその 157号線を10分ほど走ると、このたび新設されたラウンドアバウト(信号機のない円形の交差点)に差しかかるので、その左手が Spring Mountains Visitor Gateway。入館料も駐車場も無料。
 見学したあとは、来た道をさらにそのまま5分ほど走ると標高 2331m の終点。

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