ランチメニューが全品 $5 の不思議な激安レストラン

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 卒業旅行シーズンまっ盛り。最近の学生は豊になったのか、それともフリーターやニートの増加で社会人のほうが貧しくなったからか、「貧乏学生」という言葉をあまり耳にしなくなったが、それでも一部の御曹司を除けば、やはり学生は相対的に貧しいはず。

 一方、昨今のラスベガスはゴージャス路線まっしぐらで、ホテルやショーの料金の高騰はもちろんのこと、レストランもカリスマシェフ系の高級店が幅を利かせるなど、庶民的な店は減るばかり。
 もちろんモールなどのフードコートに行けばファーストフード店が軒を並べているので、なんとか安く食事を済ませることは可能だが、ここはラスベガス、どこを見ても華やかでゴージャスな雰囲気が漂っているだけに、毎日ファーストフードばかりではみじめな気分になってきたりもする。せっかくのラスベガス旅行、少しはまともな店で食べてみたくなるものだが、だからといって予算には限りがある。

 そんな境遇の学生たちにおすすめなレストランがあるので紹介してみたい。
 店の名前は OCEAN ONE。最近オープンしたというわけではなく、かなり前から存在している知る人ぞ知る不思議な店だ。

 何が不思議か。それは激安すぎて、どうやって経営が成り立っているのか不思議なほど安いのと、その他にもいくつか不思議な部分があるからだ。

 まずはその激安な価格設定について。なんと驚きの「ランチ全品一律 5ドル」というから恐れいる。
 デフレ気味の日本のファミリーレストランなどと比べると、飛び抜けて安いという印象はないかもしれないが、ラスベガスのホテル街の相場を知っている者にとっては衝撃的な価格設定のはずだ。
 ちなみに、この店の各種料理と同等なものをホテル街のレストランで食べるとすれば 15~20ドル、郊外の平凡な店でも 8~10ドルはする。そもそもマクドナルドなどのファーストフード店でもセットメニューのほとんどは 5ドルを下らないので、いかにこの店が激安か想像できよう。

 多くの人はここまでの話を聞いて、「安かろう悪かろうで、料理のレベルもその程度なんだろう」などと思っているにちがいないが、そんなことはない。7種類の料理を食べてみた限りでは、一般のレストランと比べても特に大きな遜色はない。(それら料理の写真はこのページの一番下に掲載)

 「内装とか雰囲気が安っぽいに違いない」、「ナイフやフォークは使い捨てで、セルフサービスだろう」、「立地条件が悪いのでは」などとも思いたくなるが、それらもすべて不正解。

 スポーツバーに勝るとも劣らない映像設備で(上の写真のグリーンに光っている部分など)、どの席からもスポーツ観戦ができるようになっており、またテーブルクロスもペーパーではあるものの、客ごとに毎回きちんと敷き替えてくれる(クロスの意味は布ではあるが、使い捨てのペーパーのほうがむしろ清潔かも)。
 テーブル全体を覆うその大きな紙のコストを考えると、「全品一律5ドル」では申しわけない気持ちになってしまったりもする。
 ナイフやフォークはきちんとした金属製で、さらにそれらは布製のナプキンに包まれた状態で出されるから本格的だ。
 もちろん各テーブルに担当ウェイターが付くのでセルフサービスではない。

 立地条件に至っては、ホテル街のド真ん中と言っても過言ではないプラネットハリウッドホテルに隣接するモール「ミラクルマイル」の中。
 さらにこの店の入口の前は「Rainstorm Show」という無料アトラクションが行われる人の往来が多い場所。家賃の高さは想像に難くない。

 「高い価格設定のアルコール類などで利益を出しているのではないか」とも思いたくもなるが、それはまったくの逆で、ビールは激安の 3ドル。
 ホテル街のレストランにおけるビールの平均的な価格は 7ドル前後なので、これまた驚異的な良心価格といってよいだろう。

 以上のような良心的な条件で超低価格を維持できているのはまさに不思議だが、この店には他にも不思議な部分がある。
 ここまでに何度も「全品一律5ドル」と書いてきたが、それはすべてランチタイムの話。なんと朝食のほうが高いというから驚きだ。

 朝食の料金は、入口に掲示されている看板(写真)の通り「Starting at $5.99」となっているので、最低でも$5.99。ちなみにディナーは「Starting at $9.99」
 なお、この写真を見て「おや、ランチは 5ドルではなくて 4.99ドル?」と思った読者も多いに違いない。
 電光掲示のパネル(2枚上の写真)では「All Lunch Items $5」となっているので、そう思うのも無理はないが、とにかく実際の伝票は $4.99 だったので、この看板が正しいことになる。
 いずれにせよ、朝食のほうが高いというのは、世間の一般常識からしたら大いに不思議だ。

 まだ不思議なことがある。すでに「ビールは3ドル」と書いたが、バドワイザー、クアーズ、ミラーといったアメリカの一般的な国産ビールも、ハイネケン、ギネス、ニューキャッスル、アムステルライトなどの海外ブランドも、すべて3ドルになっているからなんとも不思議だ。
 通常は、たとえアメリカ国内でのライセンス生産だとしても、海外ブランドのビールは高めの価格設定にするのが飲食業界の常識で、これは極めて異常といってよい。
 さらに言うならば、コーラ、コーヒー、アイスティーなどのソフトドリンクも、ビールとわずか 1セントしか違わない $2.99。このような、ソフトドリンクとビールがほぼ同じ値段という店は、これまでに聞いたことがない。

 まだある。コーヒーが $2.99 であるにもかかわらず、エスプレッソは $2.00。通常エスプレッソのほうが高いのではないか。
 何もかもが安いと思っていると、水(ボトル)はなんとビールよりも高い $3.50。(コップの水は無料)。それでも通常のレストランよりは安い。
 ではココア(Hot Chocolate)の値段はいくらかというと、なんと、料理よりも 1セント高い $5.00。
 ワインは「3杯 10ドル」で 1杯の価格設定はない。カクテルも同様に 3杯 10ドル。
 ティラミス、チーズケーキ、クレームブリュレなどのデザート類は、これまた料理よりも高い $5.99。もはやこの店の価格設定はわけがわからない。

 いずれにせよ不思議なことだらけではあるが、激安であることに変わりはないので、利用者にとっては大いにけっこうなこと。
 ちなみにこの店は全国規模のチエーン店とかではなく、ラスベガス以外にはフロリダ州に1軒あるだけ。したがって規模的なメリットで利益を出しているわけではなさそうだ。朝と夜のメニューで利益を出し、昼はボランティア的な出血大サービスということか。

 最後に一番不思議なこと。それは、これだけの良心価格、決して低くないレベルの料理、そして絶好の立地条件であるにもかかわらず、ランチタイムも含めて決して混んでいないということ。つまりほとんどの場合、並ばずに入店できる。
 ちなみにランチタイムは 11:30am から 5:00pm まで。
 メニューは以下の公式サイトを参照していただきたい。(実際の現場のメニューとは多少異なっている部分もある)

【公式サイトのメニュー】

 支払いはテーブルに着席したままで行う。ウェイターがクレジットカード読み取り装置付きのスマートフォンを持ってくるので、その画面にチップの額を選択して(18% とか 20% とかのボタンがある)、同じ画面内に指で署名する。

 場所は前述の通り、プラネットハリウッドのホテルに隣接するショッピングモール「ミラクルマイル」の中。通路が円を描くようになっているので、カジノからこのモール内に入って右回りに4分の1周ほど進んだ場所に無料アトラクション「Rainstorm Show」の池があり(写真下)、この店はそのすぐ手前。

 以下は、実際に食べてみた料理の写真。きれいに撮影できていないので美味しそうには見えないかもしれないが、どれも十分満足できるレベルのものだった。

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コメント(3件)

  1. 小網祐二 より:

    アリーナなどのライブ情報知りたいです。

  2. Takashi より:

    めっちゃ混んでた
    急に認知度が上がったのかな?
    40分待ちでした

  3. しんのすけ より:

    Todai buffet のあった所かな?
    もう10年以上経つし、大分様変わりしてそう

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