長すぎるホテル名「ストラトスフィア」を「ストラット」に

Stratosphere — 日本人にとっては意味も発音もわかりづらいこの難解な単語(意味は成層圏)、アメリカ人にとってもやっかいな単語のようだ。

 というのも、ラスベガスで最も高い建造物とされる Stratosphere Tower(写真上)と、それをシンボルとするカジノホテルが、その名称を以下のように変更するのだという。

【旧】 Stratosphere Hotel, Casino & Tower

【新】 STRAT Hotel, Casino and Skypod

 変更の理由は、長い名称を簡潔にしたいとのこと。2月1日に発表され、すでにテレビ宣伝などを通じて名称変更を告知している。(下の写真は、刷新された正面玄関)

 ラスベガスのカジノホテルにおいて名前を変えることは決して珍しいことではない。
 たとえば、古くはアラジンがプラネットハリウッドに、インペリアルパレスがリンクに、バーバリーコーストがクロムウェルに、そして最近ではモンテカルロがパークMGMに名称変更している。
 ただしどのケースにおいても、まったく異なる名前への変更であり、以前の名称を踏襲した変更ではない。

 長い名前は顧客に覚えてもらう際に不利になるばかりか、実務的にも不便であり、短くすることは大いにけっこうなことではあるが、12文字だった元の名前の最初の5文字だけを採用といった今回のような変更は非常に珍しいのではないか。

 正式名称にしろ愛称にしろ、短縮化する場合、長い名前の中のイニシャルなどを採用するのが一般的だ。
 たとえばホテル業界ではないが、Procter & Gamble の P&G や、International Business Machines の IBM などはその典型といってよいだろう。
 ラスベガスのホテルでいえば、Treasure Island が通名として TI を名乗っており、この種のイニシャルによる表現にはぜんぜん違和感がない。

 では今回の Strat は異常で、改名としては失敗なのかというと、そうでもないような気がする。
 Stratosphere を、たとえば ST や STP にするよりはよっぽど良いのではないか。
 短すぎるとアイデンティティーが定着しづらいのであまり良くない。Strat の意味がどうであれ、ST や STP よりは印象的で覚えてもらいやすいだろう。

 意味といえば、辞書で簡単に調べてみた限りでは、Strat という単語は存在しないようなので、Stratosphere を短くしてみたという以外に、特に意味やニュアンスなどはなさそうだ。
 ただ、a を付け加えた Strata という単語は実在しており(ゴルフボールのブランドにも採用されている)、その意味は「層」で、発音は「ストレイタ」。

 そこで念のため、このホテルの新名称 Strat の発音は「ストレイト」なのか「ストラト」なのか「ストラット」なのか現場でたずねてみたところ、多くのスタッフは「ストラット」(実際はトのあとに母音はない)と発音していた。
 したがって、日本の旅行ガイドブックなどにおけるカタカナ表記は、たぶん「ストラット」もしくは「ストラト」になると思われる。

 さて、話を「名前は短いほうがいい」に戻すと、ラスベガスには短い名前のホテルがいくつかある。
 たとえば3文字であれば RioSLS。Rio はリオデジャネイロやリオのカーニバルをイメージでき、アイデンティティーがしっかり伝わって来るが、SLS ではまったくなんのことだかわからず、良い名前とは言い難い。
 前述の TI は短いものの、トレジャーアイランドという正式名称の存在が自然に感じられて違和感はない。つまり2~3文字の短い名前でも、良い名前と悪い名前がある。

 ではもっと短い場合はどうか。驚くことに、ラスベガスには1文字だけのホテルがある。ダウンタウンにある「D Hotel」と、ストリップ地区の南方にある「M Resort」だ。
 異論もあるだろうが、これほど短いと、どう考えてもて良い名前とは思えない。Stratosphere が「S」を名乗ると言い出したら、だれも賛同しないのではないか。

 あれこれ書いてきたが、とにかく Stratosphere は Strat になる。
 とりあえずその新名称には納得するとして、気になるのはストラトスフィアタワーの名称だ。なぜか現場を取材しても、これがまだハッキリしていない。

 ホテル全体の正式なフルネームに含まれている Skypod は、タワーの上部にある展望施設(レストランやアトラクション施設が存在。写真下)の名称とのこと。ではタワーそのものの名称は何になるのか。
 「Skypod はタワー全体の名称でもある」との噂もあるが、現場スタッフに聞いてみると、そんなことは決まっていないようだ。

 いずれにせよ現時点においては、タワー全体を Strat Tower とは呼んでいないことだけはたしかで、遅かれ早かれ決まることになると思われるが、Skypod がそのままタワー全体の名前になることは考えにくい。
 というのも、pod には「小さな容器」のようなニュアンスがあるので、タワー全体を意味する名称としては視覚的にも形状的にも違和感があるからだ。
(下の写真はカジノ内に掲示してある館内マップ。SKYPOD ENTRANCE という文字が読み取れる)

 タワー上部の施設とタワー全体は、実際の利用においては同一と考えても何ら差し支えないので(タワー本体の細長い部分には何の施設もなく利用されていないため)、タワー全体も含めて Skypod にしてしまっても現場的には何の不便も混乱もなさそうだが、このタワーはこのホテルだけのものではない。
 ベガス全体におけるランドマーク的な存在になっているので、たとえば、一般の市民生活の場において「そのレストランはストラトスフィアタワーの東側1キロほどの場所です」などといった表現で使われることもあり、タワーの新たな名称が、小さな容器というイメージが強い Skypod では、響きが悪いというか、どうにもしっくり来ない。

 Strat Tower が一番無難のように思えるが、はたしてタワーの名称はどうなることやら。いずれにせよ、ホテル名が Strat になったことと、タワー上部の施設が Skypod と呼ばれるようになったことだけをお伝えして今週は終わりとしたい。

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