リンク・プロムナードのジップライン「FLY LINQ」

 今週は、昨年11月にリンク・プロムナード(LINQ Promenade)にオープンしたジップライン「FLY LINQ」を紹介してみたい。

 まず最初に、いま登場した3つの単語について説明しておくと、リンク・プロムナードとは、シーザーズ社が運営主体となってマーケティングしている商店街で、西端はストリップ大通りに接しており、東端には世界最大の観覧車がある。
 位置としては、同社が運営するカジノホテル「フラミンゴ」と「リンク」の間で全長は約400メートル。

 ジップラインとは、落差のある2地点を結んだワイヤーに、滑車を組み込んだ器具を使って身体をつなぎ、一気に滑り降りるというアトラクションで、FLY LINQ は、リンク・プロムナードにこのたび設置されたジップラインの固有名詞。
(下の写真は、このジップラインのスタート台から終点方向を見たところ。右に見える建物がフラミンゴ、左がリンク)

 FLY LINQ のスペックは、公表されている数値ではなく実測値で、全長約320メートル(水平距離ではなく傾斜を含めた滑空部分の長さ)、スタート地点の高さ約43メートル、到着地点の高さ約17メートル、落差26メートル、平均斜度4.7度、10レーン、滑空時間は体重や風にもよるが約40秒前後。(下の写真は、ストリップ大通り側から見たスタート台)

 体験してみての感想としては、ジップライン自体が初めてという人には十分に楽しめるが、すでにダウンタウンのジップラインの長いほうを体験している人にとっては、物足りなさを感じるかもしれない。理由は、この FLY LINQ は全長が320メートルしかないのと、外界の環境のちがいだ。

 ちなみにダウンタウンのジップラインには全長が約500メートルのコースと約250メートルのコースがあり、どちらも環境は電飾アーケード内。
 つまり、頭上にはラスベガスのアトラクションを代表するカラフルな電飾による演出があり、下界には多くの人であふれかえる雑踏というなんともユニークな環境。(下の写真は到着地点)

 一方、この FLY LINQ の頭上には何もなく、下界も単なる商店街。さらに FLY LINQ は到着地点が十分に低くないことから、全行程において地上からの高さが総じて高く、結果として下界の人との距離が離れており、「見られている感」が少ない。
 ダウンタウンのジップラインは、後半部分がかなり低い位置を滑空するようになっているため、雑踏の人々の頭上スレスレを飛ぶような感じになり(実際にはスレスレというほど低くはないが)、下からの視線のみならず、実際に声をかけられたり、また逆に下に向かって叫んだりするなど、滑空そのもの以外の楽しみもある。
(FLY LINQ でも下界の人たちとのコンタクトがまったくないわけではないが、ダウンタウンと比べるとその可能性や頻度は低い)

 ネガティブな指摘はそのへんにして、「ダウンタウンまで行くのがめんどくさい」という人のために、このジップラインを体験するための手順を書いておくと、チケット売り場は、ストリップ大通り側からプロムナードに入ってすぐ右側にある。(写真上)
 公式サイト www.caesars.com/linq/fly-linq で事前に買うこともできるが、週末の夜以外は並ぶほど混雑することはまずないようなので(現場スタッフの話)、売り切れの心配という意味での事前購入の必要はなさそうだ。
 ただし事前購入には割引があったりもするので、わずかな価格差を気にする場合はそれもよいが、悪天候や強風による中止のときの返金手続きなどを考えると、当日券でよいような気もする。
 体重が 27kg~136kg、身長が40インチ(約101cm)以上という条件を満たしていない者は体験できない。

 料金は昼と夜、さらに平日と週末など混雑状況によって多少変動するようだが、「Seated」と呼ばれるイスに座るような姿勢での滑空が $25~$40、「Super Hero」(通常「スーパーマン・スタイル」と呼ばれているが、固有名詞の使用を避けるためにあえてこの名称に)と呼ばれる腹を下にした水平姿勢での滑空が $30~$45。
 この姿勢による料金の違いは、装着する器具が異なるためで、Super Hero のほうが装着に時間がかかる上、器具の数も多い。ちなみに装着は現場スタッフがやってくれるので自分でやる必要はない。(下の写真は Super Hero 用の装備)

 乗り場へのアクセス方法は、リンクホテルのカジノ内のスタート台に近い位置にエレベーターがあるので(下の写真)、それを使ってスタート台へ向かう。
 現場に到着したからといってすぐに体験することはできない。それは、「事故にあっても訴えたりしません」といった書類への同意だ。書類といっても実際に印刷された紙ではなく、タブレットPCのような画面に自分の名前を打ち込み、同意の意思表示として指や専用ペンで署名する。
 この同意書がとんでもなく長く、また現時点では英語版のみとのことで、日本語などは用意されていない。英語が得意かどうかにかかわらず、こんなに長い同意書を全部まともに読んでいる人などだれもいない様子で、ほとんどすべての人が読まずに署名しているのが現状。

 署名を終えて施設の最上段に上がると、いよいよ器具の装着。そして、すべての持ち物を専用バッグに入れて、そのバッグはスタッフが背中に取り付けてくれる。
 財布やスマホなどはもちろんのこと、コインやカメラのメモリーカードのような小物までもすべて専用バッグ内に入れなければならない。どんなに小さな物でも途中で落下した場合、下界の人にケガをさせてしまう恐れがあるからだ。
 なお、メガネは、「景色を楽しみたいので外したくない」と言えば、専用のヒモを用意してくれるので、それを装着して顔から落ちないようにする。

 すべての準備ができてスタート台に向かう途中で記念撮影がある。撮影は3ショット。これは到着地点で写真を販売して収益につなげようという戦略であることは言うまでもないが、もちろん購入は強制ではない。
 「写真を買わされるぐらいであれば、自分で撮影したい」という者もいそうだが、残念ながらスマホもカメラも背中に装着されたバッグの中。
 というわけで記念写真がほしい者はここで撮影してもらうしかない。気になるその写真の値段は1枚 $35、3枚 $40。

 最後に感じたこととして、とにかくスタッフが多いこと、そして安全面においてハード的にも運営面でも非常に厳格になっているということが、いい悪いは別にして、印象に残った。
 開業直後にちょっとした事故(落下とかではなく、身体の一部を装置にぶつけるような事故)があったことも影響しているのか、一つ一つのステップにおいて各スタッフによる厳重な安全確認と、装置としての安全扉や、作業中の落下防止のワイヤーの装着など、非常に細かな部分まで配慮されている。
 安全にいくら手間を掛けてもそれ自体は大いに良いことではあるが、あまりにも過剰だと、採算性が心配になってくる。
 これほど大掛かりな設備を造ってしまったからには、すぐに閉鎖ということもないだろうが、現時点における客の数とスタッフの数を考えると、採算が取れていないことはほぼ間違いないところで、長期的な健全運営という意味では心配がないわけではない。現在集客があまりパッとしていないのは、寒い真冬という季節要因もありそうだが、いずれにせよ一年を通じて採算が取れるようになることを祈るばかりだ。

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