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【ホテルの裏情報】 宿泊客には知られたくない、カジノへ誘導するためのカラクリ。

 ラスベガスのホテルはどこのホテルも基本的には1階がカジノになっている。
 このカジノの存在こそがホテル経営の重要なカギとなっており、その結果、ラスベガスのホテルには他の都市のホテルでは見られないユニークな特徴が隠されている。

(写真は「すべての銘柄のビールを無料で提供しています」という宣伝広告)

 ホテル経営の根底にある大原則は「宿泊客であろうが飛び込みの通行人であろうが、できるだけ多くの人に、できるだけ長い時間カジノで遊んでもらうこと」につきる。

 この目標を達成するためには、宿泊客に対してはなるべく部屋の中にいる時間を短くしてもらい 1階のカジノフロアまで降りてきてもらうことであり、飛び込みの通行人に対してはできるだけ来てもらいやすい環境を整えることがカギとなる。
 この戦略に基づいたラスベガスのカジノホテルの
ウラ情報を列挙すると以下のようになる。

【 宿泊客をカジノで遊ばせるための手段 】

チェックインカウンターから客室までは、必ずカジノ内を歩かなければ行けないように設計する。(パークMGMホテルなど例外もあるが、それは極めて珍しい存在)

時間のことなど気にせずに、心ゆくまでゆっくりカジノで遊んでもらうため、カジノ内はもちろんのこと、フロントデスクの壁などにも時計を置かない。(実際に、ラスベガスのカジノホテルで、フロントデスクに時計があるホテルを見たことがない)

客室内にミニバー(冷蔵庫)を置かない。つまり、ビールなどを飲みたくなった場合は 1階のカジノまで降りて来てもらう。
 とにかく客室内での居心地を悪くし、1階カジノフロアでのサービスを良くする。(最近はこれが非常に不評なため、ベラージオ、ベネチアンなど、上級クラスのホテルには冷蔵庫が置かれるようになってきている。その代わり、冷蔵庫内のドリンクは非常に高い価格設定になっていることが多い)

同様な理由から、例外ホテルを除き、コーヒーメーカーなども客室内に置かない。

 どこの都市のホテルでも、景色が良い最上階などに高級レストランを配置するのが常識だが、ラスベガスのカジノホテルにおける最上階はカジノの上客のためのスイートルームで、レストランはカジノフロアと同じ1階に集中させる。それにより、カジノフロアでの人の交通量を増やすことができると同時に、レストランの入店待ちの間にカジノでおカネを落としてもらいやすくなる。
(マンダレイベイ、リオ、パームス、そしてダウンタウンのビニオンズ・アパッチだけは例外的に最上階にレストランがある)

客室内のテレビにあまり楽しい映画などの館内有線番組を流したりしない。

新婚カップルなどが夜景を眺めながらゆっくりと部屋でくつろがれては困るので、どんなに窓からの景色が美しい部屋でもバルコニーなどを設置しない。窓も開かないようにしておく。
 なお、これに対して、「バルコニーがないのはギャンブルで負けた人の自殺防止のため」という者もいるが、ホテル側のホンネはカジノフロアに降りてきてもらうためだ。
 その証拠に、ピラミッド型ホテルとして知られるルクソールでは廊下からいくらでも飛び降り自殺が可能となっているばかりか、各ホテルの立体駐車場における外周の手すりなどは非常に低く、飛び降り自殺に対してなんの配慮もなされていないのが現状。
 また、窓が開かないようになっていることに対しても同様に「自殺防止のため」という者がいるが、本当の理由は全自動窓拭機にあるとされている。窓を開けっ放しにされると窓拭き作業ができないからだ。そもそも、窓を開けっ放しにされると空調の電気代もかさみ、ホテル側にとっていいことは何もない。
 他の都市のホテルがそうなっていないのは、ホテル自体が古く窓拭き作業が全自動になっていなかったり、バルコニーがあるため全自動で窓拭きができないから。
 その証拠にラスベガスでも全自動機が設置されていない古いホテルでは窓が開くようになっている。
 なお例外的にダウンタウンのプラザホテルにはバルコニーがある。またコスモポリタンホテルにおいても多くの部屋にバルコニーが設置されているが、これには特殊な事情がある。
 それは、当初の予定ではホテルではなく高層コンドミニアム(日本でいうところの高層タワーマンション)として建設され、完成後、リーマン・ショックによる不況で分譲販売が思うように進まず、結局ホテルとして運営されることになったからだ。

部屋で一杯飲みたくなった客に対してルームサービスを躊躇させるために、ルームサービスの料金を高目に設定したり、ルームサービスの案内をあまり積極的には行なわないようにする。その分、カジノフロアでの飲み代はタダにしている。(ただしタダといっても、カジノをプレーしていない者はタダでは飲めない。また、プレーしていても、カクテルガールへのチップは必要)

ルームサービスで朝食を取らせないためにあまり詳しいメニューなどを部屋に置かない。その分、食べ放題形式のバフェィの値段を安くする(最近はかなり値上がりしてきているが)。もちろんバフェィはカジノフロアに配置する。

もし宿泊客が朝食などにおいてルームサービスを利用した場合、極力早く配達するようにし、客室内滞在時間を短くする。

他の都市の高級ホテルでは当たり前となっている客室への朝刊の無料配布は原則として行わない。行なうとしても、あらかじめリクエストのあった客だけに対して行う。(読むのに時間がかかる新聞の存在はラスベガスのカジノホテルにとって大敵)

フロントロビーにソファーを置かない。置いたとしても豪華なものではなく、また数も必要最小限にとどめる。カジノホテルにとって、ロビーは長居をしてもらう場所ではないからだ。
 たとえば、ロビーで待ち合わせをしていた者が、その予定時間よりも早く現場へ到着した場合、ソファーがあるとそのままそこで待つことになるが、ソファーがなければカジノで時間をつぶすことになる。

携帯電話がなかった時代の名残ともいえるが、部屋からの外線電話は、1階カジノフロアにある公衆電話よりもかなり高目の料金に設定する。
 また、本来は無料であるはずの「800番通話」(着信者払いのフリーダイヤル)も部屋からかける場合は 1ドル程度のサービス料を取る。

ファックスがメジャーなビジネスツールだった時代の話ではあるが、ビジネスマンなどの宿泊客あてに外部の者から届いたファックスは原則として部屋には配達せず、カジノ周辺に設けた「ビジネスセンター」と称する場所まで取りに来てもらう。

ナイトショーなどの劇場の出入口はカジノの中心部に設ける。もしくは劇場へ通じる通路をカジノと直結させる。

カジノ初心者でもギャンブルをしたくなるように、カジノゲームの楽しさを説いたカジノレッスン番組を客室内の館内テレビで流す。
 ただし、あまりそれをやりすぎると客室内での滞在時間が長くなってしまい逆効果のため、放送はほどほどにし、「無料カジノレッスン講座」なるものをカジノフロアにて開催する。

各客室内に貴重品をしまうための金庫を設け、フロントロビーのセーフティーボックスはなるべく使わせないようにする。
 なぜなら、多くの利用者が「フロントロビーのセーフティーボックスは出したり入れたりする手続きがめんどくさい」と考えており、フロントロビーのセーフティーボックスを使わせてしまうと、一度預けた現金を再び引き出してカジノで使ってもらえる可能性が低くなるからだ。

チェックインはともかく、チェックアウトという事務作業は極力なくすようにする。チェックアウトのために宿泊客をフロントロビーの前に並ばせるぐらいであれば、少しでもカジノで遊んでもらったほうがよい。
 したがって、客室内のテレビを使った「ビデオ・チェックアウト」、もしくは 1階のエレベーター前などに設けられたドロップボックスにルームキーをドロップするだけの「スピードチェックアウト」を利用してもらうようにする(精算は自動的にクレジットカードになされ、必要であれば明細書を後日郵便で送ってもらうことも可能)。
 なお近年は、チェックインも全自動で行えるように、ロビーに端末機を設置しているホテルが増えてきている。

これは全部のカジノホテルで実行されているわけではないが、浴室はリラックスできるバスタブを設置するよりも、短時間で終わるシャワールームにする。仮に、長時間リラックスしようとは思っていない客でも、バスタブの場合は湯が浴槽内に溜まるまでに数分かかり、ひとり当たりの平均入浴時間が確実に数分伸びてしまう。
 たかが数分といえども、数千部屋もある巨大ホテルにとっては毎日延べ 1万分以上の時間差となり、年間では延べ数百万分(5万時間以上)もの差が生じてしまう。

 ちなみに、モンテカルロホテルは、パークMGMに名称変更して再デビューする際、客室内の浴室のバスタブをすべて取り払い、シャワーブースだけの浴室にリフォームした。今後も多くのホテルがリフォームの際にバスタブをなくすことが予想されている。

【 外部からの客を呼び込むための手段 】

多少の経費がかかることは覚悟の上で、無料アトラクションなどをおこなう。

カジノでのプレー中の飲み物はすべて無料にする。(最近、有料化するカジノも増えてきているが、原則は無料。なお、無料の場合でもチップは必要)

人気のレストランや人気のナイトショーの会場へはカジノを通らなければ行けないように配置する。

これはカジノ以外の業界でも見られる集客手段だが、プレーヤーズカード(航空会社のマイレージカードや、家電量販店や百貨店などのポイントカードと同じようなもの)を発行し、固定客を引き止める努力をする。

 以上のようにラスベガスのホテルには数々のワナや仕掛けがあるわけだが、もちろんすべて周到な分析に基づくマーケティングによるものだ。

 なお、カジノで負けた者はしばしば「ホテル側は何かイカサマをしている」などと考えがちだが、今日のラスベガスのカジノにおいて、ホテル側が客に対してイカサマを行うようなことは断じてありえない。
 そのようなことが少しでも存在しようものならそのホテルは存続できなくなるし(ただでさえホテル間の競争が激しいこのご時世、イカサマの噂など少しでも出ようものならすぐさまSNSなどで広がり、客足が遠のき倒産してしまう)、今のラスベガスの繁栄もない。

 そのようなたぐいのことが唯一あり得るとしたら、ホテルの従業員が(カジノのディーラーなどが)自分の家族や友人に対して不正に多く払い戻したりするいわゆる「従業員 対 ホテル側」のイカサマであり、いずれにせよ「従業員 対 一般利用客」のイカサマはあり得ないので安心してよい。
 そもそも従業員が一般客にイカサマを働いても何の得にもならない。むしろ勝ってハッピーになってもらって、チップを多くはずんでもらったほうがよっぽど得になる。

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