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【リゾートフィー】 「聞いていない!」では済まされない悪名高き追加料金の実態。

 リゾート・フィーとは、そのまま訳せば「リゾートの料金」ということになるが、実態はリゾートという言葉とはほとんど関係ない料金体系と考えたほうがよいだろう。

 2008年ごろからラスベガスのホテル業界の間で急に広まってしまった悪名高い慣習で、宿泊料金とはまったく別に徴収されるいわば追加料金のようなものだ。

 もちろんだれもが無くなることを願っているが、残念ながら 2019年現在、広まることはあっても、無くなる気配はまったく見られない。

 では「このリゾートフィーとは、なんのための料金か?」ということになるが、ホテル側の説明では、インターネット回線使用料、フィットネス施設の使用料、市内通話かけ放題サービス、毎朝部屋に配達される新聞代、部屋に置かれているミネラルウォーター1本か2本、ビジネスセンターでのコピー機とプリンターの使用料 などで(各ホテルによって多少の違いはあるが、ほぼこれに近い内容)、それらサービスを利用するしないにかかわらず、一方的に徴収される。
 つまり、「これらの使用料をすべて無料にしてあげるから、その代わりにリゾート・フィーというカタチで一括徴収させてくださいね」といった感じの追加料金だ。

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 本来であれば、新聞、電話、コピー機などの実費は、利用する者が個別に負担すべきで、それを利用するしないにかかわらず全員から一律徴収とは、なんとも不可解で納得しがたい。
 新聞もミネラルウォーターも館内の売店で買えば1ドルか2ドル。また、だれもがスマートフォンを持つ今の時代に、客室内の固定電話からの市内通話かけ放題など、だれもありがたいと思わない。そもそも大多数の観光客にとって、長電話をするほどの話し相手がラスベガス市内にいない。コピー機やプリンターなど、だれが使うというのか。

 ひどい話はそれだけではない。利用者が最も憤慨しているのは、毎日徴収される ということ。
 つまりリゾート・フィーは 1回の滞在に対して 1回の徴収ではなく、滞在期間中は毎日課金される。
 3泊したら3回、4泊したら4回だ。コピー機やプリンターを、来る日も来る日も毎日使う人がいるというのか。ビジネス出張族でもまずいないだろう。

 さらに悪いことに、このリゾートフィー自体にも税金が課せられる。(2019年7月時点におけるストリップ地区のホテル税の税率は 13.38%、ダウンタウン地区は 13.00%

 また、課金のタイミングも何やらいかがわしい。はじめから「宿泊料金」に含めてしまえばいいものを、わざわざ名称を変え別扱いにしているばかりか、徴収のタイミングをずらすことにより、意図的に予約時にこの料金の存在を意識させないようにしている。
 航空会社の燃料調整金などよりもはるかに陰湿で、このリゾート・フィーは、オンライン予約などでの予約時にクレジットカードから引き落とされる宿泊料金や税金とはあえて別のタイミング、つまりホテル到着後のチェックインの際に徴収されるのでタチが悪い。
 宿泊予約をしてから徴収までの流れを具体的に示すと、こんな感じになる。

「持ち物などの旅行の準備は完了! ホテルの予約も、その代金の支払いもすべて完了。さぁ出発だ!」 と、意気揚々と家を出て、現地のホテルに到着したとたんに受付のスタッフから追加料金の存在を告げられ意気消沈。
「何よそれ? そんなの聞いてない! えぇ~新聞配達とコピー機使用のサービス? そんなものいらないよぉ~! でも払わないと泊まれないの? じゃぁ払うよ $30 なら、ま、いっか…。えぇー、1泊ごとに毎日課金されるの? あり得なぁ~い!」 といった感じになる。

 これがリゾートフィーの現実だ。ちなみに、各ホテルの公式サイトの予約画面などにおいて、このリゾートフィーのことは極めて小さな文字で見えにくく表示されていることが多く、意図的に客をだまそうとしていることは明らかで、批判の声があとを絶たない。

 実際に現場スタッフの話によると、「宿泊料金はすでに払ってある。そんな料金の存在は聞いていない。払いたくない!」といったトラブルが多く、「毎日くり返されるこの種のやり取りには本当にフラストレーションが溜まる」(MGM系ホテルのチェックインカウンターのスタッフ)とのこと。利用者ばかりか現場での評判も良くないようだ。

 このリゾートフィー、違法ではないとのことだが、企業倫理が問われる不明朗な料金システムであることはまちがいなく、しばしば論争になっている。
 それでもあえて導入しているのは、在ラスベガスのほぼすべてのホテルが導入しているため、経営側から見れば、
「みんなでやれば怖くない」といった安心感が働き、もはや撤廃する気などまったくないようだ。

 この悪しき習慣はラスベガス独自のものなのかというと、そうでもない。リゾートという言葉のイメージからか、ビジネス用途が多いロサンゼルスやニューヨークなど大都市のホテルにおいてはあまり見られないものの、ハワイやフロリダなどでは少なからず存在している。
 それでもラスベガスでは主要ホテルのほぼすべてがこのシステムを導入していることを考えると、「ラスベガス独自のもの」とは言えないまでも、「ラスベガス名物」といってよいのではないか。

 ではなぜそんな悪名高いリゾートフィーを各ホテルはあえて導入しているのか。追加料金が必要なら、宿泊料金をそのぶん高く設定すれば済むはずだ。
 実は導入の背景には各ホテル間の激しい競争がある。ようするに見かけの宿泊料金をライバルホテルよりも安く見せたいというわけだ。

 たとえば Aホテルが宿泊料金を100ドルに設定して宣伝していたとする。そこにライバルの Bホテルが90ドルで対抗。Aホテルとしては80ドルにしたいところだが、それでは利益が出ない。
 ならば
「宿泊料金 80ドル!」と大きく表示しておいて、小さな文字で「リゾートフィー10ドル。予約時の今は不要です。ご到着後に徴収させて頂きます」としておけば、多くの利用者はリゾートフィーを見落とすので、ライバルに客を奪われることなく売上を確保できる。
 もしそこで Bホテルがさらに同様な作戦に出て、「宿泊料金 70ドル、リゾートフィー20ドル」などとしてきたら競争は泥沼だ。実際にそんなバカげた競争が起こっている。
 このような競争が繰り返えされてきたために、はじめのころ(2008年前後)は数ドルだったリゾートフィーが、いつのまにかエスカレートし、今では 25ドル以上が当たり前の時代になってしまった。

 ちなみに 2012年ごろまでは、このリゾートフィーに強く反対する善良なホテルも存在していた。したがってその頃はビジネス・スタンスとして 3つの陣営に分かれていた。導入派反対派、そして静観しながら成り行きを見守っていた慎重派だ。

 MGM系列のホテルは導入派で、リゾート・フィーによる収入増を期待。逆に、一時期導入していたシーザーズ系列のホテルは方針を転換し、「導入しているホテルは消費者からそっぽを向かれ、いずれ廃止することになるだろう」との読みで、反対派に転じた。
 当然のことながら利用者からは喝采をあびた。ウィン、コスモポリタン、そしてダウンタウン地区のホテルなどは慎重派で、しばらく事態を静観していた。

 その反対派に転じたシーザーズ系列の行動は、いま思えば笑ってしまう。導入反対運動の急先鋒となり、「当ホテルは悪質なリゾートフィーなど徴収しません!」とばかりに、導入しているホテルを徹底的に批判する比較広告を出すことになったのである。
(上の写真は 2012年当時のシーザーズパレスの公式サイトにおける反リゾート・フィーのキャンペーン画面。下の写真は同ホテルの当時のフェイスブック画面)

 そしてウィンやコスモポリタンもそれに続き、「当ホテルは悪質なリゾートフィーなど徴収しません!」を全面的にアピールすることになった。

 ところが今はどうか。導入に反対していたすべてのホテルが手のひらを返すように導入派に転じている。
 反対派ホテルは、反対していた当時、消費者からの支持こそ得ていたものの、実際の予約画面などでは宿泊料金が高く見えてしまうため、客は確実に導入派に流れ経営を圧迫。
 結果的に、「正直者が損をする」といったことが実証され、「利益の確保」という企業の至上命題としては敗北を認めざるをえない状況になり、あえなく導入派に転じてしまったのである。

 つまりこの流れは、料金表示において、「宿泊費 $100 + 小さな文字で リゾート・フィー $25」と表記するのと、単純に「宿泊費 $125」と表記するのでは、前者のほうにより多くの消費者が集まり、後者の方法を採用したホテルは損をする、という大いなる実験の決着を見たことになる。

 そのようなわけで、今ではストリップ地区において一般の日本人観光客が泊まるような主要カジノホテルでリゾート・フィーを導入していないホテルはもはや皆無に近い。
 カッコ悪いこととわかっていても、「みんなでやれば恐くない。もはや、やめるにやめられない」というのが現状のようだ。

 ではなぜ名の通った一流ホテルがこんな見苦しいことをやっているのか。見かけの宿泊料金を安く見せたい気持ちはわかるが、ライバルホテルも同じことをやっているのであれば、効果は薄いようにも思える。
 実は、リゾート・フィーをやめられない最大の理由が別の部分にあった。そのカギを握るのは、ライバルホテルとの料金比較が容易なエクスペディアなどの予約サイトの存在 だ。

 そのサイト内での請求料金、つまり予約時にそのサイトで課金するのは「宿泊料金と税金だけ」にして(つまりリゾートフィーは請求しない)、リゾートフィーの金額を高く、宿泊料金を低く設定することにより、利用者が宿泊料金の安い順に並べ替えた際、ライバルホテルよりも上位に表示させることができる。

 たとえば、利用者にとってのトータルの料金負担(税抜き)が同じ $100 の場合でも、「宿泊料金 $90、リゾート・フィー $10」に設定しているAホテルよりも、「宿泊料金 $80、リゾート・フィー $20」に設定しているBホテルのほうが上位に表示され露出度が高まるというわけだ。
 それに気づいた Aホテルは「$70、$30」に設定し直したくなるし、場合によってはCホテルが「$60、$40」で新たに参入してくるかもしれない。結局こうしてリゾート・フィーの値上げ合戦は終わりを見ないことになる。

 リゾート・フィーが予約サイト内で徴収されずに、ホテルに到着してから徴収されるようになっている理由もそこにある。なぜなら、もし予約サイト内で徴収されるべき料金ということにすると、エクスペディアなどが徴収しなければならず、その場合エクスペディアは道義的にリゾートフィーを含んだ合計金額順で並べ替える必要が生じてしまい、それだとホテル側が期待する効果がなくなってしまうからだ。

 このようなリゾート・フィーの習慣がいかに馬鹿げているか。グルメサイトとレストランの関係にたとえてみるとわかりやすい。
 たとえば、料理そのものの代金以外に、エアコン代、割りばし代、紙ナプキン代を合わせて「店内使用料」と称する項目を設けて、1000円で売りたいランチ定食を、A店は「ランチ定食 900円、店内使用料 100円」、B店は「800円、200円」、C店は「700円、300円」のように料金設定した場合、「食べログ」などでは C店が「一番安い店」として紹介されやすくなり、店内使用料の値上げ合戦が始まるというわけだ。

 もうひとつ、ホテル側としてはリゾートフィーをやめたくない理由がある。それはホテル側が、エクスペディアなどのホテル予約サイトに対して支払うコミッション計算に関する部分だ。
 各ホテルは、自社の公式サイトで客室を販売すれば、宿泊費の全額が売上となるが、ホテル予約サイトを経由して客室を販売した場合、ホテル側はそのホテル予約サイトに対してコミッションを払う必要がある。
 その際のコミッション額の計算は「宿泊費の15~18%」というのが一般的な相場で、この「宿泊費」には「リゾートフィー」を含まないことになっているので(そもそもリゾートフィーに関しては、予約サイトがその徴収に関わらない)、「宿泊費 $140、リゾートフィー $10」とするよりも「宿泊費 $120、リゾートフィー $30」と設定したほうが、支払いコミッションを節約できるというわけだ。これではリゾートフィーが無くならないどころか、どんどん高くなっているのも無理はない。 

 ではそのリゾートフィーは現在どの程度の水準にあるのか。参考までに実際の予約画面を見てみよう。
 ちなみにこの画像は、ウィン・ラスベガスの 2019年7月10日の宿泊予約をする際の、同ホテルの公式サイトの画面キャプチャーだ。

 Subtotal という部分がいわゆる宿泊料金で(2泊以上を予約した場合、それぞれの日の宿泊料金の合計がここに表示されるので Subtotal という言葉が使われているが、この例では 7月10日の1泊だけ)、それが $199
 それに13.38%のホテル税が $26.63($199 x 0.1338)、そしてリゾートフィーが$45、さらにそのリゾートフィーに対するホテル税が$6.02($45 x 0.1338)、その追加金の合計が $77.65 で、Total と表示されている最終的な支払総額は $276.65 になる。

 しかし、この合計額のすべてを今この段階で請求するようなことはしないとのことで、そのことが、合計額の下のほうに小さく「リゾートフィー $45 とそれに対する税金($6.02)はホテルにチェックインの際に徴収します」と書かれている。
 つまり、わざわざその合計の $51.02 はこの予約の段階では請求せずに、結局ここでは $225.63 だけを請求。

 わざわざリゾートフィーとその税だけは、別のタイミングで徴収することによって、宿泊費とは切り離された存在の費用のように見せかけたいわけだが、現実問題としては宿泊費を$45 高く設定していることとなんら変わらず、実に見え見えのバカバカしい猿芝居をやっていることがわかる。

 ちなみにこのホテル(ウィン)の場合、リゾート・フィーの内訳は、バレーパーキング無料、インターネット接続無料、フィットネスセンター入場許可、客室内の電話からの市内通話・市外通話無料、デジタル版の新聞の閲覧無料、ナイトクラブの優先入場、となっており、インターネット接続以外は、ほとんどの人にとってはどうでもいいものばかりで、いかにこのリゾートフィーが「リゾート」の名を借りた事実上の宿泊料金の上乗せであるかがよくわかる。

 長くなってしまったが、リゾートフィーの内容や導入のいきさつに関してはわかってもらえたと思う。一日でも早く廃止されることを切に祈るばかりだ。

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