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ミスターベガスが分析する ベガスのナイトクラブ業界

人気のナイトクラブへ入店することは簡単ではない。また、簡単に入店するためには最低でも数百ドルの出費が必要だ。
その出費がイヤであれば、1時間も2時間も列に並ばされることになる。たとえ店内がガラガラにすいていてもだ。

【一般知識】
 そのへんのシステムや裏事情に関しては、このページの後半を参照していただくとして、まずは最近エスカレートしてきている「テーブル料金」(現場では Table Reservation と呼ばれることが多い)の高騰およびそれに伴う注意、それと超人気店と、そこそこ人気店における長所・短所について書いてみたい。
(不人気店はすぐに淘汰され閉店に追い込まれるので、ここでの話題からは除外)

 超人気店でのテーブル料金の相場が高騰している。一昔前まではテーブル料金自体が存在していないか、もしくは存在していても 500ドル程度までだったが、今では「1000ドルは当たり前、5000ドル以上も珍しくない」といった状況だ。
 もちろんテーブルを買わなくても入店そのものはできるし、「銀座の高級クラブなどでもその程度の出費は普通」と言われてしまえばそれまでだが、一般庶民の金銭感覚からかけ離れた数字であることだけはたしかだろう。

 また驚くべきことに、その料金の高さだけではなく、売れ行きもすごいというから恐れ入る。
 超人気店では全テーブルがすぐに完売になるばかりか、数週間先まで売り切れになるようだ。
 まるで日本のバブル時代を彷彿させる現象だが、とにかくそれだけ高い買い物なので、後悔しないように十分研究してから買って欲しい。
 また、店内ではそれなりの英会話力が必要になるので(ボトルのオーダーばかりか、担当ホステスがひっきりなしにサービスしてくれるので常に会話が必要)、ある程度自信がある者以外は、テーブル買いには手を出さないほうがよいかもしれない。
 店内は大音量のサウンドが響き渡っており、ただでさえ相手が言っていることを聞き取るのがむずかしい状況。さらにチップの渡し方など、ある程度スマートな振る舞いも求められる。

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 せっかくの高価な買い物も、現場スタッフとの意思の疎通ができなければ楽しさは半減、いや激減してしまうので、日本からのクラブ初心者は、とりあえず並ぶことを覚悟でテーブル無しでの入店をおすすめしたい。もしくは、くわしい者と一緒に行くようにしたほうがよいだろう。

 次に超人気店と、そこそこ人気店について。両者の差はいろいろな部分で影響が出て来るわけだが、なにがなんでも超人気店のほうがよいとは限らないので、自分の状況や目的に応じてうまく使い分けるようにしたい。
 たとえば、テーブル料金などは当然のことながら超人気店のほうが高く、そこそこ人気店は安い。待ち時間は前者が長く、後者は短い。
 ゆっくりくつろげないほど店内がごった返しているのは超人気店で見られる傾向で、またトイレが行列だったり、ビール1本買うのに時間がかかったりするのも超人気店に見られるマイナス要因だ。

 ということで、「どうしても超人気店の熱狂ぶりを見てみたい」という場合は別にして、「ラスベガスのナイトクラブを時間的にも料金的にも軽い負担でサラリと体験してみたい」という者はそこそこ人気店で十分だろう。

 さて気になる具体的な店名だが、超人気店はとりあえず現時点では Hakkasan、OMINIA、Marquee が人気御三家で、それに TAO、Drai’s、XS などが続くといった感じか。それ以外のクラブが、そこそこ人気店と考えればよいだろう。
(上記の各店の所在ホテルは順番に、MGMグランド、シーザーズパレス、コスモポリタン、ベネチアン、クロムウェル、ウィン)

以下は実際の利用の際に必要な知識や情報。

【入店方法】
 超人気店では、行ったその場ですぐに入場できるということはまずあり得ないと考えたほうがよい。とにかく長時間待たされる。それは、内部が混雑しているからではなく(もちろん混雑していれば待たされるが)、待たすことが営業上の重要な戦略となっているからだ。人気店になればなるほど、混んでいようがいまいが客を待たせる傾向にある。

 ようするに、長蛇の列になったほうが人気があるように見えるばかりか、客にとっても、すぐに入れた時よりも、2時間待って入れた時のほうが喜びやありがたみが大きく、店の価値も上がるという図式だ。
 そんな理由から、意図的に行列が長くなる戦略が取られているようにも見えるわけだが、人によっては、その待つことも興奮を盛り上げるための楽しみのひとつだという。

 では全員が2時間待たされるのかというと、そんなことはない。待ち時間の長さは、客のカテゴリーによって大きく異なる。
 差別がすぐに裁判沙汰になるアメリカにおいて、こんなルールがまかり通っていること自体、不思議ではあるが、入店の順番は入口の担当者の気分次第ということも少くない(最近は減ってきているが)。
 たとえば「イケている女性はすぐに入れるが、汚い格好をした男は2時間待ち」などといったことが当たり前のように行なわれていた。いや、今でも多かれ少なかれ、そういう傾向は確実に存在している。

 そんなバカな、と思う者は実際に現場に行ってみるとよい。「女性専用の列」、「一般の列」、「VIP用の列」、「テーブル予約者」などといった差別的とも思われる看板が立っていることに驚かされるはずだ。
 慣れない者にとっては納得しがたいシステムかもしれないが、それがラスベガスのナイトクラブビジネスの現実だと思って従うしかない。
 超人気店での週末の待ち時間は「一般客」で約2時間といったところか。
 待たずにすぐに入れる、つまり一番早く入れるのが「セレブと一緒」、もしくは「セレブや誰かの紹介」として予約を入れてある者、そして「その店のVIPリストに登録されている客」、「テーブル予約者」、「イケている女性のグループ」などだが、これについても特に明確な基準があるわけではない。
 かつての日本のディスコ、そして今の日本のクラブにおいても多かれ少なかれこの種の差別化が戦略的に図られているようだが、アメリカのほうがさらにそれが強調され進化しているように思える。

 差別に対するアレルギーが強いアメリカ社会において、大新聞などの大手メディアはこの種のアブナイ話題からは距離をおいているのかと思いきや、ごく当たり前のようにおもしろおかしく書いているところが興味深い。
 たとえば、少々古い記事だが、地元有力紙ラスベガスリビュージャーナルは、ハードロックホテルのクラブ “Body English” を紹介する記事の中で、その待ち時間を「Nanosecond for attractive women, one to two hours for most everybody else.」 とした上で、さらにジョークで「Average normal looking guy, bring a book. Group of average normal looking guys, bring a lunch.」と書いている。
 ようするに、「イケている女性は瞬時に入店できるが、一般の人は1~2時間、平凡な男はもっと待たされるので本やランチでも持っていったほうがよい」ということ。

 もはやこの種の差別的な入店規制は公然と認められている周知の事実で、とにかく一般の者は待たされるという覚悟で行く必要がある。なお、これは人気店だけの話で、人気がなければ入口の前は閑古鳥ということも覚えておこう。ただ、そういう店はすぐに淘汰されるので、そう多くは存在しない。

営業日】
 何曜日にオープンするかも流動的だが、一般的には、週末だけオープンという店が多いように思える。もちろん、平日も含めて営業日を明確にしている店も少なくない。
 それでも、通常は休業のはずの曜日に突然オープンしたりすることもあるので、ラスベガス旅行の直前に、行きたい店の公式サイトなどで営業日を再確認したほうがよいだろう。なお、オープンする時刻は 10:00pm 前後に設定している店が多く、終わりの時間はおおむね朝4時ごろといったところか。

【入場料金】
 これはかなり流動的で、著名DJが来る日は高くなるのはもちろんのこと、客のカテゴリーや曜日などによっても激しく変動する。また、同じ日でも、時間帯によって変ることも珍しくない。
 一般的に、地元民の女性は曜日や時間帯に関係なく無料になることが多い。観光客の女性も無料もしくは割引になることが少なくないが、地元民の男性が無料になることはあまりない。観光客の男性は例外を除き、常に有料と考えたほうがよく、その料金は 30~100ドル程度といったところか(非常に幅があるのが現実)。なお地元民かどうかは運転免許証などの提示で確認する。
 女性を優遇している背景には、それなりの理由がある。それは女性を多く集めないと、男性客が来ないからだ。
 ではなぜ男性客が欲しいのか。女性だけではダメなのか。某店のマネージャーが匿名を条件に打ち明けてくれた話によると、「テーブルを買ってくれるのは常に男性で、そのテーブルの売上げが収益の大部分を成しているから」とのこと。なるほど理由は明快だ。

【テーブル料金】
 テーブル料金とは「すわる権利」のようなもので、すなわちこの「テーブルを買う」という行為をしない限り、店内では立ちっぱなしということになる。(もちろん入店する前も立ちっぱなし)
 空いている席に勝手に座ろうと思っても、髪を短く刈り上げた黒服姿の大男が各席の前で仁王立ちになっているのでそれはできない。
 何百人もの客でごった返している中、長時間まったく座れないというのもつらいもので、だれもがテーブルを買いたくなってしまうわけだが、この料金が飛び抜けて高く、前述の通り 1000ドルなんで当たり前、5000ドル以上もぜんぜん珍しいことではない。
 「たかが座るためだけにそんな大金を払う者がいるのか? 高級フレンチレのディナーより高いではないか!」と思う者はクラブ運営のメカニズムがわかっていない。
 ナイトクラブでは男が女を求め、女はいい男に声をかけられるのを待つ。それがこの世の摂理で、そして男は高級フレンチよりも女を食べたいのである。そのためには何千ドルしようと、男はテーブルが必要なのだ。なぜか?
 テーブルがないと、ナンパしても女が来てくれないからだ。踊って疲れた女たちは、早く座りたいのでテーブルを持っていない男には見向きもしない。
 男がテーブルを買う理由はもう一つある。男も女も、入店するのにかなり待たされることを知っているわけだが(よほどの美人は待つ必要なし)、テーブルを事前に予約していると、たとえ顔や容姿が少々不細工でもすぐに入店できる。
 つまり「テーブル予約してあるんだけど、今夜クラブに行かない?」という誘い文句は不細工な男にとってはとてつもなく強力な武器になり、それは高級フレンチ料理よりも価値があるというわけだ。

 ではその予約方法や料金体系はどうなっているのか。かつてはそれが非常にあいまいというか、意図的にわかりにくくしている部分もあって、その予約の電話番号すら公表していない店もあった。
 つまり誰かの紹介がないと予約できないようにしてあったりするわけだが、それは希少価値を持たせたり、優越感を与えたりするためのマーケティング戦略で、長蛇の列を作ることと一緒になって相乗効果を発揮していた。それでも最近はネットで予約できるようになってきたので、値段の高さはともかく、予約自体の不透明さは少なくなってきているように見受けられる。

 なお、かつて読者から「超人気店の場合、事前にテーブルを予約せずに、入店してから買えるのか?」との質問を受けたことがあるが、テーブルが空いていればそれは可能というのが一般的な見解だ。
 だがそういうケースはあまり現実的ではないと考えたほうがよいかもしれない。なぜなら、超人気店の場合、そもそも空きテーブルが少ないという理由もあるが、「テーブルを買う」という行為は「入店の際に待たされないですむ」という特権を買うことも意味しており、長時間並んでから数千ドルもするテーブルを買うということはその権利の行使を放棄していることになり、一般的にはだれもそういうことはしないからだ。
 もちろん人気がない店で、飛び込みで待たずに入店し、その後すわりたくなってテーブルを買うということはあり得るかもしれない。

 テーブル料金は、曜日、時間帯、人数、位置などによって大きく異なり、かつては明文化されたインフォメーションがほとんど存在しなかったが、最近は公式サイトなどで公表しているケースが増えてきている。

 その気になる料金だが、非常に大ざっぱに言ってしまえば、基本的なテーブルの場合、4人まで 1000~3000ドルといったところか。なおこの料金にはワインやシャンペンの類のボトルが1~2本付いてくることもあれば、付いていない場合もある。つまみ類は、まれに簡単な乾きモノがある店もあるが、原則として食べ物は何もないと考えたほうがよい。
 参考までに、テーブルを持たない入場者(大多数の者)が何かを飲みたくなった場合は、店内にあるバーカウンターに出向いてそのつどビールなどを買うことになるが、その場合の相場はビールで 8~10ドル、カクテルで 15ドル前後といったところか。もちろん立ったまま飲むしかないことは言うまでもない。

【ドレスコード】
 人気店になればなるほどドレスコード、つまり服装にうるさい。といっても、ジャケットが必要というわけではなく、よほどだらしない格好以外は入場可能だ。
 ではなぜドレスコードが必要なのか。実はこれもマーケティング戦略で、いわゆる不良などを入場させない目的と(地元の不良などは、ある程度決まっただらしない格好をしている)、入口の黒服のスタッフが、「キミは入れてあげない!」と入店拒否するための理由を少しでも幅広く持つためと言われている。
 実際に現場取材で、入店拒否された者を何人も見かけたが、その多くは服装よりもシューズを理由に拒否されていたことは興味深い。とにかく不細工な男がスニーカーで入場しようとすると、入店拒否される確率が高いようだ。
 ついでなのでもう一つ入店拒否についてふれておくと、入店の際、ID、つまり写真付きの身分証明の提示が求められる。
 大多数の者にとっては運転免許証だが、海外からの観光客はパスポートということになるので、日本人観光客はパスポートの持参が不可欠だ。
 これは年齢チェックだけでなくセキュリティー上の理由もあるので、若く見えない者も例外なく提示を求められる。
 ちなみに 21才以上が入店の条件だが、ニセモノの運転免許証(アメリカの若者の世界ではごく普通のこと)や兄や姉の運転免許証を持ってくるティーンエイジャーがあとを絶たず、若く見られる者のIDチェックは非常に厳重だ。
 懐中電灯で顔を照らされ、ホクロの位置までも念入りにチェックされたり、また現場スタッフが、運転免許証を曲げたりこすったりしながらニセモノかどうかチェックしている場面は毎日見られる光景だ。

 さて、よく受ける質問に「パスポートはコピーでも大丈夫か?」というのがある。
 自分の顔がブラッドピットやデカプリオと似たようなレベルと思ってる者、パリス・ヒルトンやブリトニー・スピアーズ並みのぶっ飛び系の服に身を包んでいる者などは別だが、一般の者は、コピーでは入れないと考えておいたほうがよい。
 黒服の受付スタッフは絶大なる権限を持っており、また常に機嫌が悪い。せっかく1時間並んで自分の順番が来ても、「コピー? じゃぁ帰ってください、お疲れ様でした!」と言われてしまってはあまりにも悲しい。

【その他】
 とにかくナイトクラブは通常のレストラン経営などとはまったく異なる価値観や経営戦略で運営されている。
 簡単に言ってしまえば、客よりも店のほうが態度が大きいという雰囲気作りだ。
 実際はレストランなどと同様、どこのクラブにおいても「お客様が神様」であることに変りはないわけだが、見かけ上、入店できることに希少価値や優越感を与えるために、「入店させてあげる」、「イヤだったら来なくていい」といった態度で客に接してくる。

 また、たとえ店内がガラガラにすいていても、意図的にある程度並ばせて長時間待たせる戦略が取られるのも、すべてはテーブルを売るためのマーケティングだ。
 つまり、テーブルを買ってくれた人には「並ばなくても入れますよ」という優越感や目に見えるカタチでの特権を与える必要があり、そのためには一般の客が簡単に入店できてしまったのではマズイのである。

 一見バカげたシステムで、これには賛否両論あろうが、とりあえず現時点ではそれでうまく機能しているようだ。
 ただ、そういったシステムやマーケティング戦略が通じているのは超人気店だけで、人気店にならなければその戦略はうまく使えない。
 したがって最近は、クラブの世界も「勝ち組」と「負け組」にハッキリ別れ二極分化する傾向にあるようだ。

 おもしろい話がある。ホテル王・スティーブウィン氏の失敗談だ。古い話になるが、じつは 2005年4月末に開業した豪華ホテル・ウィンラスベガスは、オーナーのウィン氏も積極的に関与したとされるゴージャスなナイトクラブ La Bete を、ホテルの開業とほぼ同時に華々しくオープンさせた。
 しかし人気はサッパリで、3ヶ月も経過しない同年7月、いさぎよく閉鎖を決め、秋には実際に店を閉じてしまった。
 「クラブ運営はホテル運営とはまったく別のノウハウが必要であることがわかった」(ウィン氏)と失敗を認め、数百万ドルかけて内装から運営までを全面的に変更することにした。たしかに客をわざと待たせる戦略など、ホテルマンには理解しがたい異次元のマーケティングだったにちがいない。

 そのような経緯をたどり、La Bete はその名を TRYST に変え、クラブ運営の専門集団(ハリウッドで実績を築いた Victor Drai 氏らのチーム)の手にゆだねられ、その後、活況を呈したわけだが、クラブ運営は極めて特種であることを如実に物語る逸話といってよいだろう。

 クラブはレストランと違い、目に見えるカタチでの商品をほとんど持っていない。実際に売っているものは、せいぜい飲み物ぐらいで、彼らにとって重要な商品は店の雰囲気、つまり完全なソフトだ。
 それはインテリア、DJ、音楽、照明といった物理的に存在するハード的な要素も関係してくるが、大部分は「先週ブリトニースピアーズがやって来た」とか「マドンナが誕生日パーティーをこの店でやった」といったたぐいの無形の付加価値や、客層のレベルや品格、そして入場制限などで創造する希少性や優越感など、ソフト的な要素ばかりだ。
 そこに自分の座席を確保するために数千ドル払うかどうかは個人の価値観だが、現在のような運営方針で活況を呈しているブームがいつまで続くのか、こればかりは専門家でもまったく読めていない。
 いずれ終わってしまうだろうと予想する者もいる反面、男女の出会いが需要の根底にある限りビジネスは長続きする、との見方もある。
 これまでこの街ではカジノとナイトショーがエンターテーメントの中心だったが、不夜城ラスベガスにピッタリの新たな文化としてナイトクラブはすっかり根付いた感がある。
 そんなラスベガスの文化を少しでも体験したいという者は、ぜひ現場に足を運んでみるとよいだろう。

【ナイトクラブとラウンジとディスコ】
 「ナイトクラブはかつてのディスコと同じようなもの」としばしば言われるが、クラブとディスコの違いの定義は極めてあいまいで非常にわかりにくい。
 まぎらわしいのは「ディスコ」だけではない。ディスコ同様、今ではあまり使われなくなってきたが「ラウンジ」という言葉もある。2010年ごろまでのラスベガスには「ナイトクラブ」と呼ばれる店と「ラウンジ」と呼ばれる店が共存しており、両者は極めて酷似していた。
 ちなみにここでいう「ラウンジ」とは、従来の単語が意味するようなラウンジや、だれもがイメージするホテルのロビーにあるようなラウンジではない。
 そのような意味のラウンジと区別するために、あえて「ウルトラ・ラウンジ」と呼ばれたりすることもあったが、一般的には「ラウンジはナイトクラブに比べて規模がやや小さい店」というのが定説だった。
 それでも、この分野の専門家にいわせると、クラブとラウンジの違いは必ずしもそんな簡単なことではなく、サイズや規模というハード的な部分だけでは定義付けられないようだ。
 ラウンジには2時間も3時間もいないのが普通で、クラブのように長時間滞在して深夜2時3時まで遊ぶことはまずない。なので、ちがいは雰囲気などのソフトの部分にあるのかもしれない。
 とはいえ、ナイトクラブには必ず踊るためのフロアがあるが、ラウンジの場合、必ずしもそれがあるとは限らず、ハード的な差異がサイズ以外にまったく存在しないわけではないようだ。
 また、別の要素で定義付けしようとする者もいる。「席が空いていれば座れる場合もある」のがラウンジで、「空いていても一般客は座れない」のがナイトクラブ、という考え方だ。
 参考までに、かつて存在した店などで例をあげるならば、ウィンラスベガスの TRYST はクラブで、LURE はラウンジ、同様に芸能人に人気のパームスでは RAIN がクラブで、GHOST BAR はラウンジ。
 古くからある店でも同様で、たとえばリオの Club RIO と Voo Doo Lounge はその名が示す通り前者がクラブで後者がラウンジということになるわけだが、ちなみにこれら店にはすべてダンスフロアが用意されていた。
 一方、MGMグランドでは、かつて名を馳せたナイトクラブ Studio-54 にはダンスフロアがあるものの、ラウンジ TABU にはそれがなかった。
 「だれでも自由に座れる席」は、上記の店では Voo Doo Lounge に一部存在している以外、ほとんど無いのが現状。
 結局、クラブとラウンジの違いは「規模の差」と考えるのがよいのかもしれない。

 ではディスコとナイトクラブの違いはなにか。日本では「風営法による微妙なちがいがある」といった議論があるようだが、アメリカではそういった話は聞かない。「時代のちがい」、つまり「今はクラブ、昔はディスコ」という話もよく聞く。多様な意見や説があって確固たる定義のようなものはないようだ。

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