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カー

シルクが演じるアジアン・テイストのアクロバットショー。ハイテク舞台装置への投資額はラスベガス No.1 とされており、ステージそのものが宙に浮いたり傾いたりする超驚きの仕掛けには、だれもがビックリ。

会場ホテル: MGMグランド
公演時刻: 7:00pm & 9:30pm
休演曜日: 木曜日 & 金曜日
チケット料金: $80前後から $200 以上まで

概要

 カナダの人気サーカス団シルク・ドゥ・ソレイユによるアクロバットショー。ラスベガスでの同劇団による定期公演ショーとしてはミスティア、オウ、ズーマニティに次ぐ第4作目として 2004年末にデビュー。
 オウが水をテーマとしていることや、KA という語感、さらにはデビュー当時の広告ポスターのデザインに火が多用されていたことなどから、「水の次は火か」と注目を浴びたこともあったが、実際にはエンディングのシーンで見られる花火を除くと、それほど多く火が使われているわけではない。
 また、KA の意味も、古代エジプトで信じられてきた「人間の心に宿るさまざまな魂の総称」とのことで「火」とは特に関係ないようだ。
 であるならば、エジプトがテーマのショーなのかというと、見ている限りそうでもなく、むしろ衣装などは「アジアを意識した」(コスチュームデザイナーの弁)とのことだけはあって、エジプトよりも中国などを連想させる場面が随所で見られる。

 宣伝などでは、「双子の少年と少女の冒険旅行」というストーリーが強調されているが、実際にはミュージカルのように明確なストーリーの存在を意識しながら観るショーではない。
 シルク側もストーリーの存在を強調する一方で、「アクロバット、マーシャルアーツ、マルチメディア、花火などで “Nature of Duality” を表現した」と説明しており、ストーリー性のある物語よりも、基本的にはサーカスやアクロバット的なショーと位置付けているようだ。
 事実その Nature of Duality という難解な言葉が象徴するように、実際にショーを観た限りでは、そのストーリーも主張も極めて抽象的で、観る者ひとり一人が自由に解釈すればよいといった感じの内容に仕上がっている。
 もちろん原則として役者がしゃべるシーンはなく(これは、世界中の者が言語の違いを超えて楽しめることを信条とする同劇団のポリシー)、そういった部分においても一般のミュージカルとは明らかに一線を画した別モノと考えるべきだろう。

舞台設備

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 そのようなわけで基本的にはサーカスやアクロバットとして楽しめばよいわけだが、このショーはとにかく舞台設備がすごい。
 ステージの一部が上下する劇場は昔からどこにでもあるが、ステージ全体が上下するどころか、それが斜めになったり宙に浮き上がったり、さらには回転したり垂直に立ってしまったりするのは、世界広しといえどもここだけではないだろうか。制作費がオウのそれを遙かに上回る1億5000万ドル以上といわれていることからも、その舞台設備のすごさがうかがえる。
 「垂直になるステージ」と表現しても、それがどのようなものなのか、そしてどのようなプロセスを経てそのような状態になるのか、さらには役者はどうやってその垂直の舞台面に張り付いていられるのか、想像してもなかなかイメージできないだろうから、ここで説明しておきたいところだが、それは観てからのお楽しみということにしたい。

チケット料金について

 初期投資が巨額なためか、チケット料金もそれなりに高い。それでも集客という意味での需給バランスがオウに比べてそれほどタイトではないのか、オウよりもやや安めの価格設定になっている。特に、一番安いセクションの料金が、ほぼ常時100ドル以下になっているところがオウとちがうところ。
 とはいえ、近年のチケット価格は、季節、曜日、時間帯など、さまざまな要素から人工知能(AI)が需要と供給のバランスを予測しながら決める傾向にあり、固定的なものではないが、おおむね次のような価格設定になっている。(この例では座席セクション別の価格帯が6段階になっているが、日によってはAIが7段階に分けていることもある)

$70、$100、$130、$150、$180、$230。
(実際にはもっと細かく変動するので、こんなピッタリの数字ではない)

 売れ残りを減らし、主催者側の利益が最大になるよう、AIがその日ごとの適正価格を決めているわけだが、ここに示した「チケット料金」だけを払えば買えるというわけではないので注意が必要だ。
 ラスベガスでは、どのショーにおいても、そのチケット価格に上乗せされる形で 9% の Live Entertainment Tax(通称 LET)と呼ばれるいわゆる興行税が課せられ(そのかわり消費税は課せられない)、さらにシルク・ドゥ・ソレイユの場合、1枚ごとに $18 ほどの Service Charge と称されるチケット販売手数料(これには消費税が加算される。2018年時点におけるラスベガスの消費税率は 8.25%)も加わるので、最終的な金額はチケット価格よりもかなり高くなってしまう。
 税金はともかく、販売手数料は買う側としては、気分のいいものではないので、やめてもらいたいものだが、ショーの主催者とチケットを販売する会社が別々になっていることなどから、公式サイトで買っても販売会社の高度なシステムを使うことになり販売手数料が発生してしまうため、こればかりは避けて通れないのが現状だ。

ショーの内容

 話はショーの内容に戻って、とにかくこのショーは、技術的な部分において、ソフトではなくハードの主張が強く感じられる特異な存在だ。
 つまりその技術は、舞台設備に秘められたメカトロニクスの結晶となって現れており、最近流行のコンピューターのソフト技術を駆使した音、光、映像などに頼りがちなハイテク演出とはひと味も二味も違っている。
 もちろんこのショーでもソフト的な技術はたくさん使われているが、機械工学のエンジニアがコンピュータープログラマーから主導権を奪い取ったような演出が随所に見られ、ショー本来の原点に帰ったようで観ていて気持がいい。
 観ているほうは気持ちがよくても、「垂直ステージ」などで演じなければならない役者のリスクを考えると、のんきな気持ちではいられない。ステージ下の奈落が想像を絶するほど深く、そんな環境で激しく動き回る役者は常に死の危険と隣り合わせだ。(実際に 2013年6月29日、公演中に死亡事故が発生している)

 メカ重視で音楽などには力を入れていないというわけではないだろうが、オリジナルの音楽はミスティアやオウのほうが完成度が高く、役者の動きなどもミスティアやオウのほうがまさっているように思えるが、それは気のせいか。
 もっとも、変則なステージという危険な環境を考えると、動きに制約があるのは当然のことで、ミスティアやオウと同類のアクロバットを期待すること自体に無理があるのかもしれない。
 結局は好みの問題ということになってしまうが、他のシルク・ドゥ・ソレイユのショーとの違いやコンセプトを大ざっぱに表現するならば、「前衛的なサーカスショーのミスティア」、「華麗なる水上ショーのオウ」、「メカトロニクスとアクロバットの融合の KA」、「無法的エロスを追求するズーマニティー」といったところか。(ビートルズLOVE と マイケル・ジャクソン・ワン は、ビートルズとマイケル・ジャクソンという明確なテーマがあるのでコンセプトを説明するまでもない)
 したがって、華麗さを求めるならばオウ、サーカスの技を観たければミスティアということになり、このKAはどのような人に支持されるのか今ひとつわからない部分もあるが、それはそれで謎めいていて良いのかもしれない。

 ところでこのショーに日本のバトントワリングの第一人者・高橋典子さんが出演している。世界バトントワリング選手権ゴールドメダリストという輝かしい実績を持つ彼女は、いわゆる「その他大勢」ではなく、準主役的な立場で登場しているからすごい。同じ日本人としてうれしい限りだ。ちなみに彼女は 2011年4月、公演中にアキレス腱を負傷するという事故に遭遇してしまったが、数ヶ月の療養の後、見事にカンバックしている。今後のますますの活躍を期待したい。

 なおこれは余談だが、幕が開く直前にアナウンスされる「撮影禁止、携帯電話禁止、喫煙禁止」の告知方法が、この劇団らしく非常におもしろい。ピエロのような役者が、カメラや携帯電話を持っている観客からそれらを取り上げて、ステージの奥で燃えている火の中に投げ込んでしまったり、タバコを吸っている客をステージの上に引っ張り上げ、そのまま奈落の底に突き落としてしまう。もちろんそれらはすべてサクラを利用しての演技だが、なんともこの劇団らしい愉快な演出だ。

会場

 会場は MGMグランド内の KAシアター。広いホテルだが、場所はカジノ内の案内表示にしたがって進めばすぐにわかる。
 そのシアターの脇には公式ギフトショップが併設されており、ショーで使われる衣装やマスクなど、さまざまな商品を買うことができるようになっているので、シルクファンはぜひ立ち寄ってみるとよい。
 オウのシアターと違い2階席は存在せず、すべての座席フロアが同じ平面内に位置しているため、座席セクションの違いによる視野の違いはそれほど大きくない。したがって予算に限りがある場合は、あまり無理して高い席にする必要もないだろう。もちろんステージに近い席の方が迫力があることは言うまでもないので、とことんこのショーの良さを楽しみたい者は、やはり高い席にしておいたほうががよいかもしれない。

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