ブルーマン・グループ

顔を青く塗った役者が、奇抜かつコミカルなショーを演じる。内容はドタバタ劇的な要素が多いが、決して動きが早いわけではなく、役者がしゃべることも絶対にない。だれもが驚くエンディングは、もはやこのショーのトレードマーク的な存在。

会場ホテル: ルクソール
公演時刻: 4:00pm、7:00pm、9:30pm
休演曜日: 休演曜日なし
チケット料金: ●$65前後から

 ニューヨーク、シカゴ、ボストン、さらにはトロントやベルリン、そして 2007年から 2012年までは東京でも行なわれたことがある非常にユニークなコミカルショー。
 元祖はニューヨークだが、規模的にはここラスベガスの会場が一番大きく、他都市の会場を圧倒している。
 ちなみに 2000年2月に始まったこのラスベガス公演は当初ルクソールホテルで行われていたが、2005年10月から場所をベネシアンホテルに移し、さらに 2012年10月、モンテカルロホテル(現在のパークMGM)に引っ越し、そして 2015年11月から古巣のルクソールに戻った。

 ショーの特徴はタイトル通り「青い男」で、頭部を真っ青に塗った3人の役者が表情を変えずに無言のまま黙々と楽器演奏やコミカルなパフォーマンスを演じる。
 「もし顔が青くなければ単なるドタバタ劇」と言われかねない微妙な内容で、マスコミなどから「出来の悪い二流ショー」と評されることもあるのは事実だが、そう簡単に低く評価できないところがこのショーの不思議なところで、酷評する者もいるが、絶賛する者も少なくない。
 このラスベガス大全もかつては酷評派だったが、観る回数を重ねるごとに印象は変ってきており、今では好意的なスタンスで毎回鑑賞している。

 口に入れた食べ物を吐き出したり、ペンキを散乱させステージを汚したりする場面はたしかにドタバタ劇そのものだが、奇抜な発想に基づく演出が多いためか、バカバカしさの中にも洗練された何かが感じられる。
 たとえば水道管をつないで作ったような管楽器の演奏などは単純に楽しめるばかりか、音色も演奏テクニックもなかなかのもので、観ている者を飽きさせない。

 そしてこのショーのクライマックスはなんといっても最後の部分で、それはもはや単なるドタバタ劇の域を通り越した「前衛芸術的な大騒動」といった感じのエンディングだ。
 この部分こそが、酷評派からターゲットにされがちな悪名高きふざけたパフォーマンスではあるが、どんなにバカバカしいことでも徹底的にやれば奇想天外な芸術になってしまう典型といってもよい演出で、とにかく会場全体が突然とんでもない状態になるこのエンディングにはだれもが度肝を抜かれることだろう。
(ただし、デビュー当時のルクソールの会場よりも、同じルクソールでも別に存在する小さな会場に移っているため、スペース的な制限があるのか、現在のエンディングは「以前ほどの豪快な派手さを失ってしまった」との意見が少なくない)

 詳しく書いてしまうとこのショーを観る楽しみが減ってしまうので、これ以上の説明はあえて避けるが、観客も一緒になって盛り上がるこの部分こそがこのショーのすべてといっても過言ではない。

 さて、日本人観光客にとって気になる英語力の必要性に関してだが、最初から最後まで 3人の役者は一言もしゃべらないので、そういう意味ではまったく英語力を必要としない。
 ただ、役者がしゃべる代わりにステージの両側に電光表示で文字が流れたり、コミカルなメッセージが書かれたボードなどがステージ上に持ち出されたりする場面があるので、ヒヤリングは不要でも多少の読解力はあったほうがよいかもしれない。

 それでもコメディーショー、モノマネショー、ミュージカルなどと比べれば英語力の必要性は無いに等しく、老若男女だれもが楽しめるはずだ。
 特に子供にとっては「顔が青い」というだけで盛り上がれるので、そういう意味では「ラスベガスでは数少ない子連れファミリーも楽しめるショー」といってよいだろう。

 このショーを観る際の最大の注意ポイントはステージからの距離。いくら安いからといっても、あまり遠い席で観るのは賢明ではない。
 理由は、文字を読むような演出が少なからず存在していることもさることながら(文字は決して大きくない)、わずか3人の役者によるショーのため、観るべき部分の視野角が総じて狭く(ステージの端から端までを見るわけではない)、遠くからでは何をやっているのか認識しづらいからだ。

 だからといって、最前列から3列目ぐらいまでは、演出で使われる塗料などが飛び散って来るので(ちなみにそれらの席は “Poncho 席” と呼ばれており、その席の客にはビニール製の雨ガッパが配布される)、それがいやな者はそこも避ける必要がある。
 結局、「なるべく前の方で、極端にステージに近くない席」という認識でチケットを買えばよいだろう。

 かなりロングランであるばかりか日本でも公演していたこともあり、すでに観たことがあるという人も多いと思われるが、数年おきにニューアルされているので、「もう観たからいいや!」とは思わないほうがよいだろう。

 途中の部分における見どころもいくつか紹介しておきたい。印象的なのは、あえて世相を反映させたかったのか、スマートフォンによる風刺的な演出で、「あれ?」、「なぜ?」と思わせる場面が何度もあり、コメディーマジックのようでなかなかおもしろい。
 ちなみにスマホといっても縦2メートル、横1メートルほどある大画面で、これが3台登場し、その3台を絶妙に使いまわしながら、日ごろだれもが体験するスマホでのトラブルなどを、とぼけたブルーマンたちが再現する。
 その他では、パロディー化した人間の脳や、自動車製造ロボットとブルーマンたちとのやり取り、さらにハイテク機器を多用した奇抜な仕掛けなどに注目したい。

 以上のように、多くは新しい演出に置き換わっているが、変わっていない部分も少なくない。
 カラフルな絵の具を飛び散らかしながらの打楽器の演奏や、食べ物を投げたり口から吐き出したりの悪ふざけなどがそれだが、「残してくれてよかった。これがなかったらブルーマンじゃない」と思わせてくれる場面がある反面、「もうそれはいいよ」と思いたくなる低俗なドタバタ劇もあったりするので、すでに観たことがある者にとっては、評価が分かれるかもしれない。

 それでもやはりラストシーンだけは観ておきたいと思うのがブルーマンファンの心情というもの。
 意外性や驚きの度合いはこれまでのバージョンと比べてやや縮小しているように思えるが、良い意味でのバカバカしさはそれなりにしっかり残っているので、予算が許す限り観ておいたほうがよいだろう。

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