リオのバフェィ、Carnival World と Villeage Seafood が合体

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 11月12日、リオ・ホテル内にある2つの人気バフェィ Carnival World BuffetVilleage Seafood Buffet が合体し、ひとつの店として営業を開始した。
(ラスベガスにおけるバフェィの存在理由や発祥の経緯などに関しては [基本情報]セクション内の [バフェィ] のページを参照のこと)

 現状の説明の前に、これまでの両店について簡単にふれておきたい。
 ラスベガスのカジノホテルにおいては、ごく一部の例外ホテルを除き、必ずといってよいほど館内に食べ放題形式の店 Buffet (発音はバフェィ)がある。
 つまりこれが存在していないホテルは極めて珍しいわけだが、同一ホテル内に2軒あるホテルはもっと珍しい。たぶんこのリオだけだろう。(バフェィではない通常のレストランが週末の朝などに食べ放題をやることは、どこのホテルでもたまに見られる)
 客室数的にはごく標準サイズのこのホテルが本格的なバフェィを2軒も運営していた背景には、食に対するこだわりと自負があったものと思われる。
 というのも 1990年代、このホテルの全盛期、どこのホテルよりも飲食部門に力を入れており、レストランの内容も数も他のホテルを圧倒していた。「グルメのリオ」と呼ばれるほど注目され、レストラン評価などで名高いあのザガット(ZAGAT)の 1997年のラスベガス・ホテル総合部門で堂々第1位に選ばれたほどだ。

 そんな勢いに乗る同ホテルが満を持してオープンさせたのが Carnival World Buffet で、「ギャンブラーの空腹を早く安く満たせれば内容などは二の次」といった感じの当時のバフェィの概念を覆す画期的な店として大いに注目された。
 今でこそ珍しくなくなったいわゆるカーニバル形式、つまり料理のジャンル別にセクションを設けたり、客の目の前で調理するライブ・クッキングなどを本格的に導入したのもこの店で、今日のラスベガスのバフェィ文化を築いたパイオニアといっても過言ではないだろう。
 圧倒的な人気を誇ったそのバフェィの成功で自信を得たリオは、さらなる上を目指すことになり、そこで誕生したのが Villeage Seafood Buffet だ。
 食べ放題の店としては異例の食材ともいえるロブスター、カニ、生ガキなどを惜しみなく提供。当時としては前例のない高級路線が話題となり、これまた大ヒット。連日長蛇の列が出来るほど注目され、今日の主流となりつつある高級バフェィの草分け的な店として成功を収めることになったのである。
 しかし巨大テーマホテルの開業ラッシュとともに、同様なバフェィが次から次へと誕生。リオの両店のプレゼンスは相対的に低下し、ここ数年は入り口に長蛇の列が出来ることもまれで、過去の栄光はどこへやら、すっかりありふれた平凡な店に成り下がっていた。
 そしてこのたびホテル側もやっと 2店では供給過剰と判断し、統合という道を選ぶことになったのである。

 そんないきさつのある有名店の統合なだけに、両店を知っている古株のラスベガス・リピーターなどにとっては現在の様子が大いに気になるところだろう。
 具体的な状況を説明すると、両店が閉鎖になり新たな場所に新店舗がオープンといった対等な統合ではない。Villeage Seafood が Carnival World に吸収される形での統合だ。つまり Villeage Seafood の場所は完全に閉鎖され、逆に Carnival World は従来からの場所をまったく動いていない。
 それでも新たな店の名前は Carnival World & Seafood Buffet。吸収されたとはいえ、Seafood の名前はしっかり残されている。

 では現場はどうなっているのか。基本的には、従来の Carnival World の中の一画に、シーフード専用のセクション(写真)が新たに設置されたと考えればよいだろう。面積的には全体の1~2割程度だ。
 だとすると、「店名とは裏腹に、Villeage Seafood の存在感はもはや風前の灯火なのか」と思われそうだが、必ずしもそうとは限らない。入口や料金体系ではしっかり目立っているからだ。
 というのも、入口は完全に独立して存在、料金も Villeage Seafood のほうが 15ドル高い。ようするに Seafood を目当てにして来た客は、それ専用の入口で 15ドル高い料金を支払って店内に入り、Carnival World の客も同様に専用の入口から店内に入ることになる。

 入口が独立、料金も異なり、シーフードのセクションの面積は全体の1~2割となると、なにやら店内の様子がわかりにくくなってくるが、からくりはこうだ。(写真は Carnival World の客のための入口)
 料金を払って入口を通過したあとの空間、つまり食事をする場所や一般の料理の陳列スペースなどはすべて共有で、自由に行ったり来たりできる。つまり入口が異なるだけで中は同じだ。

 では、15ドル高い料金を払って Seafood 客専用の入口(写真)から入った客と、Carnival World 側の入口から入った客の違いは何か。
 それは、全体の1~2割程度しかないシーフードセクション内に入れるかどうかだけだ。
 そのセクションの仕切りの手前には担当スタッフが立っていて、15ドル高い料金を支払った者かどうかをチェックしている。ちなみに支払った者は、レジで手の甲にスタンプを押してもらえるので、スタッフはそのスタンプの有無をチェックしているというわけだ。

 だったら入口を分ける必要が無いようにも思われるが、そうもいかないところがむずかしい。なぜなら、一つの入口で異なる料金を徴収するようにしてしまうと、複数人のグループで入店する客は、その中のだれかひとりだけが高い料金を支払い手にスタンプを押してもらい、その者がシーフードセクション内に入りロブスターでもカニでもたっぷり数人分を皿に盛って席に戻れば、他の仲間は安い料金でそれら高級食材を楽しめてしまうからだ。
 この方式でも不正を働こうと思えばできそうだが、とにかく現場には2つの異なる入口があることと、そのようなシステムになっていることだけは覚えておいたほうがよいだろう。

 さて気になる料理はどうかというと、想像の範囲内といったところで、特に新たな発見があるわけではない。しいてあげるならば、シーフードのセクションに殻付きの生の帆立貝があったことぐらいか。
 小ぶりのロブスターやカニ、生ガキ、サーモンやマグロの刺し身などはもちろんあるが、それらは他のホテルの高級バフェィでも見られるもので、特筆するほどのものではない。

 むしろ意外だったのは、一般のセクション、つまり 15ドル高い料金を払っていない者がアクセスできる場所に、シーフードセクションと同じカニがあるということ(ただし写真のようなズワイガニ系のカニだけで、ストーンクラブやタラバガニ系はシーフードセクションにしかない)。そしてこのズワイガニが非常にうまい。
 もともと Carnival World には統合前からカニがあったので、特に不思議なことではないが、だとすると 15ドルの追加料金はロブスター、生ガキ、ホタテ、ストーンクラブなどごく一部のアイテムのためのものということになり、人によっては割高に感じる可能性もありそうだ。ちなみに寿司は一般のセクションにも陳列されている。

 というわけで、この統合後の現在の店の様子を見る限り、15ドル安い Carnival World 側の入口から入店したほうがコストパフォーマンスが高いように感じられた。
 寿司やカニ(ズワイ)を十分に楽しめるばかりか、客が自由に選んだ食材を調理してくれる鉄板焼きセクション、現場スタッフがうどん(写真上)やフォーなど世界各地の麺類を作ってくれるヌードル・セクション、さらにはヤキトリ風の串に刺さった肉類が陳列されたスキューア・セクションなど、興味深い料理が少なくない。中華セクションも充実しており、デザート類もそこそこのレベルにある。

 以上のことから、結論としては、生ガキやホタテ(こちらは毎回あるとは限らないとのこと)が目当てという場合を除き、わざわざシーフード料金を払う必要が無いと考えてよいのではないか。(写真は陳列台の上に表示されている料理などの名称)
 ちなみに今回の訪問時の生ガキはイマイチだった。ロブスターも一般的なイメージのものよりもかなり小ぶりだったのであまり期待しないほうがよいかもしれない。
 料金は日々変動する可能性があるようだが、通常は Carnival World 側の入口からの入店が $33、シーフード側からの入店が $48。なおレジでは、各種ワイン(フルボトル)を $12 でオプション購入することも可能。ビール(小ビン)は店内の専用カウンターで買い求めることができる ($6)。
 営業時間は午後3時から午後10時まで。(朝食や昼食の時間帯はシーフードがない)
 なお、地元民はネバダ州の運転免許証を提示すると 25% off になる。

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