エクスカリバーのシーフードバフェとバフェの歴史

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 今週は、このたびリニューアル・オープンを果たしたエクスカリバー・ホテルの THE BUFFET の「金曜日限定・シーフードバフェ」の試食レポートと、ラスベガスにおけるバフェのルーツなどについてふれてみたい。(下の写真は THE BUFFET の入口の様子)

 Buffet とは、日本でいうところのいわゆるバイキング。つまりセルフサービス形式の食べ放題レストランのこと。
 発音は、うしろの「ェィ」の部分にアクセントを置く感じで「バフェィ」。観光ガイドブックなどでは「バフェ」と表記されることが多いので、ここでもそれに合わせているが、ラスベガスでよく使う英単語の中でも最も通じにくい言葉の一つなので発音の際には注意が必要だ。もちろん「バイキング」では絶対に通じない

 ラスベガスにおけるバフェの歴史は長く、そのルーツは、今はなきカジノホテル El Rancho Vegas が 1950年代に始めた Buckaroo Buffet といわれている。
 「カジノ客を深夜遅くまで引き止めておきたい。そのためにはレストランも深夜まで開けておく必要がある。しかしシェフ、ウェイトレス、レジ係、皿洗いなどを長時間雇っておくのは経費がかかりすぎるのでいやだ。なにかいい方法はないか」という発想から、結局、大量に作り置きしておいたサンドイッチやスナックをテーブルに並べて 1ドルで自由に食べられるようにしてみたら大当たりした、というのがバフェ誕生のきっかけとされる。

 そんな誕生から半世紀以上が経過した今でも、カジノを持つホテルにとってバフェは非常に重要な施設で、バフェ運営の成否がカジノ収益を左右するといっても過言ではないほどその存在意義は大きいようだ。
 したがって各ホテルはバフェに対して並々ならぬ関心を示しており、結果的にホテル間の競争も激化。今では規模も内容も世界で例を見ないほど派手な飲食施設に進化している。

 そんなバフェ運営の根底には、El Rancho 時代と何ら変わること無く、「安くておいしい食事を提供することにより、少しでも多くの客を集め、一人でも多くの客にカジノでおカネを使ってもらいたい」という考えがあることは言うまでもない。また、すでにカジノで遊んでくれている客に対しても、豪華な料理を短時間で素早く食べることができる場所を提供することにより、食事の時間がカジノでのプレー時間を圧迫してしまうことを最小限に抑えたいというねらいもある。(上の写真は THE BUFFET のデザートセクション)

 このようにラスベガスにおけるバフェはカジノを側面から支援するという重要な役目を果たしているわけだが、一昔前と比べ、相対的にカジノとの関係が薄れてきているのもまた事実で、実際にギャンブラーではない顧客の利用が急増しているという。つまり「カジノのついでにバフェ」ではなく「バフェでの食事がラスベガス訪問の目的の一つ」という使われ方だ。

 そのような顧客が増えれば増えるほど、内容がエスカレートしてくることはいうまでもなく、価格も上昇する。(この写真は THE BUFFET の中の、肉を切り分けてくれる “Carvery” セクション)
 したがって、たった今「安くておいしい食事」と書いたばかりだが、それは一昔前までの話であって現在は当てはまらない。
 50年代に1ドルで始まった当時のバフェは「ギャンブラーたちの簡易食堂」的な存在だったわけだが、その概念は 90年代になっても継承され、このラスベガス大全が創刊した 97年当時、夕食バフェの料金が $15 を超えるような店はほとんど存在していなかった。98年に最高級ホテルとしてオープンしたベラージオの夕食バフェの $19 に驚いた記憶があるが、今では $40を超える店もぜんぜん珍しくなくなってきている。
 利用者側の期待が「料金の安さ」から「料理の豪華さ」に移ってきているのであれば歓迎されるべきことだが、価格重視派にとっては困ったトレンドだ。

 さて前置きが長くなってしまったが、そんなトレンドに流されている昨今のベガスのバフェにおいて、このたび新装オープンしたエクスカリバー THE BUFFET の「金曜日限定・シーフードバフェ」は、価格重視派にとっては貴重な存在といってよいだろう。なぜなら、カニやエビなどが食べ放題で $26.99 だからだ。(この写真はザリガニ料理)

 この価格設定、ダウンタウン地区や地元民を相手にした郊外型のカジノではよくあるレベルだが、ストリップ地区では内容のわりにはかなり良心的といえるので、金曜日限定という条件付きではあるものの、この THE BUFFET の存在を覚えておいて損はないだろう。

 店内はオレンジ色を基調とした温かみのあるインテリアで広々していて開放的だ。
 料理の陳列セクションは Salad、Italian、Asian、American、Carvery、Latin、Dessert、Beverage、Bar に分かれており、座席から特に遠いことはなく使いやすい。

 さて料理そのものに話を移すと、日本人にとってシーフードバフェで気になる部分はやはり生ガキとカニということになりそうだが(エビやムール貝などはシーフードバフェではない日でも存在しているので)、残念ながら生ガキはどこを探しても見当たらなかった。やはりストリップ地区のホテルでこの価格帯では無理ということか。

 というわけで気になるそのカニについては、食べやすく縦に割られており、また塩からいということもなく(塩分が強すぎてたくさん食べられないバフェも少なくない)、十分まともなレベルにあるといってよいだろう。
 ちなみにカニの種類は、現場の表示によると “Snow Crab Legs” となっており、これは日本でいうところのズワイガニ系のはずで、珍重される松葉ガニ(もしくは越前ガニ)に近い種類だ。

 その他で日本人の味覚として気になるアイテムは、のり巻き (写真)、ラーメン、ヤキソバやギョーザなどの中華といったところだが、これらは金曜日以外の普通の日でも存在しているので、ここでの説明は省略するとして、話をシーフードに戻すと、今回の取材時に存在していたシーフード料理は全部で 20種類。
 それらの味に関してはあえてコメントしないこととし(おいしくないという意味ではなく、全部食べてみたわけでもなく、また人それぞれ好みが異なると思われるため)、現場に掲示されていた名称や説明をそのまま書き出すと以下のようになる。

Snow Crab Legs
Peel & Eat Shrimp
Lemon Pepper Shrimp
Honey Walnut Shrimp
Oven Roasted Salmon with mango Salsa & Cilantro Caviar
Seafood Paella
Marinated Seafood Ceviche
Crawfish Boil
Cajun Crawfish Etouffee
Sam Adams Clams with Basil & Lemon
Saffron & Black Mussels with Fried Tarragon
Calamari with Cajun Remoulade
Cazuela de Mariscos
Stuffed Sole with Wasabi Bechamel
Baked Mahi Mahi Watermelon Salsa
Lobster Polenta with Truffle Oil & Shaved Shiitake Mushroom
New England Clam Chowder
Crab Salad
Assorted Sushi with Wasabi & Pickled Ginger
Beer Battered Fish & Chips

 これだけのシーフードを楽しむことができれば、とりあえず十分といってよいのではないか。もちろんベラージオ、シーザーズパレス、コスモポリタン、ウィンなどの高級バフェと比べると見劣りする部分も少なくないが、値段を考えればコストパフォーマンスは高い。ラーメンやのり巻きもあるので、和食の味に恋しくなった際は十分に利用価値があるはずだ。

 ちなみにデザート類も悪くない。アメリカのものとしては甘さ控えめで、サイズも小さく(写真)日本人の需要を十分に満たしてくれる。(もちろんとんでもない味のものがまったくないわけではないが)
 特にクレープは人気だ。その場で注文に応じて焼いてもらえるので、フルーツからチョコレートまで、入れるものを選ぶことによって甘さも自由に変えられる。
 なおクレープに合いそうなソフトクリーム(これも甘すぎない)は、焼いてくれる場所の反対側にマシンがあるので、それを各自操作して好きなだけ盛り付ければよい。

 バフェの場所はエクスカリバーホテルのカジノフロアの一つ上の階。シーフードバフェの時間帯は毎週金曜日の 午後4時から10時まで。料金は $26.99、ビールの飲み放題オプションは $7.99。飲み放題ではないビールは 16オンス(約450ml)のグラス一杯 $3.99。

 なお、最近ほかのホテルのバフェでもじわじわと広がり始めている「お持ち帰り料金」もある。現場では “Buffet To Go” と呼ばれているもので、店内で食べるのではなく、容器に好きなだけ入れて持ち帰り客室内などで食べるという方式。もちろん何を入れるかは自由なので、カニやエビばかりを詰め込んでもかまわない。
 気になる容器のサイズは上の写真の通りで(現場スタッフがサンプルとして見せてくれた)、すき間が多くなってしまいがちなカニには不向きだが、肉料理などにはいいかもしれない。持ち帰り料金は金曜日のシーフードが $19.99、その他の曜日が $16.99。

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