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急成長と株式上場で注目のバーガー店「シェイク・シャック」

 今週は、2ヶ月ほど前にニューヨーク・ニューヨーク・ホテルにオープンしたハンバーガー店「シェイク・シャック」(写真上)を紹介してみたい。
 実はここ数ヶ月、読者から寄せられる取材依頼のメールの中で一番多いのが、このシェイク・シャック。ちなみに 2週間前のこのコーナーで取り上げた老舗ハンバーガー店「ホワイト・キャッスル」(1921年創業、店舗数約400)に関する問い合わせはまったくなかった。
 シェイク・シャックの創業は 2004年、店舗数は現在63。社歴、店舗数、知名度ではるかに劣るこの店が、94年の歴史を誇るホワイト・キャッスルよりも日本で関心を集めているとはどういうことか。

 いろいろ調べてみたところ、まだ日本に存在していないにもかかわらず、多くのメディアが 「2016年には日本にも進出」という形で大きく報じていることがわかった。
 来年の話題をなぜ今、という気がしないでもないが、どうやらそれらの報道で伝えたいことは、ハンバーガーの味や日本進出よりも、社歴わずか10年の小規模なハンバーガー店が先月ニューヨーク証券取引所に上場したということと、20年ほど前のスターバックスのサクセスストーリーと重なるのではないか、ということのようだ。
 つまりグルメ関連のニュースとしてよりも、経済ニュースやビジネスニュースとしての扱いが目立っている。たしかにアメリカでも今回の上場はかなり話題となっており、特にマクドナルドの業績の落ち込みが騒がれている時期だけに、その対比として注目されるのも無理はない。

 「グルメな消費者の間よりもウォール街で注目されているハンバーガー店」といった様相だが、同社の株式は上場後 1ヶ月以上が経過した現在も、初日の初値 45ドル前後の水準を維持しながら取引されており、上場後急落する新規公開株が多い中、まずまずの評価を得ているといってよいだろう。(上の写真はラスベガス店の店内の様子)
 ただ、現在の時価総額16億ドル(約2000億円)は、1店舗当たりに換算すると 2500万ドル(約30億円)で、これはマクドナルドの10倍近い水準。いくら将来性を見込んだとしても高すぎるとの意見も少なくない。
 また、ハンバーガー業界の新興勢力として比較されがちなライバル店 Five GuysSmash Burger が、同じような社歴でそれぞれすでに 1000店舗、300店舗を展開していることと比べると、63店にとどまっているシェイク・シャックの出遅れ感は否めず、その部分を不安視する声もある。
 さらに、「中小企業から世界制覇を果たしたスターバックスの再来か」と将来性に期待がかかる一方で、コーヒー専門店やアイスコーヒーという概念がほとんど存在しなかった当時のアメリカにそれらをもたらした画期的ビジネスモデルのスターバックスと比較すること自体に無理があり、むしろ 2000年にナスダック市場に上場した時のクリスピークリーム・ドーナツの状況に近いのではないかとの懐疑的な意見も聞かれる。ちなみにクリスピークリームは上場時こそ一世を風靡したが、その後は経営難に直面し、現在も経営状態は決してよくない。

 そんな悲観的な意見が多い中、「シェイク・シャックは客層がちがうので有望株」とする強気な分析もあり、ウォール・ストリート関連のメディアなどではその客層の良さを cult という言葉を使って表現したりしている。(上の写真はこの店で最も高いハンバーガー Shack Stack $9.49)
 日本で「カルト」というと、過激な新興宗教などマイナスのイメージが多いが、ここでいうカルトとは「熱狂的な支持者」といったニュアンスで使われており、「シェイク・シャックのメニューならなんでもよい」と無条件で支持するファンが多いらしい。
 事実シェイク・シャックのメニューはいくつもあるわけだが、どれも熱狂的なファンから高い評価を得ており、ネットなどを通じて日々そのファン層が広がっているという。
 この現象は、アップル信者という言葉が存在するほどカルトの取り込みに成功したアップル社のサクセスストーリーに似ているとされ、ひょっとするとシェイク・シャックも信者に支えられながら世界的な大企業に成長するのではないかとのポジティブな意見も少なくない。

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 前置きが長くなってしまったが、利用者から見たシェイク・シャックとはどのような店なのか。(写真は Smoke Shack $6.69)
 2000年ごろ、ニューヨークのマディソン・スクエア公園で始めた屋台店が起源で、2004年、そこでの成功を踏み台に起業、同じエリアに1号店をオープンした。観光客も多く立ち寄る目立つロケーションであったことなどからクチコミによる宣伝効果、そしてネットを使った巧みなマーケティングなどが功を奏し、現在はニューヨーク以外にもフロリダ州やマサチューセッツ州などにも出店、さらに近年はロンドン、イスタンブール、ドバイなど海外展開も始めている。
 拡大路線を突っ走っているかのようにも見えるが、前述の通りまだ 63店と非常に少なく、さらにニューヨーク以外は一ヶ所集中型ではないため物流効率の悪さを危惧する声もある。
 そんな状況でオープンしたラスベガス店。知名度の差といってしまえばそれまでだが、店内の混雑状況から想像するに、ホワイト・キャッスルに負けているといわざるをえない。
 ただ、ホワイト・キャッスルの知名度がすでに飽和状態であることを考えると、今後の逆転は十分にあり得るだろう。(上の写真は平日のディナータイムの店内)

 味的にはシェイク・シャックに軍配を上げたい。理由はシンプル。そもそも単品勝負のホワイト・キャッスルにはメニューを選べる選択肢がほとんどなく、また唯一の商品ともいえるハンバーガーの内容が非常に貧弱だからだ。シェイク・シャックはメニューが豊富で、さまざまな味を楽しめる。(上の写真は Shack-Cago Dog $4.00)
 では、数あるメニューの中から何をオーダーすればよいのか。創業時の主力メニューがホットドッグだったためか、今でもホットドッグはこの店にとって重要な存在となっているが、看板メニューはやはりハンバーガー。(そのことは、店のロゴを見れば一目瞭然。ロゴはこの記事の一番下の写真内に見ることができる)
 そのようなわけで、一回だけこの店に行くとしたらやはりハンバーガーをオーダーするしかないだろう。

 参考までに、味的にもホットドッグは塩辛すぎて一般的な日本人の味覚に合わない。アメリカのホットドッグに使われているソーセージはとかく塩味がきつすぎることで知られているが、残念ながらこの店のソーセージもそのアメリカンスタイルを踏襲している。(上の写真は Shack Meister Dog $4.00)
 なお、ハンバーガー同様、ソーセージに使われている牛肉も、成長ホルモンおよび抗生物質を一切使っていないナチュラル・ビーフとのこと。ただしハンバーガーは高級種とされるアンガス牛使用となっているが、ホットドッグの牛肉はそうではないようだ。価格にそれが反映されているのか、ホットドッグのほうが総じて安い。

 ホットドッグ以外にも一般の日本人的な味覚の持ち主ならばオーダーしないほうがよいものがある。この店の名物「コンクリート」だ。(写真はそのコンクリートの Jackpot というトッピング・フレーバーで $4.50)
 このコンクリートはメニューに書かれている説明によると Dense Frozen Custard Ice Cream となっており、まさに Dense で(高密度でずっしり重い)超濃厚かつ甘いアイスクリーム。
 なお、製造装置の構造上の理由と思われるが、なぜかどのフレーバーも中央部分がくぼんだ状態でサーブされる。

 一方、店の名前の一部にもなっているシェイクは(写真のカップ、$5.25)、多くの人にとって許容範囲の甘さと思われ、あえて避ける必要はないだろう。
 Crinkle Cut Fries と称されるポテトも(写真下、$2.95)、可もなく不可もなくといった程度のレベルではあるが、オーダーしてみてガッカリするようなものではない。

 以上をまとめると、日本人の味覚という前提での標準的なオーダー方法は、ハンバーガー、それにサイドオーダーとしてポテト、デザート兼ドリンクとしてシェークということになるのではないか。なおマクドナルドなどで見られるようなセットメニューはない。
 ハンバーガーは5種類から選ぶことができるが、好みは人それぞれなのと、全部試食したわけではないので、各自の判断で選んでいただきたい。
 シェークの甘さやカロリーが気になる場合は、アイスティーやダイエットコークなどのソフトドリンクもある。各種ビールもあり、値段は銘柄によって異なるが 450ml グラスで $6.50 から。

 レジでオーダーすると、携帯電話サイズの呼び出し装置(写真)を手渡されるので、それを持って好きなテーブルを確保し着席して待つ。オーダーしたものが出来上がったら、光の点滅とバイブレーションで知らされるので、受け取りカウンターまで取りに行く。
 水はセルフサービス。水用のカップと給水器は、紙ナプキンなどが置かれた台の左側にある。

 営業時間は午前11時から深夜零時まで。金曜日と土曜日だけ深夜2時まで。場所はニューヨーク・ニューヨーク・ホテルのストリップ大通りに面した歩道の北端。このホテルの一番高い広告塔の真下付近を目指して行くとわかりやすい。

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