Cattle Mutilation を探し求めて UFOの聖地に。結果はいかに。

UFOマニアの聖地に続く ETハイウェー。なぜかこんな砂漠地帯に牛の道路標識が。

UFOマニアの聖地に続く ETハイウェー。なぜかこんな砂漠地帯に牛の道路標識が。

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 今が絶好のシーズンということもあり、「キャトル・ミューティレーション」(単語の意味は以下で説明)のマニアだという知人が日本からラスベガスにやって来たのでそのガイド役として久しぶりにETハイウェーを通ってレイチェルに行ってきた。

死体が腐敗しないため遭遇確率が高い

 なぜ今がシーズンなのか。それは気温が低いため牛の死体が腐敗せず長期間現場に残りやすく、結果的に遭遇確率が高くなるからとのこと。また冬期は死体をむしばむ生物が少ないことも好条件のようだ。
 話を進める前にまずは3つのキーワード、レイチェル、ETハイウェー、キャトル・ミューティレーションの説明から始めたい。

ETハイウェーに、なぜか「低空飛行物」への注意を促す標識が。自動車の屋根に当たるほどの低空飛行などあり得ないと思われるが、なんのための標識か?

ETハイウェーに、なぜか「低空飛行物」への注意を促す標識が。自動車の屋根に当たるほどの低空飛行などあり得ないと思われるが、なんのための標識か?

UFO、軍事、天文マニアの聖地

 レイチェル(Rachel)とは、ラスベガスから北北西の方向に車で2時間半ほど走った荒野の中にある村の名前で、現在の人口は約70人ほど。
 あまりにも目立たない小さな村ではあるが、かの有名な謎の空軍基地 Groom Lake Airforce Base(通称「エリア51」に近いというだけでなく、未確認飛行物体(unidentified flying object. 以下 UFO と表記)の出没が多いとのうわさも定着。

レイチェルに唯一存在するレストラン兼ホテル「LITTLE ALEINN」。

レイチェルに唯一存在するレストラン兼ホテル「LITTLE ALEINN」。

 さらに周辺区域のボートル・スケール(夜空の暗さを示す尺度。この数値が高いほど星がきれいに見える)が世界的に高いレベルにあることなどから(レイチェルは標高が高く空気が薄いばかりか、都市から遠く離れているため人的な光害がない)、UFOマニア軍事マニアのみならず天文マニアなどにとっても知る人ぞ知る聖地のような場所として世界に名を馳せている。

「LITTLE ALEINN」の駐車場に吊り下げられたアダムスキー型の円盤。かつてはシルバー色に輝いていたが、現在はかなり朽ちてしまっている。(2023年1月26日撮影)

「LITTLE ALEINN」の駐車場に吊り下げられたアダムスキー型の円盤。かつてはシルバー色に輝いていたが、現在はかなり朽ちてしまっている。(2023年1月26日撮影)

ネバダ州政府公認の ETハイウェー

 次に ETハイウェーについてだが、これはネバダ州の中南部を東西に横切る高速道路375号線のこと。
 UFOマニアの聖地レイチェルに通じる道ということで 1996年、ネバダ州当局がこの高速道路を正式に Extraterrestrial Highway と命名。(Extraterrestrial の意味は「地球外の」)
 したがって単なる俗称ではなく公認の道路名として、現場にはこの写真のような標識が実際に設置されている。

Extraterrestrial Highway の文字が読めなくなるほど落書きやステッカーが貼られている現在の道路標識。

Extraterrestrial Highway の文字が読めなくなるほど落書きやステッカーが貼られている現在の道路標識。

 なお高速道路といっても有料道路ではなく、管理上の区分がそのようになっているだけで構造としては平地を走る片側一車線の道。したがって日本の高速道路のような高架道をイメージしてはいけない。
 それでも「全米で一番さびしい高速道路」といわれるほど交通量が少ないため、片側一車線といえども必要十分な規模が保たれており、時速100km以上の快適な高速走行が楽しめるようになっている。

これは数年前の写真。はっきりと「ネバダ375号線」のマーク と Extraterrestrial Highway の文字が読み取れる。

これは数年前の写真。はっきりと「ネバダ375号線」のマーク と Extraterrestrial Highway の文字が読み取れる。

一般の牛の死体には使用されない用語

 さて今回の話題の主役はキャトル・ミューティレーション(cattle mutilation)。
 そのままの意味としては牛の惨殺死体といったところだが、怪奇現象のような場合にのみ使用される用語で、原因が明らかな単なる牛の死体に対してこの言葉が使われることはない。

2003年11月に遭遇した ETハイウェーの脇に横たわる牛の怪死体。交通事故が原因と思われる物証は現場からも死体からも確認できなかった。

2003年11月に遭遇した ETハイウェーの脇に横たわる牛の怪死体。交通事故が原因と思われる物証は現場からも死体からも確認できなかった。

「宇宙人のしわざだ」に便乗する商売

 このキャトル・ミューティレーションはレイチェル周辺でひんぱんに目撃されることから、UFOマニアなどの間では「宇宙人のしわざだ」といったうわさが絶えず、それに便乗してか ETハイウェーの東端付近には「怪死した牛で作りました」といったパロディー的なビーフジャーキーを売る店や、宇宙人の人形などを取り扱うギフトショップが出現するなど(写真)、近年この地で商売をしようと考える者も目立ち始めている。

ETハイウェーの東端にあるギフトショップ。

ETハイウェーの東端にあるギフトショップ。

巨大な宇宙人でドライバーの目をひこうとしているギフトショップだが、通行車両自体がほとんどないので店内はいつもガラガラ。

巨大な宇宙人でドライバーの目をひこうとしているギフトショップだが、通行車両自体がほとんどないので店内はいつもガラガラ。

正式には死体の目から血液が抜かれる

 マニアなどの情報によると、広い意味でのキャトル・ミューティレーション(*)と思われる現象が多発しているエリアは、ラスベガスから ETハイウェーを走ってレイチェルの手前約40kmの地点から15kmの地点までの極めて見通しの良い一直線に伸びた約25kmの区間とされる。実際に本誌がこれまでに目撃しているのもこの区間だ。
* 狭い意味でのキャトル・ミューティレーションは、死体の目から血液が抜き取られている必要があるらしい)

2016年に遭遇した2頭の牛の死体。これが通常の死体かキャトル・ミューティレーションによるものなのかの現場検証レポートはこの週刊ラスベガスニュースの第1016号に。

2016年に遭遇した2頭の牛の死体。これが通常の死体かキャトル・ミューティレーションによるものなのかの現場検証レポートはこの週刊ラスベガスニュースの第1016号に。

同じく2016年の死体。目からの出血は確認できず。死体の位置などから謎が多い死体だった。

同じく2016年の死体。目からの出血は確認できず。死体の位置などから謎が多い死体だった。

怪死体には遭遇できなかった

 さて前置きが長くなってしまったが、結論から先に書くならば今回の訪問では牛の怪死体には遭遇することができなかった。
 ちなみに過去10数回この地を訪問しているが、遭遇したのはそのうちの3回で、UFOは1回だけ。
 というわけで聖地といえども簡単にそれらに遭遇できるわけではない。

肯定も否定もしないが関心はある

 今回同行したマニアいわく「遭遇できなかった原因はわからない」とのこと。それはそうだろう、キャトル・ミューティレーションそのものの存在理由がはっきりしていないのに発見できなかった理由などわかるわけがない。
 ちなみに本誌はそれら現象の存在を肯定もしなければ否定もしないが、科学的根拠や合理的な説明がつかない限り無責任な情報発信は避けたいので、どちらかというと否定的なスタンスを取っている。
 ただ、実際にレイチェル周辺で牛の怪死体を複数回見ているのと、原因や正体がどうしてもわからない飛行物体(物体というよりも強烈な光の瞬間的な超高速移動)に遭遇しているので、このエリアにはただならぬ関心を寄せていることは間違いない。

ここが ETハイウェーの入口。ここからレイチェルまで車で約1時間。何度走っても張り詰めた空気が漂っている不思議な道路である。

ここが ETハイウェーの入口。ここからレイチェルまで車で約1時間。何度走っても張り詰めた空気が漂っている不思議な道路である。

行けば何か新たな発見や感動が

 今回はキャトル・ミューティレーションに遭遇できなかったが、過去の遭遇時の現場検証(上の2つの写真に見られる死体の状況分析など)をこの週刊ラスベガスニュース第1016号に掲載しているので興味がある場合はそちらを参考されたし。またUFOに対する本誌の見解もその記事の最後に掲載してある。
(第1016号の記事の前半部分はレイチェルや ETハイウェーの説明などこの記事の前半部分と重複しているので、後半部分から読んで頂ければ幸いだ)

 いずれにせよコロナで海外旅行がなかなか盛り上がらない今、現在ラスベガスを訪れているのはリピーターがほとんどのようだ。
 リピーターであればグランドキャニオンやデスバレーといった一般化した観光スポットは訪問済みのはず。
 「すでにほとんど行き尽くした。ベガス周辺でどこか興味深い観光スポットはないのか」と思った際は、ぜひレイチェル周辺をおすすめしたい。きっと何か新たな発見や感動があるはずだ。

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