ロシアとウクライナの戦争によるエネルギー資源や原材料の高騰などが原因なのか、それとも各国政府がコロナ対策として補助金などをバラ撒いたりしていることが原因なのか、理由はともかく多くの国が歴史的なインフレに直面していることだけはたしかだろう。
とりわけアメリカの物価高は日本でも大きく報道されており、それを象徴するかのような話題が日本円換算の飲食費だ。
ラーメン1杯3000円だの、家族4人の朝食が1万円だの、せっかくコロナ騒動が落ち着いてきたというのにアメリカへの旅行の意欲が削がれるような話題が日々拡散している。
そういった話題の震源地は総じて物価が高いとされるニューヨークであることが多いようだが、はたして当地ラスベガスはどうなのか。
さっそく一般の旅行者が滞在中に必要とするであろう商品の価格を、実際に現場に出向いて調べてみた。
このページの後半に写真と共に示した数値がその結果だ。すべて大型カジノホテルが並ぶ中心街における価格で、調査日は2022年9月27日。
多くの読者にとってビックリするほど高い印象を受けると思われるが、もともとラスベガスのホテル街の物価の高さは有名だったので、当地を知るリピーターなどにとっては想定内かもしれない。
もともと物価が高い理由としては、ホテル街の家賃の高さもさることながら、その他にも旅行者相手のビジネスであることも大きな理由のひとつと思われる。
つまり旅行者は行動範囲的な意味での選択肢も時間的な余裕も少ないので、少々高めの価格設定でも受け入れてもらえるだろうといったよこしまな考えが売手側にあるのではないか。
ちなみに同じ商品でも地元民が利用する郊外のスーパーマーケットなどでの価格はホテル街のそれよりも大幅に安い。
だからといってわずか数日分のビール、ミネラルウォ-ター、タバコなどを買うためにタクシーやレンタカーを利用して郊外まで行くことは時間や費用を考えると得にはならないので、「旅行者向け価格」を甘んじて受け入れるしかないのが現実だろう。
まずは滞在中に多くの旅行者が必要とするであろうミネラルウォーターから。
代表的なブランド「evian」の1.5リットルボトルが $4.19(593円)。売っていたのは全米で展開するドラッグストアのチエーン店「CVS」。
(ドル価格のあとのカッコ内の日本円は1ドル145円で換算。写真内の価格などが読み取りにくい場合は写真をタップするのではなく2本指のピンチで拡大)
コーラはビンや缶、さらにそれぞれに異なるサイズがあるばかりか、単体や箱売りなどさまざまな形態で売られているので価格の比較がむずかしいが、この写真はコカコーラの2リットルボトルの単体売りで $3.19(462円)。店は同じく CVS。
引き続きドリンク類で、こんどはスターバックスの瓶入りコーヒー。価格は $4.19(593円)。店は同じく CVS。
旅先でこれほど大きなサイズの牛乳の需要があるのかどうかわからないが、ハーフガロン(約1.9リットル)サイズの牛乳がこれまた $4.19(593円)。同じく CVS。
アメリカでビールといえばバドワイザー。青い缶はそれの低カロリー版のバドライト。
前述のコーラと同様、ビールもまざまな形態で売られているので価格の比較がむずかしいが、この写真のものは25オンス(約740ml)のロング缶で $3.99(574円)。
日本ではビールの酒税が異常に高いので、このビールだけは今の円安レートで換算してもビックリするほど高くは感じないのでは。売っていたのは全米展開するドラッグストアWalgreens。
アメリカで最も売れているスポーツドリンク「ゲータレード」の20オンス(約591ml)ボトルの4本パックが $4.99(718円) at Walgreens。これはあまり高いという印象はない。
Chiquitaブランドのバナナの1本売り。$0.99(142円) at CVS。
すでに9月末になってしまっているが、まだ各カジノホテルではゴージャスなプール施設をオープンしているので日焼け止めも調査。写真はニュートロジーナの各種製品。種類によって価格はさまざま。at CVS。
アメリカを代表するタバコ「Marlboro」は1箱 $8.67(1248円) at Walgreens。
この写真はスターバックスコーヒーの Harrah’s ホテル内の店舗の価格表。サイズは Grande(16オンス、約473ml)で、価格の右側に記載されている数字はキロカロリー。
なんと驚くことに同じスターバックスコーヒーでも店舗によって価格が大きく異なっていることを発見。
こちらは Caesars Palace ホテルのフードコート内の店舗。サイズは同じく Grande(16オンス、約473ml)。
Harrah’s ホテルの北側に隣接するマクドナルド。この写真はセルフオーダー用のスクリーン画面に映し出されたメニューで、ダブルチーズバーガーはそこそこ安い $2.79(404円)、一方フィレオフィッシュはかなり高めで $4.89(709円)。その他の各種ハンバーガーの価格(その右側の数字はキロカロリー)は各自で確認されたし。
さて最後に噂の「ラーメン1杯3000円」の検証。
バリーズホテルの前庭にあるショッピング街で営業中の Ramen-ya の味噌ラーメンがこの写真。
そしてメニューの写真がこちら。味噌ラーメンも醤油ラーメンも $15.50(2247円)であることが読み取れる。
ラスベガスにおける現在の消費税は 8.375% で $1.30、それにチップが 15~20% だとすると合計で $19(2736円)を超えてしまう。「1杯3000円」という噂もあながち大げさではないようだ。
ついでに番外編としてガソリン。
ガソリン価格は長年にわたって日本よりもアメリカのほうが圧倒的に安かったが、ここ数ヶ月でアメリカのガソリン価格が異常に急騰。一方、日本では政府が補助金を出してガソリン価格を調整。
ストリップ大通りのホテル街の最南端に位置するこの給油所におけるレギュラーガソリン1ガロン(3.785リットル)の価格は写真の通り $5.599。1リットルに換算すると $1.48(213円)となり、現時点では日本よりも高いことになる。
コメント(2件)
日本の友人にアメリカの物価を説明する為に、「参考」までにここのページを知らせました。
因みに記事の中で、コーラの値段が$4.19で計算されてますが、値札は$3.19なので、訂正おねがいします。
後藤様
数字の誤りを発見してくださり誠にありがとうございます。
さっそく訂正させていただきました。