新規感染者数が増加傾向にあるものの、日本でもアメリカでも出入国のルールが大幅に緩和されてきていることから、この夏休みにラスベガス旅行を計画している読者も多いに違いない。

　そんな旅行プランを立てる際に欠かせないのがホテル選び。楽しい作業であると同時に、悩ましい作業でもあったりする。特に当地ラスベガスにはさまざまなグレードのホテルが無数に存在しているため、初めて訪れる者にとっては困難を極める。

　高級ホテルに泊まりたくてもどのホテルが高級なのかわからない。安いホテルで十分だが後悔はしたくない。よくある悩みだ。
　日本の旅行会社のパンフレットなどでは「Ａグレード」、「Ｂグレード」 などホテルを格付けしたりしていることもあるが、格によって何がどのように違うのかまではわかりにくい。サービスのレベルなのか、施設のゴージャスさか、規模か、伝統か。

　また星（☆）の数などで格付けしているメディアなどもたまに見かけるが、その決定過程における客観的な基準や根拠は闇の中だ。
　その結果、格が高いホテルのほうが格下のホテルよりも宿泊料金が安かったりすることもあり、そうなると何を頼っていいのかわからない。

　さらに困ったことに、高級ホテルかどうかにかかわらず、大きなイベントなどの影響で、宿泊日が一日ちがっただけで宿泊料金が数倍に跳ね上がるといったことが頻繁に起こるのがラスベガスのホテルの特徴だ。（以下は Paris Hotel の宿泊料金カレンダー。たとえば2022年8月の第１週には $49 の日もあれば $319 の日もあることがわかる）

2022年7月12日時点における Paris Hotel の宿泊料金カレンダー。

　そうなってくると、ホテルの格や序列が客観的にわかる指標のようなものがほしいところだが、残念ながらそのようなものは無い。
　ではホテル選びの際、格やグレードを知りたいときは何を参考にすればよいのか。
　当たり前の話になってしまうが、やはりそれは価格、つまり宿泊料金しかないだろう。

　ホテル側の経営戦略として、利用者からの評価が低いにもかかわらず高い価格設定にするということはあり得るが、一時的にそのような戦略が通用したとしても長期的には市場原理がそれを許さない。グレードに見合わない価格設定を続けていたのでは淘汰されてしまうからだ。

　したがって星の数やメディアなどのランキングではなく、「市場が決めた価格」こそがそのホテルのグレードを物語る唯一の客観的な指標と認識しながらホテル選びをすれば、大きな失敗は起こりにくいのではないか。
　予算に合ったグレードのホテルがある程度決まったら、あとは立地条件や規模など自分が優先したい条件を満たすホテルに絞り込んでいけばよい。

　というわけで、ここではあえて宿泊料金（RF：リゾートフィーを含む）という尺度だけでホテルの序列を高い順に並べて以下にリストにしてみた。
　世間一般の評価では Bellagio、Caesars Palace、Wynn、Venetian などが高級グレードとされているが、果たしてそのような評価になっているのかどうか。また宿泊を検討していたホテルが想定した順位にランクされているかどうか。そんな部分を見ながらホテル選びの際の参考にして頂ければ幸いだ。
（なお宿泊料金の調査方法や各種条件などに関してはリストのあとに記載。リゾートフィーそのものに関して詳しく知りたい場合は こちらをクリック）

【以下、このリストの補足説明】

◎各ホテルの宿泊料金は平日と週末で大きく異なるだけでなく、そのホテル内やそのホテルの近隣でコンベンションやスポーツイベントなどが開催されると数倍に跳ね上がったりする。したがって各ホテルの宿泊料金を比較する場合は１ヶ月間などの平均値で比較すべきだが、それでもその期間内にそのホテルで大型のイベントが開催されたりすると大きく変化してしまうことがわかった。そこで今回採用したのは、１ヶ月間（今回の場合は2022年8月の31日間）の最安値の日の宿泊料金で比較することとした。したがって上のリストの料金で宿泊できるとは考えないほうがよい。

◎ 調査の対象としたのはストリップ地区の主要ホテルのみでダウンタウン地区は含まれていない。

◎ 調査日は2022年7月12日。各ホテルの公式予約サイト内のスタンダードルーム。税別料金。

◎ $39.95 や $45.95 のリゾートフィー（RF）は $40、$46 に切り上げて表示。

＊1　Wynn には Encore も含む。

＊2　Venetian には Palazzo も含む。

＊3　Resorts World 内には複数のブランドがあり、この数値は Hilton のもの。