ラスベガスでのスーパーボウルへの賭け方を徹底解説

今年の SUPER BOWL の公式ロゴ。LVI の意味は以下で解説。

今年の SUPER BOWL の公式ロゴ。LVI の意味は以下で解説。

  • URLコピー

 海外旅行が現実的ではない今、日本の読者にとっては何の役にも立たない話題で恐縮だが、在米読者に向けた情報としてラスベガスのスポーツブックにおけるスーパーボウルへの賭け方などに関してレポートしてみたい。

スポーツブックの総本山

 スポーツブックとは、スポーツの試合結果などに賭けるためのギャンブル場のこと。
 ラスベガスのカジノホテルのほとんどがその施設を持っており、そこには世界各地のスポーツイベントを実況するための大小さまざまなスクリーンや配当倍率などを示す電光パネルが所せましと並んでいる。
 今回の取材で訪れたのはウェストゲートホテル。かつてラスベガスヒルトンと呼ばれていた時代からスポーツブック業界をリードしてきたカジノホテルで、スポーツブックの総本山といっても過言ではなく、実際に賭けの対象となるスポーツの種類や賭け方の豊富さではライバルカジノの追随を許さない。

Westgate ホテルのスポーツブックの様子。午前中だったため人はまばら。

Westgate ホテルのスポーツブックの様子。午前中だったため人はまばら。

ラスベガスとは関係ない LVI

 スーパーボウル とは、アメリカンフットボールのプロリーグ NFL のチャンピオン決定戦のこと。
 開催地は毎年異なり、第56回大会となる今年は 2月13日にロサンゼルス近郊のイングルウッドで開催される。
 なおこれは余談。スーパーボウルの大会回数を表す数字(今回の場合は「56」)は、ローマ数字で表記するのが慣例となっており(このページの一番上の写真)、今回もさまざまな場面において LVI という文字を見かけることになるはずだが、ラスベガスの略称 LV とは関係ない。ちなみにローマ数で L は50、V は5、I は1。

SBはアメリカの国民的行事

 7試合制の大リーグ野球のワールドシリーズとは異なり、スーパーボウルは1試合だけの一発勝負。そのためか注目度は半端ではなく、もはや冬の風物詩ともいえるほどのアメリカの国民的行事となっている。
 特にギャンブルの街ここラスベガスでの過熱ぶりはすさまじく、日ごろ賭けごとやアメフトに縁がない者までもが、なぜかこの日ばかりは大金を賭けて友人宅などに集まりテレビ観戦パーティーを楽しんだりする。
 カジノ側も元スター選手を招いてのサイン会や解説イベントを開催するなど、年に一度のビッグビジネスチャンスに余念がない。そしてチーム名すら知らない者や、ひいきチームを持たない者でも楽しめるような特殊な賭けも用意し、たっぷり散財してもらうことになる。(その特殊な賭けに関しては後半で説明)

 なお、青少年も観戦する神聖なるスポーツを賭けの対象にすることに対して、主催者である NFL組織が反対している関係で、Super Bowl という固有名詞をカジノで使うことが法律論争になりやすく、各カジノでは単純に SB としたり Pro Football Championship にするなど、カジノ独自の表現を使うことが多い。(この固有名詞の使用に関して、最近 NFL側が方針変更する動きも見せ始めているようだが、まだ使用を全面的に認めたわけではない)

ラムズが有利でハンデは -4.5点。

 今年の対戦カードは「ロサンゼルス・ラムズ 対 シンシナチ・ベンガルズ」
 ラスベガスのカジノではラムズが有利と見られており、その有利の度合いを示すポイントスプレッド(この写真内の PS。いわゆるハンデのこと)はマイナス 4.5点。写真は 2022年2月2日時点でのスポーツブック内の電光表示。

第56回 Super Bowl の賭けに関する各種情報を示す電光表示。

第56回 Super Bowl の賭けに関する各種情報を示す電光表示。

 この電光表示の -4.5点 が意味していることは、ラムズに賭けた者は、ラムズが 5点差以上で試合に勝たなければカジノでの賭けは勝ちにならないということ、そして逆にベンガルズに賭けた者は、実際の試合でベンガルズが負けても 5点差以内であれば、カジノでは勝ちになり払戻金を受け取れる。
 このようなハンデ込みの賭けの場合、どちらのチームに賭けた場合も的中確率はほぼ半々になるので(半々になるようにハンデを設定しているので)、払戻金はどちらのチームに賭けた場合も1倍(元金も含めれば2倍)になるべきだが、実際にはカジノ側が手数料を取る必要があるので(その手数料の率はカジノによって異なることもあるが、以下で示す「マネーライン」(ML)でいうところの -110 に設定しているカジノが多い)、100ドル賭けて的中しても 200ドル(賭け金も含めて)が戻ってくるわけではない。多くの場合、110ドル賭けて 100ドルの勝ちとなり、合計 210ドル戻ってくることになる。

ハンデ無しで賭けることも可能

 スーパーボウルの場合、以上のようなハンデ込みの賭け方(ポイントスプレッドによる賭け)が一般的ではあるが、ハンデ無しで賭けることもできる。それをマネーラインでの賭けという(写真内の ML)。
 たとえばベンガルズのファンが、「ハンデなどいらない。とにかく試合に勝つことしか考えていない」という場合は、ハンデなしでベンガルズに賭けることも可能だ。
 その場合、今回のベンガルズの ML+175。同様にハンデなしでラムズの勝ちに賭ける場合のマネーラインは -200
 この「マネーライン」とは、得点によるハンデではなく、賭け金の増減で実力差を調整しているようなものと考えればわかりやすい。(+ は、算数におけるプラスやマイナスの意味とはまったく関係がない。単なる記号と考えるべき)
 +175 の意味は、100ドル賭けて的中すると 175ドル受け取れる(自分の賭け金も含めれば 275ドル受け取れる)ことになり、-200 は、100ドル勝ちたい人は 200ドル賭けてください ということを意味する。(つまりラムズに 200ドル賭けて的中すると、100ドルの利益、自分の賭け金も含めれば 300ドル払い戻される)
 なお、これらマネーラインの賭けの場合、すでにその数値にカジノ側の手数料が組み込まれているので、それ以上差し引かれたりすることはない。  
 参考までに、マネーラインにおいてマイナスで表示される数値の絶対値 から、その賭けの払い戻し倍率 を求める計算式は以下のようになる。
  = (100 / )+ 1

応援したいチームがない場合

 どちらのチームが強いのか、もしくはどちらのチームが好きか嫌いかなどにまったく興味がない者に人気があるのが、トータル得点に賭ける方法だ。今年のスーパーボウルのこの数値は現在 48.5点。(上の写真内の TOT で示されている部分)
 これはどちらかのチームに賭けるというものではなく、両チームの得点の合計がこの数値を超えるか(Over)、超えないか(Under)を当てる賭けで、これに賭けた場合、テレビ観戦などでの応援スタイルは、「どっちのチームでもいいから、とにかく早くたくさん点を取ってくれ~!」、もしくはその逆に「点を取るな~!」といったカタチで観戦することになる。
 配当倍率は Over も Under も -110 が一般的、つまり 100ドル勝つためには 110ドル賭けなければならない。(カジノによっては -105 の場合もあったりする)

ハンデもマネーラインも変化し得る

 なおハンデ(ポイントスプレッド)にしろマネーラインにしろ合計得点にしろ、その数値はファンの賭け方の偏りに応じて、どのような試合結果になってもカジノ側が損をしないように日々刻々と変化し得るものなので、ここまでに書いてきた数値は固定的なものではない。
 したがって、今の時期にラスベガスに滞在予定の者でこれから賭けに参加する場合は、必ず電光パネルなどでそのつど最新の数値を確認してから賭けるようにしたい。
(参考までに: カジノ側がハンデの設定をしくじったり、ハンデの変更のタイミングに対して微妙な試合結果になってしまった場合など、たまにカジノ側が損をすることもある)

さまざまな特殊な賭け方

 なお、ここまでに説明した賭け、つまりハンデありハンデなし合計得点などはどこのカジノにもある人気の賭け方だが、それ以外にも各カジノのスポーツブックでは独自のユニークな賭け方をたくさん用意している。
 たとえば、「先攻後攻を決めるコイン・トスで表が出るか裏が出るか」、「どっちのチームが先に得点するか」、「最初に反則をするチームはどっちか」といった当てやすい(半々の確率で当たる)賭けから、「最終的な得点差はいくつか」、「両チームのタッチダウンの回数の合計はいくつか」といった当てにくい賭けまで(当てにくい賭けは当然のことながら配当倍率が高い)、ありとあらゆるユニークな賭けが用意されているので、応援しているチームがないといった人たちは、この種の賭けに参加してみるのも面白いかもしれない。

実際にベンガルズに賭けてみた

 せっかくなのでベンガルズにハンデなしのマネーライン(+175)で賭けてみた。以下は実際に賭けて窓口で受け取ったチケットの現物の写真。
 ベンガルズに賭けた理由は、地元チーム「ラスベガス・レイダーズ」が先日スーパーボウルを目指すプレーオフで戦って破れた相手がベンガルズだったから。ベンガルズがスーパーボウルに勝てば、「優勝するほど強いチームと戦って負けたんだから仕方がない」とレイダーズファンとしてはあきらめが付くというもの。はたしてどうなることやら。

実際にベンガルズにマネーラインで100ドル賭けたチケット。

実際にベンガルズにマネーラインで100ドル賭けたチケット。

オンラインによる賭けについて

 スーパーボウルの日にラスベガスに滞在予定の読者は、年に一度のこの国民的イベントに賭けという形でぜひ参加してみるとよいだろう。観戦中の盛り上がりと興奮、そしてラスベガスならではの貴重な体験になることまちがいなしだ。
 なお、近年オンラインアプリを通じて賭けられるようにもなってきているが、州の法律などの関係で地元民しかアカウントを作れなかったり、窓口に出向いてのペーパーワークがあったりするので、残念ながら州外からの一時的な旅行者にとっては現実的ではない。

関連カテゴリー
  • URLコピー

コメント(1件)

  1. ケンチ より:

    あのピー(レイダーズVSベンガルズでベンガルズのTD直前に審判の笛が鳴っている)で試合はとまっていたはずなのに・・・。TDではなくやり直しでしょう。その後の試合展開が・・・。

コメントをお寄せください!

ご意見、ご感想、記事内情報の誤りの訂正など、以下のコメント欄にお寄せいただければ幸いです。なお、ご質問は [フォーラム] のほうが返事をもらえる可能性が高いです。

※ メールアドレスが公開されることはありません。
※ 以下に表示されているひらがな4文字は、悪質な全自動プログラムによる大量の書き込みなどを防ぐためのアクセス・コードです。全角ひらがなで入力してください。
※ 送信いただいたコメントが実際の画面に表示されるまで15分程度の時間を要することがございます。

CAPTCHA