ポスト・コロナ、ベガスが最も恐れているのは航空需要の減少

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 ここ数週間、ラスベガスに限らず全米のメディアにおいて、「ポスト・コロナ」、「アフター・コロナ」といった言葉が使われるようになってきた。もちろんどちらも「コロナウイルスのあと」といった意味で、今回の一連の新型コロナ騒動が終息したあとの社会変化を論じたりする際に使われている。
 日本でも、そのどちらかの言葉が定着しそうだが、ひょっとすると第二次世界大戦のあとを意味する「戦後」のように、「コロナ後」が定着するかもしれない。

 どの言葉が定着するにせよ、社会の劇的な変化という時代の区切りとして、今後10年、20年と語り継がれる、あるいは使われ続ける言葉になるにちがいない。
 というのも、仮に新型コロナウイルスが消滅、もしくはワクチンや治療薬などが開発されたとしても、コロナ前の元の社会に戻れる部分と、元には戻れない部分があり、戻れない部分がかなり多くなりそうだと予想されているからだ。
 つまり「新しい生活様式」が誕生し、社会全体が大きく変化する歴史的変換点となる可能性が高いということ。
 極端な例かもしれないが、もし握手やハグをする習慣がアメリカ全体から消えるようなことにでもなれば、それこそ 2020年は、100年後でも語り継がれる時代の節目となるだろう。

 ちなみに日本では、たとえばコロナ後でも在宅勤務への流れが止まらず、千年以上も前から続いてきたハンコ文化が消えるのではないか(会社の重要な印鑑などは職場に保管されているので在宅では不便)、また、新学期を欧米諸国に合わせて4月から9月に移すべきか、さらには伝統的な祭りやフェスティバルなどの運営形態を変えるべきか、といった議論がなされたりしているようだが、それらはまさにコロナをきっかけとした歴史的大変革になり得る。

 さて前置きが長くなってしまったが、ラスベガスでは何が元に戻って何が元に戻らないのか。各メディアも含めてさまざまな人たちがあれこれ議論を交わしているわけだが、やはり元に戻らない事案が多いように見受けられる。
 日本におけるハンコ文化や新学期などの議論は、必ずしも元に戻ることが期待されているわけではないが、ラスベガスの場合、元に戻らないと都合が悪いことが少なくない。
 
 「3密」の典型ともいえるナイトクラブなどはその筆頭格で、コロナが完全に終息しても、密集した場所で踊るという文化そのものが消えるのではないかといった指摘が多い。完全に消えないにしても、運営形態などが激変する可能性は十分にありそうだ。
 いずれにせよ、需要という意味での市場サイズは確実に縮小するように思われる。ナイトクラブはラスベガスにとって重要な業界なだけに心配だ。

 複数の人が同じトングを触ることになるバフェ(日本でいうところの食べ放題形式のバイキング)も不衛生とのことで存続が危ぶまれている。こちらもラスベガスを代表するダイニング文化なだけに、これが恒久的に消滅するとなると寂しい。

 ナイトショー、コンサート、スポーツイベントなどの座席の間隔が広くなるのではないかとの声も少なくない。
 その一方で、座席を一つおきに使用する一時的な措置で対応し、コロナ騒動のほとぼりがさめたら元の状態に戻るだろうとの楽観的な意見も聞かれる。興行収益のことを考えると元の状態に戻ってくれることを願うばかりで、さもなければチケット代が上昇することになりかねない。

 カジノの運営再開に対する今回の一時的な規制、つまりブラックジャックは1テーブル3人まで、ルーレットとポーカーは4人まで、クラップスは6人までといったルールは、恒久的なものとして定着するとは思えないが、はたしてどうか。
 人が少ないカジノは盛り上がりに欠けるばかりか、これもカジノ側の収益のことを考えるとよろしくない。収益が悪化すれば顧客サービスなども悪くなる。

 運営再開後、エレベーターに乗れる最大人数を少なく設定すると発表しているカジノホテルが目立っているが、はたして一時的な措置として終わるのか。もしそれが社会の常識として定着するとなると、輸送量が大幅に減ることになり、エレベーターの増設などが求められる。
 余談になるが、かつて日本の六本木ヒルズで子供が回転ドアに挟まれて死亡するという事故をきっかけに、日本から回転ドアが大幅に減ったように、何がきっかけで建造物の常識が変化してしまうかわからない。

 レストランのテーブル配置も密度を少なくする方向に変化するだろうとの予測もあるが、単位面積あたりの収益の悪化に直結するので、これもよろしくない。収益が悪化すれば値上げが待っているか閉店になるだけで、良いことは何もない。

 以上のような推測はどれも確実な根拠や裏付けはない。それがゆえに、いま各メディアでは uncharted territory という言葉がよく使われている。「だれも知らない未知の領域」といった意味だが、まさにこれからの数ヶ月、あるいは数年、前代未聞のポスト・コロナという不確実な社会が待っていることになる。

 そんな未知の部分だらけの中でも、とりわけラスベガスの経済界などが気にしていることがある。それは航空業界の変化だ。
 機内は狭い空間なだけに、利用者側の意識の変化は十分に予想されることで、実際に「飛行機に乗ることを控えたい」とする人が多く存在していることは市場調査などで明らかになっている。
 また、そういった利用者側の意識の変化に呼応するカタチで、航空会社側も座席配置を変更せざるを得ない流れになってしまうことが心配されている。

 機内は、普通の密室よりも遥かに速く空気が入れ替わっており感染症に対しては比較的安全とされているが、あの狭い空間を気にする利用者を批難することはできない。
 航空会社が座席数を減らしたりする対応が本当に起こるのかどうかはまさに未知の領域だが、どのような方向に進んだとしても、ラスベガスにとってはあまり良いことはないだろう。
 というのも、飛行機を利用する者が減ることも、それを避けるために座席を減らして結果的に航空運賃が上昇することも、訪問者を減らす要因となるからだ。

 ラスベガスは砂漠の中の陸の孤島のような環境にあるため、比較的距離が近く陸路でアクセスできるロサンゼルスやフェニックスからの来訪者以外はほとんどが空路でやって来る。したがって、ラスベガスにとって航空需要の減少は死活問題というわけだ。

 なにやら毎週ネガティブな話ばかりになってしまい、ラスベガスの復活を願ってくれているここの読者に対しては申しわけない気持ちでいっぱいだが、ポスト・コロナの生活様式や習慣の変化が、ラスベガスにとって好ましくないことが多そうであることは、現実問題として直視すべきで、そこから目をそむけるべきではないだろう。
 もちろんすべては uncharted territory。悲観的な推測が外れて元の活気あるラスベガスに戻ってくれる可能性も十分あり得るわけで、そうなってくれることを願ってやまない。
 いよいよ数週間以内に実現するであろうカジノの再開業。まだコロナが完全に終わったわけではないが、はたしてポスト・コロナのラスベガスはどのような街になってゆくのか。注意深く見守りたい。

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コメント(3件)

  1. たかはし より:

    こんにちは 毎回泊ってるサーカスも6/4からホテル再開のアナウンスが、先程出たようで
    少しはホッとしてますが、この先本当にどうなって行くか心配ですね。
    日本のホテルのバフェは、その場でビニール手袋・マスクして食べ物を取るスタイルにする所も出て
    きてるようですが・・・LVではどうなりますかね・・・ローストビーフの切り分けみたいに皿に渡して
    くれるスタイルになるのかな?!

    いずれにしても、日本からは14日間の隔離制限が無くならないと、行くのは難しいので
    それが早く無くなればなぁ・・・と、思うばかりです。独立記念日前後かな?と、読んでますがどうだか

    更なる新鮮なそして、オープンし始めたら楽しい情報の方も待っております

  2. みやざき たかし より:

    カジノから、4日オープンするから、来てくださいの、お誘いが、ありましたが、飛行機と VISA無いのが、残念。
    早く Las Vegasに、行きたいが、便数が、減便で、ロサンゼルス乗り継ぎは、大丈夫かな?
    今迄と、違って 遠〜い Las Vegasに、なりそうです。

  3. ミヤケ より:

    ラスベガスの殆どのホテルは6月4日に再開しますが制約が厳しいです。バッフェは勿論ナイトクラブなどの営業は当面は無理です。ESTAの申請をすればVISAの取得は必要ないです。サンフランシスコ又はロサンゼルス経由の便はANAがありますよ、ただ現時点ではアメリカ入国後の行動制限が解除されていないので14日間はホテルや知人宅から外出は出来ません。帰国時の日本入国も同様です。と言いながら私も8月4日から2週間行く予定で20年前から毎年4回以上世話になっているストリップ通りのホテルに予約するつもりです。ホテル側とは頻繁に連絡を取り合っていますが入国後の行動制限については、判らないそうです。

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