カジノ運営企業のMGM社の株式売買はまさにカジノ

MGM GRAND HOTEL

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 ラスベガスのカジノホテルが全面閉鎖になってから早くも3週間。そして今週、日本でも緊急事態宣言というこのご時世、今の時期にラスベガス旅行を検討している読者はいるまい。もちろんこちらから発信できる楽しい話題などもまったく無し。
 というわけで、先週に続き今週も、超どうでもいい役に立たないラスベガス関連の話題をひとつ。

 それはラスベガスで最大勢力を誇るカジノ運営企業 MGM Resorts 社の株式が、まるで遊ばれているかのごとくアメリカの証券市場でギャンブル的に取引されているという話。

 日本でもアメリカでも新型コロナ騒動で株式市場が大きく荒れていることは、多くの人が知るところ。
 2月後半から暴落する日が続き、3月に入ると一転して急上昇。そしてその後また暴落、急騰を繰り返している。

 ようするに、コロナの影響で景気や業績の先行きが心配されると、ほぼすべての企業の株価が急降下し、逆に政府が大胆な経済対策などを発表すると急上昇といった具合だ。
 上昇と下降を差し引きすると、現時点におけるダウ平均日経平均もおおむね直近のピーク時から 20% 前後の下落といったところか。

 多くの銘柄が前例のないような過激な値動きを見せているなか、MGM社の株価はさらに飛び抜けて大きく変動しており、経済メディアなどからは、「MGM社のカジノでは遊べなくなったが、たくさんの人が同社の株で遊んでいる」などと揶揄されるほど値動きが激しい。
 他のカジノ運営企業も総じて同じような値動きをしているものの、出来高の大きさや、仕手戦(売方と買方の攻防戦)という意味での注目度は MGM社が突出している。

 ちなみに株式売買に関して詳しくない人にとっては、今回のような暴落局面では「株をやっていなくてよかった。やっている人たちは大損しているにちがいない」などと思ったりしがちだが、必ずしもそうとは限らない。

 暴落して困っているのは、すでに株を保有していて近い将来それを売ろうと考えている人たちだ。(多くの人がこれに該当するかもしれない)
 一方、これから買おうとしている人はもちろんのこと、すでに保有している人でも、1年や2年では売る気がまったくない人で(つまり長期保有)、さらにこのあとどんどんいろいろな銘柄を積立預金のように買い増そうとしている人にとっては、今回のような下落局面は絶好の買いのチャンスということになる。

 だが、もっと下落を喜んでいる人たちがいることを忘れてはならない。それは「信用売り」(英語では Short Selling)の人たちだ。
 どういうことかというと、普通の株式投資、つまり「買ってから売る」の逆で、「売ってから買う」のである。

 持ってもいない株をどうして売ることができるのか、と思うかもしれないが、それは簡単。証券会社などから株を借りてきてそれを売却、その売却代金を受け取り、その後(一般的には6ヵ月以内)、その株を買い戻して返却すればよい。

 具体的な例を挙げて説明するならば、たとえば新型コロナ騒動でカジノが閉鎖されたことにより、MGM社の株が下がると思った場合、その日の株価、たとえば $30 だったとすると、1000株を証券会社などから借りてきて売却すれば、$30,000 が売却代金として自分の口座に入金される。
 その後、期待通り株価は下がり $10 になったときに 1000株を買い戻して証券会社に返却すれば $10,000 の出費で済むので、口座には利益として $20,000 が残ることになる。

 借りたり返却したりと、何やら複雑な取引のようにも思われがちだが、パソコン操作で瞬時に完了するので、手間的には通常の「買ってから売る」のと何ら変わりはない。

 というわけで下落局面では必ずしも投資家が損するわけではないことが分かって頂けたと思うが、今の MGM社の株価は、まさにそんな信用売りをしている陣営と、買い陣営の攻防戦となっている。
 攻防戦とはどういうことか。それは、信用売りをしている人たちは、限りなく近い将来に買い戻す必要があるため、まもなく買い注文が入ることになる。
 それは結果的に株価を押し上げる要因となるため、それを期待して買い陣営が新たに買い注文を入れてくると、その段階で株価はさらに上昇。

 しかし業績の向上などが伴った上昇ではないため、すぐに下がるだろうと予想した人たちが新たに信用売りで参戦。
 するとそれ自体がまた将来の買い注文を確約することになるので、買い陣営は借金をしてでもさらに買いを入れたくなり(信用買い)、買いがふくらむ。

 この循環こそがまさに仕手戦で、そのような相場が形成されて来ると出来高が急増し、業績や景気などとは関係なしに株価が乱高下しやすい。
 ちなみに信用売りや信用買いの残数は、証券市場から毎日発表されるので、それがさらに情報戦の材料となり売買のボリューム増に拍車をかける。

 普通の平穏な状態では、良い材料、たとえば決算発表で予想以上の利益を出したとか、製薬会社がガンの特効薬を開発したといった情報が出ると株価は上昇し、逆に悪い決算発表や不祥事やスキャンダルが明るみに出ると株価は下がるわけだが、仕手戦になってくると業績などとは無関係に、需給バランスの駆け引きだけで株価が大きく上下する。まさにギャンブルだ。

 では MGM社の株価はどの程度変動しているのかというと、1日で 10%20% 、さらにはそれ以上も動いている。それも毎日のように。
 通常、各銘柄にとって、1日で 3% も動くことはまれで、5% も動けば「大幅高」、「大幅安」と言われることを考えると、この変動幅はもはや異常というほかない。

MGM社の株価チャート(チャールズシュワブ社からのデータ)

MGM社の株価チャート(チャールズシュワブ証券からのデータ)

 このチャートは 2月初めから昨日の4月8日までの値動きを示したもので、1日の時間幅ではあまり大きく動いていないようにも見えるが、右側の縦軸の数値をよく見れば、$15 から $10 前後に下落している日や、$9 から $12 台へ上昇している日などがあることが読み取れる。(ニューヨーク証券取引所では、日本で見られるストップ高やストップ安の制度を導入していない)
 なお、どの銘柄の株が仕手戦の対象になってしまうかは、人為的にその銘柄が選ばれる場合もあれば、自然発生的になってしまうこともあり、一概には言えないことが多い。

 どうでもいい話題を長々と書いてしまったが、ここの読者は基本的にラスベガス好きが多いはず。ということは、ギャンブル好きも多いのではないか。
 新型コロナ騒動によりラスベガスのカジノで遊べない今、MGM株のような仕手戦銘柄で遊ぶ方法もある、ということをお伝えして今週の話を終わりにしたい。
 ここまでお読みいただき誠にありがとうございました。
(ちなみに日本の証券会社からもアメリカ株を売買することは可能。ただ、信用売りは失敗するときの損失が大きくなりやすいのでお勧めしない。特にストップ高の制度がないアメリカ株の信用売りは要注意)

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コメント(4件)

  1. Jun R. より:

    ごくごく庶民な私には縁のない世界ですが、ギャンブルというかゲーム的な面白さがありそうですね。
    MGMには「単なるベガス好き」としてだけでも注目してますし、商売そのものには関心があるので、かなり納得できます。

    • ラスベガス大全 より:

      Jun R 様
      こんなどうでもいい記事を最後までお読みいただき誠にありがとうございます。心より厚く御礼申仕上げます。

  2. 佐和とおる より:

    こういう話も面白いですよ。

  3. ミヤザキ タカシ より:

    まさに、私の事か?(笑)
    余りにも、安くなったので、2万株買いました。いつ売ろか?思案中。
    これで、今までの、MGMでの 負けは、全て 取り返した。
    6月 Las Vegas に、行く準備しなくては。(笑)

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