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建設中の大型カジノ、建造物デザイン無断コピー!?

 世の中には「マネ」にまつわる騒動が少なくない。いわゆる無断コピーや著作権侵害などだ。
 その分野の幅は広く、商品、商標、ロゴ、デザインなどから、音楽や美術作品、さらには特許技術から研究論文まで多岐にわたる。

 今回のコピー騒動は建造物。外観などのデザインがそっくりというわけだ。
 建造物の場合、大きなものであるがために視覚的な露出度が高く、その業界人かどうかに関係なく、万人に無断コピーという行為が知られてしまい、また、一度世に出してしまったものは爆破解体でもしない限り引っ込めることができず、半永久的にその悪行が世間の目にさらされることになる。
 つまり露出度や存続期間という意味で、建造物の無断コピーは極めてたちが悪く、コピーをした側にとっての不名誉は忘れ去られることなく、その土地に永遠に残ってしまいやすい。

 それがゆえに、事例としては他の分野の無断コピーよりも総じて少ないように見受けられ、仮にコピー建造物が出現する場合においても、ここラスベガスにパリのエッフェル塔や凱旋門、エジプトのピラミッドやスフィンクスなどがあるように(これらは「無断」ではないが)、「元祖」「コピー」は別の地域に存在するのが普通だ。
 ところが今ラスベガスにおいて、元祖とコピーが同じエリアに同居という信じがたい事例が、まさに現在進行形のカタチで現実のものになろうとしている。

 騒動の主役は、旧スターダストホテルの跡地で建設が進められている「リゾートワールド」というカジノホテル。(このページの一番上の写真)
 経営の主体はマレーシアに拠点を置くリゾート・レジャー業界の大手ゲンティン社で、創業者(故人)も現経営陣も華僑という完全なチャイニーズ系の会社だ。

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 このリゾートワールドの外観が、ラスベガス屈指の高級カジノホテル「ウィンラスベガス」およびその別館である「アンコール」と酷似しているということで世間を騒がせているわけだが、地元メディアなどを見ている限り、「デザインは偶然の一致」「許される範囲」といった擁護論は少数派のようで、「明らかにコピー、許される範囲を超えている」といった厳しい意見が目立つ。

 当然のことながら、ウィン側は訴えを起こし、物言いを付けた。
 はたして悪質な無断コピーなのか、それともウィン側の過剰な言いがかりなのか…。
 まずは百聞は一見にしかず、写真を見ていただくこととしたい。下の写真がウィン(右)とアンコール(左奥)だ。

 そして下の写真が建設中のリゾートワールド。

 これらの写真からもわかる通り、似ていると思われる部分は、窓ガラスで構成されている建物本体の色と、横のストライプということになるわけだが、赤が少し使われている以外、偶然にしては不自然なほど酷似しているように見受けられる。
 似ているのは色やストライプだけではない。曲線美、つまり建物全体が弧を描くようなデザインになっているところも気になる部分で、これを見たら、多くの人がウィンやアンコールをイメージしてしまうのではないか。

 というわけで、全体の色ストライプ曲線を取り入れたデザインの3点が無断コピーかどうかの争点になりそうだが、さらにウィン側にとって不愉快なことがある。 
 それは、デザインとは関係のないことではあるが、立地場所だ。

 なんとこのリゾートワールドはウィンやアンコールのすぐ向かい側。つまり、やや斜めではあるが、ストリップ大通りを挟んで向き合っているような位置関係にあり、南北に長いストリップ大通りのホテル街全体の規模から考えると、まさにご近所さんといった感じで、騒動をまったく知らない者がリゾートワールドを見たら、同系列のホテルと思ってしまいかねないほど、似たような建物が似たような位置に並んでいることになる。

 これではウィン側が黙っていないのも無理はないといった感じだが、はたして読者の意見はいかに。

 各自それぞれ意見があるだろうが、ここまでを読んで頂いた読者は、この騒動がどんな方向に進み、どのような結末を迎えるのか、興味津々であるにちがいない。
  「ウィン側が裁判に勝って、強制的に爆破解体か」などといった過激なストーリーは極端にせよ、騒動が大きくなることを期待している不謹慎な傍観者も少なくないのでは。

 じつは、なんとこの騒動、このたび和解してしまった。ウィンが訴えを起こしたのが昨年の12月だったので、スピード解決ということになる。
 傍観者たちにとっては、おもしろくない結末かもしれないが、少なくとも爆破解体もなければ、建設の一時保留といったこともなさそうだ。

 和解の詳しい内容は報道されていないので、ウィン側が寛大に譲歩したのか、リゾートワールド側が高額を支払うことになったのか、両者の損得バランスなどに関してはわからないが、リゾートワールド側の「今は似ているように見えるかもしれないが、完成すればまったく似ていないホテルになる」「当初の予定よりも多少の変更を加える」という条件をウィン側が受け入れることによって和解に至ったとされる。

 それはともかく、和解の過程で面白い話が発覚したようなので、それを紹介して今週の話を終わりとしたい。
 「なんと」と言うべきか、「やはり」と言うべきか、どうやらデザインが似てしまったのは偶然ではなかったようだ。
 設計の段階で、「ウィンのような感じのデザインで…」といったやりとりがあったというから笑える。

 「中国系 = 無断コピーを平気でやる」というステレオタイプ的な発想はよろしくないが(日本企業でも無断コピーはあるので)、「やはり」という感じは否めないのではないか。
 ちなみに来年オープンするとされるこのリゾートワールド、テーマはなんと中国とのこと。

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コメント(6件)

  1. しの より:

    先日、母親を連れて行ったのですが「このホテルはこれ(Wynn)と一緒?」と訊いてきました。

    • ラスベガス大全 より:

      ご投稿、ありがとうございます。
      たしかに完成が近づいてきたら、ますます Wynn に似てきた感じがありますね。

  2. ラスベガス大全 より:

    ご投稿、ありがとうございます。
    おっしゃる通り、まるで Wynn の新館のようでかなり不評ですが、完成したときにはぜんぜん違うデザインになるようですので、もうしばらく様子を見たいところですね。
    なお、コスモポリタンがアリアに似ているという話はぜんぜん聞いたことがありませんし、設計や計画の発表、さらには建設開始の時期などのことを考えても、コスモポリタンがアリアをマネしたということは考えられませんね。

    • 進藤 龍次 より:

      早速の返信をありがとうございます。
      MGMからコスモポリタンに爆破要請は、なかったのですね。
      全体に銀色で似ている気がしますが。
      隣だし。

      コスモポリタンと言えば、部屋の窓が開くこと。
      一人目のダイ◯の時は、やっぱり出たと、
      newsになったとか。
      その後は、収まったのでしょうか?
      もう、newsにもならないのでしょうか?

      • ラスベガス大全 より:

        全体が銀色だとか、隣だとか、やっぱり似ているとか、そういう議論ではなくて、
        コスモポリタンのほうが先に(2004年頃に)デザインを発表しているということです。(アリアの計画はたしか2006年ごろに公開)
        つまり、アリア側がコスモポリタン側に爆破解体を要請したとかしないとかの議論自体がナンセンスだし、聞いたこともない、ということです。

  3. 進藤龍次 より:

    2019年2月にLas Vegasに行った時に私も気になりました。
    Las Vegasに住む友人に聞いたら、
    あれは、Wynnの新館。
    と言っていました!
    そう言えば、前もありましたね。
    コスモポリタン。
    あのデザインは、どう見てもAriaでしょ。
    えげつないとhostも言っていました。
    あの時は、MGMは、ドイツ銀行に爆破要請をしたのでしょうか??

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