【税金】 カジノからの収益があるのでベガスには消費税がない、というのは完全なデマ。

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 ラスベガスはカジノ収入があるので消費税がない!という噂が日本人観光客の間で流れたりしているが、それはまったくの誤り。
 食料品など一部の免税品もしくは軽減税率品を除き、原則としてすべての物品やサービスに 8.375% の消費税(Sales Tax)が課せられる。
(2020年1月に改定された税率。この消費税は、ネバダ州税、クラーク・カウンティー税、シティー税の合計で構成され、税率はその順番に、4.600%、3.775%、0.000% の合計で 8.375% となっている)

 また、ホテルの宿泊料金に対してはホテル税(Room Tax)として約13% が(この税率はひんぱんに変動。ストリップ地区とダウンタウン地区でも税率が微妙に異なったりする)、そしてナイトショー・チケットなどに対してはライブ・エンターテインメント税(Live Entertainment Tax)として約9%(興行の規模によって異なる場合も)が上乗せされる。
(ホテル税やライブ・エンターテインメント税が課税されるものに対しては、消費税は課税されない)

 参考までに、「ラスベガスには税金がない」という噂の根拠は、ラスベガスが属するネバダ州に所得税や法人税がないからだ (固定資産税はある)。が、これにも誤解があるので補足説明が必要だろう。
 他州の住民や法人に比べ、ネバダ州の個人や法人が法人税や所得税を納めていないのかというとそんなことはない。なぜなら、州税がないだけで、国税はあるからだ。
 もともと、どこの州に住んでいようと、所得税も法人税もその大部分は国税であり、各州独自の所得税や法人税の税率は国税に比べてかなり低い。

 したがって、ネバダ州の個人や法人が受けている州税の免税による恩恵は、それほど大きくない。
(累進税のため総所得によって異なるが、一般的な給与所得者の州税無税の恩恵は、総所得のほんの数パーセント。とはいっても高額所得者にとっての恩恵はかなり大きな額になる)

 そうでなければ全米の住民や企業がネバダ州に集まってしまうが、実際にはそんな現象は起こっていない。その証拠に、ネバダ州は人口増加率こそ大きいが、絶対数としては、人口も企業数も非常に少ない。(ネバダ州の人口は 2018年7月時点の統計数値で303万人、全米50州の中での順位は32番目)

 なお、消費税の税率は日本のように長期間固定ではない。これはラスベガスに限らず全米に共通して言えることで、各地域の行政単位ごとの歳入歳出事情によってしばしば変動する。
 たとえば大地震や竜巻などの災害により、その地域で一時的に大きな災害復興資金などが必要となった場合、消費税率は上げられる。
 逆に、景気が良い時期など、企業業績が好調で法人税収入が予想を上回ったりした場合などは消費税率が下げられる可能性も
ある(とはいえ、減税はめったにないが)。
 いずれにせよ日本とは異なり税率は常に変動するものなので、ラスベガスの現在の消費税率も絶対的な数値ではないということを覚えておきたい。

 最後に、カジノで大きな金額を当てた場合の天引きされる源泉徴収税について。
 これまで長い間、スロットマシンやビンゴで $1200 以上の配当を受け取る場合で、なおかつその配当を受け取る者が非居住者(ようするに米国外に住む外国人)の場合、その金額の 30% を源泉徴収された。つまり現場(カジノ)で 30% が差し引かれ、残りの 70% を受け取ることになっていた。

 しかしこのルールは 2005年1月から改正され、非居住者でも全額受け取り、居住者と同様、各自で本国に戻ってから確定申告することができるようになった。
 つまり日本人観光客が高額を当てた場合、アメリカ側で源泉徴収されることを拒否できるようになった代わりに、日本に帰国後、各自で税務署に申告する義務が生じることになる。
(日米租税条約に基づくこのルールを知らないカジノスタッフもいて、源泉徴収されてしまうこともあるので要注意)

 ただ、源泉徴収はされなくなったものの(源泉徴収を選んでもよい)、高額賞金を受け取ったことに対する証拠書類(Form: 1042-S)はカジノ側から米国の税務当局(IRS: Internal Revenue Service)を通じて日本側当局へ報告されることになっているので、脱税は考えないほうがよい。

 日本側での手続きに関してわからない場合は居住地域の最寄りの税務署に相談すべきだろう。アメリカ側での税務相談が必要なほどの高額を当てた場合は(おおむね 10万ドル以上)、ラスベガス大全へ問い合わせれば( trimax@lvtaizen.com )、日本語を話す会計士などを紹介することも可能だ。

 なお、ブラックジャックやバカラなどの一般のテーブルゲームにおいて $1200以上の受け取りがあっても、上記のような手続きは取られない。
 これは 2005年以前も同じで、一般のテーブルゲームの場合、$1 の賭け金が 1200倍になるような一攫千金型の不労所得ではないためだ。
 それでも所得は所得、もし最終的に勝った場合は、正式には自己申告して納税するのが正しいあり方であることはいうまでもない。

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