ベネチアン / パラッツォ

ベネチアンとパラッツォは、どちらもイタリアをテーマにした大型カジノホテル。

ベネチアンの名称はもちろんイタリアの都市ベニスから来ていることはいうまでもなく、一方のパラッツォはイタリア語で宮殿や大邸宅という意味。

両ホテルは本館と新館のような関係で、同じ Las Vegas Sands 社の管理下で運営されているばかりか、カジノ運営のための当局へのライセンス登録なども「ひとつのホテル」として申請されているため、ここのページでは両ホテルを一緒に扱うこととする。(下の写真はパラッツォ、右奥に小さく写っているのがベネチアン)
MGM社の系列でもシーザーズ社の系列でもない。

パラッツォホテル、右奥はベネチアンホテル

寸評

 ベネチアンとパラッツォは経営が同じというだけでなく、実際に館内でつながっているので物理的にも同じホテルと考えてよい。
 格付け的なグレードも同クラスなので(宿泊料金もほぼ同じ)、実際に利用するにあたって両ホテルを特に区別して考える必要はないだろう。

 ちなみに客室数はベネチアンが約4000、パラッツが約3000。(客室数はリモデルなどのたびに微妙に変化するものなので、正確な数字はしばしば変化している)

 どちらもすでに十分すぎるほど巨大ではあるが、前述の通り、当局などへの登録申請が共通になっているため、それを根拠にしているのか、「7000部屋を超える世界最大のホテル」というのが、このホテルの宣伝文句になったりもしている。

ベネチアンホテル

 いずれにせよ、どちらのホテルもラスベガスでは最高級グレードに位置付けされているので、泊まって後悔するようなホテルではないはずだ。
 なお実際に泊まる際はどちらを選んでも大差ないが、パラッツォのほうが少し北に位置しているぶんだけ、繁華街の中心部からやや離れていることは知っておいたほうがよい。

 したがって、館内からひんぱんに出たり入ったりする者は、繁華街に近いベネチアンにしておいたほうが無難だ。
(両ホテルの地理的な位置関係は、このページの上部にある[エリアマップ]で確認可能)

 それでも、パラッツォのほうが比較的人通りが少なく静かなため、ゆったり落ち着いた雰囲気を好む者にとってはパラッツォのほうがよいかもしれない。
(パラッツォの宿泊者の多くが、客室から街へ出たり入ったりする際、ベネチアンの館内を通過しているので、どうしてもベネチアンのほうが混雑傾向にある)

 したがって、どちらに宿泊すべきかで悩んだ場合は、「落ち着きのパラッツォ」「活気のベネチアン」かで決めればよいのではないか。

 さてこれは余談だが、ホテル名の発音について。
 「ベネチアン」あるいは「ヴェネチアン」というカタカナ表記をそのまま発音したのでは、タクシー運転手などに通じる可能性はゼロに近いので注意が必要だ。
 本場イタリアでの発音はともかく、ここラスベガスでの発音は「ベネシアン」、もっと厳密に書くならば「ヴィニーシャン」に近い。
 長らくこのラスベガス大全では、読者がタクシー利用などの際に困らないよう、なるべく当地の発音に近いカタカナ表記に心がけ「ベネシアン」と表記してきたが、そのように表記すると、ベネチアンホテルを探している読者にとって、それがなんのホテルだかわからなくなってしまうばかりか、ホテルの予約サイトなどで検索する際にうまくいかないことがあったりするようなので、一般の旅行ガイドブックなどに合わせて「ベネチアン」と表記することにした。

沿革(これまでの経緯)

 このホテルの沿革を語る際、コムデックス(COMDEX)シェルドン・アデルソン(Sheldon Adelson)というビジネスマン、そして日本のソフトバンク社を率いる孫正義氏を抜きには語れない。

COMDEX

 「コムデックス」とは、1979年に始まり 1990年代のなかばまで非常に活況を呈していたハイテク業界の超巨大コンベンションのこと。(上の写真は2001年開催時、下の写真は2000年開催時のCOMDEX)

 ソニー、キャノン、東芝など、日本のハイテク企業が毎年巨大なブースを出展していたことはいうまでもない。
 現在の CES(毎年1月にラスベガスで開催されるハイテク業界のコンベンション)よりも巨大で、「ベガスの秋の風物詩」といわれるほどのビッグイベントだった。

 ちなみにこのコムデックスには筆者も長年に渡って関わってきた経緯がある。
 そのコムデックスを主催する会社のオーナーだったのがアデルソン氏で、孫氏はコムデックスのようなビッグイベントの主催者になることを望んでいた。

COMDEX

 ちなみにアデルソン氏は 1990年代の当時、すでにラスベガスのストリップ地区に、伝統はあるもののかなり老朽化したカジノホテル「サンズ」(Sands)を所有していた。
 当時としてはそれなりに知名度のある中規模ホテルではあったが、すぐ向かい側にミラージュトレジャーアイランドといった巨大テーマホテルが次々と出現したため、サンズの相対的な陳腐化は避けて通れず、アデルソン氏としては建て替えの必要性に迫られていた。

 とはいえ、巨大テーマホテルの建設には日本円換算で 1000億円を軽く超える資金が必要で、アデルソン氏にそれだけの財力はなかった。
 そこで思いついたのがコムデックスの売却で、それに飛びついたのが孫氏であったことは言うまでもない。

 たまたまドル円レートが円高だったこともあり、孫氏にとっては安い買い物だったのか 1995年、約8億ドルという巨額でアデルソン氏からコムデックスを買ってしまった。

 ソフトバンクの手に渡ったコムデックスは、出展企業を募集する営業スタッフなど人的コネクションの入れ替わりの影響が大きかったのか、それとも日本資本になったことで多くの出展企業から敬遠されたのか、中堅企業のみならず、IBMやマイクロソフトといった常連の大手企業までもが出展しなくなり、さらに同時多発テロによる不況という不運も重なったこともあって、買収後わずか数年で衰退傾向になり、最終的には 2003年の開催を最後に消滅してしまった。

 このコムデックスの失敗は、今でも業界の中で孫正義氏にとっての最大級の黒歴史として語り継がれたりしている。

 一方、孫氏から大金を手にしたアデルソン氏は、その資金を元に巨大テーマホテルの建設構想に着手。
 結局、孫氏に売却した2年後の 1997年にサンズホテルを爆破解体し、その3年後に 3000部屋規模の巨大テーマホテル「ベネチアン」を完成させた。

 ちなみに、そのホテル名に、前身のホテル名でもあり会社名でもあった「サンズ」を引き継がなかったことになるが、現在でも社名はそのまま残しており、Las Vegas Sands 社としてニューヨーク証券取引所に上場している。

 ベネチアンはその後、業績を伸ばし、需要増に伴う部屋数不足を解消するため、駐車場施設の上に 1000部屋を増築(現在 Venezia Tower と呼ばれている客室棟)。
 さらに 2007年には 3000部屋規模の新館を完成させた。それが「パラッツォ」だ。(写真下)

パラッツォ

 アデルソン氏率いるサンズ社は、海を渡ってマカオやシンガポールにも進出。
 特にシンガポールの、3棟の高層ビルの屋上に船の形のプールを設置した巨大カジノホテル「マリーナベイ・サンズ」はあまりにも有名だ。

 そんな絶好調の期間もつかの間、日本語で「リーマンショック」と呼ばれている世界的大不況の影響を受け、2009年ごろには倒産の危機に見舞われたが(株価もゼロに近づいた)、その後、奇跡的に立ち直ることに成功。

 株価の劇的な回復とともに、今ではアデルソン氏はアメリカを代表する大富豪として(サンズ社の筆頭株主であるため、資産の大部分は同社の株式)、毎年長者番付に名を連ねるほどの著名資産家となった。

 なお、アデルソン氏は熱烈な共和党支持者でもあり、「トランプ政権最大のタニマチ」といわれるほど、多額の献金をしていることでも知られている。

 こうして歴史をふり返ってみると、孫正義氏にコムデックスを高値で売ることに成功していなければ、今日のベネチアン、パラッツォ、さらにはマカオ、そしてシンガポールのサンズも誕生していなかったかもしれない。
 そんなアデルソン氏率いるサンズ社は、再び海を渡ってカジノ法案が成立した日本にも進出しようとしている。

ベネチアンホテル

 ちなみにベネチアンホテルのショッピングモール内には、ベニスの水路をモチーフした川(写真)が存在しており、「サンズの川」などと揶揄されたりもしているが(流れてはいないので川と呼ぶには無理があるが)、1933年生まれのアデルソン氏はすでにかなりのご高齢。「三途の川」を渡る前に太平洋を渡って日本でも成功してもらいたいものだ。

良いところ

 簡単にいってしまえば、「ゴージャスなホテルである」ということが最大の良いところといってよいだろう。
 もちろんこれには個人の好みなどによって異論もあるかもしれないが、宿泊料金という意味では、どう考えてもこのホテルはラスベガスではトップクラスの料金設定になっており、ベラージオ、コスモポリタン、ウィンなどと並ぶゴージャスホテルであることはまちがいない。

パラッツォのスイートルーム

 ゴージャスと呼ばせるための最大のウリは「全室スイート」。  つまり標準的な一般の部屋でもスイートルーム形式になっているということ。(写真)
 たしかに他のホテルのスタンダードルームと比較する限り、客室においてこのホテルが勝さることはあっても劣ることはないはずで、部屋の広さはこのホテルの最大のセールスポイントといってよい。

 ただ、スイートルームとはいっても、リビングルームとベッドルームが完全にセパレートになっている正式なスイート形式ではなく、広めのひと続きの部屋のフロアに段差を設けてリビングルームとベッドルームを視覚的に分けて見せるいわゆるミニスイート(もしくはジュニアスイート)と呼ばれる部屋であることは頭に入れておく必要がある。(写真下。床に2段の段差が見える)

パラッツォのスイートルーム

 また、本格的なスイートルームには付き物の、簡易キッチン(キチネット)やバーカウンターなどはない。

 ショッピングモール「グランドキャナルショップス」が館内にあるため、結果的にレストラン群が豊富になっているところも、このホテルの大いなる利点といってよいだろう。

 そのグランドキャナルショップス以外にも、ベガスを代表するショッピングスポット「ファッションショーモール」「フォーラムショップス」にも近いので、ショッピング族にとってはベストポジションのホテルと考えてよい。

 巨大ホテルではあるものの、ベラージオ、シーザーズパレス、ミラージュ、バリーズなどと比べて前庭がそれほど広くないので、館内からストリップ大通りへ出るまでの移動距離が短くて済むところも、客室と街の間をひんぱんに出入りする者にとってはかなりのメリットとなるはずだ。
 ただし、フラミンゴ、パリス、プラネットハリウッド、パークMGMのように、前庭がほとんど無いホテルと比べると、そのメリットは小さい。

ベネチアンホテルのプール

 冬期の宿泊者には無縁の話になるが、プール利用者にとって、カジノを通過せずにプール施設(4階にある)にアクセスできるようになっているところも評価ポイントとなるだろう。  そのような構造だと、水着にTシャツを着たようなラフな格好でも他人の目を気にすることなくプール施設へ直行できる。
 ちなみにプールをカジノフロア(どのホテルにおいても1階にある)と異なるフロアに配置しているのは、主要ホテルではパリス、プラネットハリウッド、コスモポリタン、アリア、そしてベネチアン・パラッツォだけだ。
(ハラーズやリンクもこの形式ではあるが、プールそのものがあまりにも貧弱なので議論の対象外とする)

 バスルーム内において、バスタブとシャワーブースが別々になってところもありがたい。
(高級ホテルではそれが当たり前と言えなくもないが、近年ミドルクラスのホテルでは、パークMGMのように、バスタブがなくシャワーだけにリフォームするホテルが増えてきている)

 ミラージュの火山のアトラクション(写真下)がすぐ目の前にあることもうれしい。たかが無料アトラクションではあるが、いつでも観られるチャンスがあるというのは、それはそれでメリットのはず。

ミラージュホテルの火山ショー

 地理的なポジションから、チャイナタウンへ行く場合、他のホテルよりもタクシー代を節約できる。 (主要ホテルでは、トレジャーアイランドがチャイナタウンに一番近く、ベネチアン・パラッツォはその次に近い。ちなみにチャイナタウンは、パラッツォやトレジャーアイランドがあるところの交差点から西方向へ約1.8kmの地点。味的そして料金的な理由から、ホテル内の高級レストランを避けてチャイナタウンまで足を伸ばす人は少なくない)

 同様に北に位置しているため、ダウンタウンへ行く際にも、他の主要ホテルよりも相対的に近いことになる。

 ベガス滞在中に必要になりそうな物なら何でもそろう大型のコンビニ兼ドラッグストア Walgreens がベネチアンに隣接していることも付け加えておきたい。

ウォルグリーンズ

 近年、Walgreens、そしてそのライバル店の CVS がストリップ地区に急増しているため、この「ドラッグストアに近い」はベネチアンだけの特徴とは言いにくくなってきているが、それでもコンビニやドラッグストアが近くにないホテルはいくらでもあることを考えると(マンダレイベイ、ルクソールなど MGM以南のホテルはもちろんのこと、中心街にあるシーザーズパレスでもドラッグストアまで決して近くない)、大いなる利点と考えてよいだろう。

悪いところ

 ゴージャスなホテルなので当たり前のことではあるが、宿泊料金が高い。

 「ラスベガスの中心街」の定義を「ストリップ大通りとフラミンゴ通りの交差点」(通称「フォーコーナーズ」)と仮定するならば、このベネチアンはそこから北方向にほぼ 1km 離れていることになり、繁華街を散策する際にはけっこう不便に感じる可能性がある。
 ちなみにパラッツォは、そのベネチアンよりもさらに北に約350mほど遠い。
(この350mという数字は、両ホテルのメイン構造物の中心点の位置の間隔)

 ベネチアンにもパラッツォにも、ラスベガスの食文化の象徴ともいえる食べ放題の「バフェ」がない。  近年、館内に2ヵ所あるレストラン Grand Lux Cafe が「食べ放題」サービスを始めたが、曜日や時間帯に制限があるなど「条件付きの食べ放題」であり、他のホテルにある大規模なバフェとは規模的にも内容的も大きく見劣りしているのが現状。

 大した問題ではないが、オプショナルツアーなどに参加する際のツアーバスの停車場(集合場所・解散場所)が、客室やフロントロビーからかなり離れている。 (参考までに、客室数が多いラスベガスの大型ホテルにおいては、ほとんどの場合、混雑を避けるために正面玄関前にはタクシーなどの小型車両しか乗り付けさせておらず、ツアーバスなどはそれ専用に用意された場所を利用することになっている)

 これまた大した問題ではないが、ベネチアンやパラッツォは、ストリップ地区の主要ホテルが存在しているエリアの中では、空港から一番遠いポジションに立地しているため(ウィン/アンコールはもっと遠いが)、タクシーやウーバーの料金がそのぶん高くなりやすい。

 ズバリ、客室からの景色がよくない。ベネチアンホテルの本館(最初の3000部屋の棟)の場合、立地ポジションや客室棟の設計上の理由から、ストリップ大通りに対して真正面を向いている部屋がまったく存在しないばかりか、ストリップ大通りに多少なりとも(斜め向きに)面している部屋でも、自身の構造物や隣接する駐車場施設、さらには近隣のホテルなどがかなり視界をブロックしており、チェックインの際、どの方向を向いている部屋にしてもらったところで、窓からの夜景などはほとんど期待できない。

 なお、Venezia Tower(ベネチアン本館3000部屋の完成後に、駐車場施設の上に増築された約1000部屋の客室棟)には、本館と異なりストリップ大通りを向いている部屋も多少ある。  また、この棟は空から見ると建物全体が「コの字型」になっているため、中庭(小さなプールもある)が存在しており、その中庭に面している部屋はストリップ大通りには面していないものの、景色的にはそれなりの風情を楽しむことが可能。

 そう書くと本館(3000部屋)よりは景色が良いようにも思えてしまうが、高さが本館よりも低く、また、寂れた景色しか見えない部屋も多いので、必ずしも Venezia Tower のほうがよいとは限らない。  いずれにせよ、ベネチアンの場合、景色にこだわってもあまり意味がないことだけは覚えておくようにしたい。  なお、パラッツォの場合は多少視界が広く、高層階からはそれなりの景色を楽しめる部屋もある。それでもストリップの中心街にあるホテルと比べると、大きな期待は禁物だ。

雑情報

 イタリアをテーマにしている関係で、ベニスの鐘楼、リアルト橋、サンマルコ広場など、実物にかなり近い精巧なレプリカ建造物がたくさんある。  また、ベネチアンのフロントロビーから館内に通じる通路の天井にも、本場にならったヨーロッパの伝統芸術フレスコ手法の宗教画が再現されている。(写真)

ベネチアンホテルの通路の天井のフレスコ画

 カジノ(1階)の上のフロアに広がるショッピングモール「グランドキャナルショップス」(2階)と、ベネチアンの前庭の広場には、本場ベニスの街を模倣した水路があり、そこではゴンドラライド(有料)を楽しめるようになっている。(写真下、これは屋内)

 なお、そのゴンドラを漕いでいるゴンドリアは、実際のベニスにならって、あたかも自分が漕いでいるかのように振る舞っているが、ここのコンドラは低騒音の電動モーターによるスクリューで推進するようになっているため、ゴンドリアはさりげなく足でそのモーターのオン・オフ操作をしているだけ。(ただし進路方向の舵取りは手作業の部分も)

ベネチアンホテルのゴンドラライド

 グランドキャナルショップスの最西端(ストリップ寄り)にあるナイトクラブ兼レストラン「TAO」は、飲食業界の業界誌 Restaurant Business が選ぶ「年間売上で比べた全米トップ100店」におて、毎年のように堂々の1位を獲得している。(あくまでも1店舗における売上の比較であって、マクドナルドやデニーズのようなチエーン店は選考の対象外)

 有名人のそっくりさん人形でおなじみの「ろう人形博物館 Madame Tussaud’s」が、ベネチアンの前庭から2階のグランドキャナルショップスへ通じるエスカレーター沿いにある。

ベネチアンの蝋人形館

 マリリンモンロー、シュワルツネガー、シナトラ、マイケルジャクソン、モハメドアリ、タイガーウッズ、マイケルジョーダンなど、映画スター、歌手、スポーツ選手などのそっくりさん人形約100体が一堂に集まっており、まさかこれが人形かと目を疑いたくなるような精巧な作りにはだれもが驚かされるはず。

 そのエスカレーターの一番下の近いところのストリップ大通り沿いに、世界的に有名なコスメ専門の大型チエーン店「セフォラ」が店を構えている。 (余談になるが、このセフォラは、ルイヴィトン、ブルガリ、セリーヌ、ディオール、フェンディー、ダナキャラン、ジバンシー、タグ・ホイヤー、ケンゾー、ドン・ペリニヨンを持つ LVMH社が運営)

 高級レストランが多いなか、ベネチアンのカジノフロアには、午前11時から深夜3時まで営業しているカジュアルな中華料理店「Noodle Asia」があり、日本のラーメンやチャーハンとは微妙にちがっている部分はあるものの、それらに近い大衆料理を楽しむことができるので、カジノで疲れたあとの夜食の際など、覚えておいて損はない店だ。

 参考までに、ベネチアンやパラッツォに滞在しているときに、日ごろ日本で食べているような味の料理に恋しくなった場合、この Noodle Asia 以外には、パラッツォのカジノの上のフロアにあるショッピングモールの一番奥に「SUSHI SAMBA」が、そして道路を渡ったトレジャーアイランドのカジノ内にベトナム料理のフォーの店「Pho Vietnamese」があるので、それらも合わせて覚えておくとよい。

 ついでに、そのトレジャーアイランド内の食べ放題店「Corner Market Buffet」は、中華料理のアイテムも多く、味のレベルも高いとの評判。

サンズエキスポ

 ラスベガス屈指の巨大コンベンション施設「サンズ・エキスポ」(写真)が、両ホテルに隣接するカタチで存在しており、外に出ることなく館内通路だけでそのサンズエキスポにアクセスできるようになっているので、この会場で開催されるイベントに参加するビジネス出張族にとって、この両ホテルは非常に便利。  ただし、大きなイベントが開催されている期間中の宿泊費の高騰は覚悟しておく必要がある。

 さて雑情報の最後に発音について。PALAZZO の日本語読みを「パラッツォ」と表記してきたが、現場スタッフなどのほとんどは、イタリア語的な「ツォ」という発音をせずに、ただ単に「パラゾ」と発音しているのが現状(アクセントは真ん中の「ラ」)。  タクシーなどを利用する際に確実に通じるようにするためには、なるべく現場の発音に近いほうがよいので、ここでも「パラゾ」と書くべきかもしれないが、「パラゾ」だと「パ」にアクセントを置いて読んでしまう傾向にあるため、「パラッゾ」か「パラッツォ」のほうが問題が少ないと判断。  実際に、最後の部分を「ツォ」と発音している現場スタッフも少なからずいる上、そのように発音しても確実に通じることを確認済みであること、そしてなにより、イタリア語に敬意を表するという意味で「パラッツォ」と表記することにした。

評価

ホテルのグレード:★★★★★

 ホテルのグレードとしては、すでに書いてきたとおり、ラスベガスでは最高級のグループに位置付けされているので申しぶん無い。 もちろんそれなりに宿泊料金も高いが、それは仕方がないところ。

立地条件:★★★☆☆

 すでに書いてきたとおり、中心街から北方向にやや離れているという意味では決して良いとはいえない。
 その状況を具体的な例を上げて説明するならば、ベラージオの人気の噴水ショーや、パリスホテルの凱旋門エッフェル塔までは1km以上歩く必要がある。
 ニューヨークニューヨークホテルの自由の女神に至っては 2.5km ほど、ルクソールのピラミッドは 3km以上の距離にある。
 また、主要ホテルの中ではウィン/アンコールを除くと、空港からも一番遠い集団に入ることも覚えておきたい。
 なお、ストリップ大通りと巨大観覧車をつなぐ「リンク・プロムナード」は徒歩圏内にある。

バス停の位置:★★★☆☆

 南北に長いストリップ大通りの移動に欠かせないのが公営バス。(運賃は、発行時刻から2時間有効な乗車券が6ドル、24時間有効券が8ドル、72時間有効券が20ドル。バス停にある自販機で購入可能)

 この公営バスには、すべてのバス停に停車する2階建てのバスDEUCE と、主要のバス停にしか停車しない急行の2連結バスSDX の2系統があるわけだが、DEUCE は停車回数が多すぎ利便性が悪いので、交通手段としてではなく、むしろストリップ地区の景色を眺めるための遊覧的な乗り物と考えるべきだろう。

2連結バス SDX

 結局、多くの場合、SDX を使うことになるわけだが、残念ながらこのベネチアン/パラッツォの近くには SDX が停車するバス停がない。
 その SDX の北行き路線に乗るためには、パラッツォから北側の歩道橋を渡ってウィンの前のバス停まで行く必要があり、また南行き路線に乗るためには、歩道橋を2回渡って、ファッションショーモールの前にあるバス停まで行かなければならない。

 一方 DEUCE のバス停はすぐ近くにあり、北行きがベネチアンの前、南行がストリップを渡るだけのトレジャーアイランドの前なので便利だ。

 (DEUCE、SDX は、それぞれの路線に付けられた愛称。そのバス停に SDX も停車するのか、それとも DEUCE だけしか停車しないのかは、バス停に立っている小さな看板を見れば、それぞれのロゴマークが描かれているのでわかるようになっている。SDX のバス停は少ないので、多くの場合 DEUCE のマークしか描かれていない)

ショッピングの利便性:★★★★★

 ショッピング族にとっては、これほど適したホテルはないだろう。すでに何度もふれているとおり、館内にグランドキャナルショップスがあるだけでなく、シーザーズパレスのフォーラムショップス、そしてラスベガス最大のショッピングモールであるファッションショーモールも徒歩ですぐの至近距離だ。

 また、高級ファッションブランド店を探し求めているのであれば、パラッツォから歩道橋を渡ったウィンの中に高級店ばかりが軒を並べるショッピングプロムナードがある。

 飲み物など滞在中に必要な雑貨類の購入に関してはドラッグストア Walgreens がベネチアンの前のストリップ上の歩道にあるので、遠くまで行く必要はない。
 みやげ物を買う際のショップとして日本人観光客から絶大なる支持を集めている ABC Stores(ハワイで多店舗展開をしているコンビニスタイルのギフトショップ)は、ファッションショーモール内にあるので、これまた徒歩圏内。

レストラン:★★★★★

 ベネチアン、パラッツォ、グランドキャナルショップスのすべてが飲食行動の守備範囲とするならば、そのレストラン群はラスベガスで一番充実しているといってよいだろう。

 個別レストランをすべて書き出していたのでは紙面がたりないほどたくさんあるので、こまかいことはあえて紹介しないが、おしゃれな雰囲気を楽しみながら食事ができるという意味では、グランドキャナルショップスの一番奥にあるサンマルコ広場周辺にある店がおすすめ。  室内空間ではあるが、高い天井に青空といった繊細な演出により、本場イタリアの屋外にいるような気分を味わえるはずだ。

 もちろん「ラスベガスに来ているのであって、イタリアを楽しみに来たのではない。ラスベガスらしい雰囲気を味わいたい!」ということであれば、カジノ内の喧騒の中にある店などがおすすめだが、残念ながらそういった環境にある店はそれほど多くなく選択肢としては少ない。

 食事を安く簡単に済ませたい場合は、ベネチアンの正面玄関からカジノフロアに入った直後の場所と、2階のモール内に、さまざまなジャンルのファストフード店が軒を並べるフードコートがある。

 なお、両ホテルのどちらにもある Grand Lux Cafe は、周囲にある高級レストランと比べると比較的良心的な価格で世界中の料理(和食系や中華系のメニューも)が楽しめる店として人気が高い。
 店の雰囲気、グレード、内容としては、「ちょっとおしゃれなファミリーレストラン」といったところか。

 ファミリーレストランといえば、ベネチアンからストリップ大通りに出て少しだけ左(南)に歩いたところに、入口が小さくてわかりにくいが、デニーズがある。
 このデニーズの2階のダイニングルームからは、ミラージュホテルの火山のアトラクションを観ることができるので、人混みを避けてこのアトラクションを観たい場合は利用価値あり。

 なお、このデニーズのとなりにはアメリカ人ならだれもが知る超有名なハンバーガー「ホワイトキャッスル」がある。

ハネムーン:★★★★★

 ハネムーンにふさわしいゴージャス感は十分にあるし、ホテル全体のテーマのせいか、なんとなく新婚カップルをあたたかく迎え入れてくれるような雰囲気も漂っている。

 根拠のない勝手な意見という前提で書かせてもらうならば、同じ高級グレードという意味でライバル的な存在のコスモポリタンも新婚旅行に不向きなホテルではないが、あのクールで都会的な雰囲気は、少し年齢がいったカップルには向いているものの、若い新婚カップルにはこのベネチアンやパラッツォのほうが似合っているような気がしないでもない。

 そしてなにより、ハネムーンの場合、世話になった人たちに配るみやげなどを買う必要があったり、何かとショッピングの回数が増えがちなので、人気ショッピングモールに囲まれているという意味で、ベネチアンやパラッツォのほうがハネムーンカップルに適していると考えたい。

レンタカー利用者:★★★★★

 レンタカー族にとって気になる駐車場の使い勝手に関しては、ベネチアンとパラッツォを切り離して評価する必要がある。

 というのも、ここまで両ホテルは「ほとんど同じなので特に区別して考える必要はない」ということだったが、駐車場だけはベネチアンとパラッツォでまったく異なっているからだ。

 したがって、この5つはパラッツォのものであってベネチアンのものではない。ベネチアンの場合、せいぜい3つか2つだろう。

 パラッツの駐車場は進入口が比較的わかりやすく、なおかつストリップの渋滞に巻き込まれにくい裏側(北側)にあるので非常に使いやすい(高速15号線へのアクセスは、ストリップを横切るだけで、ストリップを走行する必要がない)。

 さらに、駐車場と客室の間の移動がほぼエレベーターによる垂直移動だけで済み、これはラスベガスのカジノホテルの常識からすると極めて異例のこと。

 なぜ異例かというと、それはこのパラッツォの駐車場が客室棟の真下の地下にあるからだ。
 他の大多数のホテルの場合、駐車場は、客室棟とは完全に切り離された独立した建造物として存在しており、結果的に駐車場と客室棟の間の移動は渡り廊下などを使っての水平移動が避けて通れず、かなり歩かされることが多い。

 ちなみに、客室棟内に駐車場があり、エレベーターによる垂直移動だけで済むホテルは、ラスベガス広しといえども、このパラッツォとコスモポリタンだけだ。
(かつてのバーバリーコーストホテルもそうだったが、クロムウェルホテルへの改名・改造の際に、客室棟内の駐車場は閉鎖されてしまった)

 さて、ベネチアンの駐車場に関してだが、こちらは進入路がわかりにくいばかりかストリップの渋滞に巻き込まれやすい位置関係にあり、また客室棟とは別に存在しているので使い勝手が悪い。レンタカー族はパラッツォにすべきだろう。

子連れファミリー:☆☆☆☆

 子供の利用を想定したマーケティングはしていないので、まったくおすすめできない。
 「子連れでも最高級のホテルに泊まって、家族のいい思い出を残したい」などといった気持もわからないではないが、このホテルのマーケティングのコンセプトはあくまでも「大人の世界」であり(ベガスのほとんどのホテルが同様)、他の利用者も、このホテル内で子供と遭遇することなどあまり想定していないはずなので、その雰囲気を壊すようなことはなるべく避けるべきだろう。

 日本と違って一般的にアメリカでは、大人の空間、大人の時間を、子供のそれとは明確に区別する傾向にあることを覚えておきたい。
 子連れファミリーには、それ用のホテルがちゃんと存在しており、サーカスサーカスエクスカリバーがそれに相当する。
(最近中国系のベガス訪問者が増えてきているためか、大人向けの高級カジノホテルで子供を見かけることも珍しくなくなってきている。この現実に対してホテル側がどのような方針や戦略を打ち出して対応するのか、興味深いところでもある)

フォトギャラリー

コメントをお寄せください!

ご意見、ご感想、記事内情報の誤りの訂正など、以下のコメント欄にお寄せいただければ幸いです。なお、ご質問は [フォーラム] のほうが返事をもらえる可能性が高いです。

※ メールアドレスが公開されることはありません。
※ 以下に表示されているひらがな4文字は、悪質な全自動プログラムによる大量の書き込みなどを防ぐためのアクセス・コードです。全角ひらがなで入力してください。

CAPTCHA