日本と同様、携帯電話の普及にともない公衆電話の設置台数は確実に減る傾向にあるアメリカではあるが、少なくとも空港やラスベガスのホテルなどにおいてはまだ少なからず存在している。
日本のスマートフォンのすべての利用契約、すべてのSIMカードが、アメリカ国内で必ずしもうまく使えるとは限らないばかりか、スマートフォンの盗難や紛失などもあり得るので、とりあえず公衆電話の使い方を知っておくと、いざというときに便利だろう。
電話会社によって公衆電話のスタイルやかけ方には多少のちがいがあるが、それでも基本的なかけ方はほぼ同じなので覚えておきたい。
まず、市内通話の場合から説明すると、これまで長らくラスベガスの市外局番 702(10桁の番号のうちの最初の3桁)は、市内からの発信に関してはダイヤルする必要がなかったが、2014年5月から新市外局番(725)の導入に伴い、市内通話においても市外局番をダイヤルしなければならないことになった。
したがって、ラスベガス市内からラスベガス市内へかける場合、コインを投入したあと、市外局番の 702(もしくは新設の 725)をダイヤルし、さらに残りの7桁の番号をダイヤルすることになる。
ちなみに、公衆電話からの市内通話の料金は一般的には 50~75セントに設定されていることが多い。投入したコインの金額が不足している場合はダイヤルしてもつながらず、合成音で「あといくら追加投入せよ」などと案内が流れる。
日本だと投入金額が少なくても少ないなりに通話時間が短くなるだけでつながらないということはないが、アメリカの場合、市内通話・市外通話にかかわらず、最低3分程度の通話ができるだけのコインを投入しなければつながらないのが普通だ。
したがって、料金が高くなりがちな長距離の市外通話の場合、その合成音の指示に従って指定された金額に達するまでコインをひたすら投入し続けなければならない。投入が無事完了するとやっとつながり相手を呼び出す音が聞こえてくる。
市外通話のかけ方だが、相手の市外局番も含めた 10ケタの番号の頭にさらに 「1」 を付け加えてダイヤルする。
その他の要領は市内通話の場合とまったく同じだ。料金は距離にもよるが、最低でも 2~3ドルのコインが必要となる。
800 や 888 で始まる着信者払いのいわゆるフリーダイヤル(英語では「トールフリーダイヤル」)の場合も頭に「1」を付け加えてからダイヤルする。
なおこのフリーダイヤルの場合、フリーといえどもとりあえず一定の金額(たとえば 50 セント)を先に投入しなければ公衆電話自体が機能しない機種もたまにある。その場合、投入したコインは通話終了後、もしくは回線がつながった瞬間に戻ってくるようになっているのが普通だ。
一般にアメリカにおける公衆電話からの通話料金は、家庭からの通話に比べてべらぼうに高い。これは電話会社にとって公衆電話は保守管理のための費用、たとえば修理、点検、コインの回収などが安くないからだ。とにかく公衆電話を利用する際は十分なコインが必要であることを覚えておきたい。
そのようなアメリカの電話事情を知ると、かつては(日本でテレフォンカードが全盛だった時代は)、日本からやって来る者の多くが、「そんなにコインが必要ならば、なぜ日本のようにテレフォンカード制にしないのか?」との疑問を持ったものだが、実はアメリカにもプリペイド型のテレフォンカードがたくさん出回っていた。
もちろん日本同様、携帯電話の普及にともない絶滅に近い状態になりつつあるが、それでも発展途上国などからの訪問者も多いラスベガスにおいては、まだ少なからず存在している。
(さすがに発展途上国からの来訪者も今の時代、携帯電話ぐらい持っているが、その機種がアメリカの電話局のシステムに対応していなかったりすることもあるためか、テレフォンカードは販売されている)
ただそのカードは、日本のテレフォンカードのようにカードそのものに通話代金としての価値が磁気などで入っている方式ではなく、アメリカにおいては今も昔も、暗証番号(電話番号をダイヤルする前に入力する番号)が書かれただけのカードのため、電話機にはカードの読取装置が備わっていない。つまりその暗証番号さえ知っていれば、そのカード自体は持っていなくても通話可能ということになる。
そのテレフォンカードは、ホテル街に点在する Walgreens、CVS などのドラッグストアで買い求めることができ(もしくは、公衆電話の脇にある自販機で売られていることもまれにある)、10ドルもしくは20ドルが一般的だ。
コインを投入してかけるよりも、はるかに安いので、公衆電話を利用する必要に迫られた際は、こういったテレフォンカードを購入するとよいだろう。
最後に、時代遅れかも知れないが、緊急時のためにコレクトコール、つまり着信者払いという方法も念のため覚えておいたほうがよいかもしれない。
時代遅れと書いてしまったが、実はまだこれが健在で、スマートフォンが全盛の時代の今こそ、公衆電話を利用する者のコレクトコール比率が高いようで(スマホの紛失時などに利用しているものと思われる)、最近はコレクトコールのかけ方を公衆電話の前面に大きく記載している電話機が増えてきている。(写真)
料金は決して安くないが、スマートフォンが何らかの理由で使えなくなるなど、緊急時に自宅などに電話をする必要に迫られた際は頼りになるのでぜひ覚えておきたい。
この写真の電話機の場合、*11 をダイヤルして、あとはオペレーターの指示に従って相手先の電話番号を告げることになる。
なおコレクトコールに申し込む際、電話で自分の名前のスペリングなどをオペレーターに伝えるとき、聞き間違いのないように他の単語の頭文字に置き換えて伝える必要がある。
その際、たとえば日本では「トーキョーの T」、「メキシコの M」といったように地名や国名を使うことが多いが、アメリカでは「 T as in Tom 」、「 M for Mary 」など、なぜか人名を使うことが少なくない。
もちろんこれらは国によっても時代によっても、またそれぞれの業界に定着した習慣などによっても異なっていたりするので、正式な決まりのようなものはないが、昨今のアメリカにおける一般的な会話の中では以下のような単語が使われることが多い。
(下のリストが、スマートフォンの画面の横幅からハミ出してしまっている場合、スマートフォンを横向きに持つと全部見えるはず)
A:Apple | B:Boy | C:Charlie | D:David | E:Edward | F:Frank |
G:George | H:Henry | I:Issac | J:Jack | K:Kite | L:Larry |
M:Mary | N:Nancy | O:OK | P:Peter | Q:Queen | R:Robert |
S:Sam | T:Tom | U:Uncle | V:Victor | W:William | X:X-Ray |
Y:Yellow | Z:Zebra |
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