ラスベガスの駐車場事情が大きく変わろうとしている。歴史的大変革といってもよいほどの激変だ。
ラスベガスのストリップ地区における各カジノホテルは、それぞれが立派な駐車場を持っている(上の写真は Park MGM の駐車場)。
そして 2016年ごろまでの何十年もの間、それらはすべて無料で開放されており、時間制限なども特になかった。
もちろん宿泊客であろうがなかろうが、だれでも自由に利用することができた。スペースも十分にあり「置く場所がない」などといったことはめったになく、とにかくラスベガスは(特にストリップ地区は)、駐車場に関する限り世界一便利な街であった。
長らくこのようなシステムが採用されていた理由は、「駐車場で料金を徴収する」などといったケチなことをやっていたのでは、客がそのホテル(カジノ)に遊びに来てくれなくなってしまうからだ。
「カジノに人が来ない」ということは、そのホテルにとってはまさに死活問題で、結果的に、駐車場ぐらいは24時間万人に開放する、という方針が採られてきた。(ただし駐車場の規模が小さいダウンタウン地区のホテルでは以前から有料のところが多かった)
しかしそれが 2016年ごろから激変。今では多くのカジノホテルが有料化の方向に方針を変更。
もはや「ラスベガスの駐車場は無料」という長らく続いてきた伝統は失われつつあり、「有料が当たり前」になろうとしている。
ホテル業界の「みんなでやれば恐くない!」といった発想や目論見を実際に行動に移してみた結果の結論といえそうだが、その根底にあるのは、MGM社とシーザーズ社というたった2社による寡占状態であることはいうまでもない。
現在のストリップ地区のカジノホテル業界は、この2社が市場の大半を支配しており、競争原理が働きにくい状態になってしまっている。独占禁止法の存在意義を改めて認識させられる大変革といえそうだ。
というわけで、これからの時代は宿泊者であろうがなかろうが、1日 $10 ~ $15 程度の料金を徴収されると考えておいたほうがよい。
ただ、「宿泊客からも徴収? それはないだろうよ!」といった声も出始めてきているようで、コスモポリタンホテルは2018年12月、「宿泊者からは徴収しません」という方針を打ち出している。またウィン・ラスベガスでは、近隣のライバルホテル(ベネチアン、パラッツォ、トレジャーアイランド)がなかなか有料制に踏み切らないため、一度導入した有料制を、2019年5月から、かつての「宿泊者以外も全面的に無料」に戻した。
はたして有料化のトレンドはこのまま定着してしまうのか、それとも昔に戻るのか、しばらくは揺れ動く可能性もありそうだ。
- 関連カテゴリー