ルクソールLUXOR

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真っ黒な巨大ピラミッドと、その頂点から夜空に向かって放つ強烈なビーム。(写真下)
その圧倒的な威光で存在感を示すこのカジノホテルは、エンターテインメント都市ラスベガスを象徴する建造物。
建物そのものがエンターテインメントになっているホテルは、このルクソールをおいて他にあるまい。

内部がどうなっているのか興味は尽きないはずで、それを確認しに行くだけでも足を運んでみる価値はあるが、繁華街の中心地から2km以上離れているので宿泊は考えないほうがよい。(地理的な位置関係は、このページの上部にある[エリアマップ] で確認可能)

客室数はピラミッド本館、西館、東館、すべて合わせて約4400。MGM系列。

ルクソールの寸評

 見るからに個性的で楽しいホテル。そもそも本来ピラミッドは墓。
 つまりこのホテルに泊まるということは「墓で寝る」と解釈できないこともないわけで、なんともユニークな体験ができるという意味では一度ぐらいは泊まってみたくなるのもわかるが、マンダレイベイホテルと同様、いかんせんロケーションが悪すぎ、宿泊場所としての利用はまったくおすすめできない。

 マンダレイベイ、ルクソール、エクスカリバー(すべてMGM系列)の3ホテルを結ぶ無料モノレールが走ってはいるが(写真下)、運行本数的に待たされたり、深夜は走っていないなど、決して便利な交通手段とはいえない。

 構造上のユニークな部分、たとえば、斜めに上るエレベーター(まっすぐに上ったら外壁を突き抜けて空に出てしまう)、客室フロアの廊下から見た下界の景色(巨大な吹き抜けになっている)、客室内において窓の外の景色を見ようと窓に近づくと、おでこをガラスにぶつけてしまう、といったユニークな体験をしてみたい者は泊まってみるのもよいが、その場合、ピラミッド本館を予約する必要があるので注意が必要だ。
(西館、東館は外壁こそ真っ黒でピラミッド本館と似ているが、構造的には通常の建物と同じで意外性はない。下の写真の中央が西館、右がピラミッド本館、東棟は西館と同じだが、この写真には写っていない)

 ちなみに、このホテルはもちろんエジプトをテーマとすることで開業したわけでが、ここ数年、そのテーマを無くすことに注力しており、開業当時と比べてかなりエジプトっぽいところが無くなってきている。
 理由は、テーマの存在自体がホテル経営にとってプラス要因にならないことが証明されつつあるからだ。

 このホテルにだけ言えることではなく、ラスベガス全体に言えることではあるが、強烈な個性を持ったテーマを打ち出すと、利用者としては、そのテーマを体験したくて1回は滞在してみたいと思うが、一度体験してしまうとそれで満足してしまい、二度目以降の訪問に対してはそのテーマの存在がマイナスにこそなってもプラスになることはなく(テーマが強烈であればあるほど、二度目以降は飽きてしまい、テーマの存在がじゃまになる)、ホテルとしてはテーマの存在が営業的にプラスにならない。

 ラスベガスにはたくさんのテーマホテルがあるわけだが、このルクソールの「エジプト」はその最たるもので、ここ数年そのテーマの払拭に苦労しており、館内のさまざまな部分からエジプト色を取り除こうとしている。
 しかし、ピラミッドという建物自体はどうすることも出来ず、結局は、エジプトというテーマとの共存共栄といったあたりを目指しているようだ。
 つまり外観においては強烈にエジプト色を出しているものの(建造物なので隠しようがない)、館内ではあまりエジプトを強調しない。

 では今このホテルは何に向かっているのか。それはずばり  Esports の総本山だ。
 Esports とはもちろんエレクトロニック・スポーツのことで、ようするにビデオゲームの競技。それの世界大会などを誘致して、その分野の世界の総本山にしようという狙いだ。(下の写真はピラミッドの壁面を Esports テーマにする前に撮影)

 すでにピラミッドの外観にその意思が現れており(下の写真)、実際にナイトクラブだった場所を改造し、Esports 会場にしてしまった。
 はたして Esports の世界にとって、このルクソールは、テニス界にとってのウインブルドン、ゴルフ界にとってのセントアンドリュース、日本の高校野球児にとっての甲子園のような存在になれるのかどうか、お手並み拝見といったところか。

 最後に蛇足ながらこのホテル名「LUXOR」の日本語表記について。
 一般的には「ルクソール」という表記が主流になっているようだが、そのまま発音したのでは、タクシードライバーに絶対に通じない。「ラクソー」もしくは「ルクソー」なら通じる。
 つまりアクセントを頭の「LU」の部分に置いて発音。

 もともと日本語ではない言葉をカタカナで表記すること自体に無理があるので、表記などあまり気にする必要はないが、ぜんぜん通じないとなると話は別。
 ちなみにアクセントのことを無視して考えれば、語尾の部分のカタカナ表記など「ソール」でも「ソー」でもどうでもよいのだが、なぜか「ソール」、つまり「ルクソール」と表記してしまうと、多くの日本人は「ソ」の部分にアクセントを置いて読んでしまう傾向にあり、結果的にそれが原因でまったく通じないという問題が発生している。

 そんな理由もあって、長らくこのラスベガス大全では「ラクソー」もしくは「ルクソー」と表記してきたが(そのように表記すると、なぜか頭の部分にアクセントを置いて発音してもらえる)、これだと読者がホテルの予約サイトなどで検索する際にうまくいかないことがあったりするようなので、結局このページでも世間一般の表記に合わせて「ルクソール」とすることにした。
 とはいえ、タクシードライバーなどに告げる際は「ラクソー」であることをお忘れなく。

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コメント(1件)

  1. N,H より:

    新婚旅行で宿泊しました。ここでも触れられている通り、立地としてはかなりキツく、毎日ウォーキングを楽しむことにはなりました笑。ただ、このホテルは「数日の観光だけなら1度は泊まってみたい」というパワーが外観から溢れてるところがあり、夫婦ともに満足のいくホテルでした。
    また、エジプト色から離れたいという事でしたが、新アトラクションとして「Discovering King TUT’s Tomb」が準備中でした。もう開き直ってるか、タイタニックやボディズとあわせて博物系に特化していこうとしている可能性もあります。

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