日本のスマートフォンが、そのままアメリカでも使える今の時代、ホテルの客室内に設置されている電話機の利用価値はかなり薄れてきているが、それでも市内通話(たとえば在ベガスのレストランを予約する際や、旅行会社などへのコンタクトなど)においては、料金的にも音質的にも日本の携帯電話よりも条件が良いはずだ。
また、携帯電話の故障、盗難、電池切れなど何らかの理由で、メール、LINE、Skype などが利用できなくなった場合に備えて、客室内の電話機の利用方法を知っておくことは決して無駄ではないだろう。以下にその利用方法などについて示してみた。
まずは館内通話から。館内通話は原則として無料なので、他の部屋にいる仲間同士で連絡を取り合う際は、スマートフォンで LINE やメールが使える場合においても積極的に利用すべきだろう。ダイヤル方法は、電話機自体に記載されているので簡単にわかるはずだ。
次に外線通話。ホテルの客室内にある電話機はそのままでは館内用になっているので、ホテルの外にかける際は、まず始めに外線発信番号をダイヤルする必要がある。
その外線発信番号はホテルによってまちまちだが、ラスベガスにおいては一般的に 9 に設定されていることが多い。(その番号は電話機に書かれているはず)
外線発信番号をダイヤルすると、ただちに通常の外線発信音が聞こえてくるので、あとは普通の電話と同じ要領で相手先の電話番号をダイヤルする。
つまり、外線発信番号をダイヤルし、外線発信音が聞こえた時点で、市内通話の場合、ラスベガスの市外局番 702 (2014年から 725 も新たに加わったが、まだほとんどの場合 702)を含めた 10ケタの番号をダイヤルする。
市外通話(最初の3ケタが 702 や 725 以外の相手への通話)の場合は、相手先の市外局番も含めた 10ケタの番号の頭にさらに 1 を付け加えてからダイヤルする。
800 や 888 で始まるいわゆる着信者払いのフリーダイヤル(英語では 「トールフリーダイヤル」) にかけたい場合も同様に 800 や 888 の頭に 1 を付け加える。
日本への国際電話の場合は(LINE やメールが利用できる昨今、国際電話の必要性はほとんどないだろうが)、国際通話の意味である 011 をダイヤルしたあとさらに日本の国番号 81 を続けてダイヤルし、相手の市外局番の先頭の 0 を取り除いた残りのすべての番号をそのまま続けてダイヤルする。
気になる通話料金についてだが、ホテルの客室内からの外線通話は、市内通話を除けば非常に高い。
かつてどこのホテルもそれを貴重な収入源にしていた名残りだ。(スマートフォンが普及した今となっては、客室内から市外通話をかける者などほとんどいないだろうが)
また、本来は無料であるはずのフリーダイヤルに対しても 1ドル前後課金しているのが普通だ。
国際電話は、法外とも思われるほど高く、その料金体系は「AT&T の定価」と定めているホテルが多い。
ちなみに AT&T とは、日本でいうところの NTT のような存在の電話会社で、その「定価」は、米国内の一般の家庭や企業が加入している固定電話からの実際の通話料金(各種割引が適用されたあとの実際に支払っている料金)の数十倍だ。
たとえばラスベガスのホテルからロサンゼルスやサンフランシスコへ電話をかけると 1分 2~3ドル、日本へは 1分 4~5ドル。
一般家庭からだとどちらも 10セント程度かそれ以下で済むことを考えるとまさに法外。
それほど高い料金設定にもかかわらず、さらに「手数料」なるものを課金しているホテルも少なくない。
その実例を具体的に示すと、市外通話と国際電話の料金体系を、客室内に置かれている館内ガイドブック内において、「AT&T Operator-assisted daytime rates plus a hotel surcharge of 45 percent」と記載しているホテルもある。
これは、AT&T のオペレーターを通した場合の昼間の料金にさらにホテル側が手数料を45%加算するというとてつもないレートで、アメリカの一般家庭やオフィスからの通話料金の100倍ぐらいに相当する。
このようにとにかく高いので、スマートフォンが使えない状況で、なおかつ少しでも出費をおさえたいという場合は、プリペイド式のコーリングカードで公衆電話からかけるなど自衛策を講じ、客室内からの電話は極力避けるようにしたほうがよい。
(客室内の電話でもコーリングカードを使うことは可能だが、最初にアクセスしなければならないフリーダイヤルで1ドル課金されてしまう可能性がある)
一方、市内通話は安い。多くの場合 1ドルだ。日本のスマートフォンからラスベガスの市内のレストタラなどにかける場合、それよりも高くなってしまう可能性があるので、これは利用価値がある。また有線接続なので音質も良い。
ただ、これまでは長らく「時間無制限で1通話 1ドル」というのがラスベガスのホテル業界の常識だったが、最近は「1通話 1ドル、ただし 30分を超えると 1分につき 10セント」など、無制限サービスを見直す動きが強まっているので、長電話になりそうなときは注意が必要だ。
それでも 30分あればほとんどの要件は済むはずなので、この市内通話の利便性は覚えておいて損はない。
なお、最近は、チェックインのときに支払わされる「リゾートフィー」の中に「市内通話かけ放題」が含まれていることが多いので、市内通話だけはスマートフォンに頼る必要はなくなってきている。
通話料金に関してはとりあえずそんなところだが、ここまでの話を聞くと、「ならば市内通話以外はメールや LINE を使おう」と考える者が多いにちがいない。
それはそれで基本的に正しいが、日本で加入している携帯電話会社や SIMカードの契約によっては、海外でのパケット料金がべらぼうに高く設定されていたりすることがあるので、日本を離れる前に必ず料金体系を確認するようにしたい。
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