恐竜が演じるコメディーマジック PIFF The Magic Dragon

 今週は、人気テレビ番組で有名になり、昨年末、ついにベガス単独デビューを果たしたコメディーマジシャンによるショーPIFF The Magic Dragon を紹介してみたい。

PIFF The Magic Dragon  ナイトショーを観るにあたって、日本人観光客にとって気になるのは英語の難易度だろう。
 役者がしゃべっていることを理解できなければ楽しめないわけだが、語学力をほとんど必要としないのが、トークの部分が少ないマジックやサーカス系のショーで、その対極にあるのがスラングなどが連発されるコメディーショーだ。
 ではその両方、つまりマジックとコメディーが合体されたショーは、はたして簡単なのか難解なのか。それを検証するために、さっそくこの PIFF The Magic Dragon を観てきた。

 検証結果を報告する前に、このショーの主役のプロフィールや内容について簡単にふれておきたい。
 演じているのは英国生まれの John Van der Put 氏。パフォーマーたちにとっては世界最大、最長(開催期間は約1ヶ月)といわれている自由参加型の芸能イベント「エディンバラ・フェスティバル・フリンジ」の 2009年大会で注目されたことをきっかけに、この世界に本格デビュー。
 その後、英国各地で活躍したあとラスベガスに活動の拠点を移し、2014年、コスモポリタン・ホテルのナイトショー “Vegas Nocturne” (このラスベガス大全のバックナンバー第892号にて紹介)に出演。
 Vegas Nocturne の公演が数ヶ月で打ち切りになってしまったため、全米で人気の芸能オーディション番組America’s Got Talentのシーズン10(2015年)に参戦。最後まで勝ち抜き、決勝戦で惜しくも敗退するも、年間準優勝に輝く。
 それにより知名度が一気にアップし、このたびフラミンゴ・ホテルでの単独公演の契約に成功することになる。

PIFF The Magic Dragon  ショーの名称 “PIFF The Magic Dragon” は、ピーター・ポール&マリーの往年の世界的大ヒット曲 “PUFF, the Magic Dragon” のパロディーであることはいうまでもない。
 ちなみに “PIFF” は Put 氏のニックネームであると同時に、英語で「くだらないこと」、「つまらない人」といった意味。
 一方、曲名内の “PUFF” はその歌詞の中に出てくる恐竜(ドラゴン)の名前だ。
 そんなこともあって、このショーにおいて Put 氏は最初から最後まで恐竜に扮した格好で演じる。ステージ以外の場所でも恐竜のキャラクターを維持することにこだわっており、彼が着ぐるみから外に出た姿を見たことがある者はほとんどいないと言われるほどの徹底ぶりだ。

PIFF The Magic Dragon  恐竜が出たついでにふれておくと、このショーにはも一つ動物が登場する。犬だ。こちらは着ぐるみとか縫いぐるみではなく、正真正銘の生きたチワワで、特にこれといった芸をするわけではないが、なぜか恐竜の存在と絶妙にマッチしているところがおもしろい。
 恐竜、そして「つまらない人」という設定であるがゆえに、Put 氏は笑ったり怒ったりすることなく、表情をあまり変えずに黙々と自虐的なジョークを発しながら、おもしろおかしなマジックを淡々と演じる。
 日本のマジシャンでいうならば、ひょうひょうと語りを続けるマギー司郎のような感じがしないでもないが、多少は笑うこともあるマギー司郎とは異なり Put 氏はまったく笑わない。そもそも年齢的に 35歳とまだ若く、似ているというにはゼネレーション的に無理がありそうだ。

PIFF The Magic Dragon  さて本題に戻る。このショーが英語のヒヤリング能力を必要とするのかどうか。その答えは「大いに必要」ということになるだろう。
 いわゆる “英国なまり” はあまり感じられないが、スラングなど難解な表現が多く理解しにくいジョークが少なくない。
 ならば観に行かないほうがいいのかというと、そんなこともない。トークの内容がわからなくても、マジックのおもしろさはそれなりに楽しめるからだ。
 観客のノリなどを見ているだけでも、シルク・ドゥ・ソレイユを始めとする大掛かりな高級ショーにはない大衆演芸らしい一種独特の雰囲気を楽しめること請け合いだ。
 ちなみに劇場は、固定されていないイスが 200席ほど並べられただけの昔ながらのキャバレー形式になっており、その薄暗い怪しい空気がなんともいえない。

PIFF The Magic Dragon  なお、このショーは基本的には Put 氏の独演会といった感じで進行するが、冒頭の部分で 15分ほどコメディージャグラー Michael Goudeau 氏が登場する。
 かつてモンテカルロ・ホテルで開催されていたランスバートンのマジックショーに出演していたサムライを演じるジャグラーといえば知っている人も多いのではないか。彼のジャグリングは語学力などまったく無しに楽しめるので、このパフォーマンスも絶対に見逃せない。

 というわけで、「すでに主要なショーはほとんど観てしまった」というリピーターにはかなりおすすめできるショーなので、興味がある人はぜひ会場に足を運んでみるとよいだろう。
 場所はフラミンゴホテルのカジノフロアのほぼ中央に位置する Bugsy’s Cabaret
 公演の日時はかなり流動的だが、基本的には月、火、水の週3回、午後8時開演。なお、その他の曜日はもちろんのこと、月、火、水でも全米各地に出稼ぎ公演に行ってしまい 1週間すべて休演という週もあるので、詳しい日程はそのつどフラミンゴホテルの公式サイトで確認したほうがよい。
 チケットは同ホテルのフロントロビー近くにあるボックスオフィスにて約50ドルで購入可能だが、ディスカウントチケット・ショップで多少安く買えるはずなので、少しでも安く買いたい場合は、となりのバリーズホテルの前庭にある Tix 4 Tonight が一番近くて便利だ。(Tix 4 Tonight に関してはバックナンバー第912号に掲載)

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