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金曜日では出遅れ確実、「ブラック・フライデー」はもはや死語

 毎年この時期になると問い合わせが絶えないのが、全米規模の晩秋の風物詩ともいえる小売業界のビッグイベント「アフター・サンクスギビング・セール」(通称、ブラック・フライデー) に関する質問だ。

 つまり、「ブラック・フライデーは早朝何時からセールが始まるのか?」といった質問だが、実はアフター・サンクスギビング・セールという言葉もブラック・フライデーも、実態との乖離という意味ではもはや死語に近い。

 なぜなら、セールが始まるのは、アフター・サンクスギビング(11月の第4木曜日とされるサンクスギビングのあと)でもなければフライデーでもないからだ。過去10年ほどの間にセールの開始時刻が年々早まり、今ではサンクスギビング当日の木曜日に始まるのが常識となりつつある。
(サンクスギビングやブラック・フライデーそのものに関する詳しい情報は、この週刊ラスベガスニュースのバックナンバー 617号に掲載)

 そのようなわけで、かつてのように金曜日の早朝に行動を起こしても出遅れることは確実で、掘り出し物を激安価格でゲットすることはできない。(写真は、早朝 5:30am 開店を告知する過去のブラック・フライデーのときのチラシ広告)

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 ちなみに 2006年の各ショップにおけるブラック・フライデー・セールの開始時刻を特集したバックナンバー 512号を読み返してみると、当時は人気店のほとんどが金曜日の早朝5時から7時ごろにオープンしていたことがわかる。まさにブラック・フライデーの早朝フィーバーだ。

 ところがその後、多くのショップはライバル店の客を先に奪おうとセールの開始時刻を繰り上げ、早朝3時や4時のオープンが当たり前となり、そのうち深夜0時という店も増えてきて、さらに数年前からはブラック・フライデーの前日であるサンクスギビングに店を開けることが珍しくなくなってきた。
(写真は、早朝 4:00am 開店を知らせる 2011年のブラック・フライデーのときのチラシ広告。下は深夜0時開店、2012年のもの)

 本来サンクスギビングの当日は、店も一般企業も全国的に休みで街は静まり返り、各地に散らばっていた家族が実家に集まりターキー(七面鳥)に舌鼓を打つというのが習わしだ。
 そのため年中無休をウリにしているあのウォルマートでさえ、数年前までその日は全面休業で、年末商戦のキックオフ的なイベントとされるにぎやかなブラック・フライデーのセールが、家族団らんをゆっくり楽しむサンクスギビングにおこなわれることなど、だれも想像していなかったにちがいない。
 それが商業主義のエスカレートでどんどん早まり、最近の大型モールや全国チエーン店におけるセール開始時刻の主流はサンクスギビング当日(今年の場合 11月27日)の夕方5時前後だ。ひと昔前と比べると 12時間も早まっている。
(下の写真は、木曜日の午後9時開店、2012年のもの。ちなみに今年のチラシはまだ配られていない)

 そしてなんと、地理的にも内容的にも店舗数的にも日本人観光客にとって最も人気が高いプレミアム・アウトレット・ノースは木曜日の午前9時オープンで深夜0時まで営業というから驚きだ。プレミアム・アウトレット・サウスも同様で、もはや「サンクスギビングは会社も店も休むべき」という伝統的価値観は完全に無視されている。

 なお、この9時オープンはあくまでもモール全体としての予定であって、すべてのテナントがその時刻に店を開けるわけではない。また逆に、ライバル店に抜けがけをしてもっと早く開ける店も毎年散見されるので、絶対に買いたいものがある場合は、前日など直前にその店の公式サイトで正確なオープン時刻を確認したほうがよい。(ライバル店に知られたくないのか、直前までオープン時刻を公表しない店が多い)

 参考までに、郊外にあるためレンタカーがないと利用しづらい全国展開の大型店、たとえば玩具店のトイザらス、家電量販店のベストバイ、百貨店のJCペニーなども早くも木曜日オープンを宣言しており、その多くは午後5時オープンだ。
 特売品は数量限定であることが多く、開店時刻前から行列ができやすい。オープン時刻に行ったのではたぶん遅いだろう。

 セールの戦利品をたくさんゲットしたい者にとっては、おちおちターキーも食べていられない忙しいサンクスギビングになってきているが、七面鳥の生産者にとってはそれどころではないはずだ。伝統文化が崩れてしまったら死活問題、さぞかし憤慨しているにちがいない。

 もはや早朝の風物詩ではなくなり、アフター・サンクスギビング・セールともいえなくなってしまったこの商業イベント。早く本来のフライデーに戻り、ディナータイムにゆっくりターキーを楽しめる静かなサンクスギビングの復活を願う人も多いと思われるが、企業側において、開店時刻の前倒し競争をやめようとする気配はほとんど見られない。このまま前倒しがどんどん進み、「ビフォー・サンクスギビング・セール」なるものが出現するのか。
 サンクスギビングという伝統文化を守る意味でも、各企業はそろそろ前倒し競争を真剣に見直す時期に来ているのかもしれない。

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