ラスベガスでのゴルフに関する基礎知識&マナー プレーする人、全員必読

アメリカおよびラスベガスのゴルフコースに関する一般的な常識、日米における違い、プレーをする前に知っておくべき知識やマナーなどです。ぜひご一読ください。

ベガスのグリーンフィーは高い安い?

 日本よりもグリーンフィーが安いことで知られるアメリカ(といっても、日本でも最近はかなり安くなってきているが)。当然のことながら、だれもがラスベガスのゴルフコースは安いと考えてしまいがち。

 ところがラスベガスは全米平均よりも高いとされている。ちなみにアメリカの普通の都市におけるグリーンフィーの相場が $30~$80 であるのに対して、ここラスベガスのそれは $100~$250 となっている(季節や曜日によってかなり幅があるが)。

 昨今のデフレ気味の日本のゴルフ環境を考えると、もはやラスベガスのほうが日本よりも高いと感じるかもしれない。
(ドル円レートのちがいで、割高感、割安感などはどうにでも変わってきてしまうので、高い安いをここであまり真剣に議論しても意味がない)

 ちなみに、この$100~$250は、あくまでもビジター料金。ここでいうビジターとは、メンバーに対するビジターではなく、地元民に対する訪問者という意味のビジターだ。

 参考までに、地元民は、いわゆるローカル割引が適用され、運転免許証などを提示すると半額以下になったりすることが多い。これはハワイなどでも見られる傾向で、観光客が多い都市ではよくあるパターンだ。

 ここの読者はほとんどが「ビジター」扱いになってしまうと思われるが、こればかりは仕方がないので、このビジター料金を受け入れるしかないだろう。
 それでもリーマンショック以降の需要の低迷が原因か、近年ではビジター料金もかなり低下傾向にあるのも事実。日本では見られないような素晴らしいコースがたくさんあるので、あまり料金にはこだわらず、大いに楽しんでもらいたいものだ。

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なぜ高いのか?

 ラスベガスの料金が、相対論として全米の他の都市よりも高めな理由にふれておきたい。

 結論から先に言ってしまえば、需要と供給のバランスということになる。つまり、高めの料金を支払ってでもプレーをしたいという者がたくさんいるということ。

 ホテルの料金やナイトショーの料金を見るまでもなく、ここラスベガスでは何ごとにおいても「定価」というシステムよりも「市価」、つまりその日その日の需給バランスで価格が決まるシステムを好む傾向にある。
 まさに経済学の教科書に出てくる市場原理そのものといった感じだが、その結果、グリーンフィーも生鮮食料品のごとく日々変動する

 $200 以上したグリーンフィーが翌日には $50 などということがあり得るのがラスベガスで、ひどい場合は午前と午後のスタートで倍も違うこともある。
 いずれにせよグリーンフィーが総じて高いということは、旺盛な需要が価格をつり上げているということに他ならず、つまりラスベガスでは長らく慢性的に需要が高かった。

 しかしそれはリーマンショックまでの話。2008年ごろからは需要がやや低迷し、経営状態が良くないコースは閉鎖を余儀なくされ、実際に消えていったコースがいくつもある。(たとえば、The Falls、Badlands、Silverstone など)

 需要が旺盛だったにもかかわらず、少しの不況ぐらいで経営が苦しくなる理由、そして不況になってもビジター料金はそれほど下がっていない背景には、ラスベガス特有の、コース維持における水の問題がある。

 ラスベガスは砂漠性気候のため、雨に頼れない分だけ水を人工的に散布しなければならず、その分、コストが高くなってしまうというわけだ。(水の単価自体は他州に比べ著しく高いというわけではないが、乾燥しているため水の消費量が非常に多くなってしまいがち)

 さらにまったく別の理由として、他の都市との比較論として、地元民ゴルファーと観光客ゴルファーの比率の違いもある。当然のことながらラスベガスでは観光客ゴルファーの比率が相対的に高い。

 ラスベガスを訪れる観光客の大部分は海外からの訪問者ではなく全米各地に住む一般アメリカ人だが、彼らの多くは、雪などで冬期にはプレーできない地域(五大湖周辺地域など)に住んでおり、冬期の訪問者はラスベガスでのゴルフを非常に楽しみにしている。また観光客であるがゆえに彼らは旅行気分になっている分だけ高いグリーンフィーでも受け入れてしまいがちだ。

 そのような理由からラスベガスのゴルフコースの訪問者向けビジターフィーは、一般の都市に比べて高い。結果的に、ローカルフィーとビジターフィーの価格差が開きやすい環境にある。(猛暑の夏は、さすがにビジターフィーもかなり下がる)

 というわけで、ビジターフィーは引き続き高めの傾向にあるが、それでも、その分コースのレベルも高く、実際にプレーしてみると料金に見合っただけの満足感を得られるコースが多いのも、ラスベガスの特徴だ。

 コースのレベルが高い理由は、一般の市民ゴルファーを相手としている他の都市のコースと異なり、ラスベガスではゴルファー自身が始めからリッチなリゾート気分を味わいたいがために高いレベルを求めており、結果的にコース側もそれに応えるべく、高いレベルを追求しなければならないというわけだ。

 何ごとにおいても華やかでゴージャスさが求められているラスベガスでは、ゴルフコースもゴージャスでなければならない、ということのようである。

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ラスベガスは全米屈指のゴルフ天国

 以上のような理由から、ラスベガスはカリフォルニア州のパームスプリングス、アリゾナ州のフェニックス周辺、ノースカロライナ州、サウスカロライナ州、およびフロリダ州オーランド周辺などと並ぶ全米屈指のリゾート型の “ゴルフ天国” となっている。

 これらの地域に共通していることは「夏は非常に暑い」ということだろう。
 パームスプリングスとオーランドはもともと寒い地域に住む人たちの「避寒リゾート地」として発展してきたため暑くて当たり前だが、ラスベガスも偶然これらの都市に負けず劣らず夏は暑い。

 それでも湿度が非常に低く、また、やや高地(海抜 600m 以上)にあるため真夏でも早朝などはかなりすがすがしくプレーを楽しむことができる。

 したがってラスベガスでのゴルフ環境は、蚊が多くジメジメしたオーランドなどよりも遙かに恵まれていると言ってよいだろう。

新旧の変化が激しい

 一般にどこの都市においても名門コースとそうでないコースがあるが、基本的に名門コースはいつまでたっても名門コースだ。

 一方、ラスベガスでは、競争による新旧の交代が激しく、次から次へと登場するゴージャスな新設コースの前に名門コースもその名を失っていく。

 かつては PGAツアーの桧舞台となっていた現 Las Vegas National などはその典型だが、DunesDesert Inn など、街の変貌と共にやむなく姿を消していったコースも少なくない。

 また、ひところ会員制の名門コースだった Spanish Trail が準パブリックコースになったり、カジノの上客しかプレーが許されなかった Cascata が一般に開放されたり、高級路線を標榜してた Rio SeccoPrimm Valley がそうでもなくなってきているなど、状況は常に変化している。

複雑な料金体系

 需要と供給のバランスで料金が大きく変動していることは先に述べたが、一般的に春と秋の週末が一番高く猛暑が厳しい真夏の平日の午後からのスタートが一番安い

 冬は寒さがそれほど厳しくないためシーズンオフということにはならず(シカゴやニューヨークなど、凍結でゴルフができない地域から多数の避寒ゴルファーがラスベガスにやって来るため需要は旺盛)あまり安くならないが、全米各地がクリスマス準備などで忙しい 12月だけは観光客が減少するためか、真夏並みの安い料金が提示されることがある。

 また真夏は、涼しい午前中のスタートに比べ、気温が上昇する午後からのスタートは人気がないため、真夏の時期に限り午前と午後で料金に大きく差を付けているコースも少なくない。

 結果として、同じコースでも、「秋の週末 $250、真夏の平日の午後スタート $50」 などといったことが実際に起こり得るのがラスベガスのゴルフ事情だ。

 なお、すでにふれてきたが、多くのコースでは、土地や労働力を供給している地元に利益を還元したり、需要を掘り起こす目的などで、「地元民割引」を導入している。
 そのようなコースでは、地元民であることさえ証明できれば(運転免許証などを提示するのが一般的)、割引料金でのプレーが可能だ。

予約システム

 一般的にはプレー日の2週間前から予約を受け付けているコースが多いが、1ヶ月前や3ヶ月前といったコースも少なくない。

 なお、予約の際、多くのコースでは、クレジットカード番号をコース側に申し出てキャンセル保証を入れる必要がある。
 つまりクレジットカード番号を提示しない限り予約は取れないことになる(もちろん例外もある)。

 もう一つ知っておきたいことは、3名に満たない人数での予約に関してだ。ゴルフコース側としては、それぞれのスタート時間を効率よく使いたいため、予約の受付は原則として「4名様もしくは3名様」と決めているところが多い。

 したがって、2人で予約をしようとすると受け付けてもらえず、「空いているスタート時間に入れてあげますので、とりあえず現地に来てください」ということになりやすい。
 一人でのプレーの場合、かなり高い確率で、その方法でプレーできる。なぜなら、3人組の予約が必ずいくつか存在しているからだ。

 では2人の場合どうなるか。2人の場合は必ずしもプレーできるとは限らないことになるが、わざわざタクシーやレンタカーで現地に行ってからプレーできないことがわかるのも時間の無駄なので、2人の場合は、当日の朝、ゴルフ場側に電話をして確認するようにしたい。

 2人の事前予約を受け付けていないコースでも、当日であれば、2人でも予約を受け付けてくれる場合が少なくない。(なお、最近は、ネット予約システムなどによる管理技術の向上の影響か、2人での予約も問題がなくなりつつある)

 蛇足ながら、予約時に必ず必要となる “スタート時間” という言葉は、アメリカでは “Tee Time” という (日本でも使われ始めているようだが)。お茶の時間を聞かれているわけではないので間違わないように。

 なお、自分で予約するのがめんどくさいという場合は、予約、送迎、チェックインなどがすべてパッケージになった日本語ツアーも用意あるようなのでそれらを利用するのも便利だが、自分でレンタカーを利用して行くよりはかなり割高になってしまうことは否めない。

9月は 2週間クローズ

 夏の高温、日射過多、低湿度、やせた土壌など、ラスベガス特有の自然環境を背景に、在ラスベガスの各ゴルフコースは 8月末から 10月の初旬にかけて(ほとんどの場合が 9月)、ほぼ例外なく約2週間ほど営業を停止する。
 いわゆる “Over Seed Close” と呼ばれる種まきなどのためのクローズだ。このクローズ期間中に、グリーンのみならずフェアウェイなども含めたすべての芝を新たに再生させる。

 在ラスベガスのそれぞれのコースが少しずつ時期をずらして行なうため、すべてのコースが休み、ということにはならないが、9月中旬などは約半数のコースが休みとなったりするため、この時期にラスベガスでゴルフを予定している者は注意が必要だ。

 なお、Over Seed Close の直後は芝が十分に生えそろっていないことを嫌うゴルファーも多いが、逆に「痛んだ場所が完璧に修復され、一年中で最もコースコンディションが良い時期」との声もあるので、コースコンディションを理由にあえてこの時期を避ける必要はないだろう。

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冬期のフロスト・ディレイ

 「灼熱の砂漠気候」というイメージがあるラスベガスの冬は、それほど寒くないようにも思われたりするが、実際にはそうでもなく、早朝の気温が氷点下になることは、しばしばある。

 そのような日、つまり霜が降りるほど寒い日は、当日の朝「フロスト・ディレイ」(frost delay)というものが宣言され、凍った芝生が解けるまで、プレーを始めることができない。

 この場合、その日に予約されていたスタート時間は、すべてうしろにずらされる。たとえば 2時間のフロスト・ディレイになった場合、8時に予約していた者のスタートは 10時、9時の者は 11時ということになる。
 午後のスタート時間だった者は、日没が心配されるスタートになってしまうこともありえるわけだが、その場合、キャンセルしても、キャンセル料は取られないのが一般的だ。
(事前にグリーンフィーを払い込んである場合は、支払い時に使用したクレジットカードに返金されるのが普通)

 フロスト・ディレイは、当日の朝になるまでわからないので、気温がかなり低いと感じた場合は、ゴルフコースに出向く前に電話をして状況を確認したほうがよいが、電話が殺到して現場が混乱しているのか、電話に出てもらえないことが少なくない。その場合、とにかく現場に出向くしかない。

 ちなみに、フロスト・ディレイが行われる理由は、凍った状態の芝生の上を歩くと、芝生の葉が折れその部分の細胞が破壊され、葉が死んでしまうからとされている。

スタート時と終了時の日米の習慣の違い

 アメリカのゴルフコースにおいては、各自がめいめいにそれぞれ一台の自家用車で到着することを前提として施設が設計されているためか、各プレーヤーのためのロッカーなどはないのが普通だ(あくまでもパブリックコースの場合)。

 つまり各プレーヤーは、日本のようにロッカールームでゴルフシューズに履き替えたりすることはせずに、駐車場で履き替えそのまま1番ホールのティーへ向かう(もちろんその前にグリーンフィーを支払わなければならないが)。
 メンバーコースのメンバーは個人用のロッカーを持っているが、それでも全員がロッカーを使うわけではない。
 つまりビジターはもちろんのこと、メンバーも「自分の車のトランクがロッカー」という者は少なからず存在する。

 日本からの観光客ゴルファーもレンタカーを利用する限り、このアメリカ方式に従って駐車場でシューズに履き替えればよいことになるが、タクシー利用者の場合は、なかなかそうもいかない。

 ではどうすればよいか。ロッカーがないゴルフコースの場合(パブリックコースでは多くの場合、無いと考えた方がよい)、2つの方法が考えられる。

 ひとつは、ホテルを出る際にゴルフシューズに履き替えてしまう方法。もうひとつは、ゴルフ場に到着後、どこか適当な場所でシューズに履き替え、それまで履いていた靴はキャディバッグにしまっておくという方法だ(レンタルクラブの場合でもそれでかまわない)。

 前者の方法でも、行き帰りにどこかに立ち寄る予定がなければ、よほど特殊なスパイクでない限り、歩きづらいなどの不便はないはずで、また後者の場合でも、キャディバッグをかついで歩くわけではないので(電動カートに乗せるので)、重いということもないだろう。

 さてプレー終了後だが、パブリックコースの場合、日本と違い一般的には入浴の習慣が無い。シャワールーム程度の施設はあっても、利用する者はほとんどいないと考えたほうがよい。
 5分や 10分で自宅に帰れるアメリカのゴルファーにとって、ゴルフ場でシャワーを浴びる必要はないというわけだ。

 ということで、シャワーを浴びることはできないと考えるべきで、着替えを持っていっても着替える場所に困ってしまったりするのが現実。シャワーを浴びたい場合は、ただちにホテルへ戻ることを考えたほうがよいだろう。

プレーにおける日米の習慣の違い

 アメリカでのゴルフプレーにおいて日本と一番大きくちがう点は 18ホールを一気にプレーするということだろう。
 つまり日本のようにハーフ9ホールで休憩することはない(日本でも最近は18ホールをスルーでプレーできるコースが増えてきているようだが)。

 したがって、ランチタイムがないため、空腹が耐え難いという者は、あらかじめ朝食を十分に摂っておく必要がある。
 それでも 9番ホールのグリーンから 10番ホールのティーへ向かう途中などに簡単な売店があり、そこでサンドイッチやホットドッグ程度のものを買うことができるようになっている場合が多い(その場合、ゆっくり食べていると後続の組に追いつかれてしまうので注意が必要)。

 また、コース内を巡回しているスナックカートでも、ドリンク類以外にサンドイッチなどを売っている場合があるので、それらを利用するのもよいだろう。
 いずれにせよ、ゆっくり座って食べている時間はなく、カート内に持ち込んでプレーしながら食べるカタチになるので、日本のような休憩時間はないと考えたほうがよい。

 もう一つ日本と異なる習慣は、ショートホールでのプレーだ。日本では、グリーンに乗ったあと、後続の組に打たせたりすることがあるが、アメリカでは、よほど前がつかえている場合を除き、そのようなことはめったにしない。

 したがって仮に前がつかえていたとしても、よほど特殊な状況でない限り、さっさとグリーン上でのプレーを終え、次のホールへ進むべきだろう。

 また、自分の視界に入っている他の組のプレーヤーがナイスショットをしてナイスオンしても、日本と違いなぜか拍手を送る習慣はないので静かにしておいたほうがよい。(お互いが至近距離にいる場合、”グッドショット” などと声をかけることはよくあるが)

 あとこれはどうでもよいことだが、アメリカのコースでは、オナーを決めるためのクジ引きの棒が 1番ホールのティーグラウンド(2019年から正式名称は「ティーイングエリア」になった)に用意されていない。ジャンケンで決めるという習慣もない。

 4人が集まり誰かひとりがティーペッグを投げ上げて決めるのが普通だ。落下したティーペッグの先端が向いた位置に立っている者がオナーということになる。
 もしくは、各プレーヤーが自分のボールを差し出し、それをまとめて誰かひとりが軽く投げ、ボールが落ちた位置の距離の順にオナーを決めるという方法もあるが、あまり一般的ではない。
 アメリカ人と一緒にプレーすることになった場合、これらの方法がとられるので覚えておくとよいだろう。

服装のルール

 多くのコースが “襟無しのシャツとジーパンはダメ” を服装の条件としているので、Tシャツなどで現場へ行ってしまうとプロショップで高いゴルフシャツを買わされることにもなりかねないので注意が必要だ。

 なお、半ズボンはOK、というか、暑い夏に長ズボンでプレーしている者はまずいないので、暑い季節(ラスベガスではおおむね 5月から9月)にプレーする者は必ず半ズボンをはくようにしたい。
 長ズボンではカッコ悪いというよりも、自分自身が暑すぎてつらい思いをすることになる。

 日本ではおとなの半ズボン姿はあまり一般的ではなかったりするが、ラスベガスではゴルフ場に限らず、街の中でも真夏はほとんどの者が半ズボンなので、ゴルフをやらない場合でも夏場はそれを持参したい。

 なお、かなり昔、高級メンバーコースでは「半ズボンの場合はハイソックス着用」といったルールがあったが、今ではそのようなルールはほとんどなくなってきているので、短いソックスでなんらかまわない。(ただ、今でも、高級メンバーコースなどでは「ひざよりも短い半ズボンはダメ」というルールをときどき見かける)

カート利用における 90度ルール

 超高級コースを除き、アメリカでのゴルフプレーにおいて、キャディーが付くことはほとんど無い。
 つまり各自が電動カートに乗りプレーすることになる(安い市民コースを除き、ラスベガスのコースでは、電動カート代はグリーンフィーに含まれている)。

 そしてこの電動カートの走行に関して次の3つのルールが用意されており、コースによって、また、天候によって、その日に採用されるルールが異なるので注意が必要だ。(日本のゴルフ場で見られる4人乗りのカートはなく、原則としてすべて2人乗り。またカートが無線で自動走行するような軌道が用意されているわけではないので、ハンドル、アクセル、ブレーキ、すべて人間が操作する必要あり)

 [自由にフェアウェイの走行が可能][フェアウェイだけは 90度ルール][常にカート道だけ] がその 3つで、雨の日の直後などは芝生の地面が柔らかいので、[常にカート道だけ] もしくは [90度ルール] が採用されることが多い。
 その日が晴れていても [自由にフェアウェイの走行が可能] が採用されないこともあるので注意が必要だ。

 さてその 90度ルールについてだが、英語で “90 degree rule” と呼ばれるこの規則は、フェアウェイにある自分のボールへ向かう際は、電動カートでのフェアウェイ内の走行距離を最小限にするよう、「まずはカート道を走行し、ボールに最も近い真横の位置に到達してから、そのカート道に対して 90度の角度でフェアウェイ内に入れ」というルールだ。

 つまり、ティーショットをしたあと、いきなりボールに向かってフェアウェイ内をまっすぐ走行してはいけない。それをやってしまうと、みんなが同じような場所を走行することになるため、ティーイングエリアとフェアウェイ間の特定の位置の芝生がすぐに痛んでしまう。なおこのルールは原則としてセカンドショット以降も同じだ。

 その日にどのルールが採用されているかは、カートの車体のどこか、スタート小屋、1番ホールのティー付近などに書かれているのが普通だが、もしわからなければクラブハウスでチェックインの際に聞けばよい。

 あと注意したいこととして、その日のルールが [自由にフェアウェイ] もしくは [90度] になっていても、特定のホールだけ [常にカート道] になっていたりすることがしばしばあるので気を付けたい(芝生が傷んでいるホールや Par-3 ホールでよく見かけられる)。
 その場合、ティーイングエリア付近のカート道の脇に [Cart path only] もしくは [Keep on cart path] などと表示されている。

カートの突然の機能不全は故障?

 決められた軌道上を自動的に走行できる日本のカートと違い、アメリカのゴルフカートは軌道がないためハンドル操作、つまりゴルファー自身が自分でハンドルを握って運転しなければならないという不便さがあるが、その一方で、行きたいところへ自由に行けるという便利な部分もある。
 どっちが便利かは意見が分かれるところだが、アメリカのカートの場合、「走行禁止区域での突然の機能不全」という罰のような仕掛けが設定されていることがあるので注意が必要だ。
 また、そのような状況になってしまった場合、プレーの続行に支障が出てきてしまうので、そこからの脱出方法を知っておかなければならない。

 どこのゴルフ場においても、ほとんどのホールに走行禁止区域がある。たとえばグリーンの周辺などがその典型だが、その他にも、転倒の危険がある急斜面とか、修理地、芝生が傷んでいる場所、さらには雨などで芝生が柔らかくなっている場所などがしばしば走行禁止区域に指定される。
 また、前述の [Cart path only] の日は、カート道路以外の場所はすべて走行禁止区域であることは言うまでもない。
 走行禁止区域になっている場所には、[NO CART] などの案内表示が芝生の上に立てられていたりするので、どの範囲が走行禁止区域なのかはすぐにわかる。

 近年、GPSなどのハイテク技術の導入が簡単になってきたためか、走行禁止区域に進入すると自動的に走行不能になって停止してしまうカートが増えてきている。
 これはいわば、マナーを守らない運転手に対するこらしめのための仕掛けとも言え、この仕掛けがスイッチオンになってしまった場合、そこから動けなくなる。

 カートの故障だと思い、携帯電話でクラブハウスの管理部門などに電話をしてしまうゴルファーもいるようだが、恥をかくだけなのでやめたほうがよい。
 故障ではないことを知っているゴルファーはカートから降りて、仲間と一緒にカートを押したりするが、簡単に動くようなものではない。

 10インチ程度のディスプレーパネル付きのカートなどでは、その画面に「禁止区域に入ったので動きません」といった警告と同時に、対処方法が表示されたりするが、多くの場合、しばらく待っていると自動的に動くようになるのがほとんどだ。(それでも、こらしめるために超々低速でしか動かない)
 しかし、中にはまったく動かないままのカートや、動くようになるまで長時間待たされたりするカートもある。

 そのようなカートでも、その状態からすぐに脱出できる方法があるので、これだけは絶対に覚えておくようにしたい。
 その方法とは、バックで走行すること。つまり自動車でいうところのギアをバックの [R] に入れる。(どんなカートにも、前進 [F] と 後退 [R] のスイッチが運転席の周辺に必ずある)
 というわけで、もし走行禁止区域で突然カートが動かなくなってしまった場合は、すぐにバック走行にて、走行禁止区域の外に出るようにしよう。
 それ以前の問題として、マナーを守り、走行禁止区域内に入らないようにすべきであることは言うまでもない。

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チップと小銭

 日本人にとってはわずらわしいチップの話だが、ゴルフ場においてもチップが必要なケースがある。
 スナックカートで飲み物などを買う際と、18ホール終了時だ。
 ドリンクなどを販売するためのスナックカートがコース内を巡回していることは先に述べたが、そこで何かを買う際は 100ドル紙幣ではなく、5ドル札や 10ドル札、大きくても 20ドル札を用意しておく必要がある。

 また、半端の釣り銭なども含めて 1~2ドルはチップとして渡すのが通例なので(全部の代金が 2ドルの時にチップを 2ドルも渡す必要はないが、4人分のドリンクを買えばすぐに 10ドル程度になってしまうので、そのような場合はそれなりのチップが必要)、1ドル紙幣は欠かせない

 また、18ホール終了時にクラブハウス前にカートで戻ると、ほとんどの場合、そこにはゴルフ場のスタッフが待機しており、汚れたクラブをふいてくれたり、ゴルフバッグを駐車場まで運んでくれたりする。
 運んでもらわなくても、クラブをふいてもらった場合はゴルファーひとりにつき 2ドル程度のチップを渡す習慣になっているので、ここでも小銭が必要となる。

 なお、キャディー付きのコースの場合(ラスベガスにまったくないわけではないが、きわめてまれ)、プレーヤーひとりにつきキャディーに最低でも50ドル程度渡すのが相場だ。
 日本的な感覚では高すぎるようにも思えるが、キャディーには固定給がないのと、キャディーが付くコースは超高級なので、その程度の金銭感覚の持ち主がプレーする、と考えればよいだろう。

 ゴルフ終了後も、タクシー利用の場合はさらに運転手へのチップが必要なので(運賃の 15~20%)、細かい紙幣はできるだけ多く持っていくようにしたい。

 ちなみに1ドルや5ドル紙幣の調達は、宿泊ホテルのカジノ内に BILL BREAKER と呼ばれる両替マシン(銀行のATMのようなマシン)がたくさん設置されているので、それを使えば簡単だ。わざわざ日本から調達していく必要はない。
 そのマシンに高額の紙幣を挿入すれば、小額の紙幣になって出てくる。もちろん手数料などはなく、だれでも24時間自由に利用可能。

その他

安全第一

 どんなスポーツにおいても安全は第一だ。人がいる方向へ打ってしまった場合は大声を出して叫ぶ必要がある。
 その時の声は日本もアメリカも同じで「フォー!」(Fore)でよい。全員で叫ぼう。(Fore は辞書にも載っているゴルフのための用語で、ほぼ万国共通)
 万一、前の組に打ち込んでしまった場合は、次のホールで “I am very sorry about last hole.”(「先ほどのホールではすみませんでした」)などと言って素直に謝罪する必要がある。
 まず大部分の人は「気にしないでいいよ」などと言って笑顔で許してくれるが、同じことを二度やるとケンカになるので注意が必要だ。

練習場

 アメリカでは、ほぼすべてのゴルフコースには立派な練習場(Driving Range)が併設されているので、早めに現地へ到着してウォーミングアップをするとよいだろう。
 練習ボールはグリーンフィーに含まれている場合と、別料金で買い求めなければならない場合がある。
 前者の場合は、練習場の各打席にボールが山積みされているのですぐにわかる(勝手に打ってかまわない)。
 後者の場合は所定の場所(ゴルフ場によって異なる)で買い求めることになるが、料金はおおむね5~8ドル程度
 なお、練習マットからではなくて、自然の芝生の上から打てるようになっていることも多く、その場合、ドライバーショットの練習をしたい者はティーをたくさん持っていく必要があるので忘れないように。(高級コースの場合、受付やスタート小屋にティーが無料で山積みされていることも少なくない)

Par-3 ホール

 先ほど「ショートホールで後続の組に打たせる習慣はない」と書いたが、ショートホールに限らず、遅い組が後続の組をパスする習慣はある。
 特に自分たちの組が 3人もしくは 4人で、後続の組が 2人の場合、追いつかれたらパスしてもらうよう申し出るのが当然のマナーだ。
(じつはマナーという以前に、かつては USGAルールの第一章の “コース上の先行権” の項で、「特別の取り決めがなければ、2球でプレーする組は3球や4球でプレーする組に優先し、パスすることが認められるべきである。また、3球や4球でプレーする組は2球でプレーする組にパスするよう促すべきである」とハッキリ明記されていた。現在は、プレーヤーの人数ではなく、「プレーのペースが速い組が優先されるべき」に改定された)
 パスしてもらう場所としては、ティーグラウンド(くどいようだが、2019年からは「ティーイングエリア」)などが普通で、後続の到着を待ってパスを申し出ればよいだろう。Please go ahead. などと言えばわかってもらえる。
 なお、これは蛇足だが、アメリカでは「ショートホール」とは言わない。Par-3 hole だ。

ヤーデージ・マーク

 グリーンまでの距離を示す標識は、日本と同様 100ヤード、150ヤード、200ヤードのマーク(ディスク状のもので 100 が赤、150 が白、200 が青、が一般的)がフェアウェイの中央に埋められているか、フェアウェイの両サイドにそれを示す石や植木などが存在している。
 また、カート道の路面にもペイント表示で示されていることが多い。さらに任意の地点からグリーンまでの距離がフェアウェイ内に点在する散水用のスプリンクラーヘッドに示されていることもある。
 その場合、そのスプリンクラーヘッドに距離がひとつだけ記載されていればそれはグリーンの中央までの距離で、3つ示されていればグリーン中央までの距離に加え、グリーン手前のエッジまでの距離とグリーン奥のエッジまでの距離を示していることになる。
 なお最近は、GPSによる測定値が電動カート内のディスプレイに示されることも多くなってきた。
 スマートフォンに、距離測定用のGPSアプリをインストールしておくのもよいかもしれない。2019年からはUSGAの公式ルールで、光学的な距離計を各プレーヤーが使用することも認められたので、距離計を持参するのもよいだろう。

目土

 ショットの際に切り取った芝生は元に戻しておくか、カートに搭載してあるタネ入りの砂(ビールの大ビン程度のプラスチック製のケースに入っている)で必ず目土しておくこと。

スニーカー

 日本と同様、アメリカでも金属スパイクはすでに過去のものとなっており、その種のシューズを見かけることはほとんどないが、念のためあえて書いておくと、多くのゴルフコースが金属スパイクでのラウンドを禁止している。
 したがって、シューズはソフトスパイクでなければならない。なお、レンタルクラブはどこのコースにもあるが、一般的にレンタルシューズはないことが多いので、日本から持参しない場合は、コース内のショップなどで買う必要がある。
 ちなみにスニーカーなどでプレーすることも可能。

レンタルクラブは高い

 日本からわざわざクラブを持参するのは大変なので、レンタルクラブの利用も大いにけっこうだが、その料金は意外と高く $60~$80 が相場となっている。
 クラブ自体は新品の最新モデルであったりすることが多い。(メーカーの宣伝プロモーション的な意味合いがある)

コース途中のトイレの開け方

 日本のゴルフ場のようにホールの途中に売店があることはまれだ。それでもトイレは必ず途中にある。
 ただ、浮浪者などに勝手に使われないようにしているためか(ラスベガスのゴルフ場周辺に浮浪者が多いというわけではないが)、トイレ施設へ入るドアにカギがかかっていることが少なくない。
 その場合は、電動カートのキーで開くようになっているのが一般的なので覚えておくと便利だ。

6インチ・リプレース

 フェアウェイなどでボールを動かしてもよいといういわゆる “6インチリプレースルール” はアメリカでは一般的ではない。
 もともと USGA の公式ルールにもないので、そういう下品な行為はなるべく避けるようにしたい。
 ただ、アメリカでも、コンペなどではなく、遊びでプレーしている場合は、6インチどころか 1メートルぐらい勝手に動かしている者も少なくない。

前進4打

 日本で言うところの “前進4打” についてだが、アメリカにもそれに似たような救済がある。
 その場合の “次のショットを打つ場所” のことを “Drop Area” といい、それなりの表示があるのが普通で、その Drop Area からは前進3打となるのが一般的。詳しくはスコアカードのローカルルールなどを参照のこと。
 なお、2019年に改定された USGAルールで「OB後の前進4打」(セカンドショットをOBした場合はもちろん前進5打)などが正式に認められたので、この Drop Area に関しても、現場においてさまざまな変化が見られるようになってきた。スタート前にローカルルールを確認するようにしたい。

ギブミー・ボール

 日本では、数十センチ以下の短いパットのことを “オーケーボール” もしくはただ単に “オーケー” などというが、アメリカでは一般に「このパットは私にください」、つまり give me(gimme)ということで、”ギミーパット” や “ギミーボール” もしくはただ単に “ギミー” というので、アメリカ人とプレーすることになった場合は覚えておこう。これを知らないと意外と意思の疎通ができなかったりする。
 英語の話が出たついでに言うならば、ティーグラウンド、ピンなどは、まったく通じないこともないが、一般的にはそれぞれ、ティーボックス(tee box)、フラッグスティック(flagstick)という。
 ナイスショットも、グッドショット(good shot)または ビューティフルショット(beautiful shot)ということのほうが多い感じで、「ナイスオン」は和製英語なので通じない。「グッドショット」でいい。
(2019年のルール変更の際に「ティーグラウンド」は「ティーイングエリア」になったが、アメリカ人の多くはまだ「ティーボックス」と言っている)

ボールのメーカー

 ボールの話が出たついでにボールのブランドに関してだが、ブランドにだわりを持っているプレーヤーは少なくない。
 あくまでも一般論だが、日本で人気の「ゼクシオ」は、ラスベガスのゴルフコースのショップで売られていることはまずないので、「いつも使っているゼクシオじゃないとイヤだ!」というゴルファーは、日本から持っていったほうがよい。
 同じダンロップ系列のブランドである「スリクソン」はときどき売られている。
 「ブリジストン」はアメリカでもかなり浸透しているブランドではあるが、コースのショップにない場合もあるので、念のため持っていったほうがよい。
 韓国企業のためか、日本での人気は限定的のようだが、アメリカのコースのショップで一番多く見かけるのは「タイトリスト」だろう。
 それに続くのが「キャロウェイ」、「テーラーメイド」、さらに「トップフライト」といったところで、「ウィルソン」はあまり見かけない。

帰りの交通手段

 レンタカーがない場合、交通手段はタクシーが最も一般的だが、帰りのタクシーに関しては、クラブハウスの現場スタッフに申し出れば呼んでもらえる。
 もっとも、最近はタクシーよりも圧倒的に早くやって来てくれるウーバー(Uber)やリフト(Lyft)を使う人が増えてきているので、現場スタッフにタクシーをたのんでも、ウーバーやリフトを使うように言われてしまうことが少なくない。

ホールインワン・チャレンジ(非公式)

 Par-3 のティーイングエリア脇に、数千ドルの数字が並ぶ看板を持った者が暇そうに立っていることがある。
 これは “Hole-in-One Challenge” などと呼ばれているもので、掛け金(5ドルまたは 10ドルが一般的)を払って参加し、見事ホールインワンを達成すると、そこに記載されている賞金や賞品をもらえるというお遊びだ。
 ゴルフコース側とは無関係に行なわれている一種のチャリティー行為だったりすることもあり、賭け金の一部が賞金に、残りがチャリティーに回されることが多いようだが、現場で公的な伝票処理がなされているわけでも、第三者が見ているわけでもないので、かなりの部分がそのオジサンのポケットに入ってしまったりしているとの噂もある。(ゴルフコースがプロショップの商品券などをくれるようになっている公式の企画の場合はその限りではない)。
 もちろん参加する必要も義務もまったくないが、参加してもかまわない。
 ただ、ホールインワン達成時にどのような方法で賞金が支払われるかは、あいにくその達成現場に遭遇したことがないためラスベガス大全としては情報を持ち合わせていない。
 ちなみにこの種のオジサンは暑さが厳しい真夏よりも季節がよい春や秋に出没する傾向にある。

ホールインワン・チャレンジ(公式)

 上記のホールインワン・チャレンジを「非公式」と呼ぶとするならば、最近見られるようになってきた「公式」と呼ぶべきホールインワン・チャレンジもある。
 これはゴルフコース側が、グリーンフィー以外の副収入的な収益アップをねらった企画で、たとえば「2ドル賭けて、もしホールインワンが出たら 5000ドル差し上げます!」といった内容だ。
 フロントでグリーンフィーを支払う際に「ホールインワン・チャレンジに参加しますか?」と聞かれるので、参加したい場合は賭け金をそこで支払う。
 すべての Par-3 ホールが対象ではなく、決められた1ホールであることが多いので、達成は簡単なことではない。
 なおホールインワンが出たかどうかに関しては、そのホールにビデオカメラが設置されているので、「出た」、「出ない」の言い争いになることはないようになっているようだ。

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