「オトナの秘密のバー」は禁酒法時代の隠れ酒場がコンセプト

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 先月、男性誌 PLAYBOY の元モデルとして知られるホリー・マディソンの名前を冠したバーレスク・キャバレー「1923 Bourbon & Burlesque」が、マンダレイベイ・ホテル内にオープンした。

 バーレスク(burlesque)とは、こっけいな芝居やパロディーのような演芸のことで、一般的にはそれにお色気たっぷりの怪しげな要素も加えられることが多く、アダルト向けの興行としてキャバレーなどの会場で行われる。
 そしてキャバレー(cabaret)とは、フランスを起源とした小規模なステージ付きの酒場のことで、そのステージで披露されるものは、やはりアダルト向けの出し物だ。
 もはやバーレスクもキャバレーも似たような感じで区別しにくいが、前者は披露されるパフォーマンスそのもの、後者は施設や会場と考えればよいだろう。

 ではストリップ・ショーとバーレスクはどのようにちがうのか。
 両者は似て非なるもので、一般的には明確に区別されている。ストリップは裸体の披露が不可欠な興行であるのに対して、バーレスクは風刺的な要素なども含んだやや高尚な大人の演芸と位置づけられており、むやみやたらに肌の露出にこだわることなく、観客を笑わすことに重点が置かれたエンターテインメント。原則として役者が全裸になったりすることはない。

 この 1923 はまさにそのバーレスクでありキャバレーでもあり、ここまでの説明から想像できる内容になんら相違はないが、テーマを持っている部分がこの店の特徴だ。
 そのテーマは店名にもなっている 1923バーボン
 1923 は、アルコール類の製造や販売が禁止された禁酒法時代のまっただ中とされる 1923年のことで、バーボンはもちろんトウモロコシなどを原料としたアメリカ産のウイスキーのこと。
 つまりこのバーレスク・キャバレーは、当時の地下組織の収入源となっていた密造バーボンを出す隠れ酒場という設定だ。
 その雰囲気を出すために、入口はわざとわかりにくくしてあり、入口を示す案内表示などは特に無い。
 したがって、訪問の際の目印は、その時代のものと思われるクラシックカーが鎮座しているので、それを目指して進み、その付近にいる現場スタッフに入店希望を告げることになる。(上の写真はその入口周辺の様子)

 マフィアに扮した案内人の誘導により秘密の入口から中へ入ると、そこに漂う空気はまさに隠れ酒場。
 当時の実際の現場の様子を知るすべもないが、店内の装飾や調度品などにより、そのような雰囲気がさりげなく演出されている。
 規模的には他の一般的なキャバレーと同様、それほど広くはないが、その適度なサイズが密室感をうまく作り出しており心地よい。
 流れている音楽はもちろん禁酒法時代の地下酒場で大きく進化したとされるジャズ。うれしいことに原則としてすべて生バンドによる演奏だ。

 ステージは四畳半にも満たないような小さなものだが、そこへ通じる幅1メートル、長さ5メートルほどの通路も舞台としてうまく利用されているので、百数十人程度の客席の規模を考えるとこれで十分といった感じだ。
 そこで披露されるのは、歌、ダンス、トークなどが中心。もちろんそれらすべてがアダルト向けの演出になっていることは言うまでもなく、バーレスクとして必要十分な雰囲気は常に保たれている。
 それぞれの出し物はわずか5分程度のものではあるが、それが適度の間隔をあけながら次から次へと登場するので、飲んでいて退屈するようなことはない。

 「飲む」といえば、必要になるのはその飲み物とテーブル席。ありがたいことにナイトクラブなどと比べると、どちらも良心価格で、ビールは小瓶6ドルから、テーブルはポジションや混雑度などによって多少異なるものの 100ドル前後で確保できる。(フロアのほぼ中央にあるバーカウンターの席でよければ無料)
 酒場でありながら、ちゃんとアルコールが苦手な者のためにコーラなどのソフトドリンクも用意されており、その価格はなんと3ドル。この種の施設の料金としては激安だ。
 気になる入場料も良心的で、徴収されたとしても 20ドル程度。混雑具合によっては無料になることも。特に女性や地元民は無料になる可能性が高い。(地元民は、地元の運転免許証などの提示が必要)

 客の年齢層はナイトクラブと比べるとかなり高く、演奏される曲も古いナンバーが中心で、中高年向けにマーケティングされていることがうかがえる。
 「ゆっくり落ちついて飲みたいが、見るものがテレビぐらいしか無いバーなどは退屈」といった中高年には最適なので、それに該当する者はぜひ足を運んでみるとよいだろう。
 なお、ホリー・マディソンに関しては、彼女が演出などの監修をしたということであって、昨年出産したばかりの彼女自身がひんぱんに顔を出すわけではないので、彼女との遭遇を期待して行っても実現性は限りなく低い。
 営業日時はまだ流動的のようだが、とりあえず現在は水曜日から土曜日の夜10時から深夜3時ごろまで。ナイトショーのように、何時までに入らなければならないということはない。
 場所は、マンダレイベイ・ホテルのカジノフロアからショッピングモール「マンダレイ・プレース」へ通じる上りのエスカレーターの左下の奥。
 入口がわかりにくいことが影響しているのか、料金のわりにすいているのが気になる。採算が取れないので閉鎖、といった事態にならないことを祈りたい。

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