「レディーラック」改め「グランド」で、7年ぶりに復活オープン

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 10月26日、ダウンタウン地区に、客室数634の中型カジノホテル「グランド」がオープンした。
 さっそく体験宿泊してみたので、客室内の様子を中心にレポートしてみたい。
(上の写真は、カジノへの正面玄関がある東側から見た様子。左奥の高いビルが客室棟の西館、そのすぐ手前のやや低いビルが東館。左手前の低層の建物がカジノ施設)

 オープンしたといっても、まったく新しいホテルがゼロから建設されて出現したわけではない。建物自体は 1985年から存在しているもので、2006年まで「レディーラック」という名称で運営されていたカジノホテルのリニューアル・オープンだ。
 レディーラックの営業が経営難で 2006年に打ち切られたあと、新たなオーナーによる再開業の計画が何度も浮上したが、リーマン・ショックなど厳しい外部要因もあり、計画はことごとく頓挫。東西2つの客室棟およびカジノ施設はそのまま放置の状態が続き、結局、今回のリニューアル・オープンまで7年を要してしまったことになる。

 26日のオープンは、いわゆるソフトオープン、つまり未完成の部分を残したままの見切り発車的な開業で、すべての施設が完成しているわけではない。(この写真はすでに営業を始めている中華料理レストラン「Red Mansion」)
 カジノ施設と直結し、フロントロビーなどもある東館の客室はほぼ完成しているものの、いくつかのレストランやバー、そしてエクササイズ・ジム、SPA、ビジネスセンターなどの各種施設はまだ準備中で、西館の大部分も閉鎖されたままだ。

 それでもカジノと東館内の客室は営業を開始しているので、実際の利用において特に大きな不便を感じることはない。
 仮に館内のレストランでは不十分という場合でも、150m も歩けば、かの有名な電飾アーケード街「フリーモント・エクスペリエンス」に行けるので、食べる場所などいくらでも探すことができる。
 ちなみにカジノはスポーツブック、バカラルームも含めてすべてが運営を開始しており、館内ですべてが完結。電飾アーケード街まで行くことなく楽しむことが可能だ。

 なおこれは余談になるが、カジノ内のインテリア・デザインが興味深い。安っぽい、手抜きだ、と言われてしまえばそれまでだが、壁は古びたレンガやコンクリートがそのまま、そして天井板は無く、頭上を見上げると空調設備の配管や電線がむき出しの状態になっている(写真上)。
 そういえば、正面玄関前の車寄せの頭上も鉄骨がむき出しなので、どうやらこの荒削りでワイルドなデザインがこのカジノのコンセプトのようだ。

 さて前置きが長くなってしまったが、本題の客室について。
 結論を先に簡潔に書いてしまうならば、「新しいので綺麗サッパリ気持ちがいいが、多くの部分において安っぽい」ということになるだろう。
 宿泊料金が、ストリップ地区の高級ホテルの5分の1程度、中級ホテルの半値程度と考えれば、安っぽさは当然の結果であり、そもそもここは庶民的な雰囲気がウリのダウンタウン地区、ゴージャスな要素を期待してはいけない。
 ということで、はじめから大きな期待をすること無しに利用すれば、たぶん満足できるのではないか。

 客室は、若草色の淡いグリーンを基調とした明るくさわやかな雰囲気にまとまっており、悪い印象はまったくない。
 広さも十分で、デスクまわりも使いやすく、長時間のパソコン作業が必要になりがちなビジネス出張族などにとっても、特に大きな不便はないだろう。
 椅子の高さも可変式で、無線LANの接続も簡単だ。よくあるブラウザを立ち上げた直後のパスワードの設定などもなく、一番強い電波として自動認識される「Downtown Grand」を選択するだけで、すぐに使用可能な状態になるところがうれしい。
 テレビは 42インチのLG製。日本のブランドではないところが残念だが、必要十分な大きさと機能がそろっており、使い方もわかりやすい。ちなみに、チャンネルの選択や放送局のリスト表示は、リモコンの [GUIDE]をクリックして行う。
 金庫はタンスの中にあり、ノートブックパソコンも収納可能。照明は暖色系の蛍光灯で、電球の色に対する違和感はまったくない。
 そして一番好印象だったのが、ベッドの硬さや高さだ。アメリカのホテルのベッド、とりわけ高級ホテルのベッドは、異常なまでに柔らかく、また床からの位置が高すぎて使いづらいことが多いが、ここのホテルのベッドは硬さも高さも日本人の好みに合っているといってよいのではないか。

 いいことばかり書いてきたが、もちろん悪いことも少なくない。まずはバスルーム。バスタブがない。つまりシャワーブースのみなので、ゆっくり湯船に浸かりたいという人にとっては最悪だ。
 コップはプラスティック製の使い捨てのみで、歯磨きなどの際の利用はもちろんのこと、寝室でワインなどを飲むときもこのコップを使う必要がある。
 カーテンや家具類も安っぽさは否めず、空調設備も高級ではないのか、騒音は決して小さくない。ストリップ地区の高級ホテルに比べ、天井の高さもやや低めで、開放感という意味では多少難がある。シャンプーやコンディショナーなどのバスルームの消耗品も高級感に乏しい。

 結局、料金の割に満足できる部分と、安ホテルであることを実感させられてしまうみすぼらしい部分が混在していることになるが、それをどのように解釈するかは人それぞれ。「ホテルは寝るだけ」と割りきって考える人にとっては、今はすべてが新しく清潔なだけに、価値あるホテルと言ってよいのではないか。
 気になる立地条件もフリーモント・エクスペリエンスに面してはいないが、わずか 150m の距離なので、特に大きな不便を感じることはないはずだ。むしろライブバンドなどで深夜まで賑わう繁華街の喧騒を避けるという意味では、この距離はちょうどよいかもしれない。
 ダウンタウン地区での宿泊を予定している人は、候補ホテルの一つとして考えてみる価値はありそうだが、大きな期待はしないほうがよいだろう。

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