アメリカ政府が「エリア51」の存在をついに認める

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 「アメリカ政府がついに “エリア51” の存在を認めた」
 先週、CNNニュースやワシントン・ポスト紙などを通じて全世界に流れたニュースだ。

 エリア51 とは、ラスベガスの北北西約190km(直線距離)ほどの地点にあるとされてきた謎の秘密軍事基地。乾燥して干上がった広大な湖「グルームレイク」にあることから、正式名称は「Groom Lake Air Force Base」とされているが、その名称も正式かどうか不明とする意見もある。
 この区域一帯は世界最高レベルの軍事機密管理下に置かれており、その存在をあえて隠すためか、一般の地図には Area-51Groom Lake Airforce Base の名称はまず出てこない。
 そのため長い間、そして今でも、軍事マニアらにとって、このエリアの探求は永遠のテーマとなっている。(上の写真は、エリア51から最も近い人口70人ほどのレイチェルという村の近くに立つ標識)

 今回のニュースは日本でも時事通信や共同通信が配信したことはもちろんのこと、読売、産経、日経、朝日などの主要メディアのほとんどが報じ、またサンケイスポーツ、デイリースポーツ、東京中日スポーツなど芸能ゴシップ系のメディアも大々的に取り上げた。
 マニアックなラスベガス関連の話題が日本でこれほど大きく報じられることは珍しい。それだけ大きなニュースだったということか。

 いや、ニュースの大きさや重要性よりも、「長かった」ということかもしれない。なにせ、この軍事施設の存在がうわさされ始めてから半世紀という歳月が流れており、これまでだれも公式にその存在を確認できていなかったからだ。
 長期に渡る謎がやっとこれで解明したという意味では、たしかにビッグニュースだったといえなくもない。

 そうはいってもマニアなどに言わせれば、「何を今さら」という感じだろう。
 基地の存在自体は周知の事実で、何十年も前からさまざまな情報がリークされており、またネット時代に入った近年においては証拠写真までもが広く共有されるようになっていたからだ。(上の写真は現場近くに立つ、これより先への進入を警告する標識)

 「基地は確実に存在している。でも何をやっている場所なのかわからない」というのが長年の一般的な認識で、わからないがゆえに、「まだ核兵器を開発している」、「他国には言えない危険な兵器を開発している」といったあり得そうな推測から、「空飛ぶ円盤のようなものを開発している」、「宇宙人の死体が保管されている」、「生け捕りになった宇宙人がいる」といったかなり飛躍したうわさにまで発展。

 やがて、「UFOが多く飛来する区域」ということになり、今では軍事マニアのみならず、「UFOマニアの聖地」ということでも広く知られるようになっている。事実この基地に最も近いレイチェル村を訪ねるUFOマニアはあとを絶たない。(下の写真はレイチェルに存在する唯一のレストラン & 宿泊場所 Little Ale Inn

 今回の政府の発表によってそれらの噂がどのようになったのか。
 実はほとんど何も解明されていない。これまで米国政府はエリア51の存在に対して、「否定も肯定もしない」という方針を貫いてきたわけだが、それを今回、「存在だけは認める」ということになっただけで、宇宙人やUFOに関しては何もコメントしていない。

 明らかになったのは、民間組織からの情報公開請求権の行使に対して、米中央情報局(CIA)などがそれに応じることになり、U2偵察機などの開発に関する公文書が公開された中で、それら航空機がエリア51で開発されていた、という事実だけだ。
 つまり、はっきり機種名を特定し、それの開発場所がグルームレイクにある基地であることが公文書によって明らかになったため、結果的に「政府がエリア51の存在を認めた」という結論が導かれた。

 ちなみに U2偵察機とは、敵国の戦闘機が飛行できない 20,000メートル以上という超高高度の飛行が可能な偵察機で、ソビエトやキューバの上空を飛び軍事施設を撮影したりするために開発された、いわば米ソ冷戦時代の産物。今は軍事衛星や無人機などにその役目を譲っており現役機ではない。

 さて今回の公表により、観光都市ラスベガスにとってはどのような影響があるのか。
 今までマニアだけのものであったエリア51という名称が、一般の人たちに対しても広く知れ渡るようになるという意味では、現地を訪れる人が増える可能性はある。(写真は、ネバダ州当局が正式に命名した「ETハイウェー」の標識の前で記念撮影をする観光客たち。レイチェルの手前 63km の地点)

 これまでは、存在するかどうか公式に認められていない場所へのツアーなどを旅行代理店が販売するわけにもいかず(販売していたこともあったが)、マニアたちだけがレンタカーなどでレイチェル周辺まで行くのが一般的だったわけだが、今後は大きく変わり、「エリア51の内部見学ツアー」なるものが、いつの日か登場するかもしれない。
 ただ、そのためには、米国政府が基地の存在を認めるだけではなく、現場へのアクセスも認める必要があることはいうまでもないが、それが現実のものとなるかどうかを推測することは、現時点では時期尚早だろう。

 それでも冷戦が終わった現在の世界情勢を考えると、基地内の建物などへの進入はともかく、丘の上などから基地全体の全容を見下ろす形での見学などが許可されることは近い将来ありえるかもしれない。

 ちなみに現在エリア51を訪問しようとするとどうなるか。これはマニアの間ではよく知られていることではあるが、上の写真(本年8月6日に撮影)のような警告が掲示されているところまでしか行けない。
 そこには、「これより先は進入禁止、撮影も厳禁。違反すると最高懲役6ヶ月か罰金1000ドルのどちらか、もしくはその両方」などと書かれている。

 だれも監視していないように見えるため、こっそり進入してみたくもなるが、それは無理。その地点から右前方約300メートルほどの小高い丘の上からしっかり見張られているので(下の写真の赤い矢印の部分に監視車両)、ちょっとでも進入すると、ただちに捕まってしまう。

 今回のニュースが発表された以降、警告表示や監視がなくなったとの報告を受けていないため、現在はまだ残念ながらエリア51の中を見ることはできないはずだが、道路名に「ETハイウェー」という名前をつけてしまうほど頭が柔軟なネバダ州のこと、観光客誘致に効果があると判断すれば、エリア51の部分的な開放を国側に働きかけないとも限らない。大いに期待してよいのではないか。

 一方、開放が実現すれば訪問者が急増することはほぼ間違いないと思われるが、逆に内部がわかってしまうと魅力が半減してしまうおそれもあるので、やはりこのエリアは永遠に謎に満ちた今の状態のほうがよいような気がしないでもないが、どうだろう。
 懲役6ヶ月だの監視車両だの、今のこの緊張感と神秘性こそがこの地の魅力だと思う者は今のうちに訪問しておいたほうがよいのかもしれない。(下の写真はレイチェルに立っている標識)

 行き方は、ラスベガスのホテル街から高速15号線の北行き(Salt Lake City 方面)へ乗り、ひたすら約 26マイル進むと(約25分。途中ダウンタウンの複雑なジャンクションを通過)、高速93号線に降りる出口が見えてくるので、そこで降りて、その93号線を北へさらに約87マイル進む(時間にしてさらに約1時間20分)。
 375号線(ET Highway)のスタート地点(東端)に到着するので、そこからその 375号線を西へ41マイル(約40分)進むとレイチェルに到着する。とりあえずレイチェルをゴールと考え、そこで知る人ぞ知る「エイリアン・バーガー」を食べて帰るのが一般的なコースだ。

 ラスベガスからレイチェルまでの所要時間は、走行速度にもよるが、おおむね2時間半。距離は片道約 155マイル(約 250km)。
 なおレイチェル到着の約15分ほど手前に、かの有名な「謎のホワイトメールボックス」がある。
 エリア51の境界線(監視車両が見張っている場所)へは、そのメールボックスがある地点から無舗装の砂漠の中の道を進んで向かうことになるが、道路名の標識などはもちろんのこと、目印となるような人工物がほとんどないに等しいため、帰路において左折する道を見落とし迷子になってしまうというトラブルが続発している(往路はなんとなく行けてしまうのが普通)。
 日没になると一気に暗黒の世界と化し、砂漠からの脱出は困難を極めるので、境界線へは、できれば経験者と行くことが望ましい。

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