宿泊料金で比較した主要ホテルの格付けランキング

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 日本にもアメリカにもホテルにはそれぞれ「格」がある。格を「序列」「グレード」という言葉に置き換えてもいい。
 ちなみに、だれが決めたか知らないが、東京では帝国、オークラ、ニューオータニが最高級グレードのホテルとして「御三家」と称されたりする。(最近は外資系のホテルによる「新御三家」なる言葉もあるようだが)

 当地ではベラージオ、シーザーズパレス、ベネチアンがベガス御三家ウィン、アリア、コスモポリタンあたりが新御三家といったところか。
 とは言っても、格付けするための定義のようなものはまったく無い。

 そもそもホテルの格は、何を基準に評価すべきなのか、非常にあいまいだ。
 サービスのレベルか、施設のゴージャスさか、規模か、伝統か。
 どれに重点を置くにせよ、だれもが納得できる客観的な格付けはむずかしい。それでも旅行代理店のパンフレットやガイドブックなどのページには「Aグレードホテル」、「Bグレードホテル」などの言葉が踊る。
 もちろん定義があいまいなため、それぞれの印刷物内での評価は必ずしも一致しない。

 そんなこともあってか、読者から「アリアとベラージオ、どっちが格上なのか?」、「一番グレードが高いホテルに泊まりたい」といった問い合わせがときどき寄せられる。もちろん答えに困ることが少なくない。

 そこで今回あえて「宿泊料金」という尺度だけで格を調べてみた。
 数字のみが判断材料なので、伝統や評判といった抽象的な尺度よりも客観性があるはずだ。
 また宿泊料金は市場原理で決まるため、不特定多数の利用者の意見が反映されていると考えられないこともない。一番公平な格付け方法といってよいのではないか。

 調査の結果、以下のグラフの通り、HOTEL-32 という特殊なホテルを除けば(このホテルに関しては、週刊ラスベガスニュースのバックナンバー 656号に掲載)、アンコール、ウィン、ベラージオが最高級ということがわかった (この3ホテルの数値の差は変動や誤差の範囲内なので同一ランクと考えてよい)。
 その次がコスモポリタン、ベネチアン、パラッツォ、アリア (これらの差も誤差の範囲内)、そのあとにシーザーズパレスが続く。

 この結果に対しては、意外なホテルの評価が高かったり低かったり、ひいきのホテルが予想外に格下だったり、いろいろ異論や意見があるかもしれないが、まさにアダム・スミスが言うところの「神の見えざる手」とされる市場メカニズムによる結果なので、ありのままの序列を受け入れるしかないだろう。
 いずれにせよホテル選びの際に役立てていただければ幸いだ。(宿泊料金の算出方法などに関してはグラフのあとに記載)


元となるデータ :
 ストリップ地区の主要ホテルのみを対象とし、それら各ホテルの公式サイト内に公表されている「最も基本となる標準ルーム」の宿泊料金。
(エクスペディアなど予約専門サイトのほうが安いことも少なくないが、それらサイトの場合、在庫の部屋の格安販売や、営業戦略的に低価格で売りたいホテルがあったりするなど、需給バランス以外の要因が価格に影響していることもあるので、あえて公式サイト内のデータだけを採用)

調査日 :
 2012年8月7日。(宿泊料金は需要と供給のバランスに基づき日々刻々と変化し得るものなので、今後変わる可能性あり)

調査対象期間 :
 2012年9月1日から9月30日までの30日間の、それぞれの日における一泊一部屋の宿泊料金を調査。

税金 と リゾートフィー :
 それぞれの宿泊料金はホテル税(12%)を含まない税別料金。リゾートフィーを採用しているホテルにおいては、リゾートフィーを含む料金。(リゾートフィーに関しては、週刊ラスベガスニュースのバックナンバー 807号に掲載)

算出方法 :
 30日間のそれぞれの日の宿泊料金を安い順番に並べ、安いほうから10番目までの宿泊料金を採用対象とし、その平均値で序列を決定。つまり、高いほうの20日分は除外。理由は以下のとおり。
 閑散期の安い宿泊料金こそ、そのホテルの市場における評価が反映されやすい。
 下限近くの安い料金は比較的安定しているが、混雑時期の高い料金は、突発的に異常な数値になることが多く、今回の目的を果たすためのデータとしてはふさわしくない。
 ラスベガス全体のホテルの需給バランスに影響するような大型コンベンションなどによって、すべてのホテルの宿泊料金が押し上げられるような場合は相対的な比較において特に問題にならないが、一部のホテルを会場とする小規模のコンベンションなどによって、特定のホテルの特定の日の宿泊料金だけが異常に高騰したりすることがあり(たとえば、インペリアルパレスの 9月3日の宿泊料金は $28.99 だが、9月22日は同じグレードの部屋が $209.99 に高騰)、また、人気コンサートなどスポット的な大型イベントが行われる際、その会場近くのホテルの宿泊料金だけが異常に高騰したりする現象もしばしば見られ、それら特殊要因による宿泊料金は、中央値に対する偏差が大きすぎ、今回の統計には不適。そのような数値が月間データの3分の2ほど存在するので、それらは除外。

その他 :
 プロモーションレートなど特殊な割引条件は除く。ドル以下のセントの単位は切り捨て。
 規模が小さいマンダリンオリエンタルやフォーシーズンズは、標準ルームに空室がない日が多いなど、同じグレードの部屋の宿泊料金の連続的な変化を把握しにくい状況にあったため調査対象から除外。MGMスカイロフトも同じような理由で除外。

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