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前ベガス市長の名を冠したマフィアがテーマのステーキ店

 12月19日、マフィアをテーマにしたステーキハウス「Oscar’s」が、電飾アーケードで人気のダウンタウン地区にオープンした。
 場所は、夜景が美しいことで知られるプラザホテルのガラス張り円形施設「ドーム」内。(上の写真の右下部分に見える円形の施設)。

 かつて「Center Stage」と呼ばれるレストラン、そして最近までスペイン料理店「Firefly」が存在していた一等地だ。

 店の名前は、1999年から昨年までの12年間ラスベガス市長を務めたオスカー・グッドマン氏にちなんだもので、実際に名前だけでなく、同氏はコンセプトの構築やマーケティングにも深く関わっている。ただし出資や経営には参加していない。

 上の写真は同店の入口の様子で、店名の左側に描かれているのはグッドマン氏の顔をイメージしたロゴ、その下に書かれている「Beef・Booze・Broads」は、この店のキャッチフレーズで「牛肉・酒・女」ということになるが、Beef にはもちろん抗争、不平、腕力といったスラングの意味もある。その下の小さな「Since 1939」はグッドマン氏が生まれた年だ。

 この前ベガス市長、日本ではほとんど無名だが、アメリカでは、自称「Happiest Mayor in the World」世界一幸せな市長)を名乗る “変わりだね政治家” として名高い。

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 では、どれほど変わりだねか。驚くことなかれ、なんと市長になる前の前職はマフィアの弁護士だったのである。それも数ある弁護士の中の一人という存在ではない。ベガスを代表する超大物マフィアの弁護士だ。

 ご存じの通り、30年ほど前までのラスベガスのカジノ経営には少なからずマフィアが関わっていた。
 スターダストホテルを仕切っていた知る人ぞ知るフランク・ローゼンタールアンソニー・スピロトロもオスカー弁護士の顧客で、この二人がどのような人物であったかは、実話を元に製作された映画「カジノ」(1995年、ユニバーサル映画、マーティン・スコセッシ監督)を観ればわかる。
 ロバート・デニーロが演じているのがローゼンタール(映画内では “エース” )、ジョー・ペシがスピロトロ(同、”ニッキー”)を演じ、マフィア間の抗争で殺人や暴行を繰り返していた当時のベガスの様子が克明に再現されている。

 そしてなんと驚くことに、その映画の中でこの前ベガス市長は、実体験を元にして実名で弁護士役を演じているからすごい。
 つまり “オスカー弁護士” として登場し、法廷でロバート・デニーロを弁護する。この写真は、その映画での一場面で、これら写真はステーキハウス「Oscar’s」の廊下に飾られている。

 裏社会と関わっていた事実をかくすことなく公表する勇気が人一倍強かったのか、すでに周知の事実だからいいのか、それとも名前を売りたいだけだったのかは定かではないが、実名で出演してしまうところはなんとも堂々としていて好感が持てる

 余談になるが、この映画には、和食レストランのオーナーシェフとして世界で活躍するノブ・マツヒサ氏も出演していることは意外と知られていない。
 実世界においてロバート・デニーロが彼の店の常連客であったので不思議ではないが、こちらはオスカー弁護士とちがって実名での出演ではない。

 ちなみにそのマツヒサ氏が演じるのは、高額でプレーする日本人ギャンブラー。
 実話に基づいた映画なので、このギャンブラーも実在人物を描いたものだが、なんとその人物は 1992年に山梨県の自宅で何者かに日本刀で殺され、アンタッチャブルな事件として大きく報道されることもなく、いまだに犯人などはわかっていない。
(この事件に興味がある場合は、「柏木昭男 ギャンブラー 日本刀 ハイローラー 殺害 山梨県」などのキーワードで検索)

 物騒な時代があったものだが、マフィアではなく上場企業がカジノを運営する今日のラスベガスは健全なので、怖がることなくぜひ来て頂きたい。
 前市長もマフィアを弁護していたのは過去の話。近年の彼は、ベガスで開催される野球のオープン戦の始球式など、かたぎの世界で活躍しており、市長をやめた今でもラスベガスを代表する有名人として市民から親しまれている。
(イチローや城島などとの写真を含む、著名人との写真は「Oscar’s」の廊下にたくさん飾られている)

 とは言っても、一般の日本人の感覚からすれば、「元マフィアの弁護士が市長に選ばれるとはヘンな街だ」と思うかもしれない。
 たしかにその経歴を隠してオスカー・グッドマン氏は市長選に立候補したわけではなく、ラスベガス市民はその事実を承知の上で彼に投票した。
 そして、12年もその職に就いた事実は、奇妙というか不思議というか、特殊な街であることはだれもが認めるところだろう。

 さて、昨年引退した彼の後任の新市長はどんな人物が選ばれたのか。これもまただれもが気になるところだろうが、なんと驚くことなかれ、新市長はこのオスカー・グッドマン氏の配偶者、そう自身の妻、キャロライン・グッドマン氏だ。なんともラスベガスらしくていいではないか。

 話が市長やマフィアのことばかりで、レストランについてふれるのを忘れてしまっていたが、冒頭で述べた通り、ガラス張りのダイニングルームの雰囲気も、窓から見える夜景(写真)も抜群で申しぶん無い。また、いくつかの料理を試してみた限りでは味もそこそこのレベルにある。

 しかしこの店に関しては、個々の料理に対する説明などでこのページを埋め尽くすのはもったいない。もっとふれておくべき独創的なことがたくさんある。

 まず、なんといっても特筆に値するのが、キャッチフレーズにあった3つの単語のうちの一つ “Broad” だ。
 あまりいい語感ではない「女」という意味だが、グッドマン氏のアイデアでその Broad と呼ばれる女性が常駐している。
 現場でのインタビューによると、現時点では8人採用されて、常時3人が任務についているとのこと。

 彼女たちの役目を日本的な表現で説明するならば「食事のコンパニオン」といったところで、客が希望すれば彼女たちは客のテーブルに着席し、一緒に食事をしたり歓談したりしてくれる。
 マフィア時代に見られた習慣とかで、料理代はもちろん客が負担することになるが、彼女たちに対する料金はチップ制。

 Broad の一人に、「一晩に何回も食事をすることになるが大丈夫か」と質問したところ、「時間をあけたり食べる量を調節したりするのでなんとかなる」との返事。ちなみに取材時に Broad 同伴で食事をしていたのは男性4人組の客、一組だけだった。

 店側の説明によると、「彼女たちはベガスの観光大使。ベガスのありとあらゆる話題をお客さんに提供し、ベガスを楽しんでもらい、ベガスを好きになってもらうことが彼女たちの任務」とのこと。
 ベガスの宣伝に気を使うあたりは、なんとも元ベガス市長らしい発想で悪くないが、試しに Broad の一人にベガスに関していくつか質問したところ、可愛い笑顔で、「2ヶ月前にオハイオ州から引っ越してきたばかりなんです」 との想定外の返事。オハイオ州は 3000キロも離れたベガスとは無縁の州。ご愛嬌といったところか。

 もう一つ特質すべきこの店の特徴は、ステーキハウスだというのに “Simpatico” というイタリア料理のレストランもあるということ。(写真は Oscar’s であって Simpatico ではない)

 ではどこにあるのか。じつは店の看板も入口もない。どこをどう探してもそれらしきレストランは見当たらない。
 が、たしかにあった。実際に見せてもらった。ディナーを楽しんでいる客も何組かいた。

 撮影禁止というよりも、撮影不能なほど薄暗く、撮影しなかったので写真で紹介することはできないが、なかなか興味深いダイニングルームであることはたしかで、雰囲気も悪くない。

 なお、ストロボを利用しての撮影はこの店の趣旨に反するのでご法度だ。なにゆえ入口も看板もなく薄暗いのか。
 それは禁酒法時代のイタリア・マフィアの密会場所としてのダイニングルームの再現だからだ。
 なんともおもしろい演出ではないか。ウエイターの衣装にもこだわりを見せており、当時マフィアの世界の飲食業界では標準だったという白と黒の細い縦縞がいい雰囲気を出している。

 ということで、密造酒を飲みながらのマフィアの会合のような雰囲気を味わってみたいという者は、ステーキハウス「Oscar’s」の受け付けの前で、「ステーキではなく、イタリアンの Simpatico に案内してほしい」と告げてみよう。
 まさかの場所にかくされている秘密のドアからそのダイニングールムに案内してもらえる。もちろん密室なので窓はなく、Oscar’s のような夜景は楽しめない。(ただし、看板も入口も見えないのは営業的にマイナスなので、いつまでこの「秘密」が保たれるのか。そのうち普通のレストランになるような気がしないでもない)

 Simpatico では食べていないので料理に関するコメントはできないが、もはやこのレストランは Oscar’s も含めて味がどうのこうのという店ではない。
 あくまでも前市長の遊び心あふれる演出を楽しむダイニングであり、それさえ理解していればどんな料理でも満足できるはずだ

 ちなみに Oscar’s のメニュー内には、Nicky’s Roasted ChickenSpiloro Style Skirt Steak など、マフィアの名前が付いた料理が多数あり、それらは意外と安く、また他のレストランではあまり見かけない料理であったりするので積極的に試してみるとよいだろう(上の写真は、前市長お気に入りの Goodman’s Legacy というカクテル)。

 他の料理も含めた全体的にも、ストリップ地区の高級ホテルのレストランよりも、いくぶん安い価格設定になっているのはうれしい。営業時間は毎日午後5時から、閉店は適当な時間まで。

 最後に、映画「カジノ」の中で、ロバートデニーロとシャロンストーンが食事をしながら密談シーンを演じている。
 その撮影場所こそが、この Oscar’s がある円形ドーム型のダイニングルームだ。せっかくこの店でディナーを楽しむのであれば、必ずこの映画を観てから行くようにしたい。

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