肥満の顧客に配慮しすぎたセクシー系アパレル会社の失敗

普通の体型のマネキンのみならず、肥満型のマネキンも積極的に採用。

普通の体型のマネキンのみならず、肥満型のマネキンも積極的に採用。

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 今週も当地ラスベガスの観光情報ではなく一般的なアメリカの話題を取り上げてみたい。(観光情報ではない理由は文末に)

 男性トイレでも女性トイレでもない第三のトイレの設置や、男性も女性も使用可能な共用トイレなど、世界中で性的マイノリティーに配慮する動きが高まってきていることは多くの人が知るところ。
 つい先週も日本の最高裁判所で戸籍上の性別を変更する際の規定に対してマイノリティーの人権に配慮する判決が出たりした。

 アメリカでは半年ほど前、日本でも広く知られるビールのブランド「バドワイザー」の低カロリー版「バドライト」の宣伝広告に LGBT の人を採用したことに対して、保守層の消費者たちから不買運動を起こされ大きな話題となったことは記憶に新しい。
 また LGBT や SDGs などに配慮しようとしたのか、ディズニー「リトル・マーメイド」などの映画で黒人を主役に起用したことも大きな騒動となっている。

 少数派に対する配慮は性別人種に限ったことではない。体型などにも及んできており、チビ、デブ、ハゲといった単語も使用しにくくなるいわゆる「言葉狩り」も少数派に対する配慮と言ってよいだろう。(チビもデブも、そして特にハゲは少数派ではないかも)

 今ここで使ってきたチビ、デブ、ハゲ、黒人も禁止用語かもしれないが、無名サイトなので大目に見てもらうとして、とにかく少数派への配慮の動きはとどまるところを知らない。
 そんな動きが高まっているなか、今週は美を追求するファッション業界の興味深い動きを写真で紹介してみたい。

ピンク色のコーポレートカラーでおなじみのVICTORIA's SECRET。

ピンク色のコーポレートカラーでおなじみのVICTORIA’s SECRET。

 今回取り上げるのは北米を中心に約1000店舗を展開する「ビクトリアズ・シークレット」。女性向けの下着などをメインにセクシー系商品を展開する大手アパレル企業で、もちろん当地ラスベガスにも複数の店舗を構えている。

セクシー系のマネキンで統一していた時代の店舗の様子。

セクシー系のマネキンで統一していた時代の店舗の様子。

 セクシー路線をコンセプトにしているだけに、長らく店頭のマネキン人形なども当然のことながらセクシー体型になっていたわけだが、「私たちの多くはあんなセクシーな体型ではない!」という消費者の声を受け入れ、ここ数年で大幅に経営方針を変更。肥満体型のマネキンもどんどん多用することになった。

現在は体型の多様性を重視し、さまざまな体型のマネキンを使っている。

現在は体型の多様性を重視し、さまざまな体型のマネキンを使っている。

 長年にわてってセクシーさを追求してきた同社としては歴史的な大英断ということになるが、この方針変更は人権活動家などからは評価されたものの、経営的には裏目に出てしまったようで業績は急降下
 3年前には70ドル前後の高値を付けていた同社の株価(NYSE: VSCO)は現在 18ドル前後で取引されている。ちなみにその3年間の ダウ平均や S&P500 は大幅に上昇しているので、いかに同社の業績不振がひどいものかがうかがえる。

こちらはやや肥満気味のマネキン。

こちらはやや肥満気味のマネキン。

 マネキンをセクシーな女性から重量級の女性に変更したことが業績不振の原因かどうかに関しては異論もありそうだが、店に入った瞬間の印象がガラリと変わってしまったことは事実のようで、美しくなりたいという女性の夢を破壊してしまったという業界関係者の声は少なくない。

やや肥満気味に見えるが、アメリカではこの程度が平均的な体型と言ってよいのかもしれない。

やや肥満気味に見えるが、アメリカではこの程度が平均的な体型と言ってよいのかもしれない。

 そんなこんなで同社の業績が下降線をたどっているなか、このたびついに経営陣は投資家向けに「やっぱりセクシー路線に戻すことを検討したい」と発表。
 体型に関する議論は人種や性別よりも炎上しにくいので、たぶん今後はセクシー路線に回帰していくのではないかと思われる。

 何でもかんでもアメリカの動きを追随する日本。はたして日本にもこの種の議論が飛び火してくるのか、それともすでに飛んできているのか。
 日本にはアメリカほど重量級の人は少ないので肥満のマネキンを置かなくても問題にならないようにも思えるが、今後の日本のアパレル業界の対応が興味深い。特に世界展開しているユニクロなどの動きには注目だ。

【お知らせ】
 コロナ禍が一段落した今でも日本からの海外旅行者はまだまだ少なく、ラスベガスの観光情報を求めている読者の数はかなり限定的。
 結果として観光関連の記事に対して「グーグル砲」がやって来る可能性は低く、広く多くの人に読んでもらえそうな題材以外では広告収入につながらないため一般的な話題とさせて頂いています。
(「グーグル砲」に関してご存じない方は検索してみてください)

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コメント(3件)

  1. ありえない より:

    いつも楽しく拝見させて頂いていましたが、この記事には唖然とし、がっかりしました。

    アメリカ生活が長い方が書いてらっしゃるのだと思いますが、思考があまりにも偏りすぎ、日本にいる日本人の感覚でがっかりです。
    肥満体型、肥満体型と連呼されていますが、アメリカには様々な人種がいて、骨格も様々。体格でなく、骨格です。日本人には血が日本人の小さな骨格の方が大半ですよね。その感覚のまま、ビクシーのマネキンを肥満体型というのはどうかと。肥満ではなく骨格が大きいの間違いでは?私は平均的な日本人体型ですが、読んでいて偏った発言が非常に不快でした。インスタもアンフォローしました。

  2. なんなのこれ より:

    ラスベガス大全さんのニュースコラムはいつも鋭い切り口と詳細なリサーチに基づいたもので、これまで長い間毎週楽しみにしていましたが、この記事には大変失望しました。いつもとは違う筆者の方ですか? 

    ビクトリアズシークレットの失敗は、「男性の求める『セクシーな女性像』にうんざりしてそっぽを向いた」特に若い世代の女性達のニーズに対応しきれなかったのが原因です。「女性自身が求めている女性像」にもっと適したブランドに女性達が流れたため業績不振に陥り、あわてて方向転換をしたけれどももう間に合わず、あからさまな方向転換に「何を今さら」とさらに総スカンを食った、というところでしょう。記事内の説明とは流れの順序が逆です。

    もともとビクトリアズシークレットは「美しくなりたいという女性の夢」をかなえるブランドというよりは、「『女性の美しさとはこういうものである』という男性の妄想」をうながすブランドでした。その男性の妄想に付き合うのが嫌になった女性達がブランドから離れていった、ということでしょう。

    日本から離れているので日本の世間一般の流れはよく知らない、かといって、アメリカで生活していても「日本人村」の中の同じような日本人との付き合いしかないのでアメリカの世間一般の流れにもついていっていない、という、在米が長い日本人男性の「ガラパゴス化」はよく揶揄される現象ですが、ラスベガス大全のニュースコラム担当の方もかなり症状が重くていらっしゃるようですね。一般的な常識のアップデートを強くお勧めします。

    そして、記事内で「少数派への配慮」がさも悪いことのようにおっしゃっておられますが、あなたもアメリカでは「少数派」なのですよ。

  3. ドクター日本 より:

    >肥満体型、肥満体型と連呼されていますが、アメリカには様々な人種がいて、骨格も様々。体格でなく、骨格です。

    私が見た限り、ブヨブヨの人、多かったですけどね、どこでも。

    >「男性の求める『セクシーな女性像』にうんざりしてそっぽを向いた」特に若い世代の女性達のニーズに対応しきれなかったのが原因

    男性に好かれようと意識しているしていないにかかわらず、痩せようと努力している女性、結構いますけどね。

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