実際の感染者数の増減はともかく、今週から日本でも新型コロナに関する各種規制がほぼ無くなり平常の生活が戻りつつあると聞く。
ちなみに当地ラスベガスでは1年以上も前から平常に戻っており、長らく休演していたナイトショーの多くがすでに公演を再開。日本人観光客にも人気のシルク・ドゥ・ソレイユの各ショーも完全復活を果たしている。
そんな中、以前から当サイト「ラスベガス大全」をサポートしてくれていたシルク・ドゥ・ソレイユの「KA」(開催会場は MGMグランドホテル)の総責任者である Claude Bourbonnière 氏(以下クロードさん)と現場近くでたまたま会う機会を得た。
ちなみにクロードさんはシルク・ドゥ・ソレイユの本拠地モントリオール出身のカナダ人で、マンダレイベイホテルで開催されている「マイケル・ジャクソン ONE」の総責任者も兼任している。
お堅いイメージのあるその肩書に反してとっても気さくであるばかりか、役者も顔負けなほどお茶目な振る舞いも常に忘れていない楽しいジェントルマンで、奥様が日本人ということもあり親日家でもある。
そんなクロードさんいわく、「KAはコロナ後の再開を機会に演目の一部をリニューアルした。また好評だった VIPツアーも刷新されたのでその内容をぜひ紹介したい」とのことで、開演数時間前の誰もいない静まり返ったシアター内を案内してくれた。
ここでいう VIPツアーとは、正式名称「KA Royal VIP Experience」のこと。
これはただ単に絶好のポジションの座席からショーを鑑賞するだけでなく、シアター全体を見渡せる VIPラウンジでのウェルカム・ドリンク、そしてそこでパフォーマーたちとの記念撮影、さらに舞台裏のさまざまな施設を見学できるバックステージツアーなどが組み込まれた特別鑑賞チケットだ。
2000席近い大型シアターの中で10席ほどしか販売されない限定チケットなので(グループなどでの申込みの場合は15席ほどまで受け付けることもあるとのこと)、まさにVIP専用といってよいだろう。
当然のことながらチケット料金は $300 前後(変動する可能性あり)と決して安くはないが、シルクのファンにとっては大変貴重な体験となるにちがいない。
(チケットはシルクや MGMグランドホテルの公式サイトから購入可能)
そんな KA Royal VIP Experience の内容を実際の行程順に沿ってクロードさんがみずから案内してくれたので、写真を使いながらそれを紹介してみたいが、その前にKAの舞台装置について簡単に触れておきたい。
KAはシルクが手掛ける数々のショーの中でも舞台装置への投資額が断然トップとのことで、現在のドル円レートで換算すると200億円以上というから恐れ入る。
ステージの一部が上下する劇場は昔からどこにでもあるが、ステージ全体が上下するどころか、それが斜めになったり宙に浮き上がったり、さらには回転したり垂直に立ってしまったりするステージは世界広しといえどもKAだけではないか。
垂直の舞台に役者はどうやってそこに張り付いたり動き回ったりできるのか。そんなことを考えながら鑑賞してみるのもこのショーの楽しみのひとつといってよいだろう。
そんなKAの大まかな内容がわかる公式サイトの動画をここにリンクしておいたので、写真による舞台裏の紹介の前にさらりと見ておいてほしい。その動画内で見られる演目の小道具や仕掛けを KA Royal VIP Experience で見学できることになるからだ。
さて以下が今回クロードさんが案内してくれた KA Royal VIP Experience なので行程順に写真で紹介していきたい。
まずは KAのシアターの入口にあるドラゴンの前からその体験はスタートする。ここは人気の撮影スポットなので記念撮影を忘れずに。

ドラゴンの前でポーズをとってくれるクロードさん。
次の写真は KAの演目として登場する Wheel of Death という機材の一部。シアターの入口を入ってすぐのところに展示されている。ここも人気の記念撮影スポットだ。

こちらからお願いしていないのに、みずから中に入ってポーズをとってくれた茶目っ気たっぷりのクロードさん。
次の写真は VIPラウンジに直結しているエレベーター。実際のツアーでは Gate Keeper と呼ばれる専属スタッフが誘導してくれる。

一般客はアクセスできない秘密の場所にあるエレベーター。
エレベーター内にはこのような絵が描かれている。どのような場所に連れて行かれるのか不安と緊張と期待が交錯する一瞬だ。

エレベーター内の様子。
エレベーターから降りると、歩き始めるまでもなく、なんとそこはすでに VIPラウンジの中。まさにラウンジ直結のエレベーターだ。

ソファーとテーブル、それに周辺や壁には KAの衣装や写真が飾られている。
VIPラウンジはシアター全体を見下ろせる高い位置にある。

ステージを指し示しながらいろいろ案内してくれるクロードさん。

ステージの両脇にも大掛かりな仕掛けがあることがわかる。
ウェルカムドリンクのグラスの下にはこれが。記念にもらって帰ろう。

たかがコースターではあるが、KA ROYAL VIP EXPERIENCE と書かれたこのコルク製のコースターは VIPツアーに参加しないと手に入らない。
転落事故を防ぐため、四角いステージの3方向に手すりが取り付けられていることが見て取れる。コロナ前まではこの手すりがなかったとのこと。

人気演目の Wheel of Death。(VIPラウンジから望遠撮影)
実際にショーを鑑賞する際の座席は次の写真内の赤い線で示されたエリアになる予定。ステージから近すぎず遠すぎず最高のポジションであることは言うまでもない。
ちなみに、あまりステージに近いセクションだと客席の上方での空中パフォーマンスや両脇の仕掛けでの演目を見づらくなるのでここがベストポジションということになる。

バックステージツアーのあと、このエリアに案内されてここからショーを鑑賞することになる。
VIPラウンジでのウェルカムドリンクやパフォーマーたちとの記念撮影が終わったら(今回は現場を見せてもらっただけなのでドリンクも記念撮影もなし)、このエレベーターを使っていよいよバックステージツアーへ向かうことになる。

この写真内の右奥に見えているのが専用エレベーター。
されここからは VIPラウンジから一気に舞台裏に移動。
まず最初に案内されるのが「海の砂を演出するためのコルクの粒」を管理する装置。すでにKAを観たことがあるシルクファンなら記憶にあるはずのカニやヒトデなどが登場する場面で使うコルクの粒だ。

このパイプを経由してコルクの粒がステージに出されたり回収されたりしている。

エンディングの場面で使用される回転花火を演出する装置。

KAで20年近く活躍しているバトントワラーの高橋典子さんが登場する際に使用される舞台装置。

Wheel of Death を舞台の裏側から見たところ。客席の下にも広い空間が存在していることが見て取れる。

舞台裏から客席側を見たところ。赤い線のエリアがVIP席。ちなみにこの写真の上部(客席の後方の高い位置)に明るく見える部分の右寄りの場所に VIPラウンジがある。

パフォーマーたちが使用する小道具の保管場所。

スタッフたちの休憩室「Green Room」の近くにはパフォーマーたちの顔写真が。日本から出演している高橋典子さんや高見亜梨彩さんの写真も。

技術、美術、照明などすべてのスタッフの顔写真がズラリと並ぶ壁。そこの序列トップの位置にクロードさんの写真が。
以上がバックステージツアーで、このあとベストポジションの席に移動し KAを鑑賞することになるわけだが、今回ここで紹介したすべての施設を見ることができるとは限らないことをあらかじめ了解しておいて頂きたい。
というのも、機材の準備やメンテナンスなどのタイミング、さらにそのときどきの安全上の理由などですべての場所にアクセスできない場合もあるからだ。
また、今回ここで紹介した環境よりも照明が暗い可能性もあるので(客席からバックステージが見えないように照明を落とすことがあるので)、必ずしもここで紹介したような明るさでの写真が撮れるとは限らないことも補足しておきたい。
公演日時は毎週土曜日から水曜日までの 7:00pm と 9:30pm 開演。木曜日と金曜日は休演。場所は MGMグランドホテルのカジノフロア内。臨時の休演日もあったりするのでそのつど公式サイトなどで確認するようにしたい。