ここラスベガスでも全米各地でも引き続き新規感染者は一定数いるのでコロナが完全に終わったわけではないが、もはやインフルエンザや一般のカゼと同程度の扱いになってきているのか、コロナに対する関心はかなり薄れてきている。
ラスベガスの街を歩いていてもマスク着用者を見ることがほとんどなくなってきており、もはやルール的にも視覚的にも街の様子の中にコロナ前との相違を見つけることはむずかしい。
そんなラスベガスにおいて、ショービジネス界に新たな動きが見られた。
シルク・ドゥ・ソレイユ(以下、シルク)のまったく新しいショー「MAD APPLE」が来週 5月26日から始まることになった。いや、すでにプレビュー公演は先週から始まっている。
開催場所はニューヨークニューヨークホテル。かつてコロナ前までシルクのアダルト向けのナイトショー「ZUMANITY」が行われていたシアターだ。
この MAD APPLE、いかにもシルク的なショーを期待して観に行ってはいけない。つまり独特な音楽や衣装が印象的なミスティアやオウに代表される神秘的なアクロバットショーではないということ。
したがって伝統的なシルクファンにとっては「これがシルクのショーなの? なにか違うぞ!」ということになりかねないが、そうなってしまうのも無理はない。
というのも、このショーをクリエイトしたのはシルクではなく The Works Entertainment社(以下 TWE社)だからだ。
「なに、その会社?」と思っている読者のために書いておくと、TWE社はイリュージョンやアクロバットなどのライブエンターテインメントを手掛けるプロダクション企業。つまりシルクの同業者でもあるわけだが、この TWE社を 2019年にシルクが買い取ったのである。
ちなみにシルクは、青い顔の役者でおなじみのショー「Blue Man Group」も 2017年に買収しており、実際にコロナ後の今もラスベガスのルクソールホテルで公演が行われている。
したがってブルーマンも今では「シルクのショー」という位置づけになるわけだが、そのショーを観て「シルクとは何か違う!」と不満に思う人はたぶんいないのと同様、この MAD APPLE がいつものシルクと違っていても不平をいうべきではない。
ではこの MAD APPLE がどのようなショーなのかというと、コメディー、マジック、アクロバット、ダンスなど多彩な演目が凝縮されたバラエティーショーとのこと。
広報資料などによると出演者の顔ぶれもかなり豪華で、人気のフリースタイルラッパー Chris Turner、身体的なハンディを持ちながらもパワフルに活躍し続けている注目のコメディアン Brad Williams など、複数の著名タレントが登場するというから本公演が待ち遠しい。
じつはプレビュー公演を観てこのショーの詳細を今週のこのコーナーでレポートする予定だったが、TWE社側からの希望などもあり、当サイトでのショーの内容の紹介は 26日から始まる本公演を待ってからにしましょう、ということになった。
プレビュー公演は本公演をスタートする前のいわば「お試し公演」。つまりこのあと衣装、照明、音楽などはもちろんのこと、全体の構成や出演順などさまざまな部分において変更や修正が加えられる可能性があり、そう考えると本公演を待ってからのほうがいいのでは、というのはごもっともな提案だ。
というわけで、近日中に本公演を鑑賞してから改めてこの MAD APPLE のすごい中身を詳しく紹介したいと思うので、乞うご期待。