マスク着用やソーシャルディスタンスの確保など、昨年の春から続いてきた新型コロナに関するさまざまな規制が解除され、「コロナはもう終わった!」とばかりにラスベガスに活気が戻ったのは6月のこと。
それからわずか2ヶ月。ここ2~3週間で状況は一変した。デルタ型の変異ウイルスが猛威をふるっており、今週から多くの公共の場所がふたたびマスク着用となった。
日本の読者は言うに及ばず、在米の読者にとってもこの夏休みのラスベガス旅行はためらいを禁じえない状況になりつつあるなか、グルメ情報の提供などほとんど意味をなさないことはわかっているが、たまたま立ち寄ったファストフード店がユニークだったのでそれを紹介してみたい。
店のロケーションは6月末に開業したばかりの大型カジノホテル「リゾーツワールド」のフードコート内。
その店がユニークなのはメニューやインテリアなど店の内容というよりもむしろ店名だ。といっても日本人以外にとってはそのおもしろさに気づくまい。
店の名前は「クルクルパー」(Kuru Kuru Pa)。昭和の時代の言葉で令和の今はほとんど使われていないようだが、それでも多くの人たちにとって笑える滑稽な店名のはずだ。
この店を監修したのはスティーブ・アオキ氏とその兄。いわずと知れたカリスマDJで、父親はかの有名なあのロッキー青木氏だ。
ロッキー青木氏はオリンピック級のレスリング選手や冒険家であると同時に世界的な鉄板焼チェーン店「紅花(BENIHANA)」の創業者としても知られる(2008年に他界)。
親子そろって本業とは別に飲食業にも進出していることになるわけだが、スティーブ青木氏はすでにピザのチエーン店 PizzAoki を西海岸エリアで展開しているので飲食業はこのクルクルパーが初めてというわけではない。
クルクルパーのメニューは実にシンプルでヤキトリと焼きおにぎり。それでほぼすべてだ。
そんな店をここで取り上げることに至った理由は、店の名前がおもしろいことと、スティーブ・アオキ氏監修の店であること、そしてメニューが日本人にとって身近なものであるというだけで特に他に理由はない。
あえて特筆すべきことを挙げるとするならば、価格が高いということとオーダー方式くらいか。
ちなみに以下に示したメニュー画面のとおり、ヤキトリは1本 8~10ドル、サケの焼おにぎりは 8ドル。またこの写真のメニューには表示されていないが、ビーフやシーフードの串物もあり、それらはもっと高かったりする。
日本の物価水準から考えるとかなり高い印象を受けるが、ラスベガスのストリップ地区はすべてにおいて高額なので、こんなものだろうと割り切るしか無い。
オーダーに関しては、フードコート全体の店舗で共通利用できる端末が多数設置されているのでその画面にしたがって店を選択し、そのあとに表示されるメニューから数量などを入力。
支払は端末の横にセットされているクレジットカードの読み取り機にカードを差し入れる。
ここまでは特にむずかしいことはないが、日本からの観光客は(今の時期はいないだろうが)戸惑ってしまう場面があるかもしれない。それはチップの額の入力画面だ。
購入代金の総額の 18%(それを選択したければ F1キーを押す)、20%(F2)、22%(F3)の3種類の中から選ぶようになっている。近年のアメリカのレストランにおけるチップはインフレ気味といわれたりするので驚くほどのことではないが、それでもウェイターやウェイトレスが料理を運んでくるわけではないファストフード店においてこのパーセンテージは高すぎるように思える。
これもストリップ地区の標準と割り切るしかないのかもしれないが、納得しがたい場合は自分でチップの額を任意に決めて入力することもできるようになっているので、そうすればよい。
気になる味に関してだが、ヤキトリは想定の範囲内、焼きおにぎりも味的には普通といったところだが、中まで温度が十分に温かくなっていなかったところはいただけない(焼き直してもらうこともできたはずだが、そのまま食べることに)。
たまたまその時の担当者が焼き方を心得ていなかったのかもしれないが、調理マニュアルなどしっかり管理してもらいたいところだ。
というわけで料理としての特筆すべき部分はほとんどないが、見ているだけでも楽しい店なので(というかフードコート全体が楽しい雰囲気に包まれている)、ぜひ足を運んでみるとよいだろう。
最後にこの店のレジの頭上に設置されているモニター画面に、スティーブ・アオキ氏が日本各地を訪問した際に感動した場面などが面白おかしくアニメで表現された「The Yakitori Adventures of Chibi Aoki」と題する動画が流されているのでそれは見落とさないようにしたい。
ちなみに公式サイト内でこの店のコンセプトのことを anime-inspired concept と表現しているので、ヤキトリやおにぎりよりもその動画こそが、日本を愛するこの店の主張したい部分なのかも知れない。(スティーブ・アオキ氏の両親は日本人)
場所は冒頭でもふれたとおりリゾーツワールドのカジノフロアにあるフードコート内。営業時間は流動的のようだが、とりあえず 10am ~10pm。
コメント(1件)
大全ファンで2年7ケ月ぶりにベガスへ来ました
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