ツッコミどころも多いリゾーツワールド内のヒルトンの客室

Resorts World の屋上から打ち上げられる花火。手前はセリーヌ・ディオンのコンサートを告げる広告塔。

Resorts World の屋上から打ち上げられる花火。手前はセリーヌ・ディオンのコンサートを告げる広告塔。

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 ワクチン接種の効果なのか、アメリカでは「コロナはすでに終わった」と言わんばかりのムードが支配的で、もはやここラスベガスも街の中の様子はほとんどコロナ前と変わらない。
 もちろん日々の新規感染者数が完全にゼロになったわけではないので油断はできないはずだが、それでもカジノやレストランなどでの人数制限はすでになくなり、マスク姿の者を見かけることもかなり減ってきている。
 そんな復活ムードが漂うなか、6月24日、元スターダストホテルの跡地で建設が進められていたリゾーツワールド(Resorts World)が完成しオープンした。客室数は約3,500。

経営はチャイニーズ系のゲンティン社

 スターダストホテルが爆破解体されたのは2007年。翌年、新たなホテルの建設が始まったが、リーマンショックなどの不況で工事はすぐに中断。その後、10年近く雨ざらし状態のままで放置されることに。(といっても当地では雨が降ることはほとんどないが)

往年のスターダストホテル(2006年9月撮影)

往年のスターダストホテル。(2006年9月撮影)

 そんな建設途中の未完成物件を買い取りリゾーツワールドとして完成させたのが、マレーシアに拠点を置くリゾート・レジャー業界の大手ゲンティン社
 創業者(故人)も現経営陣も華僑というチャイニーズ系の企業のためか、全体のテーマも「チャイニーズ」ということになっており、館内のいたるところで東洋風の演出が見られる。
 さてそんな館内の様子などは今後改めて取り上げることとし、今週はオープン直後に体験宿泊をしてきたので客室内の様子をレポートしてみたい。

館内には3つのブランドのホテル

 まずはじめに説明しておかなければならない重要なことは、今回宿泊した部屋はヒルトンブランドのセクションということ。理由はヒルトンがこのホテルの客室の大半を占めているからだ。

ルームキーの裏と表。

ルームキーの裏と表。

 それはどういうことか。じつはこの「リゾーツワールド」とは、ホテル、カジノ、レストランさらにはシアターやショッピングモールなども含めた施設全体の名称と考えるとわかりやすく、そしてそのホテルの客室部分は Hilton、CONRAD、CROCKFORDS の3ブランドによって運営されており、その3ブランドはそれぞれ宿泊料金もコンセプトも異なっているばかりか、フロントロビーも別々に存在している。
 したがって以下のレポートはすべてヒルトンの客室内のことであり、他のブランドの部屋にも当てはまるとは限らないことをあらかじめ了解しておいて頂きたい。

総じて満足できるが問題点も

 体験宿泊した部屋は「One King Bed」と称されるスタンダードルーム。つまり大きなベッドが一つある標準的な客室で、「Two Queen Beds」(日本でいうところのツインルーム)ではない。
 ここの読者の需要としてはツインルームのほうが多いように思えるが、たまたま開業2日目ということが理由なのか、残念ながら取材日の段階ではツインルームの準備ができていなかった。

Resorts World 内の Hilton セクションの One King Bed。

Resorts World 内の Hilton セクションの One King Bed。

 さっそく客室に関してだが、結論から先に書くならば、完成したばかりの部屋なので当然のことながらすべてが美しく総じて満足できるレベルにあったものの、細かい部分においては問題点というかツッコミどころがいくつかあった。それらについて重要性が高い順に書き出してみたい。

換気のための風切り音がうるさい

 まずは騒音。といっても工事現場や隣の部屋からの音などではない。エアコンの音でもない。自室内の換気のための風切り音だ。
 エアコンは各部屋ごとに客室内でオン・オフや温度設定ができるようになっているので機能的には何ら問題はなく、またその設定によって吹き出して来る空気の流れも特に気になるような音ではない。

これがエアコンのものとは別に存在している風の吹出口。設置位置は1枚上の写真内の左上を見るとわかる。

これがエアコンのものとは別に存在している風の吹出口。設置位置は1枚上の写真内の左上を見るとわかる。

 問題の騒音はエアコンの設定とは関係なく常時流れ出てくる風の音で、吹出口(写真)の形状に原因があるのかもしれないが(特に不自然な形には見えないが)、風量が非常に多いこともありとにかくこれがうるさい。
 個人差はあると思われるが、気になりだすと眠れなくなるはずだ。エアコンとは連動していないのでエアコンをオフにしても止めることができないのがつらい。
 なんのための送風なのか。コロナ対策としての換気なのか。たまたま廊下にいたハウスキーピングのスタッフにたずねてみたところ、開業直後ということもあるのか「わからない」とのこと。

窓の外の景色。窓は開閉できないのでエアコン以外にも換気が必要ということか...。

窓の外の景色。窓は開閉できないのでエアコン以外にも換気が必要ということか…。

 ちなみにこの吹出口は壁の高い位置に設置されているものの、ベッドルームのすぐ脇の壁なので枕元からは至近距離にある。
 必要があって設置したものと思われるが、ベッドルームから離れたバスルーム内や玄関近くの廊下などに取り付けることはできなかったのだろうか。 

枕元と廊下の照明の連動は理解不能

 室内の照明も問題ありだった。照明の数や明るさや位置関係ではない。スイッチの連動が配慮にかけている。
 ベッドの両脇のスタンド、デスクのスタンド、窓際のスタンド、廊下の天井、さらには枕元のヘッドボード部分にある薄暗い間接照明など、どれもそれ自体は悪くない。しかしどれも調光はできない
 当たり前のことではあるが、夜間すべての照明を消してしまうと真っ暗になる。自宅ではない不慣れな部屋において真夜中にトイレなどに行く際のことを考えると、わずかな光でもどこかに照明がついていると安心だ。
 普通のホテルではベッド脇のスタンドが調光タイプのものになっていたり、ヘッドボード部の間接照明を枕元からコントロールできたりするので問題はない。

明るく光っている部分が間接照明。ベッド周辺にはスイッチがない。

明るく光っている部分が間接照明。ベッド周辺にスイッチがない。

 ところがこのホテルの場合、ベッド脇のスタンド(写真内で円筒形に見えるもの)が調光タイプのものではないことは仕方がないとしても、ヘッドボードの間接照明を枕元でコントロールできないというのはどう考えてもおかしい。
 というのも、なんとその照明のオン・オフは玄関近くの天井に設置されている非常に明るい照明と共通になっていて、そのスイッチは玄関のエリアにある。
 つまりヘッドボードの間接照明をオン・オフするためには玄関付近まで行かなければならないだけでなく、オンにすると廊下の明かりも付いてしまい明るすぎて眠れない。だからといってそれを付けないと適度な明るさの照明がないため真っ暗になってしまう。なぜ廊下の照明とべッドの照明を連動させているのかまったく理解不能だ。
 結局解決策としては、バスルームの照明をつけてベッドルームが明るくなりすぎないようにバスルームのドアを半開きにするといった方法などで工夫するしかない。

PC用の作業スペースがない

 パソコンを使ってデスクワークをするような場合はそれに適した場所がない。出張族などビジネス目的の宿泊者にとっては不便だろう。
 もちろんデスクにもなるタンスのような家具は備え付けられているが、それの下半分は引き出しになっていたり冷蔵庫が設置されていたりするので足を入れるスペースがまったくない。

窓際にある丸テーブル。デスクワークには不向き。

窓際にある丸テーブル。デスクワークには不向き。

 結局、窓際に置かれている小さな丸テーブルを使うことになるわけだが、その高さとイスの高さのバランスが悪いのか、デスクワークにはしっくりこない。
 リゾートに来てまで仕事をするほうが悪い、と言われてしまえばそれまでだが、ベガスの場合はコンベンション目的などビジネス関連の宿泊者も多いことを考えると配慮がたりないようにも思える。

シャワーのみでバスタブは無し

 バスタブが存在しないことも知っておいたほうがよいだろう。つまりシャワーだけということになる。バスタブにお湯をたっぷり溜めてゆっくり浸かりながらカラダを休めたいという者にとっては気になる部分かもしれない。

写真の左手前が洗面台、右側がシャワールーム。

写真内の左手前が洗面台、右側がシャワールーム。

 ただこれは最近のトレンドなのでやむを得ないと考えるべきだろう。というのも、バスタブがあると清掃スタッフの作業が増えるばかりか水の消費量も増えてしまいがちということで、水不足が問題となっている砂漠都市ラスベガスにおいては新設ホテル、あるいはリフォームされるホテルの多くがバスタブ無しになっているからだ。

シャンプーなどは詰め替え式

 日本語でいうところのアメニティ、つまりシャンプー、コンディショナー、ソープなどの小さなボトルや、歯ブラシ、クシ、シャワーキャップなどのバスルームの消耗備品は一切置かれていない。(アメリカのホテルで「アメニティ」というと、プール、フィットネスジム、シアター、駐車場など施設のことを指すのが普通)
 ただこれもやむを得ないと考えるべきだろう。というのも数年前からプラスティック製の小さな使い捨ての容器は環境によろしくないということで、シャンプー、コンディショナー、ソープなどは大きな容器に入れて詰め替える方式が採用されているからだ。

洗面台に置かれているソープなどは詰め替え式。

洗面台に置かれているソープなどは詰め替え式。

 したがってそれらは洗面台やシャワーブース内に大きな容器として置かれているだけで、従来型の持ち帰れるような小さな容器のものは存在していない。それらを持ち帰って集めることを趣味にしている宿泊者にとっては少々残念な傾向かもしれない。
 なお、日本では当たり前の歯ブラシスリッパに関しては、もともとアメリカのホテルでは常備しないのが普通。

冷えない冷蔵庫

 冷蔵庫の個人用スペースの温度がひどい。冷蔵庫を客室内に置いていないホテルが多い中、それが存在していること自体は評価できるが、冷えないのであれば意味がない。
 ちなみに一般的なホテルの場合、冷蔵庫があったとしても、そこには有料のドリンクがぎっしり詰まっていて宿泊客が私物を冷やすスペースはまったくないのが普通だが、このホテルの冷蔵庫においては左半分が有料ドリンクのスペース、右半分が宿泊客が自由に使えるスペースになっており(ドアが観音開きになっている)、それ自体は大変ありがたい。

ブルーに光っている右半分の部分がなぜか冷えない。

ブルーに光っている右半分の部分がなぜか冷えない。

 ところが、その右半分のスペースは温度調節のダイヤルをMAXにしてもまともに冷えることはなく、温度計を持っていったわけではないのではっきりした数値はわからないが、たぶん15度以下にはなっていなかったように思える。
 ハウスキーピングのスタッフに確認するのを忘れたので、この部屋の冷蔵庫だけの問題なのか、他の部屋でもそれが普通なのかはわからないが、もしこの記事を読んでこのホテルに滞在し冷蔵庫に関して何か新たな情報を得た読者は、ぜひこの記事の最後の部分のコメント欄に書き込んでいただけたら幸いだ。

可動式のカランは高評価

 さてここまで問題点ばかりを書いてきたので良かった部分にもふれておきたい。
 それはシャワーブースのシャワーヘッド、つまり日本でいうところのカランが固定式ではなく取り外しができる可動式になっているということ。
 日本では可動式が当たり前なので意外に思えるかもしれないが、アメリカでは固定式が一般的なのでこの可動式は珍しいだけでなく機能的な意味でも高く評価してよいのではないか。

可動式(右側の小さい円形)に加え、大型の固定式のシャワーヘッドも。

可動式(右側の小さい円形)に加え、大型の固定式のシャワーヘッドも。

 枕も異なる硬さのものが複数用意されていて好感が持てた。たくさん枕が置いてあっても似たような硬さばかりだったりするホテルが多いのでこれもプラス要因だ。
 枕元にはAC電源のみならずスマートフォンの充電に便利なUSB電源もある。
 また当たり前だが、ヘアドライヤーもアイロンもあるのでわざわざ持参する必要はない。一方、日本とちがってトイレに温水洗浄便座は付いていない。

金庫は 4つある中の左上の引き出しの中。右側は冷蔵庫。

金庫は 4つある中の左上の引き出しの中。右側は冷蔵庫。

 自分で暗証番号を設定する方式の金庫がタンスの引き出しの中にあり、サイズ的にはパソコンも収納できるだけの大きさなので便利だ。
 テレビは48インチでこちらもサイズ的には申しぶんないが、メーカーは日本のブランドではなく韓国ブランドだった。

 とりあえずそんなところだが、カジノ、レストランのみならず、宿泊客しか利用できないプール、フィットネスセンターなども非常に充実しているので、上記の問題点などがあまり気にならない場合は宿泊してみるのも良いだろう。

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