アメリカへの入国、PCR検査も外出自粛もなくコロナ前と変わらず

成田空港での唾液 PCR検査を受ける人のための写真。

成田空港での唾液 PCR検査を受ける人のために用意された写真。

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 先週のこのセクションで、「やっとラスベガスに活気が戻ってきた」と報じたところ、複数の常連読者から「そろそろ行ってみたくなってきたが、いま一番知りたいのはベガスの様子よもアメリカの入国手続や日本への帰国時のコロナ対応などに関する情報」といった意見が寄せられた。
 また、その先週の記事の投稿欄にも、べガス訪問に関するコメントが何件か書き込まれており、入国規制などに関して関心の高さがうかがえる。

 そこで今週は、現時点におけるアメリカ側の入国手続、および帰国時の成田や羽田空港での PCR検査などに関して、実際の現場の様子をそのまま主観を挟まずに客観的な体験レポートとしてお届けしてみたい。

現在の PCR検査は、綿棒を鼻に入れる方式から、唾液方式に変わった。

現在の PCR検査は、綿棒を鼻に入れる方式から、唾液方式に変わっている。

 なお、そのような情報を提供すると、「まだコロナが終息していない今の時期に海外旅行を推奨するとはけしからん」といった意見も出てきそうだが、推奨も否定もするつもりはまったくなく、あくまでも現場で体験した客観事実の提供であることを、あらかじめ理解しておいていただければ幸いだ。

 また、日米における入国規則の存在の有無や、その内容や条文の解釈などに関しては一切かかわらないことも合わせてお伝えしておきたい。
 つまり、たとえば「ロサンゼルス空港における入国時、PCR検査などまったくないばかりか、14日間の自主隔離も求められなかった」といった記述は、アメリカ側の規則が 14日間の自主隔離を求めているかどうかの議論ではなく、ただ単に現場からの現実の報告。したがって、「14日間は外出してはいけないはず」とか「そもそも自主規制は撤回されたのでは」といった指摘をされても困る。
 あくまでも、その日そのフライトで到着した際の現場での体験をそのまま忠実に表現しただけであり、それ以上のものでもそれ以下のものでもない。
 また、規則などは日々刻々と変化する可能性があるばかりか、アメリカの各州やそれぞれの空港によって運用や解釈が異なる可能性があることも合わせて理解しておいていただきたい。

 以下、当社の複数の関係者が、4月の羽田空港での入国、その後のロサンゼルス、サンフランシスコ、シアトルの各空港での入国、さらには昨日の成田空港到着時の現場での体験をそれぞれ時間順に列挙してみた。ちなみに体験者はすべてアメリカ在住者。

4月7日 ラスベガス→シアトル→羽田

ラスベガスからシアトルまではデルタ航空 2837便。
ラスベガスの空港でのチェックイン作業などは、コロナ前の時期と何ら変わることなく極めて普通だった。空港全体が異常にすいていたこともあり、セキュリティーチェックなどに時間がかかることもなくすべてがスムーズに済んだ。機内は 100人以上の座席に対して 搭乗者数はわずか 11人だった。

11人しか乗っていなかったデルタ航空2837便。

11人しか乗っていなかったデルタ航空2837便。

シアトルから羽田まではデルタ航空 167便。
搭乗前のゲートでの人数から推測するに、搭乗者は50人にも満たない少数だった
乗員乗客の全員がマスクを着用していることと、機内で到着後のPCR検査などに関する書類が配られたこと以外、特に通常時と大きな変化は見られなかった。
羽田空港に到着後は、所定の場所(使用していない搭乗ゲート、下の写真)に誘導され、そこで 15分程度の入国手続に関する説明を受けたのち、さらに別の場所に移動の後、綿棒を鼻の穴の中に入れられる PCR検査を受けた。

飛行機を降りてから誘導された場所。なお、この先は撮影禁止なので写真はない。

降機後に誘導された場所。ここで順番に呼び出され PCR検査などに関する説明を受ける。この先は撮影禁止だった。

結果が出るまで 10時間以上を要するとのことで、自宅、ホテル、もしくは空港内の専用待機ルーム、のどれかを選択し、その場所で結果が出るまで待機するように指示される。
首都圏に実家があるため自宅を選択。その実家までの移動に関しては、公共の交通機関(電車、バス、タクシー、モノレール)の利用は不可とのことでレンタカーを利用。

検査結果がメールで報告されたのは、なぜか入国日から一週間も経過した 4月14日だった。以下がそのメール。

送信人: 東京空港検疫所支所
表題: 東京検疫所・東京空港検疫所支所からのお知らせです。
日本に入国した際に、東京空港検疫所支所において新型コロナウイルス(COVID-19)のPCR検査を実施しましたが、その検査結果は「陰性」でした。
(1)今回は結果は陰性とでましたが、帰国翌日から14日間は、引き続き、待機場所から不要不急の外出をしないこと、公共交通機関を使わないことをお守りください。
(2)自治体からの健康フォローアップは現在大変混み合っております。咳・発熱等の症状があった場合は、自治体からの連絡を待たずに、ご自身で最寄りの「帰国者・接触者相談センター」までご連絡ください(帰国時にお渡ししている「健康カード」にQRコードが記載されています)。
どうぞよろしくお願い申し上げます。

このメール以外には、その後この検疫所支所からのコンタクトは一切なかった。

6月11日 ロサンゼルス→羽田

ロサンゼルスから羽田へのフライトは日本航空 61便。(ロサンゼルス在住者なのでラスべガス発ではない)
機内はガラガラにすいていた。羽田到着後、綿棒で鼻の粘膜を取る方法による PCR検査を受ける。
検査結果が出るまで半日以上かかるとのことで、自宅やホテルなどで待機するよう指示される。
空港から実家(首都圏内)までの移動においては、公共の交通機関の利用は不可とのことで、友人に迎えに来てもらうことに。

翌日、検疫所支所から実家に検査結果(陰性)の電話があった。
その後も自動音声による電話があったが、一度その電話に出そこなったら、翌日、生身の人間から電話があった。

8月10日 羽田→ロサンゼルス

日本航空 016便。機内はガラガラの状態。
ロサンゼルスの空港に到着後、コロナ前の通常時と何ら変わることのない手順で入国完了。
ちなみにアメリカ在住者ではない一般の日本人観光客(つまり自宅ではなくホテルに滞在予定の者)も3名同行していたが、その3名も特に 14日間の自主隔離などのことにはふれられること無く入国審査完了。
結果的に、コロナのための特別な入国管理などはしていないことが判明(あくまでもこの入国時における話)。空港からホテルなどの移動手段に関しても、何も問われることなく、またそういったことに関する書類配布も書類提出もなかった。

8月20日 成田→サンフランシスコ→ラスべガス

成田からサンフランシスコまでは全日空 008便。
成田空港内は人影が少なく、ほとんどの店は休業中。

成田空港の南ウィングのショッピング街。ほとんどの店が休業中。

成田空港の南ウィングのショッピング街。ほとんどの店が休業中。

このフライトの乗客数は正確には数えていないが、50~70人程度のガラガラの状態だったと記憶。
サンフランシスコ入国後は、コロナ前と何ら変わらず、ごく普通に入国審査を通過し、スーツケースをピックアップして乗り継ぎ便へ。
ちなみに入国審査の際にコロナに関する諸注意などは一切なく(出入国を管理をする役所と保健衛生の役所は異なるので、当然の結果とも言えるが)、噂されていた 14日間の自宅待機に関する諸注意や、ホテルまたは自宅までの移動手段に関する書類が配布されることもなかった。

サンフランシスコからラスベガスまでは全日空7314便(ユナイテッド航空のコードシェア便)。
このフライトは意外にも、コロナで騒がれている今の時期としては混んでいて、座席の6~7割ほどが埋まっていた。
ラスべガス到着時はもちろん国内線なので入国手続などはなく、通常通り自由に空港の外に出ることができた。
結果的にコロナで騒がれていることがウソのように、通常時と何ら変わることなく、日本からラスベガスに到着できたことになる。

8月20日 ラスベガス→シアトル→羽田

日付は同じ8月20日だが、もちろん上のフライトの人物とはまったく別の事案。
ラスベガスからシアトルまではデルタ航空 1153便。ラスベガスの空港でのチェックイン作業などは、コロナ前の時期と何ら変わることなく極めて普通。
空港全体がすいていたため、セキュリティーチェックなどに時間がかかることなくすべてがスムーズ。
機内は横1列(通路を挟んで3席ずつ、合計6席)で2人程度しか着席していなかった。つまり全座席数の3分の1程度しか埋まっていない状況。

シアトルから羽田はデルタ航空 167便。シアトルの空港も総じて静かで、機内も全座席の3分の1程度しか埋まっていないほど静かだった。

羽田空港に到着後、唾液による PCR検査を受ける。唾液が規定の量まで溜まるのに少々時間がかかってしまったが、唾液を提出後、結果が出るまでに要した待ち時間は約1時間程度。
ちなみに唾液は直径1センチ、長さ10センチほどの半透明の容器に1ミリリットルを溜めて提出する必要があり、この1ミリリットルは大した量ではないように思ったが、実際にやってみると意外とかなり時間を要した。
唾液採集ブースには、唾液が出やすいようにするためか、レモンや梅干しの写真が掲示されていた。

約1時間後、コロナ陰性であることが確認されたのち開放された。空港から自宅(首都圏在住)までの移動は、公共の交通機関(電車、バス、タクシー、モノレール)の利用は不可とのことだったので、家族に迎えに来てもらうことに。
翌日以降、厚生労働省と思われる保健当局から毎日 11:15am ごろ自宅に自動音声による電話があった。その電話の内容は、自宅にいるか、帰国者および同居者などに発熱症状、喉の違和感、クシャミなどが出ていないかといった質問で、それら質問に対して「はい」、「いいえ」、「わからない」で答える。
なお、その電話の最後に「個人情報などを質問することはありませんので詐欺などにご注意ください。ご協力ありがとうございました」とのメッセージが流れる。

9月11日 羽田→シアトル→ラスべガス

羽田からシアトルはデルタ航空 166便。
出発の手続きなどに関しては、コロナ前の平常時と特に大きく変わることはなく搭乗。なお、空港内の売店などは多くが休業中で、静まり返っていた。
シアトル到着後の入国手続および乗り継ぎ便への移動などは、平常時とまったく変わらず、PCR検査もなければ、14日間の外出自粛などの指示もまったくなし。むしろ利用客が少ないぶんだけ、行列などがほとんどなく、すべてにおいてスムーズで、平常時よりも快適な入国。

シアトルからラスベガスはデルタ航空 811便。
機内の混雑度は全座席の3割程度が埋まっていた感じ。
ラスべガス到着時はもちろん国内線なので入国手続などもなく、通常通り自由に空港の外に出ることができた。

9月17日 ラスべガス→サンフランシスコ→成田

サンフランシスコまではユナイテッド 481便。機内の混雑度は全座席の2割程度が埋まっていた感じ。
サンフランシスコ空港内の国内線のターミナルはそこそこ賑わっていたが、国際線ターミナルはガラガラで静まり返っていた。免税店も含めてほとんどの店は休業。

サンフランシスコから成田は全日空 007便。客室乗務員いわく、乗客はビジネスクラスもエコノミークラスも全クラス合わせて47人とのこと。
成田到着後は唾液によるPCR検査場に誘導され、そこで唾液を1ミリリットル所定のシリンダーに入れて提出。
そのあと、通常時は出発ゲート(ちなみにゲート番号は43番、44番ゲート)として使用されている待合室に案内され、検査結果を待つことに。
他の都市からの到着便が重なったためか、通常よりも時間がかかるとのことで、約2時間待ったのちに「陰性証明書」を手渡され、その後スーツケースをピックアップし、その「陰性証明書」を税関スタッフに見せて空港の外に。
たとえ陰性でも判定の精度は100%ではないとのことで、やはり公共の交通機関の利用は不可。あらかじめ予約してあったレンタカーで都内の実家へ。

なお、PCR検査などの際の一連の流れの中で検疫スタッフから、日本国内での連絡先を知らせるように言われる。電話、メール、LINE のどれかを知らせる必要があるが、アメリカの携帯電話の番号や、アメリカのスマホ内の LINE は不可とのことで、メールアドレスと実家の電話番号を伝えることに。
不要不急の外出をしないこと、とのことだが、18日の入国後、5日が経過した9月23日現在、在宅状況や健康状態を確認するための電話もメールも一切来ていない。

9月21日 ロサンゼルス→成田

全日空 005便でロサンゼルスから成田へ。乗客数は全クラスでなんと 27人。22日に成田に到着後の手順などは、上記の全日空 007便で到着した者と基本的に同じだが、唾液のPCR検査後の待機時間は約1時間と短かった。

9月22日の夕方5時ごろの成田空港南ウイング到着ロビー。通常時のにぎわいはまったくない。

9月22日の夕方5時ごろの成田空港南ウイング到着ロビー。通常時のにぎわいはまったくない。

実家への移動手段はハイヤーを選択。ちなみにハイヤーはタクシー同様、通常では公共の交通機関とみなされるが、今の時期は海外からの到着者のために、車両をコロナ対策仕様に改造し(運転席と後部座席との間にアクリルパネルなど)、保健当局からの許可を受けた業者がハイヤーを運行している。宣伝になってしまうのでそのハイヤー会社のサイトなどは紹介しないが、「空港 コロナ ハイヤー 帰国者」などで検索すれば、数件のサイトが表示されるはず。
帰国日から1日が経過した 23日の正午時点では、保健当局から電話もメールも届いていない。

PCR検査で陰性が確認されたあとに手渡される陰性証明。

PCR検査で陰性が確認されたあとに手渡される陰性証明。

まとめ

少なくとも今回の渡航体験においては、アメリカ側の空港での入国時に、コロナ前の通常時と異なるようなことは何もなかった。また、14日間の自主隔離などに関してや移動手段に関しても、なんの説明も指示も書類も受けなかった。

実際に、14日間の自主隔離ルールを撤回したとの報道も見られる。(たとえばこの CNN ニュース

一方、日本側の空港においては、PCR検査があるだけではなく、空港からの移動手段に関しても厳しくルールが定められていた。

日本側の空港で行われている PCR検査は、綿棒で鼻の粘膜を採集する方法から唾液方式に変わっており、それにより、検査結果が出るまでの時間が大幅に短縮されている。

日本に入国後、14日間は不要不急の外出をしないこと、とのことだが、それを入国者が守っているかどうかの確認のための当局からの電話やメールでの問い合わせは、ある場合とない場合がある。

以上。

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コメント(20件)

  1. tajka より:

    とても参考になる記事ありがとうございます!!アメリカに入国した際の入国管理官からの質問で、渡航の目的は何ですか?と聞かれるかと思うのですが、普通に観光ですと答えていれば大丈夫なのでしょうか?観光目的での入国は完全にOKなのでしょうか?

  2. kenta より:

    現在シアトル入国についてわかってる事あればおしえてもらえませんか?12月1日シアトルに行く予定です。レベル4になりましたがアメリカ全土でPCR検査証明書がひつようなのでしょうか?よろしくお願いします。

  3. kamowlloon より:

    いつも楽しく為になる情報ありがとうございます。4月に4年ぶりにラスベガスに行く予定です。娘もカジノに入れる年齢となり、楽しみにしております。BTSのライブを見るのが目的なのですが、ホテルの予約はアメリカ入国後の自主隔離期間も含めて予約をしなければならないのでしょうか。それとも入国直後に自主隔離する滞在施設等が米国で決められているのでしょうか。どうすれば良いのかわからず困っております。入国直後の過ごし方やその手配の仕方をわかりやすくアドバイスいただけたら幸いです。また、もしチケットマスターでチケットが買えなくても、現地で手に入れる事は可能でしょうか?

    • ラスベガス大全 より:

      kamowlloon様
      「入国後の自粛」んどまったくございません。
      コロナ前とまったく同じように入国でき、入国後の行動も自由です。
      ぜひラスベガスにいらして楽しんでいってください。

  4. Poron より:

    有意義な情報のご提供ありがとうございます。
    4月にラスベガス旅行を考えております。
    日本への帰国(ラスベガス出発時)の際空港に於いて、現地でPCR検査を行って取得した陰性証明を提出する必要があるとのことなのですが、間違いないようでしょうか。 状況がおわかりのようでしたら教えていただけるとありがたく、よろしくお願いいたします。

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