今週は、5月11日からストラットホテルで始まったサーカスショー「CELESTIA」を紹介してみたい。
（このホテルの名称は今年の２月、従来の「ストラトスフィア」から「ストラット」に変更になっているものの、まだ現場では多くの部分がストラトスフィアのままになっているので混乱しないよう要注意）

　このショーの特徴は、なんといっても会場が通常のシアターではなく、屋外テントであるということ。つまりこのショーのために設置された特設テントで、恒久的な施設ではない。

　となると、いつまで開催されるのかが気になるところだが、現時点では、とりあえず９月末までのチケットが販売されている。
　とはいえ、興行成績が悪ければ、いつでも打ち切りになってしまうのがラスベガスのショービジネス業界のおきて。
　９月末よりも早く終わってしまう可能性もあるので、興味がある者は早めに観に行っておいたほうがよいかもしれない。
（ちなみに、今年の３月にこのコーナーで取り上げた屋外テント型のショー「FUERZA BRUTA」は、予定よりも大幅に早く、たった１ヵ月で打ち切られている）

　会場のテントが設置されている場所は、ストラットの北側の駐車場で、館内から行く場合は、カジノ内の案内表示にしたがって「Crafted Buffet」を目指して進み、そのまま突き当りにある出口から屋外に出るとわかりやすい。（下の写真は、その出口から外に出た場所から見えるテント）

　このショーの内容を説明するのはそれほどむずかしいことではない。というのも、「シルク・ドゥ・ソレイユに酷似している」でおおむね内容が伝わるからだ。
　だれが観てもシルクを思い出してしまうはずで（もちろんシルクをすでに観ていればの話だが）、実際に個々の演目のみならず、全体的な表現や構成も限りなくシルクに似ており、たとえば ２つの大きなリングがくるくる回る Wheel of Death（写真下）など、ステージ上で使用されている機材もシルクと同類のものが目立つ。
　火、煙、光などの使い方もシルクを踏襲しているように見受けられ、さらにシルクのパフォーマーも出演しているというから、もはやシルクと切り離して考えることのほうが無理といった感じだ。

　パフォーマーといえば、彼らが客席周辺にまで出てきて演じる場面もシルクを彷彿とさせる。
　彼らがしゃべること、つまりトーク部分が一切ないところもシルクと同じで、英語が苦手な観客でも楽しめるようになっているのはありがたい。

　ではシルクの数あるショーの中でどれに近いのかということになるが、現在ラスベガスで開催されているショーの中では、ミスティアに一番近いのではないか。ＫＡで見られる演目も散見される。

　個別の演目を細かく説明していたのでは、観る楽しみがなくなってしまうので、シルクとの違いを述べておきたい。
　最大の違いは、もちろんテントであることに起因する会場の物理的な条件だろう。ステージのサイズや天井の高さに制限があるので、パフォーマーたちの動きの範囲などに影響が出てきてしまっている部分は止むを得ないといったところか。それでも客席の数などの規模はテントのわりに十分すぎるサイズが確保されている。
　シルクの多くのショーでは、それ相応の生バンドを起用しているのに対して、このショーではドラムスなど一部の楽器以外は録音された音源を使用。
　公式サイトでは 70分となっている公演時間が、実測で 55分しかなかった部分もシルクとの大きな違いと言えるかもしれない。（シルクは約90分）

　シルクとの違いで最も気になった点は、客席とステージの間に２本の柱があること。これはテントを支えている柱なので、存在自体は止むを得ない構造物ではあるが、客席の位置によっては、視界の邪魔をすることになる。
　したがって、チケットを手配する際は、ステージからの前後の位置関係よりも、左右のずれを気にしたほうがよいだろう。つまり中央寄りの席が望ましい。

　公演日時は月曜日と火曜日を除く毎日 7:00pm。チケット料金はさまざまな経路で提示されているので固定的なものではないが（いわゆる「ダイナミックプライシング」）、税金や手数料を含めての価格の中心帯は $50～$60 程度。
　軽く$100 を超えるのが当たり前のシルクの価格帯を考えると、おおむね半額以下となっており、このチケット料金こそがシルクとの最大のちがいと言えるのかもしれない。