朝食も可能な西部開拓時代の酒場 PIONEER SALOON

 先週のこのコーナーで「世界最大のガソリンスタンド」を取り上げた際、「PIONEER SALOON へ行く際に立ち寄るとよい」と書いたところ、予想に反して、そのガソリンスタンドではなく、PIONEER SALOON に関する問合わせが複数の読者から寄せられた。今週はそれについて書いてみたい。

PIONEER SALOON  まずはこの店の説明の前に、saloonsalon の違いについて。

 発音こそ「サルーン」「サロン」で明確に異なっているが、辞書で調べる限り、意味としてはどちらも「大広間」「応接室」といった感じで大きな違いはないようだ。
 日本でも「サルーン」こそあまり耳にしないものの、「サロン」は似たような意味として広く使われているのではないか。

 ただ、アメリカにおける saloon には、もう一つ別の意味がある。それは「西部開拓時代の酒場」だ。
 単なる古い酒場のことではなく、あくまでもその時代のものでなくてはならない。( speakeasy よりも古い時代の酒場ということになる)

PIONEER SALOON
 この PIONEER SALOON はまさにそれで、知る人ぞ知る古き良き時代の雰囲気が漂う情緒豊かな酒場だ。
 といっても、小道具を多用するなどインテリアを工夫し、レトロな雰囲気を意図的に演出している酒場ではない。
 その種の店は、どこの街にも少なからず存在しているが、この PIONEER SALOON はそんなニセモノとはわけが違う。昔ながらの自然のままの姿で 100年以上も営業を続けており、もはや重要文化財的な存在の酒場だ。

 創業はなんと西部開拓時代の末期とされる 1912年。第一次世界大戦よりも前で、日本では明治45年ということになる。
 まさにサルーンという名前に偽りのない正真正銘のサルーンといってよいだろう。

PIONEER SALOON
 さて気になる場所についてだが、この酒場が存在しているのは、先週のこのコーナーで紹介した世界一大きいガソリンスタンドから西に 6.7マイル(10.7km)の地点。
 ほとんど交通量がない砂漠の中の一本道なので、距離のわりに快適に走行でき、所要時間的にはそのガソリンスタンドから 10分もかからない。

 なお、到着直前のところにY字路のような分岐点があるが(写真)、そこは道なりに Goodsprings と書かれた方向に進めばよい。(Goodsprings とは、この酒場がある村の名前)

PIONEER SALOON
 近くまで行けば、この店を探すことに苦労はしないというか、見落とすことなど絶対にあり得ない。
 というのも、この Goodsprings は砂漠の中にポツリと存在する小さな村で、人口はわずか約200人。店らしい店は、このサルーンと、その隣にある GHOST TOWN CAFE(写真)しかないので見落としようがないというわけだ。

 ちなみに両店は同じ経営で、PIONEER SALOON で食べ物をオーダーすると、となりの GHOST TOWN CAFE で調理をして持ってきてくれることになる。
 ならば食事をする場合、始めから GHOST TOWN CAFE へ入ればよいようにも思えてくるが、それはやめたほうがよい。
 なぜなら、GHOST TOWN CAFE は外観こそ情緒あふれる昔ながらの体裁になっているが、内部は殺伐とした感じの単なる古ぼけた食堂だからだ。やはりこの村の中心は PIONEER SALOON なのである。

PIONEER SALOON
 なにゆえ100年以上も前からこんな寂れた場所に村が存在し、酒場が出来たのかなど、歴史的な背景に関しては公式サイトなどで調べてもらうとして、ここでは簡単に現場の状況を説明しておきたい。

 PIONEER SALOON はもちろん酒場ではあるが、食事も楽しめるようになっており(朝9時オープンなので朝食も可能)、それなりのダイニングルームも用意されている。(写真)
 ただ、ほとんどの客はバーセクションを利用しているのが現状で、そこが満席でない限り、ダイニングルームを利用する人はほとんどいない。
 バーセクションでの食事も可能なので、わざわざ人影が少ないダイニングルームで食べる必要もないということのようだ。

PIONEER SALOON
 季節が良ければ裏庭のセクションに出てみるのもよいかもしれない。
 そこにはウィスキーの樽がずらりと並べられており(写真)、この店が酒場であることを改めて意識させられる空間になっている。

 ちなみに当時のサルーンは禁酒法が始まる前ということもあり、各酒場が自前のウイスキーを独自に造ることが当たり前の時代だった。
 そんなこともあり、この店では 100年以上前から脈々と続くその伝統を今も継承しており、それらの樽で実際にウィスキーを造っているというから驚きだ。(常連客などに「マイ樽」という形で自作ウィスキーの樽を提供したりもしている)

 したがって、それらの樽は演出として置かれているわけではなく、現役の樽として今もなお使われていることになる。
 まさに「生きた化石のようなサルーン」といってよいのではないか。

PIONEER SALOON
 最後に気になるメニューと価格について。酒のつまみ程度のものしかないかと思いきや、意外にもメニューは豊富で、品数的には一般的なファミリーレストランと比べても見劣りはしない。

 とはいえ、サラダ、スープ、卵料理、肉料理、サンドイッチ、ハンバーガー、そしてメキシカン系の料理など、アメリカ人向けの定番メニューが中心なので、日本的な味覚の持ち主にとっては積極的に食べたくなる料理を探すことはむずかしいかもしれない。

 価格については、すべての料理の料金を書き出すのは現実的ではないので、代表的なメニューとして各種ハンバーガーセット(ポテトなどが付いてくる)の価格を示すと、安いもので約11ドル、高いもので約14ドルとなっている。

 レンタカーでホテル街から片道1時間以内で行くことができるので、この種の店に興味がある者は足を運んでみるとよいだろう。営業時間は朝9時から深夜12時まで。駐車は路上駐車可能。

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