観光名所となったトランプ氏のホテル & レストラン

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 「時の人」といえば、この人をおいて他にいるまい。ドナルド・トランプ氏 だ。(上の写真は、以下で紹介するギフトショップに並ぶ彼の著書の表紙)
 これまで長らく「不動産王」などと称されることが多かったが、今では立派な第45第アメリカ合衆国大統領候補だ。
 「立派な」と表現することには異論もありそうだが、好き嫌い、良い悪いは別にして、共和党の最終候補者に残れたという事実だけはすごいことで、支持者から見れば、ライバル候補にはない魅力や才能があるということだろう。

トランプ・インターナショナル  さてそんなトランプ氏、生まれ故郷も活動の場もニューヨークを中心とする東海岸エリアであることから、ラスベガスとはあまり縁がないように思われがちだが、そんなことはない。
 全米各地、そしてアメリカ国外にも、彼の名前を冠したホテル、コンドミニアム、ゴルフコース、オフィスビルなどがあり、ラスベガスも例外ではなく、2008年に完成したトランプ・タワーと称される高層ビルが北ストリップ地区にそびえている。(写真)
 高さ 622フィート(189m)、64階建てのこのビルは、高さでこそわずか 6メートルほどパラッツォ・ホテル(公称 642フィート、53階)に及ばないものの、フロア数ではラスベガス・ナンバーワンを誇っている。
 またフロア数ばかりか「目立ち度」でもラスベガス随一で、成金趣味と揶揄されがちな「金ピカ」がこのビルのトレードマークとなっており、外壁はもちろんのこと、正面玄関もすべて金ピカだ。屋上部分に自分の名前を大きく入れることを忘れていないところも、なんともトランプ氏らしい。(反射しすぎてうまく撮影できていないが、右下の写真が正面玄関の様子)

トランプ・インターナショナル  もともとはコンドミニアム、つまり日本でいうところの分譲マンションとして建設されたものだが、リーマンショックの不動産不況のあおりを受け、計画通りに分譲できなかったことから、今ではコンドミニアム、タイムシェア、ホテルなど、複合的に利用されており、そしてそのホテルこそが、いま注目を集めている「トランプ・インターナショナル」だ。

トランプ・インターナショナル  このホテルが今とってもホットで、これといったアトラクション施設やカジノがないにもかかわらず、ここを訪れる観光客があとを絶たない。ホットな理由はもちろん大統領候補トランプ氏のホテルということで、特に他に理由があるわけではない。
 共和党支持者かどうかなどは関係なさそうで、冷やかし半分で訪れている者も少なくない感じだ。フェースブックやインスタグラムなどに載せる写真を撮りに来ているのだろうか。チェックイン・カウンターに並ぶ宿泊者は比較的年齢が高いように見受けられるが、宿泊者ではないと思われる人たちの中には若者が目立つ。(上の写真は、館内のギフトショップで売られている 金塊に見立てた TRUMP の刻印入りチョコレート

トランプ・インターナショナル  いずれにせよ、宿泊者以外にとって訪問目的は金ピカ玄関の前などでの記念撮影か、館内のギフトショップで何かを買うぐらいしかなさそうだが、とにかく観光スポットと化している話題の場所なので、興味がある者は立ち寄ってみるとよいだろう。
 ただ、落選した場合のことを考えると、ここが観光地として“旬”でいられるのも今週限りかもしれない。果たして結果はいかに。
(上の写真は、パラッツォ・ホテル側から見たトランプ・タワー。写真内の右半分に見える楕円形の屋根はファッションショー・モールの入口。北ストリップ地区に行けば、このようにどこからでもよく見えるので、地図などがなくても見失うことはないはずだ)

トランプ・インターナショナル  以下は余談。このホテル内にあるそこそこ有名なレストラン DJT(写真)に行ってみたので、簡単にふれておきたい。
 名前の DJT は、自分のミドルネームも含めた Donald John Trump のイニシャル。いかにも目立ちたがり屋の彼らしいネーミングだ。
 そこそこ有名な理由は、開業直後の 2008年と 2009年にミシュランの星を獲得したため。今ではコンセプトの変更もあり、人気も内容も当時のようなレベルにはないが、トランプ氏のことが嫌いではない限り、それなりの雰囲気を楽しめる店なので、このホテルまで足を運んだついでに立ち寄ってみるのも悪くはないだろう。

トランプ・インターナショナル  この店の特徴は、薄い布で出来たカーテンで簡単に仕切られているだけで、フロントロビーとこの店の間に壁や境目などがなく、ロビーと一体化した形で存在しているということ。(上の写真内の手前が DJT、奥がロビー)
 そして、そのような構造になっているためか、スーツケースを引きずったまま店内に入ることが許されているばかりか、ネットカフェのごとく、長時間パソコンなどをやっていてもかまわないという雰囲気も、この店の大きな特徴で、また一人客でも使いやすい横長のテーブル席、ゆっくり長時間くつろげるソファー席もあったりする。
 したがって実際に、チェックイン時間よりも早く到着した宿泊者や、チェックアウト後に飛行機の時間までに余裕がある者などが時間つぶしに使っていたりするなど(2枚上の写真の中の右端にパソコンを持ち込んでいる客が見える)、もはや高級レストランというよりもカジュアルなカフェと考えるべきだろう。
 それでも、「元ミシュラン1つ星」という先入観の影響か、食事をせずに雑談しているだけの客などがいたりするわりには安っぽい印象はあまり受けない。

トランプ・インターナショナル  実際に値段も、この写真のハンバーガー(ポテト付き)が $19 なので決して安くはないが、味はまともで、肉の焼き方を指定できるなど、料理そのものは満足できるレベルにある。その他のメニューも、いくつか食べてみた限りでは総じて悪くない。
 一方、たまたまかも知れないが、ウェイターなどが少なく、かなり待たされたばかりか、サービスもあまり良い印象ではなかったので、そのへんはあらかじめ覚悟の上で行ったほうがよいかもしれない。

トランプ・インターナショナル  最後に宿泊に関して。(写真は、ギフトショップで売られているトランプ氏のスローガン付きの帽子 $30)
 ここ数ヶ月、ラスベガスに限らずトランプ氏のホテルは総じて宿泊料が下がっていると聞く。アメリカの複数のメディアの報道によると、コンドミニアムなどの不動産相場も下がっているらしい。
 その理由は、「女性差別発言など品格に欠けるトランプ氏の名前が付いた物件に宿泊したり住むことは恥ずかしい」と考える人が多いからだそうで、需給バランスが崩れているとのこと。
 実際にこのベガスのトランプ・インターナショナルもかなり安くなっており、たとえば今月であれば、21日の週はわずか $100~120 前後(それに $29 のリゾートフィーと 12% のホテル税)で泊まれる日もある。(宿泊料は常に変動する可能性があり、固定的なものではないが)
 中級レベル以下のホテルを探している者にとっては、特に安いように感じないかもしれないが、このホテルはもともとはコンドミニアムとして設計されているため、部屋が総じて広く、装備も充実しており、現在の料金水準は他の同レベルのホテルと比べると明らかに安い。
 館内にカジノが存在しないということと、ストリップ大通りからやや奥まっているという立地的な不便はあるが、興味がある者は宿泊先として検討してみるとよいかもしれない。(客室内の様子などに関しては、この週刊ラスベガスニュースの 585号に掲載)
 トランプ氏が落選すれば、彼のそのものの存在感や彼の悪い印象が薄れて宿泊料金の相場が元に戻るのか。当選すればますます暴落するのか。こればかりは予想がむずかしい。

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