【特異日に注意】 まさかの大混雑!? 知っておいたほうがよい「いつもとは違う日」

過去の年末年始の花火大会。独立記念日のものではない。

過去の年末年始の花火大会。独立記念日のものではない。

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 どこの都市において、いつもとはちがう日、つまり 特異日 というものがある。以下はラスベガス訪問者が事前に知っておいたほうがよいラスベガスにおける特異日だ。(混雑順ではなく、カレンダー順)

【 12月31日 と 1月1日 】
 大晦日から元旦にかけては、カウントダウンや花火大会、さらには新年を祝う各種催物などが行われるため、全米各地から観光客がドッと押し寄せ街中がごった返す。

 またこの時期は縁起がいいのか、ラスベガスで結婚式を挙げるカップルも非常に多く、それに伴う招待客などによる混雑も無視できない。(縁起よりも、年度変わりによる配偶者控除の節税恩恵を受けたいためとのウワサもあるが…)
 さらに元旦恒例のローズボウル(カレッジフットボールのビッグイベント)などをラスベガスのスポーツブックで賭けながら観戦しようという客も大勢集まる。とにかく 12月31日から1月1日にかけては1年のうちで最も混む日と考えてよい。

【 CES ウィーク 】
 CES とは(Consumer Electronics Show の略であったが、最近は主催者が Consumer を名称から取り除きたいのか、CES がフルネームでの正式名称となった)、ハイテク業界の巨大コンベンションのこと。
 もともとは家電業界を中心とした展示会だったが、COMDEX(コンピューター業界の巨大コンベンション)が 2003年を最後に消滅したあとは、ハイテク業界、さらには自動車業界なども加わり、世界最大級のコンベンションに成長している。(写真下)

 開催時期は毎年1月上旬の平日の4日間になることが多い。そのためこの CES はラスベガスの正月の風物詩となっている。
 この期間中は、世界中から業界関係者、約15万人ほどが集まるので、一般観光客がホテルを確保するのはかなりむずかしくなる(宿泊料金が高騰する)。
 レストランやバフェィなども非常に混雑し、タクシー乗り場にも長蛇の列ができる反面、テーマパークなど遊び関連の施設はガラガラにすいてしまうことになり(特に昼の時間帯)、ナイトショーもそれほど混まない。(ビジネス出張族は夜も社員同士や取引先などと食事をすることが多いため)

 ちなみに、やや古いデータではあるが、2012年1月のCES開催時、コンベンションセンターに近い老朽化した中級ホテル「リビエラ」の宿泊料金が、通常時の 39ドルから 499ドルにまで跳ね上がった。(なおリビエラホテルは 2015年5月に閉鎖され今は存在しない)

【 スーパーボウル の日 】
 スーパーボウルとはご存じの通りアメリカンフットボールのプロリーグ NFL の決勝戦のこと。
 日程は毎年異なるが、通常2月初旬の日曜日に行なわれることが多い。
 このスーパーボウルは全米最大のスポーツイベントとして、もはや「国民的行事」といっても過言ではないほどアメリカ市民の間に広く定着している。

 大リーグ野球のワールドシリーズもそれなりに人気はあるものの、7試合制のためどうしても盛り上がりに欠けるが、スーパーボウルは一試合だけの一発勝負。
 この国民的行事をラスベガスのスポーツブック(写真下)で賭けながら観戦しようという者が非常に多く、この日は通常の週末よりもはるかに混雑する。

 宿泊予約のみならず、スポーツブックの座席の取り合い合戦もこれまた風物詩といってよいだろう(最近は有料制になってきている)。
 ちなみにラスベガス観光局が発表したデータによると、2015年2月1日開催の「ニューイングランド・ペイトリオッツ 対 シアトル・シーホークス」のスーパーボウルの日のラスベガス訪問者数は 307,000人。
 ラスベガス全体のホテルの客室数が約15万部屋であることを考えると、2人一部屋利用で全部屋が完売されたことになる。

【 カーレース NASCAR の日 】
 NASCAR のカーレースが、ラスベガスモータースピードウェーで開催される日。
 NASCAR とは、National Association for Stock Car Auto Racing の略。日本やヨーロッパでカーレースといえば F1 が有名だが、アメリカでは F1 よりも NASCAR のほうがはるかに知名度が高い。
 この日は、全米各地から約10万人以上の観戦客が集まるばかりか、レース結果にカネを賭けるギャンブラーも多数カジノに押し寄せるため、市内全域のホテルがほぼ満室に。
 開催時期は毎年多少異なるが、2月下旬から3月上旬の週末になることが多い。2018年からは9月にも開催。正確な日程は公式サイトで確認のこと。

【 2020 NFL Draft 】
 これはラスベガスにとっては毎年の特異日ではなく 2020年だけの特異日。アメリカンフットボールリーグ NFL のドラフトが行われる日で、2020年はラスベガスでの開催が決まっている。開催期間は 4月23, 24, 25日の3日間。
 このイベントを知らない人からすると、「アメフトの試合が開催されるわけでもないのに、なぜこれほどの大騒ぎに?」と思うかもしれないが、毎年全米最大級のスポーツ興行になっていることはまちがいなく、全米にテレビ中継されるばかりか、ラスベガスのホテル街が歩行者天国になることが予想されるなど、たぶんラスベガスにとって 2020年の最大のイベントになる予定。
 ホテルの宿泊費が通常時期の10倍以上になるはずで、費用的な負担が大きくなるばかりか、大混雑で不便を強いられるなど、通常のラスベガスを楽しむことができないので、一般観光客はこの時期の訪問を避けるべき。

【 Electric Daisy Carnival の日 】
 Electric Daisy Carnival(通称 EDC) とは、夜明けまで歌って踊る全米最大級の音楽フェスティバル。
 開催時期は、長らく6月中旬の週末の3日間だったが、猛暑を回避するため 2018年からは
5月中旬に。
 ちなみにこのフェスティバルは 2010年まで、ロサンゼルスなど他の都市で開催されてきたが、あまりにも多くの若者が集まり熱狂的になるため、会場周辺の地域社会に多大なる迷惑がかかるなど問題が多く、2011年からラスベガスで開催することになった。
 ラスベガスでの開催会場は、荒野の中にポツリとあり、周辺に住宅がまったくいないカーレース場「ラスベガス・モータースピードウェー」。
 毎回宿泊施設不足により、ラスベガス全域の各ホテルの宿泊料金は高騰。通常時の 5倍以上になることもめずらしくない。
 この時期にラスベガス旅行を計画している者は、EDC の公式サイトで日程を確認したほうがよいだろう。

【 7月4日 独立記念日 】
 7月4日はアメリカの建国独立を祝う祝日で、数少ないアメリカの祝祭日の中でもひときわ目立つ「祝日の中の祝日」。
 また季節的にも「夏本番」を告げる日でもあり、全米がお祭りムードで盛り上がる。
 そしてこの日はアメリカ人にとっては年に一度の「花火大会の日」でもあり、全米各地で独立を祝う花火大会が盛大に催される。
 このお祭りムードにピッタリ合っているのがラスベガスというわけか、この日は通常の週末よりもかなり混む。

【 ラスベガス・マラソンの日 】
 ラスベガス・マラソンの開催日(2013年の大会までは 12月初旬の日曜日、2014年からは11月中旬の週末)も特異日と認識しておいたほうがよいだろう。

 参加ランナーの数は 4~5万人で(宿泊施設を必要としない地元からの参加者も多く含まれている)、10万人を超える大型コンベンションなどと比べると、ホテルの需給に与える影響はそれほどでもなく、宿泊料金が極端に高騰するようなことは少ないが、交通事情という意味では、かなりの特異日だ。
 2010年の開催までは、交通量が少ない早朝のスタートだったため、正午ごろまでには交通規制が解除されたが、2011年からは夕刻のスタートとなり、最も混雑するゴールデンタイムにストリップ大通りが全面閉鎖となる。バスやタクシーは平常運行ができなくなり、レンタカー利用者も不便を強いられる。
 宿泊ホテル以外の場所で開催されるナイトショー会場へ行く場合など、夕刻から深夜までの時間帯に移動を予定している者は十分な注意が必要だ。「すべて徒歩で移動するしかない」と覚悟しておいたほうがよいだろう。

【 ボクシングの超ビッグイベント 】
 日付は決まっていないが、ボクシングのスーパースター同士のマッチが予定されている日は、宿泊料金がとんでもない金額に跳上がる。
 たとえば下の画像は、2015年5月2日のフロイド・メイウェザー Jr 対 マニー・パッキャオ戦のイベント会場 MGMグランド・アリーナに隣接する MGMグランド・ホテルの公式サイトにおける宿泊料金表の画面コピーだ。(その年の 3月21日時点における予約サイトの画面)

 ちなみにメイウェザーは 47戦無敗の王者、パッキャオは 6階級制覇のフィリピンの英雄で同国の国会議員でもあるという名実ともにスーパースター同士の対決が組まれたわけだが、試合前日(5月1日)の晩の宿泊料金が $1601 になっていることが読み取れる。
 2日前の 4月29日であれば $90、6日前の 4月26日ならば $63 であることを考えると、わずか数日のちがいで、その価格差は約25倍。
 他のホテルもこれほどの価格差にはなっていないものの、通常日の 10倍程度に暴騰した。

 これほどのビッグマッチはめったにないが、ボクシングの試合で宿泊料金が高騰することは珍しいことではない。

【 12月中旬から 12月25日まで 】
 これまでに述べてきた特異日とは逆に、ガラガラに空いている時期として注目しておきたいのが、この時期。
 すいているぶんだけ宿泊料金も安く、何をやるにも待ち時間が少なく、混雑や行列に遭遇することも少ない。
 「クリスマス休暇のシーズンは旅行者が多いので、宿泊料金は高騰するのでは」と勘違いしている人も多いようだが、実態はまったく逆。
 そもそも「クリスマス休暇」なるものはヨーロッパ諸国にはあっても、アメリカにはほとんど無い。あったとしてもそれは大企業のエグゼクティブなどごく一部の人たちの話であって、大多数の一般労働者は12月25日が休みになるだけだ。
 もちろん「ホリデーシーズン」という言葉はあるが、サンクスギビング(11月の第4木曜日)、クリスマス(12/25)、元日(1/1)という3つの休日が短期間に集中しているだけのことで、日本の年末年始のような連続休暇の習慣があるわけではない。
 むしろこの時期は、クリスマスギフトを買ったり、クリスマスカードやパーティーの用意など、全国的にどこの家庭もクリスマス準備で忙しく、旅行などに行っている暇がないのが普通だ。
 結果として、ラスベガスにとっては一年のうちで最もすいている閑散期となり、各ホテルは赤字覚悟の激安料金を提示して集客をすることになる。そうしないとカジノに客を呼び込めないからだ。

 ということで、この時期はいいことずくめのようにも思えるが、一つだけ注意しておきたいことがある。それはズバリ、ナイトショーや無料アトラクションの多くが休みになるということ。
 日ごろ休みを取りにくいパフォーマーたちが故郷の家族とクリスマスを過ごせるように、興行主の多くが、閑散期で需要が少ないこの時期を特別休演期間に設定しているからだ。
 したがって、ショー目当てのラスベガス訪問の場合、必ず公演スケジュールなどを事前に確認するようにしたい。

 なお、この閑散期をねらって(閑散期はホテルやイベント会場の使用料が下がるので)コンベンションなどのイベントを計画する主催者も増え始めている。
 特に、例年この時期に行なわれるロデオの世界大会 NFR(12月前半の約10日間)などは急激にその規模を拡大してきており、カウボーイハットをかぶったロデオ関係者が街中を埋め尽くすなど、12月の人出も増える傾向にある。
 総じてすいている12月ではあるが、この NFR 期間中だけはホテルの宿泊料金が急騰しやすいので注意が必要だ。

【 全国的な祝祭日 】
 必ずしも「特異日」とは言い切れない日もあるが、参考までに祝祭日の一覧を以下に示してみた。
 アメリカでは各州ごとにそれぞれ独自の祝祭日が存在しているが、ここに列挙したのは全米共通のいわゆる「ナショナルホリデー」である。連休となることが多く、ホテルの宿泊料金は高騰しやすい。

【 全国的な祝祭日に準じる日 】
 以下は、必ずしも全米規模で休むとは限らないが、かなり広範囲で認知されている祝日。

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