【結婚式】全米屈指のウェディング・ディスティネーション。近年は同性婚も大歓迎。

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 ラスベガスがあるネバダ州は婚姻手続きが簡単なことで昔から知られており、毎日たくさんのカップルが多種多様な結婚式を挙げようと世界中からこの地を訪れている。
 それは統計にもはっきりとあらわれており、人口わずか100数十万人(周辺都市を含めても約200万人)のこの都市において、毎年受理される婚姻届(Marriage License と表記されているものなので正確に訳せば結婚許可証)の数はなんと約8万組というから驚きだ。

 これを日本の人口に置き換えると毎年約 800万組が結婚していることになり、いかにすごい数字であるかが想像できよう。
 ちなみにラスベガスの人口比に対する婚姻届の数は、一般の都市の約10倍といわれており、ほとんどが地元民以外の来訪者による婚姻であることがうかがえる。
 まさに世界中からカップルが集まる「ウェディングの聖地」といってよいだろう。

 結婚式の絶対数が多いためか、街中には数多くのウェディングチャペルが立ち並び、そして式のスタイルもシンプルなものから超豪華なものまでさまざまだ。
 たとえば車に乗ったまま行うドライブスルー挙式、高級ホテルの噴水ショーを独占してのファウンテン挙式、スカイダイビング挙式、エルビス・プレスリー(のそっくりさん)立ち会いの挙式など、エンターテインメントの街らしいユニークなものも少なくない。

 ちなみにウェディングチャペルは、ストリップ地区とダウンタウン地区の中間地点付近に集中している。
 具体的な位置としてはタワーで有名なストラットホテル(かつてのストラトスフィアホテル)以北のダウンタウンまでのラスベガス大通り沿いで、偶然にもほぼすべてのチャペルが道路に対して東側に立地している。
 その理由は、多くのカップルが利用する午後からの時間帯にチャペルに陽が当たり写真撮影などに都合がよいため、とされているが定かではない。

 混雑するという意味での「特異日」があるので、挙式を計画しているカップルは念のため知っておいたほうがよいだろう。
 一年のうちで最も人気が高くチャペルが大混雑するのはバレンタインズデー(2月14日)、そしてニューイヤーズイブこと 12月31日だ(年内に結婚したほうが税務上、有利になるからだとか)。
 また、数字の並びがよい日、たとえば年、月、日が同じ数字になる日なども人気が高く特異日となりやすい。
 実際に 2010年10月10日は大混雑したし、古い話だが、スロットマシンのトリプルセブンにあやかった 2007年7月7日は記録的な混み具合だった。

 ラスベガスで挙式をあげるのは、なにも一般人に限ったことではない。映画俳優、スポーツ選手、ミュージシャンなど著名人の間でも人気が高く、日本のシンガー 浜崎あゆみ(2011年1月)もそのうちの一人だ。
 参考までにラスベガスで挙式をあげた著名人を列挙すると、エルビス・プレスリーとプリシラ・ボーリュー、フランク・シナトラとミア・ファロー、シンディー・クロフォードとリチャード・ギア、ブルース・ウィリスとデミ・ムーア、アンドレ・アガシとステフィ・グラフ、そしてジョン・ボン・ジョビ、デビッド・キャシディー、ジュディ・ガーランド、ブリトニー・スピアーズ、ジェーン・フォンダ、マイケル・ジョーダン、デニス・ロッドマン、ニッキー・ヒルトン、ポール・ニューマン、カーク・ダグラスなど、そうそうたる顔ぶれだ。

 さて、ラスベガスにおける結婚の一連の手順を説明すると、まず当事者二人で役所(Clark County Marriage Bureau、 場所: 201 East Clark Avenue, Las Vegas, Nevada 89155-1603、 電話 702-671-0600)へ出向き結婚許可証(Marriage License)の申請を行う。
 ここの窓口は、かつては 1年365日 24時間オープンだったが、今では短縮され、朝8時から深夜0時までとなっている。それでも役所が年中無休で深夜営業とは、「不夜城ラスベガス」を標榜するこの街の面目躍如といったところか

 申請に必要な条件は、アメリカ市民もそれ以外の外国人も同じで、年齢(18歳以上)や性別等を証明できる身分証明書(パスポートで可)の提示と、申請料の77ドルのみ(2019年7月現在)。
 男女2人が役所へ出向き、結婚の同意を互いに確認し合う書類にサインをして結婚許可証を受け取る。おっと、ここで訂正が必要だ。
 2014年から同性婚(Same-sex marriage)がネバダ州で合法化されたので、「男女2人が」は「2人が」に改める必要がある。

 他州ではしばしば見られるエイズ予防のための血液検査証明書や待機期間などは必要ない。(ただし 18才未満の者が結婚する場合は、保護者の同意書が必要)
 この役所で要する時間はほんの15分程度で、それが済んだらあとは 1年以内にネバダ州内で結婚式を行う。
 当たり前のことではあるが、この「結婚許可証の取得」は「結婚式を挙げたこと」とは別物で、さらに「結婚証明書」とも別だ。
 結婚許可書を取得してからそれを持ってチャペルなど結婚式場に出向き、そこで牧師さんなどにその結婚許可証に署名をしてもらい、それがまた役所に届けられて初めて役所は「この2人は結婚してます」という意味での結婚証明書の発行が可能になる

 結婚式場は前述の通り街中のいたるところにウェディングチャペルがあるので見つけるのに苦労はしない。
 あらかじめ予約しておくのが普通だが、飛び込みでもOKというチャペルもたくさんある。また、多少割高になるが、ほとんどの主要ホテル内にチャペルがある。

 チャペルでは神父、牧師などの資格のある司式者のもとで結婚の宣誓を行い、結婚許可証に司式者と立会い人の署名をもらう。
 この書類が役所に提出され登録が済むと、結婚証明書(Marriage Certificate)の発行が可能になる。

 なお、節約目的や宗教上の理由などでチャペルでの式を行わないカップルは、いわゆる民事婚(届出だけによる書類上の簡単な結婚式)を Office of Civil Marriages で行うことも可能だ。
 この役所は、330 S. 3rd Street, 6th Floor, Suite 660, Las Vegas, NV 89101 にある。
 費用は 77.75ドル、支払いはクレジットカードのみでアメックスやダイナースは受け付けていない。

 なお、日本の役所に届けを出す際は、この Marriage Certificate に記載されている婚姻日から3ヶ月以内に Marriage Certificate のコピーの原本と和訳文を一緒に提出すると、日本の戸籍にも「米国ネバダ州で婚姻」と記載されるそうだ。
 上記は、あくまでも未入籍のカップルがラスベガスで結婚式を挙げる場合のことで、すでに入籍済みのカップルが式を挙げたい場合は役所に行く必要はなく、Renewing Wedding Vows(Vow Renewal ともいう)を行うことになる。

 Renewing Wedding Vows とは、新たに誓いを立てる儀式。アメリカでは結婚一周年の記念日や十年目、そのほか思い立った時や節目に新たに神父や牧師の前で誓いを立てたり、誓いのセレモニーを行うカップルが少なくない。
 この場合は、すでに書類上の婚姻は済んでいるので、チャペル側に Renewing Wedding Vows であることを告げて式を挙げるだけだ。
 日本ですでに籍を入れているカップルがラスベガスで挙式を挙げる場合も、この Renewing Wedding Vows をする形になるので、役所に出向いたりする必要はない。

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