どこにでもいるトコジラミ、高級ホテルでも要注意、ベガスでは裁判沙汰に!

bedbug (トコジラミ または 南京虫)

bedbug (トコジラミ または 南京虫)

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 先週、地元ラスベガスの複数のメディアがベッドバグbedbug もしくは bed bug)の問題を大きく報じたので、それに関して取り上げてみたい。

 ベッドバグとは直訳すればもちろんベッド虫。日本では「トコジラミ」または「南京虫」と呼ばれることが多い吸血性の小さな昆虫のことだ。
 名前のとおりベッドなどに潜んでいるため、当地ラスベガスに限らず世界中のホテルなどで問題を起こしており、刺されると激しいかゆみなどを伴うことから宿泊客からは非常に恐れられている。

 もちろん昔から広く認知されている昆虫なので、今になって問題視され始めたわけではないが、発展途上国など今まで相対的に所得水準が低かった地域の人たちも豊かになり国境を超えて行き来するようになったことなどから、人の移動の急増に伴いベッドバグの分布範囲も広がってきているようだ。

 このたび地元有力紙 Las Vegas Review-Journal やテレビ局 KLAS-TV が報じたのは、とうとうラスベガスでも訴訟問題にまでなってしまったという事案で、日本人観光客の間でも知られる大型カジノホテル「トレジャーアイランド」「ルクソール」が、被害にあった宿泊者から3件の訴訟を起こされているとのこと。

 被害者はベッドバグに刺され、激しい痛みやかゆみで救急車で病院へ行く事態にまでなったにもかかわらず、ホテル側は宿泊費やリゾートフィーの払い戻し以上の対応はしなかったことから、原告側は「宿泊した部屋および周辺の客室において、ベッドバグが繁殖する温床となるような極めて不適切な状態が見られた」とし、15,000ドル(約220万円)を超える訴訟を起こしたとのことで、今後この種の訴訟が増えるのではないかと危惧されている。

 実際にベッドバグの被害は北米全体で毎年約10%前後増加しているとの報道もあり、もはやベッドバグと無縁の都市などないと考えたほうがよく、高級ホテルだからといって安心すべきではない。

 今回この問題をここで取り上げたのは、「アメリカやラスベガスにはベッドバグが多い」ということを知ってもらうためではない。むしろアジア諸国からのインバウンド客が多く、高温多湿の時期が長い日本のほうが深刻かもしれないが、いずれにせよ、どこの国どこの都市であろうが気をつけるに越したことはないという注意喚起だ。

 さて、注意といえば、ベッドバグがノミダニのたぐいと同様、などペットから運ばれてくる可能性もあるとするならば、ペットの宿泊を認めているホテルを避けたいと思うのは当然だろう。
 さっそくラスベガスのカジノホテルでどのホテルがペット同伴を認めているか調べてみたところ、宿泊客を取りこぼしたくないという営業上の理由からか、「体重100ポンドまでの犬に限る、猫はダメ」、「2匹まで」、「1匹1泊100ドル」など条件に多少の違いはあるものの、なんとほとんどのホテルがペット同伴を認めていた。(一昔前までは認めていないホテルも多かった)
 したがって、ペット同伴を認めているかどうかで宿泊ホテルを決めるという考えは、認めていないホテルがほとんどないのでもはや有効な戦略とはいえない。

 というわけでペットとは関係なく、以下に専門家などが推奨するベッドバグ対策を列挙してみたので参考にして頂ければ幸いだ。

「bedbug, hotel」と入力してネット検索すると、被害報告があったとされるホテルリストがいくつか見つかるので予約時の参考にするとよいかもしれない。

ディート(虫よけ剤の一種)を有効成分とする吸血昆虫用の忌避剤を肌に塗る。

ホテルへのチェックインは、なるべく早い時間におこない、もしベッドバグの証跡が確認できた場合、部屋の変更ができるよう時間的余裕をもって行動する。

部屋に入ったらベッドまわりの木枠カーペットの隅に黒褐色の糞が付いていないか確認する。怪しい汚れが見つかった場合、すぐにフロントに連絡し調査を依頼する。

ベッドバグはツルツルした表面を登れないため、スーツケースは床やソファに置かず、金属などの足の付いた台の上に置く。ないときは、床がタイルのバスルームに置くなどの工夫をする。衣類は密閉できるビニール袋に入れ虫の混入を防ぐ。

帰宅前に荷物のチェックを入念におこない、ベッドバグを自宅に持ち帰らない。近年、家庭用のピレスロイド系殺虫剤に抵抗性をもったベッドバグが増えているとの遺伝子解析結果が出ているため、万一同伴帰宅してしまったときは素人のみでの解決は難しい。最寄りの保健所などに問い合わせ、専門の業者に駆除を依頼するのが無難。

 実際に噛まれた経験者らによると、噛まれた直後は「痒くて眠れない! 蚊に刺されたときとはレベルが違う!」とのことだが、ある程度の日数が経過すると痛みも痒みもなくなるようなので、それほど深刻に考える必要もないのかもしれない。あまり神経質になりすぎると旅行そのものが楽しくなくなってしまうので、ほどほどに注意という程度でよいだろう。

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