新型肺炎に対する各空港での対応やマスク着用率などの実態

ラスベガス国際空港の第3ターミナル

ラスベガス国際空港の第3ターミナル

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 ここ数週間、世界中で話題を独占しているのが、コロナウイルスによる新型肺炎
 ラスベガス旅行を計画しているここの読者たちも大いに関心があるようで、こちらに問い合わせが寄せられているばかりか、当サイトのフォーラムでも、各空港での対応やマスクの着用などに関して議論されている。
 そこで、このたび本誌関係者が東京からラスベガスまで移動する機会があったので、その際の各空港の状況やマスク着用率などを中心に、現場の様子をレポートしてみたい。

マスクは病人がするもの!?

 まず始めに、今回の新型肺炎の騒動が始まる前から存在する、マスク着用に関する日米における考え方の違い(もしくは、アジア諸国と欧米諸国の違いというべきかも)にふれておきたい。

 一般的にアメリカでは、インフルエンザなどが流行している時期であろうが花粉の季節であろうが、マスクを着用している者を見かけることはほとんどない。
 理由は、一部の医療関係者や危険物を扱うような仕事をしている者などを除き、「マスクをしている人は呼吸器系などの病人」といった概念が一般化しているからだ。
 また、マスクそのものに対する感染防止効果をアジア諸国よりも過信していないからではないか、といった意見も聞かれる。

 いずれにしても、アメリカでマスクをしていると、「あの人は病人かも」と思われてしまう可能性があることは事実で、それがゆえに、「本当はしたいけど、そう思われるのがイヤだからしない」という人も相当数いるものと思われる。

 それでも今回の新型肺炎騒動のような状況においては、「まわりからの視線よりも自分を守ることを優先したい」と考える者が多くいても不思議ではないので、世界中からの者が行きかう空港などでは、アメリカ人でもマスク着用者がたくさんいるようにも思えるが、はたして現実はどうだったのか。

サンフランシスコ経由ラスベガス行き

 搭乗したのは、2月2日の東京(羽田)発サンフランシスコ行きのユナイテッド航空876便と、同日のサンフランシスコ発ラスベガス行きのユナイテッド航空 358便

出発便の案内ボード(羽田空港)

出発便の案内ボード(羽田空港)

 ちなみに日本からラスベガスへ向かう際の経由地としては、サンフランシスコかロサンゼルスが一般的なので、今回のこの2便は、日本からの旅行者にとって、代表的なフライトと考えてよい。

羽田空港での様子

 ユナイテッド航空のチェックインカウンターの周辺で働いていたスタッフはほぼ全員がマスクを着用していた。
 カウンターの前に並ぶ利用客も 60~70% がマスクをしているように見受けられた。ただしマスク着用者のほとんどは日本人、もしくはアジア系の乗客。

 ちなみに、日本とアメリカを結ぶ路線の場合、乗客は日本人とアメリカ人が多くなりがちであることは当然としても、アジアの各都市から日本を経由してアメリカへ向かう乗客も少なからず存在しており、それらの乗客と日本人を見た目だけで区別することはむずかしいため、以降「日本人」という表現ではなく「アジア系」と表記することとする。

UA876便の出発ゲートで搭乗を待つ乗客

UA876便の出発ゲートで搭乗を待つ乗客

 搭乗ゲートの前でもアジア系の搭乗客の多くはマスクを着用。非アジア系ではマスク着用者は少数派だった。
 なお、この時点まで、つまり搭乗するまでの経路において、体調に関する質問や、体温を測定されるようなことは一切なかった

UA876便の機内

 機内におけるマスク着用率は、当然のことながら搭乗ゲートでの状況とほぼ同じで、アジア系の乗客の多くがマスクを着用。興味深かったのは客室乗務員で、人種を問わず、ほとんどがマスクを着用していた

UA876便の機内。客室乗務員もマスクをしていることがわかる。

UA876便の機内。客室乗務員もマスクをしていることがわかる。

サンフランシスコ空港

 入国審査にかなり時間がかかったものの、新型肺炎との関連性を思わせるような審査は特になかった。
 検疫においても体調を聞かれるようなことはなく、カメラを利用した体温自動測定などが強化されたりしているのかどうかはわからないが、通常と特に違った光景には遭遇しなかった

サンフランシスコ空港の出発ゲート。マスク着用者は見当たらない。

サンフランシスコ空港の出発ゲート。マスク着用者は見当たらない。

 入国審査の直後のエリアにおけるマスク着用率は、日本からの到着便の乗客の存在率が高かったこともあり、2割程度はいたように見受けられたが、その後に通る空港内の一般エリアにおいては非アジア系が圧倒的に多く、マスク着用率はぐっと下がって、1割いるかいないかといった程度。

UA358便の機内

 客室乗務員も含めて、機内でマスクをしている者は皆無に近く、探さないとなかなか見つからないレベル。
 アジア系と思われる乗客もいたが、マスクをする意思が始めからないのか、したくても周囲の目が気になってしていないのかは不明。

国内線 UA358便の機内。この写真ではマスク着用者はひとり。

国内線 UA358便の機内。この写真ではマスク着用者はひとり。

ラスベガス到着後

 空港内のマスク着用率は非常に低い。搭乗ゲートなどで働く航空会社のスタッフもマスクはしていなかった。

 参考までにその現場スタッフにマスクに関して質問してみたところ、「数日前に、会社側にマスクの着用に関して質問した際の会社側からの返事は『すべてのカウンターにハンド・サニタイザーも殺菌Wipe も置いてある。マスクを着用しての勤務は職場のドレスコードにも反するので着用は不可』と言われた」とのこと。
 なお、中国路線での乗務などにおいては例外もあるようだが、その中国路線、このたび運航停止になってしまったらしい。
 ほぼ全スタッフがマスク着用という羽田における航空各社の方針とは正反対のこのアメリカ側の対応、日米の習慣や感覚の違いなのか、それとも震源地である中国武漢からの距離の違いによる危機感の差なのかわからないが、いずれにせよ、この正反対の方針は非常に興味深い。

現時点での結論

 従来からのマスクに対する概念、つまり「マスクは病人がするもの」という認識が強いためなのか、これだけ新型肺炎が騒がれていても、アジア系以外の者は、圧倒的多数がマスクをしていない。
 マスクの感染防止効果の真偽はともかく、現在の日本における感覚としては、アメリカでもマスクをしたいと思ってしまうのは当然であり、マスク着用をあえてためらう必要はないだろうが、上記のような現実を考えると、周囲から「病人かも」と思われてしまう可能性があることは認識しておいて損はないのではないか。
 もちろん今の時期は、アメリカでも新型肺炎に関するニュースが大きく報道されているので、「マスク=病人」ではなく、「マスク=新型肺炎感染防止」ということに気づいてくれる人もたくさんいると期待して、遠慮なく着用するという考え方もありかもしれない。

番外編

 この写真は、ラスベガス空港から Uber に乗った際の、後部座席の乗客に見えるように掲示されていた警告文。

Uber の車内に掲示されていた警告文

Uber の車内に掲示されていた警告文

 内容は、「咳、くしゃみ、げっぷ、あくび、などをする際は口を完全に覆ってからしてください。さもなければ途中で下車していただきます」というもの。
 ドライバーに「コロナ騒動で掲示しているんだな」と言ってみたところ、「いや、コロナ騒動の前からそのようにお願いしている」とのこと。
 ちなみにこの黒人女性ドライバー、タンクトップで運転していた。客商売の服装としては、日本の感覚ではあり得ないが、アメリカでは決して珍しいことではないので、それはそれでいいとしても、乗客に厳しいお願いをしているわりには自分には甘い人間のように感じた次第。
 もちろん「服装がラフな者は自分に甘い」と決めつけることはできないが、この警告文とタンクトップ、なんだかすっきりしない後味の悪い乗車になってしまった。

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コメント(14件)

  1. ラスベガス旅行予定者 トム より:

    有益な情報ありがとうございます。2月下旬からラスベガス旅行の予定者です。
    ①カジノの中はマスクをしている人はいるのですか?
    ②ホテル・カジノの中はアルコール消毒液があるのですか?
    ③今後 ラスベガス、米国で日本人が入国拒否される可能性はあるのですか?
    ④現在の日本人ラスベガス旅行者はいつもとくらべて少ないのですか?
     以上 感覚でもよろしいですのでお答えいただければ幸いです。
    実はこの騒ぎで入国・出国が面倒で万一風邪でもひいていたらマスコミに大騒動されると思うと、
    ラスベガス旅行は延期しようかと思っています。忌憚のないご意見をいただければ幸いです。

    • ラスベガス大全 より:

      トム様

      ラスベガス大全をご利用いただき誠にありがとうございます。
      ① ほとんどいないです。
      ② ところどころで見かけます。レストランやバフェでは、かなりの確率で見かけます。
      でも、念のため、ご持参されたほうがよろしいかと思います。小さいサイズの物であれば、特にじゃまになるほどの物ではありませんし。
      ③ そればかりは当方ではまったくわかりません。お役に立てず申し訳ございません。
      ④ あくまでも「肌感覚」ですが(統計などによるものではありませんが)、もともと日本人観光客はそれほど多くありませんので、新型肺炎騒動後に「少なくなった」という印象は特に受けません。季節的に、卒業旅行などの若者にたくさん来ていただきたいのですが、学生さん世代には予算的に苦しいのか、それほど目立った印象は受けません。

  2. キキララ より:

    4月に行く予定ですが、アジア人差別がないか心配です。。。

    • ラスベガス大全 より:

      キキララ様
      ラスベガス大全をご利用いただきありがとうございます。
      マスクをしていると、アジア人差別をされるかも。

  3. 番長 より:

    現地からのタイムリーな情報に感謝します。
    3月中旬に旅行を予定しています。
    今後も適時、このような情報を提供していただけるとありがたいです。

    • ラスベガス大全 より:

      番長様
      ラスベガス大全をご利用いただきありがとうございます。
      今後も引き続き頑張ります!

  4. KOJI より:

    SFOのイミグレは何時間位かかったのでしょうか?2/20に同じルートで行くのですが、乗り継ぎが2時間しかないので心配です。

    • ラスベガス大全 より:

      Koji様

      現場にたどりついてから通過するまで、1時間くらいかかりましたが、それはたまたま係官が少なかったのと、客が多かったことが原因と思われ、新型肺炎とは関係ないように見受けられました

  5. 進藤 龍次 より:

    Las Vegas 行きの予定があります。
    恐縮ですが、日本では、ほとんど報道されないアメリカのインフルエンザは、脅威ですか?
    10,000人を越える死者のようですが、
    Las Vegasでも流行っていますか?
    お知らせ頂けると幸いです。

    • ラスベガス大全 より:

      進藤様
      ラスベガス大全をご利用いただきありがとうございます。
      インフルエンザに関してですが、ラスベガスが特に多いという印象もありませんし、特に少ないという話も聞いたことがありませんので(秋の時点では、平均以上に流行していたとの報道もあったようですが)、現在は普通に流行しているような気がします。「普通に流行」という表現が、どの程度お役に立てるかわかりませんが。

      • 進藤 龍次 より:

        情報をありがとうございます。
        2月下旬日本発で強行します!

  6. もふもふ より:

    今月末にラスベガス旅行を計画している者です。

    コロナウィルスによるアジア人差別を心配しています。
    ヨーロッパでは酷いようですが、アメリカ・ラスベガスでも日本人は辛い対応をされている状況でしょうか。

    感染拡大される中、現状を教えていただきたいです。
    よろしくお願い申し上げます。

    • ラスベガス大全 より:

      もふもふ様
      ラスベガス大全をご閲覧、ありがとうございます。
      どのようなことがらにも例外というものはありますので、ごく限られた事例としては、日本人やアジア人が嫌がらせを受けたということは皆無ではないでしょうが、一般的にな傾向として、そのような問題が多発しているとは認識しておりません。

  7. 千葉TA より:

    私達がラスベガスとロサンゼルスに行ったのはちょうどこの週末ですね。マスクなどは全くしないで行きました。2020年の2月7日~2月16日でした

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